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3月の初級クラス

「奈良のお水取りが終わるまでは、まだまだ寒さが続く」とよく亡き母が言っていた言葉通り、朝から冷たい雨が降る日、3ヶ月ぶりに初級クラスが行われました。

手遊び・つくしんぼう
ぽっと出た ぽっと出た つくしんぼう
ぽっと出た ぽっと出た つくしんぼう
ちょうちょが 飛んで 春ですね

<語り>
1.がちょうはくちょう/『おはなしのろうそく27』/東京子ども図書館
2.ものをいうたまご/『語りの森昔話集4』/語りの森
3.佐渡の白つばき/『語りの森昔話集5』/語りの森
4.三匹の名付け親/『語りの森昔話集3』/語りの森
5.豆まきの由来/『奈良の民話1』/村上郁再話・京阪奈情報教育出版
<ヤンさんの語り>
6.鬼のひとり娘/村上郁再話
7.がちょうはくちょう/『おはなしのろうそく27』/東京子ども図書館

<講評>  語り手  ヤンさん
1.ヤンさんが同じ話を最後に語って下さって、子ども達に語ることで変化していったヤンさんのテキストと比べて学ぶことができました。
テキストを変える理由①聞き手の年齢に合わせて、理解できる言葉に変えたり付け加えたりする。②聞き手が自分のイメージの中で「見る」であろう順番に言葉を入れ替える。
聞き手である子どもの反応を語りながら「観る」ためには、寝ていても語れるくらいまで練習を重ねること!
子ども達と親しくなることで”お話を語り手と楽しむ味方”にしてしまうと、とても語りやすくなる。
人としての関わりを持っていく事を前提として語りの時間を持つと、語り手も聞き手も育っていく。
2.ネガティブな言葉が気になることがある。→子どもが怖がっている様子がわかったら、声を少し明るくしたり、目線を送って安心してもらう。
3.日常語に変えたテキストに関しては、テキストと語りの言葉の違いを細かく記入してあるので、より良いテキストにするのに役立てて欲しい。
4.この話を語るジミーさんより:3匹で話す箇所は昔話の法則からも外れていて難しいが、そこがこの話のおもしろいところでもある。
誰が言っているセリフかは確信を持って再話している。そこを自分で決めていくことで、語り方が定まってくるはず。
5.わかりにくい言葉、難しい言葉がいくつもある場合、少々わからない言葉があってもそこを乗り切って聞ける聞き手なら大丈夫。聞き手の年齢に合わせて大人用、子ども用と言葉を変えたテキストを持っておくと良い。日常語のテキストは語る程に変わっていく場合があり、それがもともとのテキストからかけ離れていかないように、常に基準にすることが大事。

来月からは中級クラスと一緒になり『語りクラス』になります。
初級クラスとして、このメンバーでの学びはこの日で終わりになりますが、今後は経験豊富な中級の皆さんとご一緒できること、学びの内容がより深まることを皆さん楽しみにしているご様子でした。
2年間、初級クラスの報告を担当させていただき、つたない報告で至らないことも多かったかと思いますが、大変勉強になりました。ありがとうございました。

次回、語りクラスは4月9日(火)です。
事前に秘密基地をチェックなさって、語られる方々のテキストのご用意を各自お願い致します。

 

12月の初級クラス

師走とは思えないような暖かい曇り空の中、今年最後の初級クラスが行われました。

手遊び
123の2の4の5
312の4の2の4の5
*最初片手、次に両手、その後は年齢に合わせて、どんどん早くして遊ぶ。


語り

1.人に悪いことをしなければ自分にもされない/語りの森HP(世界の民話18・イスラエル/ぎょうせい)
2.金の子牛/語りの森昔話集2/語りの森
3.岩の戸、開け!/語りの森昔話集2/語りの森
4.蚕のはじめ/語りの森HP〈こちら→〉

