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グリム童話「ねずの木」勉強会

グリム童話「ねずの木」をご存知でしょうか。
継子話ですが、殺されてしまう男の子の、その殺しかたがショッキングで子どもたちに語るのはためらわれる話です。
今回、ヤンさんが企画してくれたこの勉強会は、その「ねずの木」について色々調べてくださった内容をみんなに共有してくれるというもので、わたしはとても楽しみにしていました。
ヤンさんが資料を作ってくださっていて、これだけでも相当の労力だったと思います。
資料に沿って勉強会は進められました。

「ねずの木」は、KHM47で、初版から7版までず~っと入っています。
グリム童話の初版が出た時に、内容が残酷であるという批判があった話は、話自体を2版からは載せないか、あるいは実母を継母に変えて掲載しました。
しかし、「ねずの木」はショッキングな内容にもかかわらず、抜かれることなくずっと掲載されているので、この話にはどういう意味があるのか気になっていろいろ調べてみようと思われたそうです。
「ねずの木」の話型はATU720「ビャクシンの木」です。
まず、類話を探すと、ヨーロッパにたくさんありました。
話の中で何度も歌われる歌を探すと、それもヨーロッパ中にありました。
ヨーロッパ以外も、メキシコ、ボリビアにもありました。
日本の類話は、継子話の中に、継母に殺される子どもの話があり、話型でいうと274A「継子の訴え-継子と鳥型」と274B「継子の訴え-継子と笛型」がATU720に対応します。
話の中に出てくる物がヨーロッパの話とはずいぶん違いますが、歌も入っているし、日本にも類話があったということです!
「ねずの木」に出てくる、骨からの再生のモティーフについても調べておられて、なんと、一番古いのはエジプト神話だそうです。
おどろきですΣ(・ω・ノ)ノ!
グリム童話の初版が200年と少し前ですから、それよりはるかかなたの昔からモティーフはあったわけですね。

勉強会の副題は、〝昔話は残酷か?〟でした。
前に、昔話の残酷性について3回に分けて講座を開いてもらいました。
その時にも勉強したことを、改めて一つの話を深堀りすることによって違う角度から勉強できてラッキーでした。
始めにヤンさんが「ねずの木」を語ってくださったんですが、繰り返し出てくる歌を聞いていると立体感が生まれ、また、読んだときはスルーしてしまったちょっとおちゃめなフレーズというのが耳で聞くことによって生きてきて、この段階で残酷性が少し薄れているように感じました。
とはいえ、話自体が変わるわけではないので、ショッキングな場面は当然ショッキングですし、小さい子どもたちには恐怖であろう話を語ることはできないと思います。
でも、大人や大きな子どもだけの場所でなら語ることができると思いました。
この話は、母親としての恐ろしい面を強く出した話ではあろうけれども、もっと何かこう人間の弱さみたいなものも表しているんじゃないかと思いました。
悪いと分かっているけれども自分の感情を抑えられないということは、男女関係なくあります。
今もドラマでは、ありえない悪い奴にやられてどん底に落とされた人が、地獄から這いあがってきてじりじりと復讐を遂げる、みたいなのがわんさかありますが、勉強会で資料を読んでいく過程で、大人気のどろどろ復讐ドラマの魅力を「ねずの木」の物語にも感じました。
わたしだけでしょうか?
わたしだけでしょうね(笑)
世俗にまみれているもので、どうもすいません<m(__)m>

大事な、昔話の語法についても教えていただきました。
「純化作用」です。
純化作用とは、中身を抜いて語るということです。
「ねずの木」はまさに、歴史的・宗教的・社会的な意味や背景をぜんぶ抜いて、そのことだけを語っていて、純化作用のお手本みたいな話です。
どんな不条理なことや不思議なこともすっと通れるのに、残酷な場面だけはなぜかみんな我に返ってしまってファンタジーを忘れてしまうのでしょうか?
でも、語り継がれて残っていることには意味があるのですから、語らないと決めるのではなくて大事な話の一つとして心に残しておきたいです。

最後に、残念なことですが単発の勉強会はこれが最後になります。
わたしもぼーっとして考えもせずに申し訳なかったんですが、勉強会の前の準備というのは、ヤンさんは相当大変です。
もう、無理というところまで気付かずに今まで来てしまったんだなとやっと気付いた次第です。
今回そのこともあって、〝調べ方〟についても教えてもらいました。
そうですね、自分でやればいいんですよね。
よちよちでも、やっていきましょう!
ヤンさん、今までほんとにありがとうございました。
そして、通常クラスではこれからもよろしくお願いします~~

よかった~テーブルの足で!

