ジミー のすべての投稿

11月のプライベートレッスン

もう12月になりました。
早いです!
月をまたいでしまいましたが、11月のプライベートレッスンの報告をさせていただきます。

1日目
日常語のテキストになおす
「だんまりくらべ」『語りの森昔話集2ねむりねっこ』語りの森
自分の語り方がふたつあるとき、どちらの言い方もするからどっちにしたらいいんだろうということになりました。
具体的にいうと〝逃げていってしもた〟と〝逃げてってしもた〟のどちらも、1日目のかたは使うからどっちだろうということになったのです。
ヤンさんの指導は、自分が何を語りたいかと、話のテーマとを考えて決める、でした。
話にとって大事なところでゆっくり語るところなのか、最後の落ちのところなのか、さらっと語るところなのか、それぞれに語るスピードとリズムが違いますのでそれらを考えてどちらにするかを最終的に決めましょうということです。

2日目
語り
「海の水はなぜから」語りの森ホームページ・外国の昔話 → こちら
語りのお勉強をしてそのあとのことなんですが、話を決めるということに話題が移りました。
そのことについてなんですが、自分の好きな話を選ぶとき、聞き手に合わせた話を自分で選びきれないので人に聞いて勧めてもらった話を選ぶとき、いろいろな状況があると思います。
聞き手にとってこの話は妥当かどうかというのは、正直わたしもまったく自信がありません。
迷います。
だから周りの人に聞いてお勧めを出してもらうことも多いかと思います。
で、それを覚えたときにその話について、嫌いじゃないけど好きでもない場合、これはどうでしょうか?
あるいは、好きなんだけど、この部分はどう理解したらいいのか分からない、ちょっとだけどわからないところがある、とか。
自分が好きで選んだ話と人に勧められて覚えた話の間にあるこの少しの差は、実は語ると大きな差になるんじゃないかとこの日感じました。
しかし、わたしはたいへん申し訳ないのですが、好きな話しかおぼえたことがありません。
でも、語り手さんたちのお悩みはよくわかります。
まじめに取り組んでおられるほどに、お悩み度が深くなるのもよく分かります。
ですから、個人的には、「この話を覚えましたので、これでやらせてください!」方式がいいんじゃないかと思いました。
なかなか言えないでしょうかね。
ほんと、個人的な意見ですいませんm(__)m

二日とも、プライベートレッスン常連さんたちで、安定の充実したレッスンでした。
いつもながら、勉強したな~とかんじられ、同席させていただくのが楽しいです。
ありがとうございました(^o^)/

オンライン日常語入門講座🐤

昨日、オンラインによる日常語の語りの入門講座が行われました。

前回までは、日常語で語ることの思いや意義、どういう効果があるかなどをお勉強しましたが、今回はいよいよ共通語テキストを自分の日常語のテキストになおすやり方のお勉強です。
資料を元に、テキストにどうやって書き入れていくかを一行ずつ実際にやってもらいました。
『ノート式おはなし講座語りこの愉しき瞬間』ですと、P56の〝日常語のテキストの作りかた〟のところです。
P58に、「三人のどろぼう」の話で、具体的に書き入れ方を示しています。
今回は、ヤンさんが日常語で「とりのみじいさん」を語られ、元の共通語テキストにその通りに書き込むという作業を一緒にやりました。
そして、次回までに各自が1話選び、同じ形式で自分の日常語に変えて提出します。

今まで特に自分の言葉遣いを意識せずに使っていたところが、日常語のテキストを作るということになると改めて意識しなければなりません。
みなさん気になるのはアクセントでしょうか?
自分のアクセントは、いったいどこのもの?と迷うのは、○○弁と呼ばれるざっくりした区別にはっきり分けられないアクセントで各自が言葉を使っているからでしょうね。
それに気づいたときに、じゃあ日常語のテキスト作りでいったいどの言葉で作ればいいのかと分からなくなる、みたいな(笑)
アクセントは、近畿圏(昔の都のあった圏内)と、その東のほうと西のほうで、ふたつに分かれるのだそうです。
全国的に見ると、○○弁としてそれぞれがまた違いますよね。
そして、人は年代に連れて移動することがありますし、そのたびに違う言葉使いを上書きしていくので、言葉が混ざり独自の言葉使いになっていきます。
みんなが、違う楽譜を持っているような感じでしょうか?
わたしは、それぞれが自分だけの楽譜を持っているような感じがしっくりきます。
ですから、○○弁と✖✖弁が混ざっていてアクセントもちゃんぽんでもそれはその人の言葉ですから、そこは迷わないでいいそうです。
どうしても迷ったときは、自分の家で使っている言葉、分の子どもにしゃべるときの言葉を思い出して、初めての日常語テキストを作ってみましょう。
次回はみなさんの日常語テキストがそろいますので、どんな話をどんなふうに日常語に変えてこられるのか、とっても楽しみです(*^▽^*)

11月の中級クラス

秋になって気温が下がってくると同時に食欲が出て来るのはなんでなんでしょうか?
秋の食材がおいしい物ばかりというのはあると思いますが、おいしいものは一年中ありますしね。
そんなにいらんのにどんどん出てきますよね。ね!ねぇ!

