今年もこの季節になりました、そうです…新たな語り手が誕生する、おはなし入門講座です。遅くなりましたが、先月末に第一回目がありましたので報告です☺
今年は4名の受講者を迎え、まず自己紹介から始まりました。
すでに地域のおはなしサークルに所属している方、
我が子の小学校で図書ボランティアをしていたり、保育士として児童館で絵本の読み聞かせをしていたり、習字教室をしていたりと日々子どもたちに接している方々ばかりでした。
この講座は4回で構成されており、
第1回 「おはなしってなあに?」
第2回 「おはなしの選びかた」
第3回 「どうやって覚えるの?」
第4回 「語ってみよう」
語り手になるためのノウハウはもちろんですが、おはなしの魅力などヤンさんが長年子どもに語ってこられた経験からも詳しく説明してくれます。
さて、1回目のテーマは「おはなしってなあに?」です。
➀「おはなし」ということばについて。なにをするの?
大きくとらえると絵本や紙芝居、ペープサートなども含みますが、ここでのおはなしとは、素話(storytelling)です。声(音声)だけで物語を子どもたちに伝えます。
”物語を耳から聞く⇒言葉を頭で想像して楽しむ”
➁絵本と比べてみよう
語り 「七羽のからす」『おはなしのろうそく10』/東京子ども図書館
絵本 「七わのからす」 フェリクス・ホフマン え/せた ていじ やく/福音館書店
まずは語りを聞いて、自分がイメージした「泉」「ガラスの山」を受講者に聞いてみます。もちろん一人一人違うイメージです。
自分が経験したことや見た本や映画が元になっているかと思いますが、それでいいのです。正解がなければ、良い悪いもありません。
”みんな違ってみんないい⇒自己肯定感が生まれる”
一方、絵本に描かれているのは、その作者がイメージした絵になっています。
ただし、語りでは息子たちがカラスになるのは一瞬ですが
絵本ではカラスはまだ人間の足が残っていたりと、徐々に変化しているように描かれています。
メディアの違いですが、グリム童話は昔話として語られていたものであり、絵本になったは最近のことだそうです。
➂「おはなし」がひきだす子どもの力
語り 「あなのはなし」『母の友』123号/ミラン・マラリーク作
くつしたにできたあなが、ドーナツ、カエル、ツバメ、ヒツジと一緒に旅をします。みんなはオオカミに食べられますが、あながオオカミのお腹の中に入ると、
あながオオカミを飲み込んでしまう、とういおはなしですね。
有り得ないものを思い描く力、そしてオオカミが出てきたらどうなる?
つまり「想像力」が必要なおはなしです。
日常生活の中でも、「これをしたら、どうなる?相手はどう思う?」と考える力です。おはなしはこの「想像力」を育てるのです。
また、子どもは繰り返しを覚えるのが上手です。
このおはなしも「オオカミだってこわくない」という言葉が何度も出てきますが、途中からは「オオカミだって」と言うと、
子どもたちが「こわくない」と続けてくれることもあります。
おはなしの中に出てくる言葉の意味が分からなくても、繰り返し出てくることで記憶として残ります。
これが成長の過程で実体験と結びついたとき、「これのことか」となります。
おはなしを通じて言葉を獲得していくのです。
”想像力・思考力⇒自分で思い描く力。生きていく上で一番重要な力”
おはなしの偉大さを再認識する内容でした。
語りを続けていると雑念が出てくることもありますが、おはなしの力を信じ子どもたちにおはなしを届けようと思いました。
毎年感じることは、語りの経験者が受講しても十分ためになる内容です。むしろ経験者が聞くとより理解でき、新たな気持ちで語りに取り組めるのではないかと感じます。
この入門講座、元々はがらがらどんが主催で開催されていましたが、ご縁があり、ききみみずきんが主催を引き継ぎ今年で6年目になります。
こんな素晴らしい入門講座を毎年無料で受講できます!メンバーは募集中ですので、興味のある方はぜひお声かけください。
受講者の皆様・・・宿題は「おはなしのテキスト」を元におはなしを沢山読んできてください。次回は10月21日(火)、「おはなしの覚え方」です。