朝晩は、すっかり涼しくなってきましたね。
図書館のお話会にくる子どもたちも、顔を真っ赤にして汗だくという姿は無くなったようです。
昨日の図書館のお話会は、子ども12人、大人10人の参加でした。
担当は、ウーカーさん。

手遊び どんぐりころちゃん
おはなし 「ミアッカどん」『イギリスとアイルランドの昔話』石井桃子/編訳 福音館書店
絵本 『そら はだかんぼ!』五味太郎/作 偕成社
   『とっています』市原淳/作 世界文化社
   『すもうとりのでし』ねじめ正一/文 大高郁子/絵 福音館書店
   『いろいろおんせん』ますだゆうこ/文 長谷川義史/絵 そうえん社
   『あかにんじゃ』種村弘/作 木内達朗/絵 岩崎書店
手遊び さよならあんころもち

ミアッカどんは、名前はかわいいのに子どもをさらって食べる怖い怪物!
それなのに主人公の少年は、行ってはいけないと言われているミアッカどんのテリトリーに行ってしまう。
狭いところに入り込んではいけないのにはいって出られなくなる、鼻の穴になぜ子どもは豆を入れてしまうのだろうか?!
そんな子どもの探求心というか冒険心というか、未知なるものに対する好奇心を抑えられない気持ちを、ど真ん中でとらえている話だなと思います。
わたしはこの話を聞くと、子どものころ押してはいけないボタンを押してしまったことを思いだします(笑)
そしてしばし、一瞬現在を忘れさせてくれるというか、いや、決して現在がいやなわけではありませんが、全く思いださないよりはちょっとうれしい気持ちになったりします。
わたしにとっては、何度でも聞きたいおはなしです。

絵本のほうは、〝はだか〟がテーマだったのかな?
終ってからウーカーさんが絵本の選びについてしゃべってくれていたと思うんですが、もう覚えていないという_| ̄|○
『あかにんじゃ』は、「赤い時点で忍者失格じゃないか!」と突っ込みを入れながら見てました。
時代劇好きとしては、とってもテンションが上がる絵本で楽しかったです(*^_^*)

プライベートレッスン🌀

台風が近づいてきているせいで、ずっと雨が降っています。
被害の出ているところもあります。
ゆっくりすすむ台風は怖いですね。
はやくおさまってくれますように。

昨日、8月のプライベートレッスンがありました。
語り
「ジャックとまめの木」『語りの森昔話集1おんちょろちょろ』語りの森
この話を語る人はわたしのまわりでもたくさんおられて、話も面白いし、語り手さんの個性が出てそれも面白い。
もちろん子どもたちも喜んで聞いてくれるし、好きなお話です。

ヤンさんのアドヴァイスは、〝見えるように語る〟
・接続語を入れると緊迫感が無くなる
・緊迫感を語りで表す
・緊迫感が出るように再話してある(きちんと語ればいいというテキストではない)
他の話であれば、特に物語性の強い話はきちんと語ることで聞き手に伝わりますが、「ジャックとまめの木」はハラハラドキドキする話です。
きちんと均等に同じ調子で語っていては緊迫感が出ませんから聞き手の「来るぞ、来るぞ!」という気持ちには対応できません。
わたしも練習するときに、どこを丁寧に語って、どこを早く語るのかなと考えながら、どうしたものかと思っていました。
その答えを、テキストを見ながら要所要所を指摘してもらってよくわかり、大変勉強になりました(*^_^*)
再話したのが講師のヤンさんなので、再話者だからこそ聞ける話を聞けてとてもよかったです。

