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9月の中級クラス

虫の声は聞こえてくるのに、蒸し暑い日々ですね。もう少しで秋めいてくるはず!さて、今回はzoomでの勉強会でした。

忠実なヨハネス 『語るためのグリム童話1』小峰書店

練習で語りを録音して聞き、自分の癖に気が付いた。それが出ないように意識してスーッと語られたとの事。また、ストーリーについて疑問があったのだけど、事前にヤンさんから頂いた資料(『昔話の深層』河合隼雄 著 P151 ~)を読むことで納得して語ることができたそうです。30分ほどのはなしですが、私もあっという間に感じるくらい入り込ませてもらいました。

ヤンさん…世界に入り込んでいるからこそ、聞き手が集中してくる場面がある。ヨハネスが死刑台に上がって、声を出すところ。裁判官や大衆の前で、ヨハネスは王様に向かって話す。「死ななければならないものは、最後にひとことしゃべらせてもらえるものです。王様…」→呼びかけの 王様 を入れる。言ったら石になるのに、言うぞ!と聞き手は集中する。トリックスターの働きをしてきたヨハネス、命がなくなると分かっていて言う、ヨハネスしか知らない話。ヨハネスの行いは、王様がしてきた行いより大きい。ヨハネスを主人公として語ると、聞き手の子どもたちはヨハネスになれる。王様の悲しみもこめて語り、より感動をともなう場面になる。

最後にヤンさんが興味深いことを言われました。年とった王様も金の王女を手に入れたかったが、それを息子に託した。ヨハネスの力によって、冒頭の欠如は最後に充足した。深い!『昔話の深層』に金の王女についての事も載っているそうです。

白い石のカヌー 『おはなしのろうそく33』東京子ども図書館

情景描写が多かったのですが、そのまま覚えようと努力されたとのこと。こちらのテキストは、『アメリカのむかし話』渡辺茂男 編訳/偕成社から。それでも、途中で、『子どもに贈る昔ばなし12 石のカヌー』小澤昔ばなし研究所 のテキストに変えようかとも思われたとのこと。そちらは『世界の民話12アメリカ大陸Ⅱ』より再話コースの方によるグループ再話。

ヤンさんからもう一つの資料を頂いていたのですが、それは小澤俊夫さん解説による「石のカヌー」の文法でした(季刊『子どもと昔話』49号2011年秋号)。解説を読みつつ、二つのテキストを比べると違いがはっきりわかります。昔話の語法の力による違いです。後者は昔話の語法を活かした再話です。耳から聞いてイメージする像、聞き手の中で起こる感情、これらは表現された言葉によって、かなり変わってくると気づきました。テキスト選びや、再話について、大きな課題として心に響きました。

ジャックと豆の木 『語りの森昔話集1』語りの森

再開された小学校のおはなし会に向けて練習で語られました。語りを初めて聞く子も含まれる3年生なので、学年を下げた形でプログラムを組んでいるとのこと。

ヤンさん…3年生なら、繰り返しの2回目と3回目は、アイテムの言葉だけを立てて、テンポアップして語る。 私が気になっていた所、豆の数え方で…「両手にふたつずつと口に一つ」と、ジャックはすぐに答えました。ここは子どもはどんな反応をするのかな?と思っていたんです。ヤンさんは手を使って「両手にふたつずつ(両手に豆をふたつずつ持つ)と口にひとつ(指一本を口に)」とする。子どもにかしこい~と思わせて、子どもとのやり取りができるし、ストーリーに戻れると。なるほど~!低学年の純粋さを忘れてました!数字って抽象的ですもんね。

語り手の方から、ヤンさんから受けとるものがたくさんありました。ババ・ヤガーの勉強会の今後の話もあり、感謝の気持ちとともに、ここから自分は何ができるか。何がしたいか。どうなりたいか。自分の内側を刺激されました。

