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2025年度おはなし入門講座 第一回

今年もこの季節になりました、そうです…新たな語り手が誕生する、おはなし入門講座です。遅くなりましたが、先月末に第一回目がありましたので報告です☺

今年は4名の受講者を迎え、まず自己紹介から始まりました。
すでに地域のおはなしサークルに所属している方、
我が子の小学校で図書ボランティアをしていたり、保育士として児童館で絵本の読み聞かせをしていたり、習字教室をしていたりと日々子どもたちに接している方々ばかりでした。

この講座は4回で構成されており、
第1回 「おはなしってなあに?」
第2回 「おはなしの選びかた」
第3回 「どうやって覚えるの?」
第4回 「語ってみよう」
語り手になるためのノウハウはもちろんですが、おはなしの魅力などヤンさんが長年子どもに語ってこられた経験からも詳しく説明してくれます。

さて、1回目のテーマは「おはなしってなあに?」です。

➀「おはなし」ということばについて。なにをするの?
大きくとらえると絵本や紙芝居、ペープサートなども含みますが、ここでのおはなしとは、素話(storytelling)です。声(音声)だけで物語を子どもたちに伝えます。

”物語を耳から聞く⇒言葉を頭で想像して楽しむ”

➁絵本と比べてみよう
語り 「七羽のからす」『おはなしのろうそく10』/東京子ども図書館
絵本 「七わのからす」 フェリクス・ホフマン え/せた ていじ やく/福音館書店

まずは語りを聞いて、自分がイメージした「泉」「ガラスの山」を受講者に聞いてみます。もちろん一人一人違うイメージです。
自分が経験したことや見た本や映画が元になっているかと思いますが、それでいいのです。正解がなければ、良い悪いもありません。

”みんな違ってみんないい⇒自己肯定感が生まれる”

一方、絵本に描かれているのは、その作者がイメージした絵になっています。
ただし、語りでは息子たちがカラスになるのは一瞬ですが
絵本ではカラスはまだ人間の足が残っていたりと、徐々に変化しているように描かれています。
メディアの違いですが、グリム童話は昔話として語られていたものであり、絵本になったは最近のことだそうです。

➂「おはなし」がひきだす子どもの力
語り 「あなのはなし」『母の友』123号/ミラン・マラリーク作

くつしたにできたあなが、ドーナツ、カエル、ツバメ、ヒツジと一緒に旅をします。みんなはオオカミに食べられますが、あながオオカミのお腹の中に入ると、
あながオオカミを飲み込んでしまう、とういおはなしですね。
有り得ないものを思い描く力、そしてオオカミが出てきたらどうなる?
つまり「想像力」が必要なおはなしです。
日常生活の中でも、「これをしたら、どうなる?相手はどう思う?」と考える力です。おはなしはこの「想像力」を育てるのです。

また、子どもは繰り返しを覚えるのが上手です。
このおはなしも「オオカミだってこわくない」という言葉が何度も出てきますが、途中からは「オオカミだって」と言うと、
子どもたちが「こわくない」と続けてくれることもあります。
おはなしの中に出てくる言葉の意味が分からなくても、繰り返し出てくることで記憶として残ります。
これが成長の過程で実体験と結びついたとき、「これのことか」となります。
おはなしを通じて言葉を獲得していくのです。

”想像力・思考力⇒自分で思い描く力。生きていく上で一番重要な力”

おはなしの偉大さを再認識する内容でした。
語りを続けていると雑念が出てくることもありますが、おはなしの力を信じ子どもたちにおはなしを届けようと思いました。

毎年感じることは、語りの経験者が受講しても十分ためになる内容です。むしろ経験者が聞くとより理解でき、新たな気持ちで語りに取り組めるのではないかと感じます。

この入門講座、元々はがらがらどんが主催で開催されていましたが、ご縁があり、ききみみずきんが主催を引き継ぎ今年で6年目になります。
こんな素晴らしい入門講座を毎年無料で受講できます!メンバーは募集中ですので、興味のある方はぜひお声かけください。

受講者の皆様・・・宿題は「おはなしのテキスト」を元におはなしを沢山読んできてください。次回は10月21日(火)、「おはなしの覚え方」です。

 

9月の語りクラス

残暑が厳しいですが、お店には秋の食材が並び始めましたね!今年は秋刀魚が安くて美味しい☺食欲の秋になりそうです。
さて、2か月ぶりの語りクラスがありました。

事前にプライベートレッスンを受け、テキストに手を入れたおはなしを発表してくれた人が多かったです。
出典もほぼかぶることなく、日本、外国、アイヌ、日常語とバラエティに富んでいました。全体で約1時間半の語りですが、楽しいおはなしに耳を傾けていました。
では、報告です。

