おすすめ📖三つ編み

きょうは、コロナの夏にぼちぼちと読んだ本のなかで、深く心に残った一冊。
紹介しますね。

『三つ編み』レティシア・コロンバニ作/早川書房

主人公は、はじめは全く関りのないように見える三人の女性。
インドのスミタ、シチリアのジュリア、カナダのサラ。

スミタは不可触民、カーストのいちばん下の身分です。スミタもスミタの母も祖母も、代々、上のカーストの家々を回って、糞尿を集める仕事をしています。子どものとき初めて仕事を手伝ったときの強烈な匂いとショック。手でつかんで集めるのですから、体じゅうが匂います。
カーストは人間をきつくしばるので、スミタは一生この生活を続けなくてはなりません。
スミタは自分の娘には同じ人生を歩ませまいと、学齢期になると小学校に入学させます。不可触民が学校に行くなんて考えられない社会ですが、夫が何とかしてお金を都合して裏金として学校にわたします。

ところが、初日に、娘は、先生に教室の掃除を命じられ、娘は果敢にも拒否します。不可触民はどんなことも嫌だといえません。たたかれ傷つけられて帰って来た娘を見て、スミタは、逃げだすことを計画します。
逃避行の途中、お金がなくなって・・・

って書いてると、ぜんぶ書いちゃうね。ネタバレ(笑)

ジュリアの父親はシチリア島で、昔からのかつら製造業を営んでいます。
そこのおてんば娘ですが、高校を卒業したときに、工場をつぐことを決意します。
ところが父親が事故で重体。そのとき、ジュリアはふとしたことで父親が借金を抱えて倒産寸前だということを知ります。
自分が立て直そうと、決心。
恋人の力もあって、かつらの材料を海外からの輸入に踏み切ります。シチリアではまだだれもやっていない冒険です。まわりの人間の反対を押し切って進めます。

サラは、大きな法律事務所に勤めるバリバリのキャリアウーマン。
二度の結婚と離婚、3人の子ども。その私生活を犠牲にして、仕事一途に最高の地位に上り詰める。その直前に、がんに侵されていることが分かります。
会社という組織は非常です。
上司も同僚も顔や口では同情するのですが、一気につまはじきにされます。
生きがいをなくしたサラ。病気と闘う気力もなくします。
でも、ふとしたことから、その気になってかつらを作りに美容院に行きます。
かつらはピンキリですが、人毛のしなやかなかつらを見つけます。

ひとりひとりの人生が、リアルに描かれて、別の人生、物語なのに、ちっとも複雑ではなくつむがれていきます。
結末に向けて、彼女たちがどう関わっていくのか、ちょっとミステリアスでもあります。

人生の岐路に立った時、どれだけ自分を大切にできるか。
自分をたいせつにするってことは、人間らしく生きるってことやね。
強い女性たちがさわやかです。
脇役の男性の描き方も、女性とのかかわり方や男性としての生き方・価値観がよく見えています。

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きのうはおはなしひろば更新。
ドイツの「みじめおばさん」
なしのみの季節ですねえO(∩_∩)O

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