11月の中級クラスの報告です(^^♪
「みじめおばさん」『世界のメルヒェン図書館』小澤俊夫編訳 ぎょうせい
「妖精の丘が燃えている」『子どもに語るアイルランドの昔話』こぐま社
「三本の金髪を持った悪魔」『語るためのグリム童話2』小峰書店
「カメの笛」『ブラジルのむかしばなし1』カメの笛の会編 東京子ども図書館
「めんどりちゃん」『語りの森昔話集4おもちホイコラショ』語りの森
ヤンさん
「アナンシと五」『子どもに聞かせる世界の民話』実業之日本社
『ノート式おはなし講座』
おはなしの練習 1.大きな声を出す 2.いろいろな語り方を試す(P.29~31)

今回も、どれも面白い語りで、それに対する講評もどれも勉強になるものばかりでした。
そのなかで、わたしの心に爪痕を残したのは、思いきってふり幅を大きく意識して語られた「カメの笛」でした。
普通に語られても十分面白く聞ける語り手さんですが、セリフと間の取り方を意識して、飛びはねる気持ちで語られたということですが、その理由を聞いてまたまた気持ちを持っていかれました。
高学年の朝学習で、「手なし娘」(日本)をするので、そのあとに子どもたちの朝の気持ちを持ち上げるために楽しい話をしようと「カメの笛」を組み合わせたそうです。
な、な、なるほど~~。
語り手さんは、そのプログラムでこの語り方は、「どうでしょうか?」ということを問いかけられたのです。
で、ヤンさんのアドヴァイスです。
どこまで飛びはねて語るかは、子どもたちの目を見ながら決める、目を見ながら語る
クラスによって温度差があり、反応は違うけれども聞き手の中に入ってい行くものは同じ。
反応が違うのはむしろ楽しいこと。
反応のあるなしは表面的なことで、反応が薄いと語り手がそれに影響を受けてしまうというだけ。
昔話は長いあいだ語りつがれて残ってきたものだから、話をきちんと理解して語るだけでオッケイ。
それは創作でも同じ。

全くその通りと納得です。
昔話の力を信じてわたしたち語り手はそのままを聞き手に手渡すだけ。
ただし、話を理解してそれぞれの姿をつかまなくては聞き手には本来の面白さは伝わらないかも、ということですね。

それと、「みじめおばさん」の資料で、今までコピーでさえ見たことがなかった『世界のメルヒェン図書館』を見られてちょっと嬉しかったです。
挿絵があって、梨の木に色んな人がくっついていて、梨は当然洋ナシでした。
こういうちっちゃな幸せがわたしの生活を楽しくする、みたいな(笑)

次回は12月、今年最後です。
一年が過ぎるのはなんと早い事かと驚きますが、別にわたしにだけ早く時が過ぎるわけではありません。
うかうかしないように気持ちを新たにして、次回はエントリーしたので頑張ろうと思います(^_^)

10月のプライベートレッスン

あっという間に、もう11月ですね。
今年もあと2ヶ月で終わりなんて、信じられません。
ついこの間まで半袖で暑がっていたというのに…。
10月のプライベートレッスンの報告です(^_^)

1日目
日常語の語りのテキストを作成する
「あちちぷうぷう」『語りの森昔話集4おもちホイコラショ』語りの森
「きつねの茶釜」『日本の昔話2』おざわとしお再話 福音館書店
2日目
語りの練習
「ヤギとコオロギ」『子どもに語るイタリアの昔話』剣持弘子編訳 こぐま社

一日目はおふたりが一話ずつ日常語のテキストになおす勉強でした。
おふたりとも関西弁というくくりの中では同じでも、自分の日常語テキストにするとなるとやはり言葉が違うということがよく分かりました。
全く同じ言葉というのはだれひとりないんですね。
当たり前のことですが、普段は意識せずに周りはみんな同じような言葉を使っている気になっていました。

奇遇と言いますか、どちらの話にも和尚さんが出てきます。
どんな和尚さんにするかは読み手が決めていいのだそうです。
お寺の規模を想像したり、話の姿から和尚さんの位や性格を想像したりして、どれくらい偉くてどんな話し方をするかを読み手が決め、それによってテキストの言葉を選ぶという作業をしたらいいということでした。
和尚さんの口調とはこんなふうな感じだという思いもあるかと思いますし、いろんな和尚さんがいるなかでどの設定にするかをはじめにきちんと決めておかないと話全体に和尚さんの統一感がなくなるような気がしました。
じつは、「あちちぷうぷう」を知ったときにおもしろくて、日常語テキストにして覚えました。
勉強会以外で語る機会がなかったのでそのまま忘れてしまいましたが、あの時こんなに真剣に和尚さんの設定を考えていたかなと反省しました。
笑い話は、日常語で語られるのを聞きますと、おもしろさ倍増になるのでほんとに日常語って血の通った言葉なんだなと思います。

2日目は残念ながら同席できず、熱心なHさんの語りを聞けず残念でした。
プライベートレッスンをうけられるみなさんが、熱心に勉強されているのでわたしもそのパワーをもらっています。
感謝です(^o^)/

