もっちです。ゴールデンウイークはいかがお過ごしでしたか?
さて、ゴールデンウイークが明けて早速、初級講座がありました。
語りは
「おいしいおかゆ」『愛蔵版おはなしのろうそく1』(東京子ども図書館)
「六ぴきのうさぎ」『語りの森昔話集1おんちょろちょろ』(語りの森)
「なぞ問答」『日本の昔話1はなさかじい』(小澤俊夫再話、福音館書店)
「旅人馬」『子どもに語る日本の昔話2』(こぐま社)
「三枚のお札」『おはなしのろうそく5』(東京子ども図書館)
の5話でした。
「おいしいおかゆ」
グリムの昔話です。短いながらもしっかりとしたおはなしで、語られているのをよく聞きますし、大概の語り手さんはレパートリーとして持っているのではないでしょうか。
とうとうおかゆのながれこんでいない家は 町であと一軒、ということになったとき、女の子が帰ってきました。
そして、たった一言、
の後に子どもたちが一緒に「ちいさなおなべや やめとくれ」と言ってくれるのを期待する語り手さんも多いかなと思います。なにを隠そうもっちも期待してました。いままで連戦連敗ですけれども。
それよりも、どうやら今ドキの幼稚園児さんたちは「おかゆ」を知らない子もいるらしいという情報が出てきて、騒然となってしまいました。
もしかしたら「おかいさん」で通じるかも?なんて内心思っていました。(関西の一部で使われる方言です)
ポイントは緩急をつけて聴き手がイメージをする言葉は大事に伝える。
「ちいさなおなべや 煮ておくれ~」は呪文を唱えるように語る、でした。
「六ぴきのうさぎ」
語りの森昔話集1おんちょろちょろからの出典です。
湖のそばに住む六ぴきのうさぎがボトンという音を聴いて逃げ、森で会った動物たちに「どうしてそんなに慌てふためいて逃げているんだ?」と聞かれて、「ボトンって声がしたんだ」と答え、森じゅうの動物が逃げだす話です。
同じ言葉が続き、不確かな情報に踊らされる様が滑稽な面白いお話。累積譚のひとつです。
ラスト、ライオンに「誰から聞いたんだ?」と聞かれ、動物たちが口々に答える場面は、ちがう動物が答えているのを意識して語りましょうということでした。
「なぞ問答」
この話型はあちこちにあるそうです。『子どもと家庭のための奈良の民話1』に載っている「おふじ井戸」も同じ話型です。
しかしこちらは衝撃のラスト!
ハッピーエンドではない終わり方で、ちょっと子どもには語れなさそうという意見多数。
しかしこういう謎かけものは一緒になって考えてしまうので楽しいですね。
「旅人馬」
前月語られた「旅人馬」とは出典が違います。モチーフも違っていて、別のお話のようです。
もうひとつ、語りの森HPの≪日本の昔話≫にも「旅人馬」がアップされています。
ぜひ解説も一緒に読み比べしてみてくださいね。
この話の中では、囲炉裏の灰にもみがらを蒔いて、一晩で芽が出て、稲穂が実って、石臼で粉に挽いてだんごにする場面や、援助者と碁を打つ場面が出てきます。今の子どもたちには稲、臼、碁が分かるかな~?という意見も出ました。
案外、昔の暮らしのことは意識して学習されられているように思いますが、もし子どもたちの表情に「?」が浮かんでいたら、一言で説明できるように用意をしておいたほうがいいかもしれませんね。
「三枚のおふだ」
これは小僧さんと鬼ばばの追いかけっこを楽しむおはなし。
雨だれ、会話、逃走、どの場面も楽しく、語り手も聞き手も気持ちが乗ってしまいます。が、叫ぶ場面は声が大きくならないように自分を抑えて語りたいですね。
と、勉強会の中で飛び出した話題を紹介したわけですが、語るシチュエーション、語る相手、語り手によって変化してしまうものですよね。誰かの語りが素晴らしく面白いからといって、同じようには語れません。だから、勉強会中に出たアドバイスが誰にでも通用するかというとそうは言えないのです。でもついメモしてしまうのですが(*´艸`*)
主役は聞き手の子どもたち。おはなしの中の登場人物の気持ちをイメージして受け止めるのもまた聞き手なのだと、そういう語りができるよう成長していきたいですね。