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語りの森を作った魔女

ハンス針ねずみ坊や🦔

おはなし選びは難しいねえ。
ずいぶん昔にグリム童話「ハンス針ねずみ坊や」を覚えて勉強会で聞いてもらったことがあった。
今勉強している典型的なけもの息子の話ですよ。

主人公は、下半身は人間で上半身はハリネズミ。かわいくないの。
両親は疎ましがって、ハンスを追い出してしまう。
ハンスは、自分を認めないお姫さまを、針でチクチクさしてけがをさせるのね。かわいくないの(笑)

その勉強会で、「どうしてこんな話を選んだのか?」と批判された(;´д`)ゞ
「なぜその話を選ぶのか」って考えることはとっても大事だけど、それを否定的に批判するのは、その話に対しても語り手に対しても失礼やね(笑)

その後リュティの『昔話の解釈』を読んで確信できたんだけど、その時はうまく説明できなかった。
人はだれでも獣であったときがある、そこから人間になるには、苦しみもがかないといけない。本来の自分に成長するための苦しみね。それは必ずしも美しい戦いではない。
それを説明できなかった。

説明できなかった自分が情けなくて、それからはもう語っていません。
もし批判されなかったら、説明できなくても、子どもたちに語っているうちに、きっとこの話の本質を子どもたちから教わったと思う。
もったいないことしたなあ(笑)

だから、みなさん、だれかに「なんでそんな話を選ぶ?」って批判されても、無視してください。
そして、だれにもそんな批判をしないでください。もし聞いて違和感があれば、それがなぜなのかを自分の問題として考えましょう。相手を批判せずに。そうすれば自分が成長できます。
たいていのことは、相手を批判しても成長できない ̄へ ̄

うん、そんなことを、一昨日のブログ書いてて思いだしたの~

KHM108「ハンス針ねずみ坊や」は、ドロティア・フィーマンっていうおばさんが、グリム兄弟に語った話。
グリム兄弟は、フィーマンおばさんの話を高く評価していてね。グリム童話は初版の後7版まで改訂していて、再話の文章に手を入れているんだけど、フィーマンおばさんの話だけは、一貫して手を入れていないのです。
そんなことも、「ハンス針ねずみ坊や」を語ってみようと思った理由のひとつだった。
「がちょう番の娘」「かしこい百姓娘」「ものしり博士」「鉄のストーブ」なんかもフィーマンおばさんがグリム兄弟に提供しています。

さて、今日おはなしひろばにUPしたのは、「いのししの王子」
このいのししは、あの針ねずみとちがって、かわいいのよ(笑)
お相手の娘もとってもかわいいの。

「ろばの子」は高学年にぴったりだけど、「いのししの王子」は中学年向きかな。

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「手のシミが気になりませんか」
化粧品会社の広告があった。
え?
手のシミ?
あらためて、じっと手を見る(笑)
思い出した。これは、なつかしい祖母の手だ。亡き母の手だ。
こうやって人は、時を越えてつながっていくのだ。
シミができるまで生きてこられて、ほんとによかった。
このシミを消してなるものか!(笑)

昔話の解釈ー偽の花嫁と本当の花嫁、けもの息子とけもの婿6👸🤴

マックス・リュティ『昔話の解釈』を読む

第6章ー偽の花嫁と本当の花嫁、けもの息子とけもの婿

今度は男の子が主人公の話です。

まずは、けもの息子。
どんな話を知っていますか?
リュティさんが挙げているのは、グリム童話KHM108「ハンス針ねずみ」、KHM144「ろばの子」。

「ハンス針ねずみ」は、生まれた子が針ねずみなので、両親は肝をつぶしてやっかい払いしようとします。
「ろばの子」は、王子として大切に育てられます。
ハンス針ねずみもろばの子も、やがて、思春期になると、広い世界に旅に出ます。そして、しまいにお姫さまと結婚し、けものの皮を脱いで美しい若者になります。
これが、けもの息子の話です。
針ねずみとか、ろばとか、ぶたとかが、王さまの娘と結婚したがるところ、ぎょっとしますね。

