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大人のためのお話会:テーマは〝夢〟

まずは、去年の11月17日の大人のためのお話会のプログラムを紹介しておきます。
参加してくださったのは10人、テーマは〝静かな夜に〟でした。
絵本『ねられんねられんかぼちゃのこ』やぎゅうげんいちろう 福音館書店
おはなし 「指輪」『おはなしのろうそく27』東京子ども図書館
絵本 『すてきな三にんぐみ』トミー・アンゲラー/作 今江 祥智/訳 偕成社
絵本 『しずかなおはなし』サムイル・マルシャーク/作 ウラジミル・レーベデフ/絵 内田 莉莎子/訳 福音館書店
おはなし 『ペドロのふしぎな話』語りの森HP外国の昔話 → こちら
絵本 『ねむれないひつじのよる かずのほん』きたむらさとし 小峰書店

続いて昨日行われた、1月の大人のためのお話会は、〝夢〟がテーマ(‘◇’)
お正月からの連想で、初夢→夢についてのおはなしと絵本でお話会をしました。
来てくださったのは5人。
すでに常連さん化したみなさまでした。

絵本 『ゆめゆめえほん』井上洋介 学習研究社
おはなし 「夢見小僧」『日本の昔話1』おざわとしお再話 福音館書店
手遊び なかなかホイ、そとそとホイ
おはなし 「スウォハムの行商人」『More English Fairy Tales』Joseph Jacobs より再話
おはなし 「クモとゆめ」『子どもと家庭のための奈良の民話一』村上郁再話 京阪奈情報教育出版
絵本 『キング牧師の力づよいことば』ドリーン・ラパポート/作 ブライアン・コリアー/絵 もりうち すみこ/訳 国土社
絵本 『ゆめみるどうぶつたち』イザベル・シムレール 石津 ちひろ/訳 岩波書店

『ゆめゆめえほん』は、起きたら夢に見た動物に変身しているというかわいい絵本。
「夢見小僧」は、まさにドンピシャ、初夢のおはなし。
初夢をだれに何と言われてもしゃべらない小僧さんの話です。
「スウォハムの行商人」は、日本の「みそ買い橋」の元になったおはなしです。

イギリスの話が日本に伝わってきたら、元の内容は保っているけれど日本風になっているのが面白いですね。
このイギリスの元話では、ロンドン橋の端から端までお店が連なっていて、川には鮭が泳いでいて、昔はそうだったんだと知りました。
「クモとゆめ」は奈良の話で、寝ている男の鼻の穴にクモが入っていってお告げをするんです。
ハチが入っていく話もありますね。
クモとかハチを見たら警戒したくなりますが、金持ちになれるんだったらいいかな?
気持ち悪いのと、お金と、究極の選択(笑)
『キング牧師の力づよいことば』は、有名な「I have a dream」で始まる演説をしたキング牧師の生き方、反対運動を非暴力主義を貫いて行ったことがインパクトのある絵で描かれています。
当時の人種差別がどういうものであったか、反対運動がどういう風に始まったかが分かる、内容も、絵も、ほんとに力づよい一冊です。
プログラムの最後は、すべてをやさしく包み込むような絵本『ゆめみるどうぶつたち』
たくさんの寝ている動物たちが出てきます。
色鉛筆で細かく書いたような動物たちがとてもきれいでリアルです。
途中で数か所入る夜の風景の絵もとてもしっとりしていて美しく、見ていてほれぼれとします。
手に取ってみるのももちろんいいですが、こうやってお話会で読んでもらって、遠めに見ると美しさがよりはっきりする絵本だと思いました。

どうです? 「わたしも行きたかったぁ(´;ω;`)…」と思ったでしょう?
ほんとに楽しかったですよ。
出番ではなかったので、リラックスして40分お客さんとして聞かせてもらっていて、「ほんまにええプログラムやな~」と思いました。
小学校でお話会をするときとは全く違う大人のためのお話会のプログラムが、新鮮であり勉強になり、まとまりのすばらしさに、はあ、もうため息でございます。
プログラムを組むのはほんとに難しいのでまだまだ先は長いと落ち込みますが、いいプログラムのお話会を聞いたあとは心が浄化される気がします。
どんだけ普段けがれてるのかということではなくて…(笑)
来月の大人のためのお話会は2月2日、テーマは〝雪〟です。
来月は降ってるかな~~❄❄❄

12月のプライベートレッスン

ほんとに寒くなりましたね。
そして年末、その前にクリスマス🎄
毎年毎年、無駄になにかに追いかけられるような気分になる時期ですが、それとは関係なく今年最後のプライベートレッスンの報告をします。
今回は一日で2話でした。
2話とも、日常語にテキストをなおす作業をしました。

