去年の秋にエーリッヒ・ケストナーの『ふたりのロッテ』『五月三十五日』『わたしが子どもだったころ』について書きました。
え?ほんま?と思う人は、「ケストナー」で検索してみてください(笑)
そののちも断続的にケストナーを読んでいます。
ほとんど子どもの頃に読んだので、再読ね。
『エーミールと探偵たち』『点子ちゃんとアントン』と続けて読んで、大人の私がふと気になったのが、ジェンダー。
料理は女の子の役割というのが前提として書かれている。
エーミールのいとこのポニーも点子ちゃんも、自立心があって積極的で勢いのある少女なんだけどね。
お茶の用意をするのはポニーの仕事。
アントンが、病気のお母さんに代わって料理をしているのを見て、点子ちゃんが「あんたがお料理するの?」と驚きます。
そんな時代だったんですね。
『エーミールと探偵たち』は1928年刊、『点子ちゃんとアントン』は1931年刊ですから。
でも、ケストナーは、アントンが料理することについて、「病気のおかあさんがきちんきちんと食事できるように世話してやるのは、誇りとするにたるじゃないか」と書いています。
時代の風潮とケストナーの人生観・価値観がよくわかる一例でした~
それから、『点子ちゃんとアントン』の「はじめに」で、ケストナーは虚構について書いています。
じっさいあったかどうかということは、どうでもいいのです。その話がほんとうだということが、かんじんなのです。ある話が、じっさいにも、その話のとおりにおこるかもしれないなら、その話はほんとうなのです。わかりましたか。それがわかったら、みなさんは芸術の重要な法則を理解したというものです。また、わからなかったとしても、べつにさしつかえはありません。
以前にも書きましたが、ケストナーは、子どもを子ども扱いしない大人です。こんな文章を読むとうれしくなりますね~