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再話クラス 🐞

先週の金曜日に今年度最後の再話クラスがありました。

耳で聞いて確認
➀「岩泉(いわいずみ)の桃太郎」(桃太郎の岩泉がたり) 『まわりまわりのめんどすこ続岩泉の昔ばなし』高橋貞子編著 熊谷印刷出版部
➁「ぼた餅と豆腐の伊勢参り」 『日本昔話通観第14巻京都』責任編集稲田浩二他 同朋舎
再話検討
➂「虫めづる姫君」 『日本古典文学全集10』校注・訳者三谷栄一他 小学館
➃「こわさ知らずのフアン」 『エスピノーサ スペイン民話集』 三原幸久訳 岩波書店

➀➁は、前回再話検討をした話を、原話を出した担当さんが覚えて語られました。
➀は、すでに小学校の1・2年生で語られたそうです。
➁は、おもしろい擬音語・擬態語がたくさん出てきます。
原話のままを生かして再話され、語られました。
原話の中には、その土地の人でないと意味が分からない擬音語や擬態語が出てくることがあります。
みんなで「これ、どういう意味やろね~」と頭を突き付けて相談してもどうにもなるものではないので、さらに調べないとその場では何ともなりません。
でも、自分が使わないとしても、話によっては様子をよく言い当てていて、意味がよくわかることがあります。
➁の場合は、それに近いのではないかと思いました。
豆腐が川に“どぼちん”と飛びこむのなんか、ほんとに笑えました。
この原話を語ってくれた伝承の語り手さんの声を聞いてみたいなあと思いました。

➂は、古典の「堤中納言物語」の中の1話です。
かなり長いお話なので全体を再話するのではなくて、一部を再話することになりました。
貴族のお嬢さまは、蝶や花を好むのが普通で可愛らしいのに、なんと毛虫や爬虫類を好きなお嬢さまが、周りの人の反対をものともせずに我が道を突き進むという、現代の「個性を伸ばす教育!」にうってつけの内容(笑)
原話担当さんがそう思われたのかどうか、とにかくわたしはそんなふうに感じて、おもしろい話だと思いました。
でも、古典の原文と口語訳とにらめっこしながらの再話ですから、次回引き続いてやることになりました。
古典を再話する難しさを改めて感じたのですが、個人的には、古典のみやびさというか、貴族社会の雰囲気を少しでも残るようにという気持ちがあると、再話は大変困難になるように思いました。
姫君は庶民とは違いますが、超個性的な女子生徒、あるいは小ギャル(古い?)のイメージであれば、再話しやすいのではないかと思いました。
➃は、恥ずかしながらわたしです。
原話は恥ずかしくないのですが、何が恥ずかしいのかと言えば、原話の不整合を見抜けなかったことでございます。
つまり、わたしはこの話をよく知っているために、話の流れになんの疑問も持たなかったのでございます。
この原話を決める前に、わたしは研究クラスでグリム童話の4番「怖がることを覚えるために旅に出かけた男の話」のレポートを書いたわけです。
この話は、タイトルも長いですが、話がとにかく長~い長~い。
でも、とても気になる話なので一度調べたかったわけです。
そして、類話を集めた中で、わたしの語りたい、これなら語れるんじゃないかという気持ちを満足させてくれる原話が『エスピノーサスペイン民話集』だったのです。
だから、飛びついて、よく知っているから再話したいという気持ちが先に出てしまっていたのでありましょう、大切なことが見えていませんでした。
勉強会で指針を出していただきましたので、おかしなところをなおして次回に臨みます。
うお~~っと燃えています(笑)
まだまだ、原話選びが甘いということを感じるとともに、大変お勉強をしたとおもう一日でした!

昔話の語法勉強会🌳かしこいモリー🌳

きのう、第11回昔話の語法勉強会<「かしこいモリー」の魅力を探る>があり、たくさんの方がたが来てくださいました(^_^)
「かしこいモリー」は、語り手の中ではかなり有名な話ですから、持ちネタにしておられる方も多いと思います。
わたしも、困ったときにはこの話、と思っております(笑)
何度も語っていて、なおかついい話だからこそ改めて勉強したいと、楽しみにしていました。

勉強会は、いつもの通りヤンさんの語りからはじまり、特に大事な語法を追いながらおはなしの最初から最後まで、全部を説明されます。
冒頭の、〝昔話とは架空の物語ですよ〟と宣言することや、登場人物や物・事柄を描写せず内面を語らないということ、三回の繰り返し、同じ場面は同じ言葉で語る、などです。
今回、わたしが特に心に響いたのは、「かしこいモリー」の残酷といわれる個所についての、〝なぜ残酷ではないか〟の説明でした。
昔話の残酷性についてはすでにお勉強していましたので、だいたいは(だいたいなのかと突っ込まないでくださいよ)知っていました。
でも、まだまだでした_| ̄|○(笑)

