日別アーカイブ: 2022年11月1日

おはなし入門講座第3回

ブログでははじめまして。チーコです。

今日は、おはなし入門講座第3回でした!

あいにくの雨で、小さなお子様連れの方は朝からいらっしゃるのも大変だったと思いすが。
そんな中、予定通り8名の受講生に出席していただきました。
小さなお子さんも3人! 可愛い~💖

それではスタートです!


1.語り
まずは椅子をおはなし会の形に並べ、ヤンさんの語りを聴きます。

手あそび
ろうそくパッ もひとつパッ
おそらにキラキラ おほしさま

おはなし
三匹のこぶた
(出典『イギリスとアイルランドの昔話』石井桃子編訳/福音館書店)

手あそび
ろうそくパッ もひとつパッ
さよなら さよなら おはなし会
ろうそくフッ もひとつフッ
おそらにキラキラ おほしさま

ほほう…。という空気になったところで、机を講義形式に並べ替えて、
第3回のテーマ「おはなしの覚え方・語り方」に入っていきました。


2.おはなしの覚え方

大きく分けると、おはなしの覚え方は二段階に分かれており、
加えて心がけることがひとつあります。
A.ストーリーを覚える
B.言葉を覚える
C.大切なこと
分解して見ていきます。

A.ストーリーを覚える

①声に出して全体を読む
大きな声で!
動きをイメージしながら読むと覚えやすい。

②テキストを見ないであらすじを書いてみる
この時点でおはなしの骨組みは記憶できているはず。
その上で抜けている部分をチェックする。

③意味段落に分ける
おはなしを意味段落ごとに分けていく。
目安としては 場面が変わるところ、時間経過をあらわす言葉があるところ(例:ある朝~)、人物の出入りがあるところ(例:オオカミがやってきて~)。

ここまでできたらB.の段階に進みます。

B.言葉を覚える

①細かくイメージしながら、声に出して読んでいく

*お母さんブタの大きさは?どんな様子?子ブタの様子は?親子はどんなふうに接している?住んでいる場所は?飼い主はいる?季節は?子ブタの質感は?五感を働かせて!
*リアルブタでもアニメ調のブタでもOK。とにかく細かくイメージ。
*実際の語りでは、それらディテールを子どもたちに説明することはもちろんない。けれど、語り手が詳細にイメージすればするほど、聞き手の子どもたちはそれを受け止めて個々のイメージをつくり上げてくれる。
*語り手がしっかりイメージできていれば自信を持って語ることができる。

②2~3行ずつ、文章を目でパッと見て声にしてみる

③②を繰り返した後、一段落全体を声に出して読む

④全段落が済んだら初めて全体を通してみる
*不安になっても、この段階までは前の段落を読み返さないこと!
回数を重ねるほど記憶に定着するのが道理なので、何度も前に戻って読み返していると、おはなしの前半ばかりよく覚えていて自信たっぷり、後半につれて強さがなくなってクライマックスが尻すぼみ、という残念な現象が起こってしまう。

⑤暇さえあれば声に出して語る。
*おはなし全体が均等に熟していくように。

C.大切なこと

①覚えるのに時間をかけること
*覚えるスピードには個人差があるけれど、とにかくじっくり取り組むこと。
*ただ読むのとは違って、覚えることは、その作品の世界に深く入り込むことでもある。世界をイメージしながら登場人物を動かしていくこと。
*人と人とのつながりが薄れている現代だけれど、せめて子どもと大人の関係は薄めずにいたい。いつの時代でも子どもは濃厚なものを求めている。そんな子どもたちに、じっくり時間をかけて温め手づくりした世界を、自信を持って届けたい。これぞ料理やお裁縫を超えた究極の手づくりでは。