1話目
「夢見小僧」『日本の昔話1』福音館書店
2話目
「貧乏神」語りの森HP → こちら

「夢見小僧」はわたしなんですが、同じ週の中級クラスで他のメンバーさんが同じ話で講評を受けておられるので、それがとても参考になりました。
それでも、会話だけで話が進むようにしていいかどうか迷う箇所があり、それについてアドヴァイスしていただきました。
もちろん、気づいていないところもありましたし、アドヴァイスいただいたあとは、この話が笑い話寄りというか、「そんなあほな~!」という終わり方に持っていけるように語ればいいと分かってすっきりしました。
重婚の話ですし、不思議な話というエッセンスが入っているんだろうかと思っていたんです。
中級クラスでこの話を出した方がその時教えてくれたんですが、類話がコーカサス地方(黒海とカスピ海に挟まれた地方)とアルバニア(東南ヨーロッパ、ギリシャの上)にあるそうで、どちらも重婚で、朝日長者と夕日長者に当たる登場人物が月と太陽だそうです。
おんなじじゃん!
全然違う場所に同じような話があるんで面白いですよね~。

「貧乏神」は類話がたくさんありますが、この「貧乏神」は自分から進んで家を出て行ってくれるのが面白くていいですね。
貧乏神というのはどこかユーモラスなものですが、この話の貧乏神もわらじを編んだりするんで、神様というよりその辺のおっちゃんみたいで親近感をかんじる神様です。
お正月らしくて、楽しくて、ほんわかしている話を日常語で聞いているとほんとに幸せ~~な気分になりました。
語りを聞かせてもらえたらうれしいな~

今年ももうあと少し、とはいえ、特に大掃除をするでもなく普段とほぼ変わらない年末を過ごすのですが、なぜか急がなければいけないような気がしてそわそわしてしまう(笑)
落ち着いて、忘れ物や失敗をしないように、急がば回れで生きていきたいと思います。
では、みなさま、どうぞよいお年をお迎えくださいね。

研究クラス 呪的逃走🏃

一週間後はもうクリスマスイブなんて、ほんとに時のたつのが速く感じます。
今日からすごく寒くなってきましたし、クリスマスらしくなってきているというのはありますね。
いいことでしょうけど、寒いのが苦手なのでうれしいような悲しいような…。
さて、研究クラスは6月で最後でしたが、その時のブログでも書いたとおり、呪的逃走の研究が残っていました。
それを、ZOOMで集まってみんなで担当の話の調べてきた内容を突き合わせました。

今回の話は、北方アジア(極北諸族)、アメリカインディアン、エスキモー、シベリア、インドネシア、インドシナ半島の海洋民族、パプア・ニューギニア、台湾、朝鮮、中国のタイ族・苗族、モンゴル、といろいろな地方の〝○○民族〟の話でした。
今まで読み合わせてきた話と違うところは、その土地の昔の信仰とか神話・伝説を感じさせ、とても原始的であるということです。
その意味ではとても面白いですが、わたしは「再話するのはとても難しくて自分には無理!」と思いました。
それと同時に、キリスト教圏の話は洗練されていて読みやすいし面白いけれども、はるか昔の土俗信仰や自然信仰の時代が持つ力はかなり薄まっている、軽くなっている点では惜しいなと。
どちらがいいということではないですし、どちらも捨てがたいですが共存はできないということかと思いました。
また、話の中には登場するのに主人公を助けるでもなく、呪物として役割がありそうでないような品物は、はるか昔の話が時間とともに洗練される過程で、元は意味があったから残っているのだけれども、今はもう名前しか出てこないと前に教わりましたが、まさにそれを自分で読んで体験した気がします。

最終回も最終回の今回、障害逃走の場合、後ろに投げるときに呪文(おまじない)を言うか言わないかの分類をしたらよかったよねということになって、みんなで「あっっっっっ…(;’∀’)」となってました。
今更もうできないという残念さ。
だって、いったい何話読んできたのかもうわからないくらいたくさんの話を今まで読んできましたから!

ヤンさんが、研究クラスでやった1話を深く掘り下げて調べることや呪的逃走話の読み合わせは、テキストを明らかにするということであり、昔話の背後の世界を知ることで、この二つのことにより語りの世界が深まるとおっしゃいました。
そういうことを導いてもらったんだなと思うと、改めてありがとうと感謝の気持ちです。
それと、こんなマニアックな勉強会に最後まで残ったわたしたちってすごくない?!と思ったのでした(笑)
新しいおはなしを覚えるときは、まず話を調べてみるということが自分でできるようになりました。
自分で調べると、話を読み込むことにもなるので、調べて、テキストを決めて必要なら直す作業をしてテキストを完成させる。
おぼえる前までの作業が勝負なんだなと教えていただきました。
みんなと楽しく実のある勉強がたくさんできてとてもよかったです(^O^)/