👐手遊び『たまごをポン♪』👐
たまごをポン!とわりまして そのままたべたら なまたまご~♪
たまごをポン!もひとつポン!とわりまして じゅうじゅうやいたら めだまやき~♪
たまごをポン!もひとつポン!もひとつポン!とわりまして ぐるぐるまいたら たまごやき~♪
たまごを・・・もひとつ・・・もひとつ・・・もひとつ・・・とわらないで おなべでコトコト ゆでたまご~♪
たまごをポン!もひとつポン!もひとつポン!もひとつポン!もひとつポン!とわりまして ふんわりおおきな ホットケーキ♪

語り
 ➀「美しいおとめ」 『おはなしのろうそく28』/東京子ども図書館
 ➁「おおかみときつね」 『語るためのグリム童話4』/小峰書店
 ➂「地主のはなよめ」 『太陽の東月の西』/岩波少年文庫
 ➃「三枚のお札」 『おはなしのろうそく5』/東京子ども図書館
 ➄「ひとつぶのサッチポロ」 『アイヌの昔話/萱野茂』
 ⑥「つるの恩返し」 『語りの森昔話集3』/語りの森

ヤンさんの語り
「雨の日も晴れの日も泣く」『稲田コレクション』
稲田浩二氏が1967年から1978年に日本各地29都府県で現地録音取材した日本昔資料からです。

同じ場面は同じ言葉で繰り返される。
昔話の語法であり、この点が創作とは違うのです。創作では少しずつ言い方を変えていることが多く、語り手は覚えにくいですね。

「おおかみときつね」の中で、
おおかみは自分のことを「わしは」と言っていますが、一番最後だけ「おれは」になっています。
また、同じように「赤ぎつねよ、わしに何か食い物を持ってこい。さもなければ、おまえを食っちまうぞ」も
1回目と2回目は「さもなければ」ですが、3回目のみ「さもないと」になっています。
聞き手は気になりませんが、語り手が覚えるとき気になるようであれば、「わしは」と「さもないと」に統一して問題ないそうです。

今日、1年生の朝学習おはなし会で「三匹のくま」を語ってきました。
3回の繰り返しオンパレードですが、子どもたちは「またか~」と言いながら、喜んで聞いていました☺

次回は11月11日(ポッキーの日 笑)です。

最後に案内です。
➀新しい仲間が増えました🙌地域のサークルに所属されており、今回は見学でしたが、次回早速発表してくれます!
➁11月30日に「語りの森総会」と題して、「貧乏神」大会が開かれます。発表者全員が国内外の「貧乏神」を語ります。飛び入り参加もOK、午前は発表、午後からは交流会です。どなたでも参加できますので、気軽にお越しくださいませ~♪

6月の語りクラス

 

先週火曜にありました、語りクラスの報告です。

👐手遊び 『じゃがいもほりにいこ♪』
じゃがいも ほりにいこ~ 花さか ひらいた~✋ はさみで ちょんぎるぞ~✌
えっさかほいさか じゃんけんポン👊

語り
➀「かしこいモリー」 『おはなしのろうそく17』東京子ども図書館
➁「うろこ玉」 『語りの森HP』
➂「トレディチーノとオオカミ」 『語りのメソッド イタリアの民話をたずねて』三弥井書店
➃「だればいちばん兄さんか」 『子どもに語るモンゴルの昔話」こぐま社
➄「靴をはきつぶしたお姫さま」 『語りの森HP』

ヤンさんの語り
「おおかみときつね」 『語るためのグリム童話4』小峰書店
小学4年生向け、「ごんぎつね」/新美南吉作を学習するときに「きつね」をテーマで語られるそうです。
弱い立場のきつねが強いおおかみに勝つ。確かに子どもたちの世界でも同じような状況がありますね。
私もこのおはなしを覚えたのですが、まだ一度も子どもたちに語っておらず、語りたくなりました。

さて、今回は全てのおはなしで「テキストに手をいれる」が話題にあがりました。
手をいれるべきか、また入れるならどのように、どの言葉を変えて、付け足せば
聞き手がよりイメージできるのか。

例えば、「かしこいモリー」でモリーが大男の家に戻る場面が3回繰り返されますが
少しずつ言葉が違います。
➀もどっていって、大男の家にしのびこみ、、ベッドの下にもぐりこみました
➁大男のうちへ出かけ、中にしのびこみ、またベッドの下にかくれました
➂大男の家にもどり、ベッドの下にかくれました

語り手の立場なら同じ言葉に揃えたくなりますが、
同じ言葉で繰り返すと、どの場面か分からなくなることがある。
言葉が違うことで、今はこの場面を語っているとはっきり分かる。

