『シカゴよりこわい町』
『シカゴより好きな町』
『シカゴよりとんでもない町』
抱腹絶倒。
笑いつづけ~
はらはら、どきどき。
ほろっと熱い涙が止まらない~
リチャード・ペック作/斉藤倫子訳/東京創元社
3冊つづけて、やめられない、とまらない。
主人公は、ダウデル夫人といって、ごっつい体格の豪傑おばあちゃん。
イリノイ州の田舎町に、ひとりで暮らしていて、近所づきあいはしないというのが、モットー。
薪箱の裏に散弾銃を隠していて、ここぞというときには、撃つ!!!
時代は、第1次大戦後から第2次大戦後1958年くらいまでで、人びとは戦争や不況といった時代にほんろうされているんだけれど、おばあちゃんは、果敢に立ち向かって生きています。
『シカゴよりこわい町』は、シカゴに住む孫のジョーイとメアリ・アリスが、夏休みに一週間だけ、おばあちゃんの家に滞在します。13歳のジョーイの目から、破天荒な生活が語られます。
『シカゴより好きな町』は、15歳になったメアリ・アリスの目で語られます。シカゴの一家が貧しさでいっしょに暮らせなくなって、アリスがひとりでおばあちゃんと暮らすことになります。
ひどいいじめに遭いながらも、自然の中で生きる力をつけていきます。おばあちゃんの胸のすくような報復が見もの。
『シカゴよりとんでもない町』は、ダウデル夫人のとなりに崩れかけた牧師館があります。そこへ赴任してきた牧師の一家にとって、村の人たち(や子どもたち)とのあつれきは、尋常ではありません。ダウデル夫人の豪快な行動で教会を立て直していくいきさつが、牧師の息子のボブの目で語られます。
ひとつ、エピソードを紹介するとね、
『~好きな町』で、クリスマスも近いあるこごえるような寒い晩に、おばあちゃんは、針金やら棒やら、何かくさい液体の入ったびんやらピストルやらを持って、雪の中に出かけて行きます。メアリ・アリスを連れて。
闇の中で、おばあちゃんは、つぎつぎにアカギツネを仕留めます。メアリ・アリスは、ショックで凍り付きます。
おばあちゃんは、家に着くと、アカギツネの皮をはぎ、やがて現金に換えます。
クリスマスの日、孤独に耐えてきたメアリ・アリスのまえにジョーイが現れます。
アカギツネの毛皮は、ジョーイの列車の切符を買うためだったのです。
これが、おばあちゃんのクリスマスプレゼント。最高のプレゼントでした。
おばあちゃんのダイナミックで繊細な愛は、孫だけでなく理不尽な目にあっている隣人たちにも向けられます。
『~とんでもない町』のなかで、ボブは、このあともあちこちの村や町に引っ越しますが、このダウデル夫人のお隣に住んでいた1年間が、一番学びが大きかった時期だったといっています。
ひさしぶりに、ひとりで笑いころげました~
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今日も《外国の昔話》を更新しました。
ウクライナの昔話で「コースチンの息子」
昨日紹介した「誠実」は、ウクライナから近いロシア側の国境近くの小さな共和国の伝承です。
ロシア、ベラルーシ、ウクライナのスラブ民族が語り伝えた話を紹介したいと思います。
ウクライナの人たちの平和を祈って。