プライベートレッスンは、ZOOMを使っているんですが、始まる前にアップデートされたんですよ。
そしたら、下のほうに表示されるアイコンの中にAIなんとかというのがあって…。
こわくてクリックできませんが、わたしにはよくわからないAIが、自分のテリトリーを犯してきたと感じました(笑)
ああ、ついていけない…。
使わなければいいんですけどね。
ではまた来月、どんな話を勉強できるのか楽しみにしております(^O^)/

夏休みの終わりは…

8月24日の図書館のお話会の様子をお知らせします。
この日は、夏休み最後の土曜日でして、小学生が少ないような…。
あるいは、本を選んでそそくさと帰る…。
さては、宿題のラストスパートで家にこもっているのだな(笑)

手遊び トマトはとんとん
おはなし 「にんじんとごぼうとだいこん」『語りの森昔話集4おもちホイコラショ』語りの森
絵本 『どんどんくるくる』中尾昌稔/文 岩田明子/絵 大日本図書
〃  『たこのコータ』星野はしる/作 西川おさむ/絵 ひさかたチャイルド
〃  『かかかかか』五味太郎/作・絵 偕成社
〃  『うしろにいるのだあれ うみのなかまたち』ふくだとしお/作 新風舎
〃  『おとどけものです』ロッド キャンベル/作 あすなろ書房
手遊び さよならあんころもち

小学生が少なくて、小さい子どもが多かったのでおはなしを急遽「にんじんとごぼうとだいこん」にされたんだと思います。
ナイスな選択!
こういうことを想定して用意されてたのかなと思いますが、さすがです!
手遊びが、次々と野菜が出てくるもので、そこにみんなで足していくんですが、ひとりの男の子がノリノリでもう体全体ではねてましたね(*^_^*)
かわいかったです。
夏の終わりはまだもう少し後のようですが、夏休みは確実に終わる…。
小さい子どもたちの楽しそうな姿を見ながら、必死で宿題をしている小学生を自分の苦い思い出とともに頭に思い描いたのでした。
みんな、頑張ろう~~(^O^)/

大人のためのお話会👻

8月も末になりました。
けれどもまだまだ暑さは続き、そして台風10号が日本列島に近づいてきているとのこと。
気が抜けませんね。
8月22日に行われた大人のためのお話会は、夏といえばこれでしょう!ということで、〝怖い話〟特集でした~

「金の髪」『おはなしのろうそく19』東京子ども図書館
「ミスター・フォックス」『語りの森昔話集2ねむりねっこ』語りの森
「ぼっこ食いあねさま」語りの森HP → こちら
「千人力」語りの森HP → こちら
「黄色いリボン」『ホラーセレクション(2)語られると怖い話』ポプラ社
「金の腕」『おはなしのろうそく22』東京子ども図書館

参加者は10人でした。
常連さんばっかりの安心感の中、一生懸命務めさせていただきました。
わたしたち語り手は、普段子どもたちに怖い話はほとんどしません。
できないというほうがより正確かと思います。
というのは、高学年でもクラスに一人か二人は本当に怖がる子がいるので、そうしますと語り手は怖さを緩めなくてはなりません。
たまに学校にやってくるだけのあまりよく知らないおはなしのおばちゃんが怖い話をするというのは、よほど注意しなければならないわけです。
しかし、大人のためのお話会ですから、いっさいの配慮は無用!!
ということで、怖い話を思いっきり怖~く語れるということでみんな張り切って当日を迎えました。
こんなチャンスは二度とないかもしれないですから。
でも、わたしとしましては、練習の段階で「金の髪」がいかに難しいかということを思い知らされ_| ̄|○、なかなかうまくできないことに恐怖を感じるという現実に直面していました(気づくのが遅い、遅すぎる…笑)

絵本なしでプログラムを組むというのは初めてでしたが、今回はこれでよかったかと思います。
みなさん、いろいろな怖い話を楽しんでくださっていたように思います。
「金の腕」も、大人のかたは驚いてくれるかどうか心配でしたが、この話を知らない人が二人くらいいらっしゃって、本当にびっくりされていて、「よっしゃ、成功~~、ラリホ~♪」と気持ちよく追われました。
ヤンさんは、まさかまさかの惜しくも病欠で残念でしたが、語り手3人で2話ずつ、みんなでがんばって、無事終わりほっとしました。
来年も、8月は怖い話特集やる?!