第14回昔話の語法勉強会「白雪姫」

コロナのために延期されていた対面での勉強会がやっとできました(^_^)
第14回昔話の語法勉強会「白雪姫」です!
通常は、対面で開催した後にオンラインでも実施するのですが、「白雪姫」は先にオンライン勉強会をしました。
その時のブログがこちらです → 第15回昔話の語法オンライン勉強会

勉強会の内容は先のオンラインの時と同じです。
対面では、初めに語りが入るのでそれが違いなだけです。
今回は、ヤンさんが講義の冒頭で、問いかけを三つホワイトボードに書かれました。
オンラインの時のブログと重複しますが、こちらの方が分かりやすいかと思いますのでQ&A方式で書きますね。

Q1 危険を承知でなぜこびとは白雪姫をひとりにしたのか?
これは不在のモティーフです。こびとたちが出かける→白雪姫がひとりになってしまった→そこに女王が現れる
ここでは時間の一致があります。→ 昔話の語法 一致
もし一人でもこびとが残っていて女王から白雪姫を救ったら、その後白雪姫は一生こびとの家で家事手伝いをして暮らした…となりそうです。
これは、幸せですかね?
昔話は主人公の幸せ(身の安全・結婚・富の獲得)のために一直線に進みます。
ですから、こびとはひとり残らず山へ仕事に出かけて白雪姫をひとりぼっちにし、事件が起こらなければならないのです。

Q2 白雪姫には経験知がないのか?
これは、昔話の孤立性です。→ エピソードの孤立性1
エピソードがそれぞれ孤立して、それぞれで完結しているのです。
ですから、前の出来事が影響を及ぼしません。
しかしながら、白雪姫は死んで生き返るたびに少しずつ成長しています。
だから、最初は女王をウエルカムで迎えていますが、2度目3度目は拒みます。
拒む度合いがクレッシェンドしています。
それぞれのエピソードを貫いているものがあり、それは主人公の幸せを実現しようとする語り手の意思です。
なんど失敗してもそのままのあなたでいいという思いと、最後には幸せになるよという語り手の思い、まさに女の子と母親を物語っています。

Q3 「白雪姫」は、何を語っているのか?
この話は〝人の忠告に耳をかたむけなさい〟という教訓話ではなく、そのままの自分でいていい、自分の精いっぱいのその場の対応をするしかないのだということを語っています。
Q1でもありましたが、もし白雪姫がこびとたちの忠告を聞いていたら最後に王子さまに会うことはできませんでした。
でも、ぼ~っとしていたというわけではありませんね。
何も考えていなかったのではありません。
変装した女王のことをこびとたちの言葉を思い出して2度目3度目は拒んでいます。
でも、若い女の子の欲しがるものを選んで持ってくるというところが女王のずるがしこいところですから、欲望に勝てませんでした。
それは罪でしょうか?
もし罪なら、テレビショッピングや、ネット通販は今存在していてはいけませんね。
わたしは重罪人です。
そんなことを問題にしているのではなく、目の前の出来事に一生懸命に対処していくしか方法はないが、時がたてばそれが必然であったということもあるという、人生や人類の根本的なことを語っているのです。
ここでヤンさんはフランス革命のことを例に出して説明されます。
曰く、『飢えに苦しむ人びとはパンを欲しかったから立ち上がった。
暴動を起こしたときは、人びとは苦しい生活を何とかしたかっただけ。
フランス革命を起こそうと思っていたわけではない。
後々、それがフランス革命であったという結果になった。』
なるほどそうですね!
その時その時で一生懸命に考えて精一杯のことをするしか道はないと思います。

最後に、質問が出ました。
昔話のいう最後の幸せ(身の安全・結婚・富の獲得)は、現在の幸せとあわない部分もあると思うが、語るときにどう思って語ればいいのか?ということでした。
この三つの幸せは、幸せの象徴です。
昔話は構造上、初めのところで何らかの欠落があり、それを取り返すとか、埋めるために話が進みます。
その物語が何を取り返したり、埋めたり、獲得しようとしているかによって、最後の幸せも決まるので、三つともある場合もあるし、ふたつやひとつの場合もあります。
主人公にとっての幸せの形が満たされることが大事だということです。

今回、語りを担当させていただきました。
オンラインの勉強会の時も講義に感動しましたし、そのとき自分なりに何かをつかんだと思っていましたが、その後課題も出ました。
「白雪姫」は女の子と母親の物語なので、娘二人の母である自分の子育てを振り返りますと、自分にとってこの話は特別な意味を持ちます。
わたしは悪い女王の自覚がありますので、それを後悔し反省しておりますが、反省しすぎたせいか〝女王の話〟になってしまっていました……_| ̄|○
これは、〝白雪姫の話〟ですから、それではいけません。
主人公が成長して、幸せになる、こんないい話を曲げて語っては行けませんね。
勉強会で感動し、語りで課題が分かり、重要な時間をいただきました。
精進いたします。

次回は1月の予定です。
テーマは「お月お星」です。
これも好きな話なので、とっても楽しみです(*^▽^*)