入門講座第3回目の報告です。今回のテーマは「おはなしの覚え方」です。
まずは、語りから。
「三びきの子ブタ」 『イギリスとアイルランドの昔話』 福音館書店
◎おはなしの覚え方
1⃣ストーリーを覚える
・(今から覚えるぞ!という気持ちで)声に出して全体を読む。
・テキストを見ないで、あらすじを書く。 細かく書く必要はありません。書いてから、もう一度読んでみて抜けていた場面を確認します。この時、書き直す必要はありません。
・「意味段落」に分ける。 筆者が考えた「形式段落」ではなく、大まかな意味で段落を考えます。具体的には・・・A 場面が変わる、B 時間の経過(ex. しばらくすると)、C 人物の出入り(ex. そこへオオカミがやってきた)
実際に「三びきの子ブタ」で考えてみると、
形式段落→①~㉔
意味段落→①~⑨ ①状況説明 ②一番目の子ブタ ③二番目の子ブタ ④三番目の子ブタ ⑤三番目の子ブタとオオカミとのやりとり ⑥リンゴ ⑦バターおけ ⑧煙突 ⑨終わり
2⃣言葉を覚える
・意味段落ごとに一つずつ完璧に覚える。細かくイメージしながら、声に出して読みましょう。例えば、お母さんブタと子ブタの大きさは?子ブタが住んでいる場所は?温度、手触り、匂い、味など五感をフルに使ってイメージします。すると平面であった映像が立体化されます。
また、ハリエニシダってどんな木?バターおけは何色でどんな大きさ?知らない場合は図鑑などで確認するといいですね。
何度も間違えずに語れるようになるまで、口に出すという作業を繰り返します。特に曖昧で覚えきれていない場面は抜き出して何度も練習しましょう。
最後まで覚えることができれば、最初から最後まで通して語り、一つの段落を完成させます。
・翌日、次の段落も同じようにして完成させます。この時の注意点として、前日に覚えた段落がきちんと覚えられているか不安であっても戻ってはいけません。戻るとそこの段落の練習量が増え、力が入ってしまいます。ストーリーは最後が盛り上がるのに、最初に力が入り、最後が尻すぼみではダメです。
・最後の段落まで覚えたら、最初から最後まで通して語ります。忘れていても一度は覚えたので、思い出すのも早いはずです。
あとは練習あるのみ!家事をしながら、お風呂に入りながら、電車に乗りながら、etc…よくヤンさんが言われていますが、「寝ても言えるぐらいに」繰り返し口に出して練習しましょう。皆さん忙しいかと思いますが、1日のうち自分で時間を決めて練習に取り組むのがいいかと思います。
◎おはなしの語り方
1⃣上手に語ろうと思わない。
・語り手は俳優ではありませんので、演じる必要はありません。ただ覚えたストーリーを声に出すだけで大丈夫です。ストーリーに力があれば、棒読みでも聞き手を引き付けられます。
間を取ったり、抑揚をつけてたりしない。子どもに語っていくうちに、語り方は自然と変わってきます。初めから意図して変えないようにしましょう。
2⃣最後まで語りきる。
・途中で忘れてしまっても、最後まで聞き手を連れていってください。
おはなし選びから語るまで、時間をかければかけるほど、そのおはなしがよく理解できます。即席で覚えたおはなしを語るのではなく、自分のものにしたおはなしを子どもに提供してあげましょう。必ず、聞き手は答えてくれます。
*****************************************************************************************
毎年入門講座の度に「初心忘れるべからず」と勉強になります。ききみみずきんは主催者ですが、ヤンさんの講座を聞けるのは、大変お得です☺
次回は12月5日、最終回「発表会」です。新しい語り手が4人誕生されます。今年の受講生はどのおはなしを選ばれたのか・・・お楽しみに♪