ヤンさんの語り
5.神の顔/世界の民話18・イスラエル/ぎょうせい


講評  *
語り手の課題:黒字 ヤンさんのアドバイス:青字

1.課題:男性が複数登場するので聞き手に誰か区別がつくか。/一人一人の登場人物をどう語り分けるのかは、①テキスト選び②テキスト理解③聞き手の立場でテキストを整える、が必要。
登場人物がどこで誰と会話しているかがわかるように語る。
2.課題:①句点の多いテキストはどう語れば良いのか。②意地悪な姉のくり返しの部分の言葉が違うのが覚えにくい。/①句読点は読むためのもの。語る時には気にしなくて良い。②同じような場面のくり返しにも、その回数や前後の関係性でテキストの言葉は変わる。
テキスト中の自分が覚えにくい言葉や間違えてしまう箇所に印をつけない。
3.課題:①最初は文章と文章の間に接続詞を入れたくなった(練習しているうちに気にならなくなった)②岩の「戸」を「口」と表現しているのは?南からの男とは?/①読むためなら接続詞は必要だが、語る時はいらない。②「戸」と「口」が同じであることを聞き手は話の情景から理解する。南から来た男は特別な職業で、あがめられつつ、時には虐げられるような存在。
4.課題:一文の中の言葉の順番を変えることについて。②言葉そのものを同じ意味のものに変えることについて/①先に来る言葉の方が印象に残るので、聞き手の感情を考えることが大事。②その言葉が言いにくい場合、同じ意味なら変えても良いが、なるべく漢語でなく和語を使うように心得ると、響きが優しい。
初めて出てきた言葉は立てる(この場合、ひとつひとつの音を長めに言うと良い)

日常語に変えることについて
課題:日常語ゆえに語尾が定まらないがどうしたら良いか/まずはテキスト作りに時間をかけて、語尾についても自分で納得して決める。しっかり覚えた後、本番でも変わるようならそちらを採用する。

どんな課題も行き着くところは「聞き手の立場になって」がキーワードになっていたように思います。テキストそのものの解釈に対しては、それがヤンさんの再話なら、どんどん質問して疑問を晴らしていきましょう♪ それがヤンさんの再話でなくても、どんどん質問してお知恵をいただきましょう♬ 語り手の迷いはそのまま聞き手に伝わってしまいますし、子どもこそがそこを敏感に感じ取る賢い存在ですから!


次回の初級クラスは本年度最後、3月12日(火)です。エントリーは2月12日までです。定員になり次第締め切りになるようですから、お早めに~~。

11月の初級クラス

急に晩秋に突入したような冷え込みの中、今月の初級クラスはご本人やご家族の体調不良での欠席が相次ぎました。その枠を「語りたい方どうぞ~」とのお声がかかると、あっという間に埋まってしまうすばらしさ!(つまり2つお話を語った方が複数いらしたということです。)あっぱれ~!

手遊び
「ぐっとちょっとぱー」
*年齢や成長に合わせた導入の仕方をスモールステップで紹介していただきました。この手遊びそのものはYouTubeで探してみて下さい!

語り
1.「風の神と子ども」/子どもに語る日本の昔話①/こぐま社
2.「岩の戸、開け!」/語りの森昔話集②/語りの森
3.「こんこんさまにさしあげそうろう」/森 はな/PHP研究社
4.「クモとゆめ」/子どもと家庭のための奈良の民話①/奈良の民話を語りつぐ会

飛び入りの語り
5.「若返りの水」/子どもに語る日本の昔話③/こぐま社
6.「かきねの戸」/語りの森昔話集①/語りの森
7.「小僧さんとねこの絵」/語りの森昔話集⑤/語りの森

ヤンさんの語り
8.「おはなしかめさん」/朝鮮の民話/太平出版
9.「三枚のお札」/日本昔話百選/三省堂

講評
・「風の神と子ども」は同じ原話から福音館書店で小澤先生の再話がある。こういう場合は読み比べてみて選ぶと良い。
・山の中で栗がどのように落ちているか、柿がどのようになっているか、語り手自身が実体験として知っていることで理解が深まり、語り方にも影響する。
・「岩の戸、開け!」の最後の部分。聞き手が自分の事のように思えるような語り方を心がける事が大事。このお話に出て来る”男たち”は鉱脈を探し当てる事ができる特別な能力を持っている存在なので、そのセリフは語り方を変えると良い。
・文中のセリフ「こんこんさまにさしあげそうろう」は題にもなっているキーワードにもなる言葉なので、そのまま語るのではなく歌うように語るのが好ましい。
・「クモとゆめ」の登場人物は”男”が2人出て来るので、2人の違いが聞き手にはっきりとわかるように語ることが大事。虫のクモのアクセントは関西でも2通りある。
・「かきねの戸」の最後の箇所で、ヤンさんの経験で聞き手の子どもから『お父さんは?』という質問が出たことがあり、それからここは『お母さんとふたりの子ども』の代わりに『みんな』と語っておられるとのお話。

おととい慌てて整えたこたつに入ってパソコンをたたきながら、勉強会を振り返っています。またしばらく我が家のこたつに入って、語りの練習をしたり、本を読みながらうとうとする幸せを味わいます。寒い季節も悪くないはず~♪
今回欠席だった方々が早くお元気になりますように、お祈りしています。

次回は12月12日(火)です。

10月の初級クラス

日に日に秋めいてきていますね。
先日、友人に「さつまいも、栗、カボチャのどれが一番好き?」と聞かれました。どれも好きすぎて、結局答えられませんでした(笑)
お話も同じで「どのジャンルのお話が好き?」と聞かれても、きっと決められないのではと思います。だってそれぞれに味わいが違うんですから!

