いつものことだ。
いや、一昨日のことだ。
支援学級に朝学習のおはなし会に行った。
去年の冬、「寒いのにありがとう」と声かけてくれた子たちだ。
6年生だから最後のおはなし会だ。
『はらぺこあおむし』 エリックカール/偕成社
『よあけ』 ユリ・シュルヴィッツ/福音館書店
『どんなにきみがすきだかあててごらん』 サム・マクブラットニィ/評論社
始めてろうそくを使った。
A君はうれしくてたまらない。ごきげんだ。黙って座っていられない。
Bちゃんはおねえさんのようにやさしく注意する。
わたし「2年間、とっても楽しかったよ。ありがとう」と、ちょっとうるっとした。
子どもたちは、あしたまた会うかのようにありがとうと言って、別れた。それが
ありがたかった。
この子たちと過ごす時間、その間だけ、わたしは聖女のような心になれる。
つづいて2、3時間目は3年生授業のおはなし会だ。
「かえるの王さま」 『子どもに語るグリムの昔話2』野村泫・佐々梨代子/こ
ぐま社
「はらぺこピエトリン」 『子どもに語るイタリアの昔話』剣持弘子/こぐま社
「くまのしっぽはなぜみじかい」 村上再話/語りの森
な、なんなんだ!
すきあらば…のワルガキども数人がムードメイカーだ。
わたし「お日さまでさえお姫様の顔を照らすたびに驚いたほどでした」
こども「すごっ!」
ううむ、そこまで反応するか…。よし。
私は名指揮者になった。
王さまのお説教をはさみながら、お姫さまのベッドまでぐんぐん盛り上げていった。
かえるをぶつけた。
こども「あっ!」
終盤、忠臣ハインリヒの言葉を語りながら、もう反抗の色が消えたワルガキの瞳
に向かって、あなたたちも蛙やね、ハインリヒは近くにいるよ、と思っ た。
皆が満足して一曲終了。
「はらぺこピエトリン」? いわずもがな。
ろうそく消して本の紹介。先生が所用で中座された。
とたんに踊り始めたワルガキ三人。
わたし「すわり!」と一喝。
ニタッと笑って座った踊る瞳を見ながら、思った。
ああ、わたしは猿山のボスだ。
午後は幼稚園3歳児のおはなし会。
てあそび「ろうそくぱっ」
「ひとりふたりさんにんのこども」 『おはなしのろうそく26』東京子ども図書館
てあそび「ろうそくぱっ」
わたし「チューリップが三本咲いていました」
こども「しってる!」
わたし「へえ」
こども「ぼくとこも咲いてる!」
わたし「ふうん」
こども「わたしとこまだ咲いてない!」
わたし「へえ」
こども「あんな、えっとな、あんな」
わたし「ふうん」
わたし「つづき話してもいい?」
こども「いいよ~!」
わたしはめろめろふにゃふにゃのおばあさんだ。
夕食の後、残ったかぼちゃのたいたんをお鉢に入れた。
わたし「明日わたしの朝ごはんにするわ」
夫は残り物は食べない主義だ。が、めずらしくお鉢にラップをかけた。
わたし「わたしのやで」
夫「うん。わかってる」
わたし「あ、ありがとう」
わたしは少女になった。すなおなあたたかい童子のような気持になった。
夫「恐いからな」
わたし「・・・・・・!」
ヤン