残酷といわれる個所とは、モリーが大男の娘たちの首にかかっている金の鎖と自分たちのわらなわをこっそり交換して、そのために大男の娘たちが殺されてしまうところです。
大男の娘たちは、何も悪いことをしていないじゃないかというご意見が出て来そうです。
「かしこいモリー」は、小学校1~2年生に語るおはなしですね。
小さい子どもは、モリーになりきっておはなしを聞いています。
そのモリーが、生きるか死ぬかの瀬戸際です。
ところで、小さい子どもたちは、まだ世界が自分中心です。
おぎゃあと生まれて、泣けば何でもやってもらえる王さま状態から、少しずつ世の中のことを学んできてはいるものの、やはりまだ親や周りの状況を眺めてから自分の行動を決めるなんてこととは程遠いです。
「あのなあ、今日なア、学校でなあ」
「なあ、聞いて、聞いて、○○ちゃんがなあ」
もう、ご飯作ってるっていうねん、後にできんのかい!と、なんど怒りの言葉を発したことでしょうか(ジミー個人的標準)
その自分中心の世界の住人モリー(=聞き手の子どもたち)が、生きるか死ぬかの瀬戸際で知恵を働かせて生き抜こうとしている場面です。
他のことには構っていられません。
とにかく逃げだし、生きなければいけません。
そして、うまく逃げだせたとき、聞き手の子どもたちは「よかった、逃げだせた!」と安心するのでございます!

どうです!(と、わたしが言うのもおかしなことですが)
目からうろこが落ちまくりました。
ぽろぽろ、こぼれまくりました。
やっぱり勉強し続けないといけないと思うのは、こういういろんな発見をもらえるからです。
語法とともに、このことを勉強できてラッキーでした。
よりこの話を納得してこれから語っていけます!
あらためて、ヤンさん、ありがとうございます<(_ _)>

そして、勉強会の中で出てきた、金の鎖とわらなわの交換のモティーフに該当する話型ATU327B「兄弟たちと鬼」を調べましたので書いておきます。
『国際昔話話型カタログ 分類と文献目録』ハンス=イエルク・ウター著 小澤昔ばなし研究所
ATU327B「兄弟たちと鬼」
7人(3人、12人、30人)兄弟が鬼の家にやって来て、そこに泊めてもらう。鬼は兄弟たちの首を切り落とそうともくろむ。自分の娘たちを見分けるために、鬼は娘たちにナイトキャップ(ヘッドスカーフ)を与える。1人の兄弟(しばしば末の弟、親指小僧)が計画に気づき、兄弟全員が鬼の娘たちの帽子をかぶる(自分たちの帽子と娘たちのヘッドスカーフを取り替える。娘たちと寝る場所を取り替える)。夜、鬼は間違って自分の娘たちの首をはねる[K1611]。兄弟たちは逃げる。参照:話型327 1119

参照としている話型327は、この中にいくつも分類があり、327B「兄弟たちと鬼」もその一つです。
ちなみに327Aは「ヘンゼルとグレーテル」です。(勉強会の中でもタイトルだけは出てきましたね!)
そして話型1119は何かというと…
ATU1119「鬼が自分の母親(妻)を殺す
 鬼(悪魔)が家に泊まっている(若い)男を殺そうと思う。夜、男は鬼の母親(妻、娘)と自分の場所を交換する。鬼は過って男の代わりに自分の母親を殺す[K1611] 参照:話型327B

ATU327BとATU1119の両方に出ている[K1611]というのはモティーフ番号です。
日本語訳が見つけられず、ネットで英語版で出ているのをグーグル翻訳した“だいたいこんな意味”は、以下の通りです。

K.DECEPTIONS(欺くこと)
1611 取り替えられた帽子(caps)のせいで鬼が自分の子どもたちを殺す。鬼が欺かれるように、主人公は鬼の子どもたちとベッドの位置を入れかえて帽子をかぶせる。*Types 327, 1119

ATU327Bと、だいたい同じですね。
K1611には他に、1611.1~1611.5まであります。
わたしは英語が分からないうえに、グーグル翻訳が意味不明です。
入れ替わるアイテムが違うようです。