でも、けもの息子の話は、偽の花嫁と同じく、写実の物語ではなく、象徴ととらえて読むことが重要です。

リュティさんは、奇形の者、印をつけられた者、追い出された者がまさに超自然的な力をうちに蔵しているといいます。
まさにこういう者こそ恵みを受けた者であることが判明するのである。

わたしたちは、歴史の中で、様々な差別を繰り返してきました。
アフリカから黒人を奴隷として大規模に拉致する、身体障碍者への差別、男女の差別、生まれによる差別。
でも、同時に、けもの息子のような昔話も語りついてきたのです。わたしは、けもの息子の昔話のがわに立っていたいと思います。

オランダの「いのししの王子」の話を、いま再話中です。
お楽しみに~

次回は、けもの婿。
どんな話があったっけ?

考えといてくださいね~

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「あなたは、投資やっていますか?」
という銀行の広告があった。
さびしく見つめていたが、ふと思った。
投資してるわよ。自分に。
某カルチャースクールとか某大学とか某子ども図書館とか、オンラインの講演会。たった2000円~3000円の自己投資。
どんだけ利益が出る(=心が豊かになる)かは自分次第。
何歳になっても自己投資o(*^@^*)o
昔話の語法オンライン勉強会「白雪姫」の締め切りは6月4日で~す。

昔話の解釈ー偽の花嫁と本当の花嫁、けもの息子とけもの婿5👸🤴

マックス・リュティ『昔話の解釈』を読む。

第6章ー偽の花嫁と本当の花嫁

ちょっと空いてしまいましたあ。
グリム童話の「マレーン姫」です。
読みましたか?
ロマンチックでしょ?

「マレーン姫」は、同じく偽の花嫁の話「がちょう番の娘」に比べて話の仕組みが複雑です。
最初からお姫さまと王子は愛しあっていて、その二人の仲を裂くのは父王です。
マレーンひめの父親は、姫を塔に閉じこめてしまいます。いかにも昔話らしく全く光もささない(完全性)孤立した塔です。そこに、侍女とともに7年間閉じこめてしまいます。
7年たったらきっちり食べ物がなくなるんですね。昔話の抽象性が現れています。そして、何とかして自力で穴をあけて塔から出てきます。何でもっと早うに出てこん?と思いますね。いやいや、塔から出てきたら城も何もかも戦争で破壊されていたのです。もっと早く出て来ていたら、マレーン姫も戦争に巻き込まれていたでしょう。そうすると、「マレーン姫」とは違う話になってしまう(笑)
真っ暗な塔は姫にとってこらしめの場だったばかりでなく、保護の場でもあった。と、リュティさんは言います。そして、このことにも、悪が善に転ずるという法則が見られるのです。

さて、「がちょう番の娘」と同じく「マレーン姫」にも窮乏と成熟の過程が描かれます。
1,真っ暗な塔に閉じこめられること。
2,イラクサを唯一の食べ物とする長いさすらいの旅。
3,台所の下働きとしての務め。
と、3つの段階がありますね。

この長い窮乏の時があるというのは、この時期が人間の発展にどうしても欠かせないものであるということを感じさせます。
コロナ禍の今もその時なのでしょうか。私たちは、この時を成熟の時にしなくてはいけません。

さて、ストーリーは進み「転換」が起こります。というのは、姫が働いているのは、あの愛する王子のお城だったのです。しかも、王子は父の選んだ花嫁と結婚することになります。その花嫁というのが、いやな娘でねえ。自分の顔が醜いのがバレるのがいやだから、結婚式に行きたくないんですよ。それで、台所で働いているマレーン姫を身代わりに立てるんです。

