「児童文学を読む」カテゴリーアーカイブ

カモメに飛ぶことを教えた猫📖

なんか聞きなれた書名だなあ。
表紙もどっかで見たよなあ。

と思いつつ、なぜか手に取って読みだして、「ああ、知ってるやん!」と思った瞬間、最後まで読み通していましたO(∩_∩)O
涙ふきながら(笑)

基本、お勉強以外の本は買わないことにしてるんだけど、読み返してそのつど心が洗われるんだったら、そんな本は買っといたほうがいいかな~

飛ぶことができるのは、心の底からそうしたいと願った者が、全力で挑戦したときだけだ

って、かっこいいねえ。
主人公猫のゾルバって名前もかっこいいし、かもめのフォルトゥナータって名前もばっちり決まってるねえ。

ネットで調べたら、2019年に劇団四季が上演してた。

作者のルイス・セプルベダさんは、2020年に新型コロナにかかって亡くなったんだって。
まだ70歳だったそうです。
残念です

 

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今週月曜日は、《日本の昔ばなし》を更新しました。
「ありがたい」
すぐに覚えられるよ~

 

 

エルス・ペルフロム📚

6回目のコロナワクチン打ってきました~
さてさて、今晩から明日にかけて、また発熱するんやろなあ

けど、家族のこと思ったら、その程度の副反応で嫌や言うてられないのでね。
勉強会のマスクも、ごめんね。
コロナが終息しないうちは、これまで通りの感染予防していない限り、わたし、参加できないのでね。
以前のように自主勉強会でもいいですけど。あ、そうしますか???

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エルス・ペルフロム。
『どんぐり喰い』の作者です。こちら⇒

『第八森の子どもたち』1977、『小さなソフィーとのっぽのパタパタ』1985 が話題になったころ、なぜかスルーしてたんですね。
それで、読んでみました。

『第八森の子どもたち』は、第二次世界大戦中の人びとの生活を、11歳の少女の視点で切り取った社会派小説。戦時下に血の通った人間がどのように日々を過ごしていくのかを描くという点では、『どんぐり喰い』と同じ路線です。
子どもたちにぜひ手渡したい本です。

『小さなソフィーとのっぽのパタパタ』はファンタジーです。
ソフィーは、病気でずっとベッドの上で過ごしています。ソフィーに残された時間はもうわずかです。
ソフィーは、世界のことをぜんぶ知りたい、人生で手に入るものをすべて知りたいと思っています。
ある日、ソフィーの部屋で、人形たちが人形劇を演じます。ソフィーはその劇の中に入って行って・・・
ネタバレになるのでこれ以上書きませんが、ラストは涙が止まりませんでした。
テー・チョン・キンの挿絵もすばらしいです。

 

 

 

シュルヴィッツを読む会🌄

桜の花はすっかり散りましたが、ボタン桜が咲いていました。
「ああ、桜餅そのもの~」
ソメイヨシノと違って、葉っぱもしっかり出てるんですよね。
おいしそうでした。

ユリ・シュルヴィッツさんの自伝『チャンス』が去年の秋に出版されました。
副題に〝はてしない戦争をのがれて〟とあります。
ユダヤ人であるシュルヴィッツさんが第二次世界大戦に巻き込まれた、幼いころの暮らしをつづったものです。
この本に感動したヤンさんの声掛けで、『チャンス』を読み、そしてシュルヴィッツの絵本のなかで自分が一番好きな本を持ち寄って、みんなで語り合う時間を持つことになりました。
用意してくださった資料によると、翻訳されて日本で出版されているのは少なく、だいたい全体の四分の一です。
日本で読めるのは、(海外での)出版の古い順に以下のとおりです。
『ぼくとくまさん』あすなろ書房
『あるげつようびのあさ』徳間書店
『空とぶ船と世界一のばか ロシアのむかしばなし』岩波書店
『あめのひ』福音館書店
『ヘルムのあんぽん譚』篠崎書林
『よあけ』福音館書店
『たからもの』偕成社
『ゆき』あすなろ書房
『ねむいねむいおはなし』あすなろ書房
『おとうさんのちず』あすなろ書房
『ゆうぐれ』あすなろ書房
『じどうしゃトロット』そうえん社