【中級クラス変更点】

〇エントリーは1ヵ月前のクラスでする。出典も言う。

〇日常語のエントリーも中級でする。

〇毎週月曜に更新する秘密基地で連絡事項をチェックする、次月エントリー者のテキストを参加者各自がコピーして持参する。

次回は10月17日火曜日です。

あったかペーチカ

かたつむり  『語りの森昔話集3』語りの森

サルとトラ(ラオス・モン族の民話) 『同名絵本』福音館書店

サトリ  『日本の昔話5』福音館書店

ゆうれいのおんがえし『子どもと家庭のための奈良の民話一』京阪奈情報教育出版

ついでにペロリ 『おはなしのろうそく6』東京子ども図書館

元気な仕立て屋 『イギリスとアイルランドの昔話』福音館書店

さるかにがっせん『語りの森昔話り集4』語りの森

残暑厳しい毎日ですが、そんな事もどこかへ飛んでいってしまうようなホッとするおはなしの時間でした!

「おはなし探しで、これだ!というおはなしを見つけられない。みなさんご自身に合った話を選んでいるなと感じる。どのように探して選んでいるのでしょうか?」というある方の質問から。それに皆さんが応えて、「今回はどうしてこの話を選んだのでしょうか?」というその方の理由を聞くところからアウトプットしてもらいました。言葉に出すと気づくことがありますね。自分が好きな話を選ぶ。本で探すより耳で聞いた方がこのおはなしいいなと感じられることも多いので探し方を耳からにする。色んなおはなしを知って、そのおはなしの姿を知ることが、おはなし選びを助けてくれる。言い忘れたのですが…、語りの場があると「この子らに次はこんな話を語りたい」という気持ちが出てくるなど。強い気持ちがあると、長い練習もできるし、楽しめるし、おはなしの長さも気にせずに選べるんですよ~というアドバイスがありました。他の方からのご意見では、「ほんとその通りだなと心に響いた、自分に聞かせる話を語っている」とのお話でした。

「ゆうれいのおんがえし」では、ストーリー構成とタイトルについて、語り手の問い掛けから話が盛り上がりました。その他、子どもたちの反応のこと、体験談、語り方のこと、日常語のこと、深い話、ちょっとした話、さまざまなお話が聞けて、そうかそうか~!と心が喜びました。次のおはなし選びに背中を押してもらいました。語り手同士の交流の場になりますし、興味のある方はどなたでも、ふらっと遊びに来てください~

次回は10/12㈭です

 

あったかペーチカ

子どもたちは夏休みですね~。8月の台風がしのびよる最中、たくさんのおはなしが聞けました!

鬼の面、お福の面 語りの森HP

雌牛のブーコラ 『語りの森昔話集4 おもちホイコラショ』語りの森

三びきの子ぶた 『イギリスとアイルランドの昔話』福音館書店

ろばの子  『語るためのグリム7 星の銀貨』小峰書店

三匹のくま 『語りの森昔話集4 おもちホイコラショ』語りの森

色々と話が盛り上がりましたが、印象に残ったことを二つほど…矛盾を理解していく。ヤンさんの言葉がすーっとしみ込みました。というのは、初級クラスの間はテキスト通り覚えますよね、その大事さは矛盾を理解していく、にあるからです!世の中の矛盾を理解することも大人になることですし、その段階が初級クラスなのか~、今までも言われていた言葉かもしれませんが、やっと捉えました。

もう一つは、練習方法についてなんですけどね、ある方はお人形を置いてね、その子に語るそうです(^^♪集中して最後まで通しで語るためにしているそうです。その様子を思い浮かべるとなんともかわいらしい光景です。そして、ある方は鏡の前で自分の顔を見て語るという過酷な状況に身を置いての練習です。おはなしに感情移入すると涙が流れてしまうので(ろばの子)、それを防ぐために自分で自分を監視するそうです!そういうおはなし、あります!自分を癒してくれる大事なおはなしです。私もこの二つの練習を取り入れてみたいと思います!