手遊び
やきいも やきいも おなかがグー
ホカホカ ホカホカ あちちのチー
食べたらなくなる なんにもパー
それ、やきいもまとめて グーチーパー
ジャンケンホイ

語り
1. 元気な仕立て屋/イギリスとアイルランドの昔話/福音館書店

2. ついでにペロリ/おはなしのろうそく6 /東京子ども図書館
3. かきねの戸/語りの森昔話集1/語りの森
4. みじめおばさん/語りの森HP
5. 名人四人きょうだい/おはなしのろうそく31/東京子ども図書館

ヤンさんの語り
6. 美しいワシリーサとババヤガー/おはなしのろうそく4/東京子ども図書館

講評
1. 演じないとおもしろくない話。お話の姿に合わせて、語り手も楽しげに聞き手を巻き込んで語る。

2. 累積譚は①子どもが主体的に入ってくるような語り方→ゆっくりめ②聞き手があっけに取られるような語り方→テンポ良く の二通りがある。

3. 笑い話は聞き手の呼吸に合わせて間を取る。それをする為にも、本番前にはサラサラと流れるように語れなければならない。

4. ぜひ語って欲しいおもしろい話。「死神」の怖さと間抜けな所を対比して笑わせる。

5. 語り手は、語りながら語っている自分を冷静かつ客観的な立ち位置で、聞き手がお話の世界から離れて行かないように言葉を選ぶ。

6. 長いお話について、大人は集中しながらも違う思考が働いてしまうが、子どもの集中力は鍛えることによってお話の世界観だけにのめり込める程高まる。

今回も充実した学びの時間でした。
みなさま、秋を満喫なさってまた11月に集いましょう。

次回は11月14日(火)です。

9月の初級クラス

とにかく今年の夏の猛暑には参りました~。
まだまだ残暑が続きますが、そろそろ秋~冬に向けてのお話を用意。
練習しているうちにお話に出て来る「おもち」が食べたくなって
「ええ具合に焼けて、ぷう~とふくらんできた」ので
砂糖じょうゆでいただきました。はい、練習そっちのけ(笑)

手遊び:「きつねがね」
コーンコーンコンコンコン ✖2回
きつねがね、化けたとさ
石ころかな、おにぎりかな
いや違う、いや違う
葉っぱかな、お皿かな
いや違う、いや違う
はさみかな、お箸かな
いや違う、いや違う
おばけ~~~

語り
1.『大歳の火』/日本の昔話5/福音館書店
2.『三匹の子ブタ』/イギリスとアイルランドの昔話/福音館書店
3.『ヘンゼルとグレーテル』/語るためのグリム童話集1/小峰書店
4.『タオの物語』/子どもに語るアジアの昔話2/こぐま社
5.『かたつむり』/語りの森昔話集3/語りの森
6.『みつばちの女王』/語るためのグリム童話4/小峰書店

ヤンさんの語り
7.『アリョーヌシカとイワーヌシカ』/まほうの馬/岩波書店

講評
1.お話の背景、テーマは語った後で話すのが良い。まずお話を聞いてもらって自由に感じてもらってから。
2.テキストの言葉を変える基準は耳で聞いてわかりやすいように。
例:ハリエニシダ→ハリエニシダの木の枝
3.すべて丁寧に同じテンポなく、時の流れを一瞬に感じたり遅く感じたりするように、語り方も間や早い遅いを組み合わせて語ると良い。
4.語り手に合わないお話などはない。外から見た評価は気にする必要はなく、語り方で克服できる。
5.一字一句間違えないように語ることは、聞き手にきちんと伝えるための言葉や感性の「訓練」だと考える。現場を経験することで、変えても問題ない言葉、変えては伝わらない言葉の違いを体感できるようになる。
6.スラスラとまるで読んでいるかのように語れるようになってから「間」を入れる。

お話を語るということは、「お話への愛」「聞き手への愛」に尽きますね。良いお話が伝承されていくこと、語り継がれていくことの尊さ。お話を待っている聞き手のためにも、精進致しましょう!

次回は10月10日(火)です。