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語りの森を作った魔女

大掃除その2 不毛な本の山

話はすこしさかのぼる。
先週の日曜日の早朝のことだ。

わたしたちの町の廃品回収は、第1と第3の日曜日である。

今年じゅうに片づけるならば、今日何とかしなければと、いきなり発奮した。
新聞や段ボールなどはいつものようにまとめたが、気になっていた古本に手をつけてしまったのだ。

部屋の隅に積み上げられている雑誌やもらいもんの本。買ったけど読まないと決まってる本。
決まってるのになぜ買う?
自分に突っ込み入れても、本は自ら片付いてくれない。

本の整理は形と大きさを基準にすると、学生時代、東洋史の大庭先生に教わった。
・・このごろ昔のことをまざまざと思いだす。これが歳のせいというものか?

まずは、通販生活。
いや、以前、風邪予防のグッズを買ったのだ。
そののちずっと、カタログが送られてくる。
そのグッズも重宝しているが、このカタログ、読み物が充実していて飽きない。
ただ、保存しとくほどのこともない。
積んでいったら何年分にもなった・・・
付箋がついているのは、「ほしいなあ」「高いなあ」で迷ったからだ。もちろん、買っていない。

ああ、やめとけばよかった。
積んでも積んでも切りがない。
あちらのすみから、こちらのすみから、ちょこちょこと出てきはる。
『小学生の漢字読めますか?』
なんでこんな本買うたんや。
『小学生の漢字書けますか?』
知らんわ!
たしかにね、ワードで打つと選択肢問題やからね、漢字力は格段に落ちる。
きっと、勉強しょうと思うたんやな。

本はひもでくくって出す。
が、重くて二階からおろせない。
お、うまい具合に夫が起きてきた。
わたし「(かわいく)おはよ~」
夫「おろしたろか?」
わたし「ありがと~」

玄関に並んだ積み本の山。
充実感に浸っていると、夫が言った。
「今日は第2日曜やで」

本は出番を待って鎮座しておる。

ヤン

 

大掃除その1 不毛なボンベ探し

なぜ年末になると大掃除しなくてはいけないのだ。
何十年もの習慣が、いや、何百年もまえからのご先祖さまたちのたましいが、おしりをムズムズさせるのだ。

この際だから、掃除の前に大かたづけをすることにした。
まずは、十年いじょうも前にどっかやってしもた携帯ガスコンロのボンベ探しだ。
わたしたちは捨てた記憶がない。買った覚えはある。
が、収納した覚えがない。

夫「いつか火事になるで」
わたし「いつか爆発するで」

何年も続けてきた夫婦の会話だ。
危機感がないのは危険だ。

きょう、早起きしてひとりで探し始めた。
ふたりでやると、けんかになる。

とりあえず階段下の物置だ。
ひとつずつ出していく。
掃除機。
もちつき機。あ、これ、出したままにしとこ。
そうじ用マップと棒とはたきが複数。なんぼ掃除用具をたくさん持っていたって、掃除しないと意味がないことに、気付かないわけではない。
買うときは、掃除意欲満々で買ったのだ。
おそらく使うだろう二つを残して、後は処分。
梅干しの壺がふたつ。果実酒用のビンが大中小合わせて8個。年代物だ。
おそらく使うだろう二つを残して、後は処分。
空の2リットルのペットボトルが四個。なんのつもりや?
18年前に期限が切れてる鮭の缶詰が1ダース。阪神淡路大震災のころがよみがえる。
ほうきの柄。先はどうした?
壁紙の端切れ。床材の端切れ。場所は取るが残しておこう。この人生でもう家を建てることはあるまい。つぎはぎしながら暮らすのだ。

あった!
あの段ボール箱だ!
開けてみたら、掃除機の先がいくつも転がっていた。
壊れた掃除機をすてたら、部品も捨てればいいのだよ。
ああ、こっちの袋には、壊れて捨てたミキサーやミルのふたや、はけが入っている。
懐かしんでいる場合ではない。
はけは使おう。

床をきれいにはいてふいてすっきりした物置。
充実感にひたっていると、夫が起きてきた。

あ、ボンベ、なかった!

また同じ不毛な会話を続けなければならない。

 

 

さわやかなおはなし会

お隣の市へ、おはなし会を聞きに行ってきました。
ふだんは図書館や小学校などで子どもたちにおはなしをとどけているサークルの、25周年記念おはなし会です。大人向けのね。

ううむ。
ひとこと、ほんとに楽しかった!