また、テキスト通りに覚えて、初めて不備が自分で分かるようになる。
語り歴5年未満の初級クラスでは、「テキスト通りに覚える」のが基本と言われていましたね。

では、手をいれたほうが 良いのほうがよい例
※「かしこいモリー」で王さまがモリーにいう場面
むすこの嫁にしてやるがなあ ⇒ むすこと結婚させてやるがなあ
このおはなしは低学年向けであり、嫁にしてやるという意味が理解できない子どもがいる。

※「うろこ玉」でねこが加えていたうろこ玉を川に落とした場面
川の中をくまなく探しましたが ⇒ 川の中を隅々まで探しましたが
動物のくまが頭に浮かんでしまう。

テキストに手をいれるのは、聞き手(語り手)がきっちりとイメージできる(おはなしについてこれる)ために入れるべきであって、単に覚えにくいからという理由だけでいれるものではないということを再認識した勉強会でした。

次回は、7月8日(火)です。

最後におはなし会の報告です。この勉強会の前に1年生朝学習のおはなし会にいってきました。
♪オルゴール
🕯ひとり、ふたり、さんにんのこども
📚ふしぎなナイフ
♪オルゴール

4月のクラスでヤンさんにアドバイスをいただいたおはなしを語ってきました。
3人の子どもを思い切り演じ、少し笑われましたが(笑)、3人いるんだとイメージはしてもらえたと感じました。
途中からは子どもとやりとりしながら楽しく語れたのですが、最後の場面で

ジェニィ とけいが、ひとつ、ふたつ、みっつなりました。 「何時かな?」
子ども  ・・・???
ジェニィ 三時です。  「何の時間かな?」
子ども  「おやつ!」
ジェニィ そうおやつの時間です。

とけいを立てて語らなかったのが原因でしょうか。来週にもう一つのクラスで語る予定ですので意識して語ってきます。

4月の語りクラス

新年度を迎え、1回目の語りクラスの報告です。
高校の入学式と重なり、いつもより少なめの人数での勉強会となりましたが、
語りに対する熱量はいつも通りです☺

👐手遊び 『ぎおんのよざくら♪』

語り
➀「ひとりふたりさんにんのこども」 『おはなしのろうそく26』東京子ども図書館
幼稚園や小学校低学年向けのおはなしのレパートリーを増やしたく、
今回覚えました。「ひとつ、ふたつ、みっつ」の繰り返しが楽しいおはなしですが、
テキストに手を入れたほうが良いとアドバイスがありました。

◎ひとつ、ふたつ、みっつ、道がみっつにわかれているところへきました
道がひとつ、ふたつ、みっつにわかれているところへきました

同じように、門がひとつ、ふたつ、みっつ、庭がひとつ、ふたつ、みっつ
先に何があるのか語ります。
子どもはひとつ、ふたつ、みっつ、と聞きながら、自分で想像しているので
違うものが出てくるとおはなしについてこれなくなるからです。
ただし、チューリップのところからは、テキスト通りで問題ありません。

また、子どもが三人いることがわかるよう、演じて語る必要があるとのアドバイスもありました。
図書館のおはなし会と1学期の朝学習で語る予定にしていますので、結果をまた報告します!

➁「おおかみと七ひきの子やぎ」 『語るためのグリム童話』小峰書店
Yさんからの質問 「しちひき」vs「ななひき」、どちら?
子どもが「しち」を「いち」と聞き間違えないよう、「なな」と語るほうがよいとのことです。
同じように「七羽のからす」や「七人さきのおやじさま」など、「七」は昔話が好む数字ですので、様々なおはなしにでてきますね。

➂「ハヴローシェチカ」 『語りの森昔話集2』語りの森

➃「かえるの王さま」 『子どもに語るグリムの昔話』こぐま社
語られたNさんは、聞き手の時と違いハインリッヒの場面は泣きそうになると
言われていました。語り手の想いがのる場面では、つい高揚したくなりますが
気持ちを抑えて語りましょう。

➄「金の髪」 『おはなしのろうそく19』東京子ども図書館
何度聞いても(結果は分かっているのに)娘とピエトロはどうなるの?とハラハラドキドキします。
パタタ、パタタ、パタタ・・・の擬態音があり、伯爵と娘が馬に乗っているだけですが、状況をしっかりイメージする必要があり、語るのは難しいです。
「勉強のために覚えて語ってみる」語り手のスキルを上げるためにぜひチャレンジしてみましょう。

今回はタイムアップとなり、『ノート式』はできませんでした。
次回は5月13日です。

おはなし入門講座 第二回

先週火曜日にありました、おはなしサークルききみみずきん主催の「おはなし入門講座 第二回」の報告です。

今年の参加者は6名、ききみみずきんが主催になってからは初めて男性の参加者もおられます!
1回目はできなかったということで、今回は参加者の自己紹介から始まりました。住んでいる地域のおはなしサークルに所属されている方、図書館で開催している大人のおはなし会に参加している方、子どもが幼稚園や学校でおはなしを聞いているので自分も語りたい、絵本が好きだが語りにも挑戦したいなど、みなさんのおはなしに対する思いも話してくれました😊