ATU番号を調べると、関連番号が書いてあるから次つぎに調べる事柄が増えてきますが、時間がないといういつもの理由でだいたいになってしまうのが悔しいところです。
言い訳はもういいって(笑)
大事なのは、この勉強会が楽しくてためになったこと!!
年に2回の勉強会、次回も楽しみにしています。
ヤンさんは、「取りあげてほしい話があればアンケートに書いてください」と言っておられました。
このブログを見ているかたも、勉強会で取り上げてほしい話があればコメントに欄に書いてくださいね。
ニックネームで書けますので、どうぞお気軽に(*^▽^*)
ではまた(^o^)/

1月のがらがらどん🍊

今年もがらがらどんが始まりました(*^▽^*)
申し込みなし、出入り自由、語るのも聞くのも自由ながらがらどんは、いつもその日にならないとメンバーが分からないから、その時々で雰囲気が違います。
たくさんの人が来てくださって驚いたり、がらがらどんメンバーの4人だけだったりとまちまちです。
今年最初のがらがらどんは10人、全員が語り手でした。

「美しいユーラリ」 語りの森HP → こちら
「かきねの戸」『語りの森昔話集1おんちょろちょろ』語りの森
「聞き耳」『語りの森昔話集1おんちょろちょろ』語りの森
「お経をわすれた和尚さん」 語りの森HP → こちら
「まほうの鏡」『語りの森昔話集1おんちょろちょろ』語りの森
「ネズミの大てがら」『おはなしのろうそく30』東京子ども図書館
「心臓が体の中にない巨人」『おはなしのろうそく22』東京子ども図書館
「だんまりくらべ」『子どもに聞かせる日本の民話』実業之日本社
「つるの恩返し」『語りの森昔話集3しんぺいとうざ』語りの森

ヤンさんとおらふさんが、残念ながら早退されました。
残りの8人で、お茶とお菓子を配りはじめたときから、(みんな、そんなにしゃべりたいの? なんか、ためてましたか?)と思うほど、もういろんな話が飛び交っていました。
がらがらどんに来るに至った経緯、おはなしに興味を持ったきっかけ、などなど、人の話を聞けば自分のことをしゃべりたくなるのは当然で、途切れることなくいちどきに複数がしゃべり、けっこうなすごい勢いで、感想を言い合う時間に突入しました(笑)
それぞれが、自分が語った話は明確に反省点を自覚しておられ、各自の感想は各自で完結しておりました。
「何も言うな、自分のことは自分がよく分かっている」という感じでしょうか(笑)
もちろん、わたくしめもそうでした。
大丈夫と思っていたのに、なぜトチるのか!
しかし、がらがらどんは練習の場でもありますので、失敗しても大丈夫!
その失敗を今後に活かす場にして、今年もみなさんでたのしいがらがらどんにしていきましょう(^o^)/

1月の日常語による語りクラス

今年初めての勉強会は、1月10日の日常語による語りクラスでした。
このクラスのブログはいつもかぶちゃんが書いてくれるんですが、かぶちゃんはインフルエンザに罹患!!Σ(・□・;)
やむなくお休みということで代わりにジミーが報告します<(_ _)>

語り
「節分のお客」『語りの森昔話集3しんぺいとうざ』
「かねふき明神」語りの森HP → こちら
「おもちホイコラショ」ヤンさん再話・語り
テキスト

「だんだん飲み」『日本の昔話5』福音館書店
「北林家の狸」『ナーミンのためのならのみんわ』奈良の民話を語りつぐ会
「地獄めぐり」 語りの森HP → こちら
「三枚のお札」『語りの森昔話集2ねむりねっこ』語りの森
『ノート式おはなし講座 語り この愉しき瞬間』の勉強
日常語のテキストの作り方(P56~59)

最後に、参加者の一人が「共通語アクセントと関西弁アクセントが混ざってしまう。勉強会で、おかしいと言われた。」とおっしゃいました。
日常語の語りを勉強するクラスで、ナイスな提案ですね。
自分の日常語はどれかと考えるときに、アクセントの問題は同時に出てきます。
ヤンさんはこれについて、「アクセントが混ざることは問題ではない。なぜなら、聞き手はそんなことを気にしていないから。」でした。
聞き手にわかる言葉で語ることを考えるならば、あんまり強い土地の言葉、今は使われていないような土地の言葉を常に使って語るというのはよくないかもしれませんね。
自分が聞き手だったら、嫌かな~と思います。
だって、話のすじがわからないわけですからね。
でも、アクセントが混ざっても、意味が分かるなら話の筋は追えます。

