『13枚のピンぼけ写真』
キアラ・カルミナーティ作/関口英子約/古山拓絵/岩波書店/2022年
主人公イオランダは13歳の少女です。
舞台は北イタリア。
時代背景は、第一次世界大戦勃発の1914年~1918年
舞台となった村や町は、作者の故郷でもあり、今もそこで創作活動をされているそうです。
さまざまな資料をもとに、当時の史実に基づいて戦争中の女子どもの生活が描かれています。
歴史に上がってこない人々の生活、とくに女性の戦争体験を、ピンぼけ写真の向こうに見つめるという意味があるようです。
「戦争というのはね、イオレ、男の人たちがはじめるものなのに、それによって多くを失うのは、女の人たちなの」という、イオランダのおかあさんのことばは重いです。
いま、ウクライナでの戦争の情報が、映像を伴って、リアルタイムで入ってきますが、それとオーバーラップします。
戦争はわたしたちを追いたて、エネルギーを吸いとり、巨大な野獣のように上からおおいかぶさり、焼けこげた皮膚とひからびた血のにおいをただよわせながら、わたしたちを押しつぶした。それでも、その爪の隙間から内へ外へとかけずりまわっているあいだに、わたしたちはおばあちゃんを見つけ出し、生きて家に帰ることができたのだ。
イオランダは、生きて帰ることができただけでなく、将来の生きる道も見つけます。
児童文学だから、ラストは主人公の不幸で終わることはありません。
でも、現実はどうでしょう。
戦争のニュースに接するたびに、不安に駆られます。
映像で見るウクライナの人たち(多くは女性です)に、無事であれと祈るいっぽうで、欧米の国々の、いえ日本も、ロシア憎しと結束する様子が恐ろしいです。
冷静になって、決して世界大戦にならないようにしないといけません。
弱い人たちの叫びが、それぞれの国の指導者たちに、どうすれば伝わるのでしょうね。
イオランダがときどき口ずさむ歌が印象的です。
暮れていく夕日よ
おまえはみんなのことが見えるのだから
愛する人のいる場所まで
わたしの想いをとどけておくれ・・・・
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きょうのHP更新は、ひさびさに《ステップアップ》です。
テキストをよりよいものにするための秘訣を書いてみました。
といっても長い文章なので、3回くらいに分けてアップしますね。
とりあえず今日のぶんを読んで、自分はどう考えるか一週間考えてみてください。