わたしは、お話会でヤンさんが子どもたちに読んだ『よあけ』が、初シュルヴィッツなのでこの時の感動が大きく、やっぱり一番は『よあけ』です。次は、『ゆき』ですかね。ひらひらとまいおりた最初の一粒の雪が印象的でした。
みなさんでそれぞれの一番の絵本の話をされているのはとってもほんわかして楽しかったです。
楽しく話を聞きながら、同時に戦争体験のない自分について思うことがありました。
わたしの伯父は沖縄戦で戦死しているのですが、遺骨を遺族に返還するために厚生労働省がDNA鑑定を実施しているで、1~2年前に父がDNAを提出しました。
そのことで、戦争はまだ続いているんだなと思いました。
急に自分に近いところでまだ戦争が残っているんだなと思ったんです。
『チャンス』は、ユダヤ人の小さい子どもが戦争中にどんな生活を強いられていたかという、全く自分とはかけ離れた世界の話ですが、少しでも戦争を自分の近くのこととして感じられた後に読めてよかったと思いました。
〝チャンス〟という言葉には〝偶然〟という意味もあると本書に書いてありました。
人の幸・不幸は偶然なのか必然なのかわかりませんが、シュルヴィッツさんが本の題目に〝チャンス〟を選んだことはなんとなくわかるような気がします。
『チャンス』は、本当にいい本です。
超~、超~、おすすめです!!

どんぐり喰い📚

エルス・ベルフロム作 野坂悦子訳 福音館書店 2021

「どんぐり喰(ぐ)い」というのは、いつもお腹を空かせていてどんぐりまで食べる「あわれな連中」という意味です。
けれども、主人公の少年クロは、どんぐりだってふつうの食べ物で、パンといっしょに食べればおいしいんだといいます。
そのパンも、白いふかふかのパンではなくて、黒っぽいぱさぱさのパンなんですが。

舞台はスペインのアンダルシア。内戦(1936-1939)の終わって間もないころの物語です。
貧富の差が極端に激しく、極限状態の中で生き抜こうとしている大人たちが少年の眼で描かれます。少年は、大人に混じって働きながら自立していきます。
状況は最悪なのに、彼の行動はとても健全です。だから、読んでいて救いがあるのです。

少年クロは、作者の夫がモデルだそうです。

自分は自分の人生しか生きられない。
だから、過去と現在どんな環境で生きてきたのか、これからどう生きていけばいいのかと、ふと思いました。
児童文学には、そんなことを考えさせる力があると、改めて思いました。

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先日、お隣の市のおはなしサークルで、再話の勉強会がありました。
とっても活発に意見が飛び交って、楽しかった~
「いつも一緒におはなし会をしている仲間が、自分たちの語る話を新たに作っていく活動」って、きっと珍しいんじゃないかなあ。
気持のいい素敵な仲間たちです。
お世話になりました~!

 

 

13枚のピンぼけ写真📚

『13枚のピンぼけ写真』
キアラ・カルミナーティ作/関口英子約/古山拓絵/岩波書店/2022年

主人公イオランダは13歳の少女です。
舞台は北イタリア。
時代背景は、第一次世界大戦勃発の1914年~1918年

舞台となった村や町は、作者の故郷でもあり、今もそこで創作活動をされているそうです。
さまざまな資料をもとに、当時の史実に基づいて戦争中の女子どもの生活が描かれています。

歴史に上がってこない人々の生活、とくに女性の戦争体験を、ピンぼけ写真の向こうに見つめるという意味があるようです。

「戦争というのはね、イオレ、男の人たちがはじめるものなのに、それによって多くを失うのは、女の人たちなの」という、イオランダのおかあさんのことばは重いです。
いま、ウクライナでの戦争の情報が、映像を伴って、リアルタイムで入ってきますが、それとオーバーラップします。

戦争はわたしたちを追いたて、エネルギーを吸いとり、巨大な野獣のように上からおおいかぶさり、焼けこげた皮膚とひからびた血のにおいをただよわせながら、わたしたちを押しつぶした。それでも、その爪の隙間から内へ外へとかけずりまわっているあいだに、わたしたちはおばあちゃんを見つけ出し、生きて家に帰ることができたのだ。

イオランダは、生きて帰ることができただけでなく、将来の生きる道も見つけます。
児童文学だから、ラストは主人公の不幸で終わることはありません。

でも、現実はどうでしょう。
戦争のニュースに接するたびに、不安に駆られます。
映像で見るウクライナの人たち(多くは女性です)に、無事であれと祈るいっぽうで、欧米の国々の、いえ日本も、ロシア憎しと結束する様子が恐ろしいです。
冷静になって、決して世界大戦にならないようにしないといけません。
弱い人たちの叫びが、それぞれの国の指導者たちに、どうすれば伝わるのでしょうね。

イオランダがときどき口ずさむ歌が印象的です。

暮れていく夕日よ
おまえはみんなのことが見えるのだから
愛する人のいる場所まで
わたしの想いをとどけておくれ・・・・

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きょうのHP更新は、ひさびさに《ステップアップ》です。
テキストをよりよいものにするための秘訣を書いてみました。
といっても長い文章なので、3回くらいに分けてアップしますね。
とりあえず今日のぶんを読んで、自分はどう考えるか一週間考えてみてください。