かつてわたしは、ヤンさんの図書館のお話会に小学生の我が子を連れて行ってました。
ヤンさんは共通語アクセントは全く混ざってません。
コテコテといわれる関西弁でもありません。
ヤンさんの関西弁です。
そして、同時期だったと思いますが、おはなしを始めました。
そしたら、どの語り手さんも共通語アクセントと関西アクセントが混ざってました。
どっちに寄っているかだけで、みなさんが混ざってました。
共通語を日常語として語っている語り手さん以外はみ~んなです。
わたしは混ざっているのが奇妙に思えました。
で、おもったんです。
「わたしは、完全に関西アクセントで語っていいんだろうか? だって、でも、どうやってもそれしかできないし」
ながらく勉強会で語れませんでしたが、恐る恐るやってみました。
心の中で(だって、ヤンさんはオール関西アクセントやんか)と思って揺らぐ自分を何とか整えようとしながら(笑)
そしたら、何も言われませんでした。
わたしがオール関西アクセントだったということを気づかなかったという人もいました。
つまり、わたしが奇妙だと思ったのは、単に気になる側だったというだけで、気にならない側の人が大多数だったということなんでしょう。
そして、わたしたちの聞き手である子どもたちは、み~んなそんなこと気にしてなくて、おはなしの世界に入って物語のその先だけを注目しているのでした。
だから、『ノート式おはなし講座』にあるように、自分の日常語はどれだろうということを考えるのはもちろん必要ですが、アクセントが混ざることについては、再び声を大にして言いたい!
「アクセントが混ざっていておかしい、という大人の意見には負けるな!」
もしかして、気になるのは単に気になるだけかもしれないということに、気づいて欲しい(笑)
いろんなおはなしがあって、いろんな語り手さんがいて、それぞれに味があり、それぞれに面白い。
それがおはなしだといつも思います。

そして、かぶちゃん、インフルエンザにかかってしまい、年の初めに何と不運なんでしょうか。
早く良くなることを祈っておりますゾゾ!!!

12月のがらがらどん🕯

年々、一年の終わるのが速く感じるようになっております中高年のわたしですが、今年はハロウィンの飾りを見かけるようになると頭の中は、ハロウィン→クリスマス→年末→新年あけおめ=一年が通り過ぎた、という連想をしました。
充実したスケジュールをサクサクこなしていると自らすすんで勘違いして、ことしも走ってまいりました(笑)
そして、がらがらどんも15日が今年最後となりました。
今回も楽しいメニューです。

「舌きり雀」『おはなしのろうそく28』東京子ども図書館
「お月さまの話」『おはなしのろうそく25』東京子ども図書館
「だれがいちばん兄さんか」『子どもに語るモンゴルの昔話』こぐま社
「しんぺいとうざ」『語りの森昔話集3しんぺいとうざ』語りの森
「にんじんとごぼうとだいこん」『松谷みよ子のむかしむかし』講談社
「おおかみと七ひきの子やぎ」『語るためのグリム童話1』小峰書店
「ントジィの蛇退治」『語りの森昔話集2ねむりねっこ』語りの森
「大晦日のお客」『語りの森昔話集1おんちょろちょろ』語りの森
絵本の紹介
『まいにちがプレゼント』いもとようこ作・絵 金の星社
『それしかないわけないでしょう』ヨシタケシンスケ著 白泉社
『あめふりぼうず』せなけいこ作・絵 金の星社
他、いっぱい

おはなしはどれも楽しくて、バラエティーに富んだ話をたくさん聞けて嬉しかったです。
そのなかで、「しんぺいとうざ」が心に残りました。
「しんぺいとうざ」は、日常語にテキストをなおして語られました。
日常語クラスのお仲間が語られたのですが、テキストを語り手さんの日常語になおすところから一緒に勉強していますから、がらがらどんでの語りに至るまでの経過を一気に思い起こすことができたのでございます。
語り手さんは、日常語クラスでテキストと語りの勉強をされた後もきっと練習や本番を経てこられたのでしょう。
語り手さんのための日常語テキストを自分のものとなさった語りを聞かせてもらって、とっても「しんぺいとうざ」の世界に引き込んでいただきました。
さいごの、しんぺいとうざが戦う場面は、ほんとに「がんばれー、がんばれー」と念じておりましたよ~!

今年もたくさんのかたが、がらがらどんにきてくださって、語り、聞き、おしゃべりしてくださいました。
ババ・ヤガーの各勉強会とは違い、おはなしが初めてのかた、ベテランのかた、おはなしを知らないかた、どなたでも来ていただけるのが、がらがらどんです。
来年もまたよろしくお願いします<(_ _)>(*^▽^*)