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語りの森を作った魔女

ふかいことをおもしろく📖

図書館でふと手に取った一冊、井上ひさしの『創作の原点 ふかいことをおもしろく』PHP研究所
井上ひさしさんといえば、「ひょっこりひょうたん島」。子どものころ、父の週刊誌をとばし読みしていて、この人の連載記事を読んでは笑っていたのを思い出します。
小説家にして劇作家です。

標題の『創作の原点 ふかいことをおもしろく』は、インタビューをもとにまとめたもの。とっても読みやすかったです。
でね、この歳になったから心に響く言葉もあった。
たとえば、

明日命が終わるにしても
今日やることはある

自分が使いこなせる言葉で
ものを考えることが大切

「それ、わかりませんので教えてください」
と無知のふりをして聞き返せばいい
やっぱり無知が一番かしこいのです

井上ひさしさんが、座右の銘にしていた言葉
むずかしいことをやさしく、
やさしいことを深く、
深いことを面白く
は有名ですね。

それが語りと再話にもぴったり当てはまると気づいて、うれしくなりました。

かつて昔話の語り手は、人生や自然や命のありかたといったむずかしいことを、子や孫にやさしい言葉でやさしく語ったのね。
再話者は、資料に記録されているそのやさしい言葉を深く読み取り聞き取って、人間が伝えてきた大切なことをくみ取る。
その深いことを、たのしくおもしろい語りにして次の世代に伝えるのが語り手の仕事。

今日やれることを精いっぱいやっていこうと思えた本でした。

 

 

 

ハサハサハサと・・・だれやっ!

ゆうべ。
ぐっとひと眠りして目が覚めた。

ハサハサハサ。ハサハサハサ。

何かおる(っ °Д °;)っ

うちには、巨大グモがいて、追い出しても追い出しても入ってくるので、「うちのタランチュラ」と呼んでかわいがっている。

それかな?

真っ暗闇の中、ハサハサハサ。ハサハサハサ。
走っている・・・?

いや、どうも空中を飛んでおる。
うちのタランチュラは、障子を駆け巡るが、空中は飛ばない。

だれやっ!

そっと起き上がって明かりをともした。
ふっと音が消えた。
みまわすと・・・・おった!

天井近くの壁に、真っ黒なものが張り付いていた。

携帯を取り出し、夫に電話する。
「ふくろうがおる!」
「へ?」
「ふくろ。ちがう、こうもり」

最近言葉がすぐに出ないのだ。

それから窓を開けて棒を持ってふりまわして、やんややんやの大騒ぎでこうもりを追い出した。

とっても静かなおとなしいこうもりだった。
人間だけが騒がしかった。

どうしてうちの中に入って来たのかなあ。

 

 

魔女がやってきた!🧙‍♀️

『魔女がやってきた!』
マーガレット・マーヒー作 尾崎愛子訳 はたこうしろう絵
徳間書店

わたし、マーガレット・マーヒーのファンなんです。
『足音がやってくる』『めざめれば魔女』『贈り物は宇宙のカタログ』『クリスマスの魔術師』などなど
翻訳が出るのを待って夢中で読みましたね。
「魔法使いのチョコレートケーキ」「葉っぱの魔法」は覚えました。子どもたちに語るチャンスはなかったけど。

そのマーヒーの、魔女の出てくる短編を5話集めた本がこれです。
しかも、挿絵が、大好きなはたこうしろうさん!
これは買わんわけにはいかんでしょ╰(*°▽°*)╯

どの話も、とっても楽しいです。
一番好きなのは「魔女のお医者さん」
サビナみたいな美しくて強い魔女になりた~い。

3年生の孫に送ります。

 

 

10月のおはなし会👻

ようやく10月も後半。秋になって、おはなし会を再開。
8月9月と2か月も休んでいたので、ちょっとドキドキしながらのおはなし会です。
図書館の毎週土曜日のおはなし会のほかに10月は子ども園で語りました。

10月21日(月)
4歳さん 1クラスずつ2回
ろうそくぱっ
おはなし「あなのはなし」
ろうそくぱっ

わたし「べつにどこへも、ただ世の中を見たいと思ってね」
子ども「また!」
やっぱりこの子たちも繰り返しが好きですね。
おはなしが終わったら、てんでに自分の靴下に穴が開いていないか確認していました(笑)
わたし「もし穴が開いてたら、いっしょに旅に行きね~」

5歳さん 1クラス
ろうそくぱっ
おはなし「ヤギとライオン」
おはなし「くさかった」
ろうそくぱっ

きのうころしたあ♬
やっぱりこの子たちもこの歌好きですね。
おはなしが終わったら、「みじか~い」っていうので、絵本も持って行ってなかったので、「くさかった」をしました。
オチはやっぱり先生が喜んではりました(笑)

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写真は、マツタケです。
息子が滋賀の山の中で採って来ました。
うちには2本だけ送ってくれました。
国産のとれとれは、香りも歯ごたえもちがうなあヾ(≧▽≦*)o

 

 

