ケストナーって有名だけど、作品はそんなに多くないのです。
『エーミールと三人のふたご』は1934年に出ました。
ヒトラーのもとでは出版できなかったから、スイスで出版されました。
子どものとき、ふたごなのに3人ってどういう意味?って興味津々で読み始めたのを覚えています。
ケストナーにはそういう茶目っ気というか、ユーモアがあって、それが魅力です。
今回の再読で発見したこと。
おばあさんの役割(笑)
主人公は『エーミールと探偵たち』のエーミールです。
お母さんが、エーミールの将来を考えて再婚しようと思い悩みます。お相手はあのイェシュケ警部です。
お母さんは、エーミールの気持ちに従おうと考えます。
エーミールはイェシュケ警部のことは好きなのですが、これからもずっと自分はお母さんと二人で暮らしていくと思っていたし、大きくなったら自分がお母さんを助けて幸せにするんだと心に決めています。
でも、そのことをお母さんには言えません。イェシュケ警部との結婚がお母さんの希望だと思うからです。
悩むエーミールに、わたしなら何というだろう、黙って寄り添うだけだろうか、などと考えながら読みました。
終盤、助け舟を出したのは、お母さんの母親、エーミールのおばあさんでした。
森の中でおばあさんは、エーミールに話しかけます。
エーミールの思いも、お母さんの本心も知ったうえで、おばあさんは、事実と真実を話します。
真実は、長く生きてきたからこそ分かる真実です。
ここで泣いちゃった(笑)
ぜひ読んでみて~
それから、おばあさんが初めて海を見たときの描写が素晴らしい。
グスタフが、エーミールに近よりました。「すばらしいじゃないか」と、彼はいいました。
エーミールは、うなずくだけでした。
彼らは並んで、だまったまま、じっと海を見つめていました。
エーミールのおばあさんは、そっといいました。「これで、こんなおばあさんになるまで生きてきたわけがわかったよ」
日々を大切にして、おばあさんになるまで生きてきたわけが分かるようなことが、これから、ひとつでもふたつでもあれば幸せだな。
*********
今日のHP更新《外国の昔話》
インドの昔話「はす」
きっと皆さんあまり聞いたことないと思います。
ケストナーって作家は知っていましたが作品は読んだことごありません。なんか考えたら周五郎しか記憶ない一杯よんだのだが、、、
一度読んでみてくださいね~
児童文学だけど、ケストナーは、子どもと大人に向けて書いているって、言ってます。
再読してみて、本当にその通りだと思います。