マレーン姫が花嫁の衣装を着て王子と教会に向かいます。途中で、マレーンひめはつぶやきます。
「わたしはほんとうの花嫁じゃない」
王子が、え、なんていった?とたずねても、姫は何も言わないと答えるだけです。
ここ、微妙ですね。法的には本当の花嫁ではないんです。でも、魂の次元では、ふたりは愛しあっているから、本当の花嫁なんですね。
ここ、語るのが難しいと思います。とってもすてきだけど。

悪い花嫁は自分の結婚式をさぼります。そして、その人に与えようとしたひどい仕打ちを、自分が受けることになります。ここでも、悪は自滅するのです。

はい、「マレーン姫」はこれでおしまい。
ところで、偽の花嫁の出てくる昔話を、いくつか紹介しておきますね。興味のあるかたは読んでください。
グリム童話「兄と妹」「森の中の三人のこびと」「白い花嫁と黒い花嫁」「歌ってはねるひばり」「鉄のストーブ」
HP《外国の昔話》「三つのオレンジ」「オーバーン・メアリー」

次回はけもの息子の話です。

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緊急事態宣言が延長になりましたね。
語りの森HPはネットだから安全だけど、ババ・ヤガーの対面での勉強会は痛手をこうむっています。
痛手といっても、経済的なことではありません。
いま、世界はコロナの収束と経済の両立をどうするかで、悩んでいるように見えます。でも、世の中は、健康(身体的な命)と経済だけでできているのではありません。私たちの活動はそのどちらにも属さないというか、どちらにも属するというか、あいまいな存在です。でもそのあいまいが大事なんだと、わたしは思います。
おはなしを語ったり勉強したりということが忘れられることのないように、小さな灯をともし続けていきたいです。

昔話の解釈ー偽の花嫁と本当の花嫁、けもの息子とけもの婿4👸🤴

京都も梅雨に入ってしまいました。
しかも、近年よくある空梅雨じゃなくて、本格的に降り続いている。
まだ紫陽花が咲いていないじゃないか。
クチナシも香ってこないじゃないか。
早すぎ(╬▔皿▔)╯

って心が動くということは、だいぶ、体調がもどってきたな(*^_^*)

リュティさん行きます。
お待たせ、「がちょう番の娘」クライマックス!

第6章ー偽の花嫁と本当の花嫁

まず前回のところ読み直してね。
とっても感動的な言葉があったよね。
召し使いの姿に宿る尊厳
これは、多くの昔話の核心なんだけど、とくに「がちょう番の娘」に当てはまるんだったね。

さて。
私たちの中にある王者のようなところはときに弱くなり活力を失うことがある。

うんうん、わかる。
わたしだって自尊心はあるし、こうありたい自分ってものがあるし、けど、いやなことが続いたり病気になったりしたら活力がなくなる。まさに先週(笑)

たとえば「がちょう番の娘」では、王女は喉の渇きを抑えることができない。
ここが腰元にとってかわられるきっかけになるのね。
「のどがかわいたんなら自分で飲みな!」
ここで王女は自分の本当の力を失うのです。母の血の付いた小切れも流れて行ってしまう。
語る時、ようく気を付けようね。何気なく語ってはいけないよ。

たとえば、KHM11「兄と妹」では、兄がのどの渇きを押さえられなくて水を飲む。そして、本当の姿を失って鹿になってしまいます。

さて。
「がちょう番の娘」の口をきく血のしずくというモティーフ、口をきく馬の首というモティーフについて。
もともと古い魔法の教えによると、血は命の担い手として大きな力があったそうです。けれども、昔話の中では、魔法的な力は持っていなくて(中身を抜いて語るってあれです)、物語のいち要素にすぎません。そして、物語の要素というのは、ストーリーを前に進める役割と、物語の意味を支える役割を持ちます。
ここでは、「王女は、血のしずくとファラダを失うことによって、自分の力の一部を失う」という意味があるのです。