「ヘンゼルとグレーテル」語法勉強会その後その2👦👧

感想の続きです~

Mさん
わたしも『完訳グリム童話Ⅰ』(2版)を読んでみました。小峰のおはなしではかなり書き加えられていることが分かりました。
整理されているテキストでは、飢饉やぼくの白い子猫や鳩などのところもなく、ずいぶん短く再話していただいてるので、喜んで語っていました。今回それがもっと短くできることがわかったので、もう一度再話してくださるのを楽しみに待っています。
「ヘンゼルとグレーテル」を語ったとき、子どもたちはすぐおはなしに入って、よく聴いてくれます。でも前半部は暗いので、わたしはちょっとつらいのですが、お菓子の家のところからおはなしが大きく動き出します。頼りにしていた兄さんが閉じこめられ、泣いてばかりだったグレーテルが、なんと、魔女をやっつけてしまうので、子どもたちはとても喜んで聴いてくれます。
結末句で本当にねずみが走ったのかと勘違いした子どもたちの表情、楽しかったです。
ぜひ、分かりやすく語りやすく何度も語りたくなる再話をお願いします。

Yさん
わたしは小澤俊夫先生の書籍や講座で、”耳から聞くことが前提の昔話はシンプルでクリアな語り口を持っており、その語り口には「語法(語りの文法)がある”ということは一応知っていました。でも今回参加した勉強会のように、詳しく丁寧に「語法」に即した個所を示しながらテキストを見ていくことは初めての体験でした。
抽象性、一次元性、孤立性などなど。
勉強会の場だけでは理解がおよばないこともあって、後日、語りの森のホームページの「昔話の語法」のコーナーで復習をすることにしました。すると、同コーナーでは、一つ一つの「語法」の持つ意味、その効果などがたいへんわかりやすく解説されていて、私は「語法」への理解を深められただけでなく、昔話の奥深さにも触れた思いがしました。 
私は、今まで、ストーリーの展開だけにしか関心を払ってきませんでしたが、今回の勉強会で、「語法」を通してテキストを検討するという新しい見方を得た気がしています。

もうひとりのYさん
語法の勉強会では、いつも「あれもこれも語法!」とびっくりすることが多いのですが、今回は目立つ語法が意外にも少ないことに驚きました。
そして、改めて読んでみると、他のグリムの昔話とくらべて、とても叙情的で文学的な表現が使われているのだなと思いました。
そして、なにより、版を重ねる中での変遷はとても興味深かったです。研究しているかたもいるのではと、ネット検索してみたところ、「ヘンゼルとグレーテル」に関する様々な論文があることが分かりました。まだ全く読めていないのですが、昔話や童話に関心のある人なら、みな気になるのでしょう。
日本で出版される昔話絵本が、よりソフトでマイルドな表現を選びがちなのに対して、グリムの昔話は後の版だからといって、そうはならないのは、グリム兄弟の原話を尊重する態度のあらわれなのでしょうか。
ただ、実母から継母への改変は、良くなかったのではないかと思います。以降に登場する昔話の再話に影響を与えたのではないでしょうか。継子話は、昔話の定番のひとつではありますが、「血のつながらない親子はうまくいかない」という認識につながるのなら、語りにくく感じます。きっと、語り手は、このあたりのことも、うんと悩んで、自分なりの答えに近づいていくしかないのでしょうね。

Kさん
情け容赦のない母親のセリフは、語られているときは、比較的自分の感情はゆすぶられずに、ひどいお母さん程度で聞いて、ストーリーを追っていました。
ところが、一文ずつ丁寧に読んでいくと、「そうずりゃ子どもをやっかいばらいできるじゃないか」等々、お腹を痛めて生んだ母親の言葉とは思えない表現が出てきます。そして、最後で、「お母さんは亡くなっていました」めでたしめでたし・・・。
母親は類型的に(いじわるや欲張りじいさんたちのように)語られるのが合点がいかず、この話の中で母親はどのように表現すればよいか悩みました。サラリと言っても、子どもたちは「え?」と思うでしょう。母親も魔女も悪い?
あまりにも難しいお話です。(私には)

Eさん
「ヘンゼルとグレーテル」は、いちど3年生に語ったことがあるのですが、そのときは語りの森の整理されたテキストを覚えたので、今回の資料『語るためのグリム童話』には余計な部分、特に登場人物の心理描写が多いと気づかされました。
今までの語法の勉強会と大きく違った点、2版と7版の比較、勉強になりました。
以前語ったときの子どもたちの反応は、満足のいくものではありませんでした。グレーテルが自分の力で魔女をやっつけ、そこから成長する姿は、もっと元気よく語ればよかったと思いました。
来週、3年生のおはなし会に参加するので、仲間が語る「ヘンゼルとグレーテル」を聞いて、今回の勉強会で学んだ事をふり返りながら、子どもたちをいっしょに楽しみたいです。

みなさんの感想の紹介が、ずいぶん遅くなってしまいました。失礼しました。
拝読していると、おひとりおひとりの学ぶ姿勢に勇気づけられます。
ただ覚えるだけでなく、また、覚えた話をただ語るだけでなく、その話の背後にかくれているものを見つけようとすることは、とても大切だと思っています。
昔話の語法はそれを見つけるひとつの方法にすぎません。でも、とっても有効な方法だと思います。
今後も絶えることなく、語法を学んでいきたいですね。

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今日のHP更新は《外国の昔話》ロシアの「りこうなエレーナ姫」。
主人公はお姫さまではなくて、若者。
ふしぎな世界で繰り広げられるおはなし。
楽しんでください。
もし気に入ったら子どもに語ってくださいね~