詩を含めて12話
どこのサークルでもできるだけさまざまな種類の話を組み合わせますが、今日のプログラムは秀逸。古典的な話はもちろんのこと、新しい話や他ではあまり聞かない話にも挑戦されてました。
あ、そうそう、自分たちで原話資料から再話したものもふたつもありましたよ。
並べ方もうまかったなあ~

たっぷり聞いたのに、あっというまに終わってしまった。

いつも子どもたちを相手にされてるからなのかなあ、それとも天然なのかなあ、自分を前に出さない語り。
自分の語るこの話が大好きっていうのが、すうっとしぜんに伝わってくる語り。
みなさんそうだったから、サークルのカラーなんでしょうね。

ほら、大人のためのおはなし会でよくある「わたし語ってます」っていうのかなあ、そういうのは苦手なので、きょうは、ほんとに楽しかった~
とってもさわやかなおはなし会、ありがとうございました。

つぎにお会いするのが楽しみです。
なんか、とっても嬉しい一日でした。

もの想い 芸術としての

もの想うはずの秋もばたばたと暮れ、師走のあわただしいこの時期に、ふともの想いにふけっている。

わたしのしていることは何だろう。

語りは口承文芸(口伝えの文学)であり、文芸とは言葉を手段とする芸術である と、いつも入門講座でみなさんに説明する。

そこへ回帰することを、ふと忘れて目の前の諸々に対処している自分がいる。
より質の高い再話、より質の高い語りにむけて、一段ずつ登っていきたいと思ってはいるのだ。

ひとつひとつの再話、一回一回の語りは、子どもに向けて語ることで成り立つ。
少なくともわたしは、自分の語りが子どもに向かっての芸術でありたいと願う。

今朝の新聞に福田恆存の言葉が引用されていて、心のコリやしこりをもみほぐすのが芸術の役割だというようなことが書かれていた。

芸術活動は、選ばれた一部の人びとの高尚なものではない。
昔話の語法を学んでいると、そのことが納得できる。

子どもたちの心のしこりをほぐすことのできるような語りをしたい。
道ははるか遠くだけれど、もしかすると行き着くことのできない道かもしれないけれど、ひと足ひと足歩くことはできる。
のこされた時間は限られているけれど自己満足で終わらせたくないと思う。

わたしのしていることは芸術だと、いつか、いえるようになりたい。

今年の紅葉狩り 伊賀上野

あれやこれやとばたばたしてましたが、やっとチャンスを見つけて、紅葉狩りに行ってきましたよ~
最近は12月でも紅葉を楽しめる。あ、関西のはなしね。
忍者の里、松尾芭蕉の故郷、伊賀上野へ列車の旅です。

改札入って駅員さんと話してたら夫がいない。
階段を下り、上り、下り、やっと見つけた夫。
わたし「あかんやん。ちゃんとそばにおらんと」
夫「なんかしゃべってたから」
わたし「行くなら行くっていうてから行かんと、わからんようなるやん」
夫「じぶんかて、新婚旅行のときグリンデルワルドの駅でおらんようなったやん」
お~、まいわいふ、いずろーすと!
わたし「なんで百年も前のこというてんの」

ああ、いつもの珍道中・・・
JR関西線で、一路伊賀上野へ

沿線の紅葉も楽しもうと、欲ばり心で、列車の一番後ろに立ちました。

ちょっと色あせてはいるがまだまだ美しい。

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伊賀鉄道に乗り換えて上野市へ。
伊賀鉄道のワンマンカー、忍者の電車です。かわいいでしょ。

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じゃ~ん、上野城の天守閣!
きれいでしょ。

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上野城の紅葉です。

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おつぎは城下町で出会った忍者たち。

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二百石取りの入交(いりまじり)家のお屋敷です。
持ち家ではなくて官舎のようなものだったそうです。
長屋門はありましたが、母屋は瓦葺ではなくてかやぶきの簡素でコンパクトなお屋敷でした。

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朝のおはなし会のあと飛び出していったのでカメラを忘れてしまった。
ガラケーで撮った写真は、やっぱりぼけてるなあ。
お粗末!

でも、でっち羊羹はおいしかったし、地元の人とのちょっとした会話はあたたかくて心がほどけました。