第2回目のテーマは「おはなしの選び方」です。

まずはヤンさんの語りから。  
  ①「かきねの戸」 『語りの森昔話集1 おんちょろちょろ』
  ②「命のろうそく」 『語りの森昔話集6 プレッツェモリーナ』

この2話はテーマ、語り方、雰囲気も違います。
前回の宿題はたくさんのおはなしを読んでくることでしたが、沢山のおはなしの中からどうやって選べばよいのでしょうか。
適当に選んで覚えたとしても、聞き手に響く語りはできません。考えて選ぶ必要があります。

おはなしの場は 語り手 ⇔ 聞き手 ⇔ おはなし(テキスト)の3つの要素から成り立っています。
この3つの視点から詳しく説明がありました。

➊語り手の視点から
◎自分の好きなおはなし
 その時「なぜ自分が好きなのか」を考えましょう。それは、自分を知ることに繋がります。
 語るためには何度も繰り返し言い続け、覚える必要があります。情熱を持ち続けて練習するには、好きでなければ難しいですね。
 短くて覚えやすいから、という理由で選ぶのはやめましょう。短い=覚えやすいでは決してありません、逆に長い=覚えにくいでもありません。

 また、サークルの先輩からの勧めで選ぶのもやめたほうがよいでしょう。先輩はおそらく悪気はなく、親切心から「こればいいよ」とアドバイスをされたのだと思います。
その人にとって、その時の聞き手にとって良かったのでしょう。では、自分にも当てはまるかといえば、そうではないのです。勧められたおはなしを自分自身が読んで、語りたいと思えたなら問題ありません。

◎誰かに聞かせたいおはなし
「こんなおもしろいおはなしがあった」と思わず言いたくなる、我が子に読んであげたら喜ぶだろうな、という気持ちです。

➋聞き手の視点から
◎子どもであれ、大人であれ、聞き手が求めているおはなし
 誰に語るのか決めて選びましょう。子どもの場合は、その時の成長段階に合ったおはなしを選びが大切です。
  例)「あはのはなし」『おはなしのろうそく4』・・・幼稚園児向き 
    「六人男、世界をのし歩く」『子どもに語るグリムの昔話2』・・・小学4年生向き
どちらも、冒険に出る ⇒ 危機が発生 ⇒ 仲間が増える ⇒ 安全(幸せ)に暮らす、という同じ構図ですが対象年齢は異なります。
では、求めているおはなしとは?を知るには、聞き手を知ることです。語りの場がある人は、おはなし会が始まる10分前には会場に行き、子供たちと会話をし、親しくなりましょう。

➌おはなしの視点から
◎内容(結末)が満足できるもの
 つまり、主人公が幸せになることです。聞き手は自分が主人公になって聞くからです。
ただし、「つる女房」『日本の昔話5』のように、ハッピーエンドで終わらないおはなしもあります。これはわびさびが分かる年齢に語りましょう。

◎文章が聞いて分かりやすく書かれていること
 ➀筋が無駄を省いて単純で、幸せな結末に向かって、早いスピードで一直線にストーリーが進む。
 ➁登場人物が少ない。
 ➂情景描写と心理描写が少ない。
  例)森 ⇒ どんな森であるかの説明はない。  
    怖くなった ⇒ 手が小刻みに震え、背筋が凍るようなのような表現はない。
聞き手自身が想像して楽しむためには、細かな描写があるとストーリーについていけなくなります。「読んで楽しい」と「耳で聞いて楽しい」は異なります。

初めておはなしを語る人、もしくわ経験の浅い人、語りの場を持っていない人は➀語り手の視点、つまり好きなおはなしを選びましょう。

※選びの手順
➀黙読
➁好きなおはなしを音読 ⇒読みにくいおはなしは外しましょう。歌がでてくるおはなしもたくさんありますが、歌が苦手の場合はやめましょう。
➂本文と奥付をコピーする ⇒奥付は本の最後のページにあります。著者、画家、発行、出版社名などが書かれたものです。
➃コピーが何話か貯まったら、その中から1話を選ぶ

受講者の方々、
宿題は語りたいおはなしを1話選んで、2部コピーをするです。1部は自分用、もう1部は提出用です。奥付のコピーもお忘れなく。

講座が終わってから、メンバー一同が口にするのは「初心忘れるべからず、毎回本当に勉強になる」です。入門講座はおはなしを始める方を対象にしていますが、現在進行中で語りをされている方が聞いてもためになる講座であり、語りを経験したからこそ、講座の内容がよく理解できると強く感じます。

次回は「おはなしの覚え方」です。インフルエンザなどが流行る時期になりますが、全員が参加できますように❤️