12月のあったかペーチカ🎄

今年最後のあったかペーチカは、ピンチヒッターのジミーが報告します。

「小僧さんとねこの絵」『語りの森昔話集5』語りの森
「クリスマスのごちそう」「クリスマスの三美女物語」出典不明
「大晦日のお客」『語りの森昔話集1』語りの森
「ものをいうたまご」『語りの森昔話集4』語りの森
「へこきじい」『日本の昔話1』福音館書店
「白雪姫」『語るためのグリム童話3』小峰書店
「デューク」『つめたいよるに』江國香織/新潮文庫
「かちかち山」『日本の昔話4』福音館書店
「こんこんさまにさしあげそうろう」同名絵本/森はな/PHP出版

この日はうれしいことに、ほんとにお久しぶりのベテラン語り手さんが3人も来てくださって、一時間半余りのあいだ、じっくり聞く話、大笑いする話、毛色の違ういろんな話を聞けて、とっても楽しかったです。
得した気分です。
話ごとに聞き手の気持ちが大きく動くから、集中したり、笑ったり、もう忙しかったですよ。
おはなしのラインナップを見てください。
年末とかクリスマス、冬というふうに季節はだいたいまとまっているんですが、内容はいろいろというかバラバラ(笑)
お久しぶりのベテランさん3人は、安定の語りと面白さ・味わいがあり、来られなかった方がかわいそうな気がします。
語りが終わったらもう部屋を出なくてはいけない時間になり、その後図書館の片隅で感想を言い合ったんですが、それがまた楽しかったです。
みなさん、やっぱり自分やほかのかたの語りについて、聞きたい・しゃべりたいという気持ちを持っておられたんでしょうね。
狭い場所でほんとの井戸端会議を小一時間ほどして「ああ、楽しかった~」と分かれたのでした。

次回は、1月18日(木)です(^O^)/

再話クラス 11/28 🍂

今日から12月です。
信じられないくらいに一年が速く過ぎます。
特に、今年は秋が一瞬だったというか、夏の気温が長かったというか、寒いと思ったらもう年末?!みたいな気がします。
今年最後の再話クラスの報告です。

再話再検討
「黄金の騎士」『新装世界の民話19パンジャブ』関楠生/訳 ぎょうせい
この話は、自分の担当でした。
たぶん短時間で完成になるんじゃなかとたかをくくっておりましたが、すごい時間を取ってしまいました。
〝時間をずいぶん取っているな〟と途中から思っていましたがいろいろ知りたいし、聞きたいので、時計が自分の背後にあることを理由にして、全く気付いていないふりをしてたっぷり時間を使ってしまいました。
申し訳ございませんでした<m(__)m><m(__)m><m(__)m>
最初の再話で、ずいぶんと原話を解体したように思っていたので、これいじょうやるとダメだろうと思っていた箇所をヤンさんに指摘してもらい、元の意味を変えずに齟齬をうまく解体・整理できました。
ラストの終わり方の個所は、自分では全く気付いていなかったので、指摘してもらってなるほどと納得しました。
まだまだ、読み込む力が足りてませんな。
みなさんにも他の個所でいろいろ意見を言ってもらって、考えながら変更したりするのが楽しかったです。
そしてまたまた時間を取ってもらって申し訳ないですが、再々検討してもらうことになりました。

再話検討
「鳥うちわ」『丹波和知の昔話』稲田浩二/編 三弥井書店
丹波和知というのは、同じ京都府内の土地ですが、わたしの使ったり知っていたりする京都の言葉とはかなり違います。
おおかたの文章はわかるとしても、ちょっとした単語や擬態語など、調べてもどうしてもわからないところがでてくるとき、それが大事な箇所だったら再話できなくなってしまうかも。
この話はそこまで言葉が分からないわけではないので再話できますが、原話を選ぶときは自分が理解できる土地の言葉、自分が使っているとか、住んでいるとか、身近に生き字引がいるとかの土地の話を選ぶようにしたらいいということです。
ほんとにそうだと思います。
話の題ですが、「鳥うちわ」となっていますが、本文中に〝鳥うちわ〟は一回も出てこず、そのかわりに〝天狗のうちわ〟が2回使われています。
話型名が「鳥団扇」「何が一番怖い」となっていますので、原話の語り手さんが話の題を言わない時もあり、その場合は本にするときに話型名を題にすることになる、ということで、再話では題を「天狗のうちわ」にすることになりました。
他にもいろいろ意見が出ました。

原話から何を読み取るか、まだまだ修業は続くよどこまでも。
みんなそれぞれに意見を出し合って、活発な勉強会でした(^O^)/
楽しかったです!