②正しくきっちり覚えること
*あらすじを覚えているだけでは、いざというときにちゃんと言葉が出てこない。「えっと…」などと言い淀むのは語り手の勝手な間であって、そのおはなしの持つ間ではない。これでは子どもがおはなしの世界から離れてしまう。
*語り手が不安にならないように。不安な気持ちは声に表われ、子どもは敏感にそれを察知する。頭と声(=体)、両方を使って語るべし。
*子供はとても耳がいいので、気に入った話は何度も繰り返し話してほしいと願う。そのとき、前回と違う言い回しで語ると子どもは怒るor笑ってしまっておはなしが止まってしまう。
*語りは音楽と同じ性質のものであるので、同じフレーズは同じメロディで繰り返してほしいもの。さらに子供は常に新しいものばかりの未知の世界に生きているので、同じものに何度も触れて安心したい心理がある。
*耳に心地よい言葉で子どもに語りたい。行き当たりばったりでよい言葉を発せる人は滅多にいない。
*ということで、テキストのまま覚えることは大変な力仕事だけれど、まずはすべてそのまま覚えること。
*不自然なテキストを直すセンスは経験を積んで初めて得られる。覚えやすくするためではなく、聞き手にとって聴きやすくするために直すのである。

……以上を胸に留めながら、必死こいて覚えましょう!
そうしていくうちに、誰かの真似ではない、自分の語りができるようになりますよ。

とのことでした。


3.おはなしの語り方

さて、おはなしを無事に覚えられたとして、次に考えなきゃいけないのが語り方です。
これにはポイントが2つありました。

1.上手に語ろうと思わない
*おはなしを届けているのであって、語り手を届けているのではない。自分の発表会だなんて思わないこと。
*聞き手とおはなしへの敬意をもって取り組む。

2.最後まで語る
*途中でおはなしを忘れてしまっても、なんとしても最後まで語りきる。途中で終わるということは、聞き手を突き放すことになってしまう。
*頭が真っ白になってしまったときは、テキスト通りに読まなきゃとか細かいことはもう気にしなくてよし!とにもかくにも結末まで突っ走りましょう。


講義内容としては以上でした。
が、この後活発な質疑応答があったので、その中身も記しておきます。

Q.読んでいると、同じフレーズばかり出てきて飽きてくるけど…?
A.目で読む場合、同じフレーズは飽きてくるもの。それは大人も子どもも同じ。
ところが耳で聞くときには、同じフレーズが出てくるのを待つようにすらなってくる。音楽と同じ。

Q.テープで自分の声を録音して覚えるのはあり?
A.そうする人もいるけれど……。自分で自分の語りを批判しながら聞いてしまうので、あまりしない方が……。

Q.キャラクターの声を特徴づけて語るべき?
A.しない方がいい。自然と声色が変わってしまう程度なら構わないが、意識して変えようとしなくてよい。

Q.繰り返し出てくるフレーズは、都度読み方を変える?
A.変えなくていい。ただし子どもの反応次第で変わっていくことはある。

Q.語り途中、子どもから質問が出たらどうする?
A.無視してはいけない。無視された子は、もうそのおはなしの世界について来れず離れてしまう。なので分かる範囲で簡潔に答える。
ただ、答えた後に語り手自身がおはなしに戻ってこれるか…? 戻れるようになるまでしっかり覚えよう!

Q.身振り手振りはつける?
A.練習時はつけてもよいが、子どもの前で語るときはなし。なくても十分に通じる。

Q.語り手の目線はどこ?
A.子どもの目を見る。おはなしに興味がなさそうな子のことも、じーっと見つめていると、自分に語られていると気付いて世界に入ってきてくれる。

 

ここでお時間となり、それではまた次回!ということでお開きとなりました。


帰るころには雨もあがっていて、ホッ。
受講生のお一人が柿をたくさん持ってきてくださったので、みんなでわけわけして帰りました。ありがとうございます😋

次回は12月6日(火)です。
全員、ご自分で選んだおはなしを語っていただきます。
とっても楽しみです✨

長くなりましたが以上です。

朝晩一気に寒くなってきましたね。
今年はおうちにこっぽり籠って、たくさんおはなしを覚える冬にしたいなぁ。
そんな予定…いや、願望……もとい、儚い夢まぼろしを抱きつつ。

お疲れ様でした!