そして、ここから窮乏と成熟の時が始まる。

王女は、こっそりとしか金の髪をとかし風を左右する力を用いることができません。
ふつう、昔話では、苦しみの場面は描かれず、さっさと月日が経ってしまいますが、「がちょう番の娘」は違います。
「吹け吹けかぜよ~」の場面が繰り返されます。
そう、この場面が、窮乏と成熟をあらわしていて、物語のいちばん印象の深い部分になっているのです。
心を込めて語りましょう。
成熟を語るのがとっても難しいと思います。

王女がストーブから出され、王女の着る着物を着せられると、輝くばかりの美しさになる場面がありますね。
ほんとうの王女にもどるところです。さらっと語ってはいけません。
外見が破れ、人間が本質的なものへの道を見出す場面です。

外見が破れ、本質的なものへの道を見出すって、いいなあ。涙が出るよ。
これが、昔話が聞き手に描いて見せる物語の道筋であると、リュティさんは言います。
その底には、現実の世界においてもそういうことが起こってほしい、という希望が潜んでいる。昔話は、導きの星である。

昔話は導きの星🌟

いやいや、あたらしい宗教ではありませんよ。
体力が落ちていると感傷的になってしまって~~>_<~~

はい、きょうはここまで。
次回はKHM198「マレーン姫」を取り上げます。
マレーン姫も偽の花嫁の話。
読んでおいてくださいね。もしくは、おはなしひろばにUPしているので聞いてみてください。

***************

オンライン昔話の語法の勉強会を募集中です。
(対面の勉強会はすぐに定員に達しましたので、HPでは募集しませんでした。ごめんなさい)
「白雪姫」を取り上げます。
みんな知っているようで、実際にはおはなし会で聞くことは少ないと思います。
でもね、ほんとうの「白雪姫」って、めっちゃ哲学的なのよ。
わたし、初めて語法的に読んだときに、めちゃめちゃ感動しました。
遠くで語りの森を楽しんでくださっている方、思い切って参加されませんか?
お待ちしています。お申込みはこちら⇒

 

おぉぉ 熱が~😰

先週の火曜日のことです。
前日から節々がいたいと思っていたら、なんだか熱っぽい。
いつもは、風邪をひくときは喉から来るので、あれ?いつもと違うぞ、と思いながら体温を測ったら、36.8度。
平熱より1度高いと、し・ん・ど・い。
いや、それより、ひょっとして新型コロナにかかったか?
かかりつけのお医者さまに電話で相談したら、すぐにおいでって言ってくださって、すぐに行った。
車がないので、自転車を押して(あ、坂道なの)。
建物の外の自転車置き場で問診。
採血。

結果、白血球が増えてたんだけど、白血球にも種類があってね、好中球が増えていれば細菌感染が起こっていて、リンパ球が増えていればウイルス感染が起こっているんだって。
で、好中球が増えてた。
コロナでなくて一安心。これだけ感染者が増えたら他人ごとじゃないしね。どこでもらってくるやらわからんし。

抗生物質をもらって、おとなしくしていたが、熱は上がる一方で、しんどかったあ。
やっと一週間たったが、暇さえあれば寝ておる。

医療ひっ迫、医療崩壊の今、うかつに熱も出せない。
これはおかしい。
ワクチンをなんぼ輸入しても、予約方法が崩壊してたらどうしようもない。
はやく全員が安心できるように、どなたか頭のいいひと、システムを構築してくれえ~~~

そんなこんなで、おはなしひろばは貯金はたいて更新したが、昨日のHP更新はパス。
「長ぐつをはいたねこ」をUPするはずやったけど。

今日はZOOMで中級クラス勉強会。
何とか生き返っていてよかったです(笑)
対面とは違ったので、みなさんどうだったのか、今後のために感想を聞きたいです。よろしく~

今夜の岩合さんの猫歩きを楽しみに、ちょっと寝よう~(^人^)