いつもそうですが、楽しいおはなし時間の中にたくさんの学びがある時間でした。

今後は…9/3㈰、10/12㈭、11/5㈰

あったかペーチカ

手遊び とんがりやまのてんぐさんが うちわであおいでみわたせば すーいす すーいす かっぱのおやこがかおだした ばあ

金のおの 『語りの森昔話集4』語りの森

しおちゃんとこしょうちゃん 『おはなしのろうそく27』東京子ども図書館

たなばたさん 『子どもと家庭のための奈良の民話一』村上郁 再話

とりのみじいさん 語りの森HP

この世の光 『語りの森昔話集1』語りの森

番ねずみのヤカちゃん 『おはなしのろうそく18』東京子ども図書館

ついでにペロリ 『おはなしのろうそく6』東京子ども図書館

あついあつい夏が来ました。そんな中でも、おはなしの灯をお一人お一人が静かに灯しています。みなさん新しいおはなしを次々覚え、レパートリーが色々とおありで、感心するばかりです。語りが終わったと同時に来られた方がいて、語る予定でなかったジミーさんに「なにかどうですか?!」とお願いしましたら、ついでにペロリ を語ってくれました。さすがベテラン!何もない時でも語れる話だそうです。初めて覚えたおはなしで、あれこれ熟考したものなので出てくると。

おはなしを始めて数年ですが、自分の生活を楽しくしてもらってるのをはっきり感じますし、生活リズムも良くなった気がします(なまけ癖があるので)。デジタル化の進む時代に逆境する語りの場は、今後ますます子どもたちにとって大事なものなるのでは…。宿題をネットで検索し、動画を倍速で見るのが普通なようです。それでは自分に何も残らないのではないかと気になります(私も忘れん坊ですし検索もします)。一番残るのは「自分で体験する」ですね。語り手のあたたかさを肌で感じるおはなし会はそれにあたります!想像力が創造力へとなればなあと、押し付けずに、そっと手渡せたらという気持ちで語りたいです。今日もおはなしとおしゃべりと、元気になる楽しいおはなし会でした(^^♪

今後の予定 8/8㈫、9/3㈰

6月の中級クラス

いぬとにわとり 『おはなしのろうそく31』東京子ども図書館

子どもは仕返しのところを喜ぶ。犬が「なにもしません。にらむだけ、にらむだけ」「なにもしません。なでるだけ、なでるだけ」と言っているので、にわとりの仕返しのところも、同じ言葉にそろえるとよい。…それから、いぬは(たいへんおとなしくなって)、にわとりを見ても、けっしてにらんだり、なでたりしなくなりましたとさ。ヤンさんは()を抜いて語るそうです。幼児さん向けのはなしは少ないので、あえて楽しめる形に少し変えて語っているとのことでした。

三匹のくま  『語りの森昔話集4』語りの森

水墨画のように語る。名言がでました。油絵のように隙間なく色を塗って語るのではなく、水墨画のように、描かれている主要なもの以外は真っ白に語る。くまたちがどんな反応をするかに、子どもたちの興味があるので、地の文はスーッと語って、「だ~れかぼくのおかゆに~」で、そのギャップを楽しむ。地の文は白、くまたちの言葉が黒、というようにイメージをはっきりさせる。ヤンさん、ジミーさんの語りでは、中くらいのくまの声のところで子どもたちが笑うそうです。おばちゃんが頑張って中くらいの声をだしているその姿が笑えるのか?(笑)との体験談でした。

食わず女房  『子どもに語る昔話3』こぐま社

ストーリーを活かすために手を加えられている。聞き手の年齢にも合わせて言葉を変える。それでOK。女から鬼婆に正体を現したところからぐっと変わったので、恐いところは恐くできている。テーマを選ばないので、他の話とも合わせやすく、対象年齢も幅広い話。

三本の金髪を持った悪魔  『語るためのグリム童話2』小峰書店

男の子が成長して、王さまが再びやってきた場面で、夫婦の答えに対して「それは、何年前のことか?」という王さまの言葉に、聞き手が反応するので意識して、直前に間をいれる。(さあ、ここから物語が動き始めるよ~という予感を与えるかも?と個人的に思いました)道に迷って、小さな家のおばあさんとの会話、「気のどくだがねえおわかいお方、…」ここは聞き手にとって意外なこと。そして、地獄でも悪魔の母親とも会話「お気のどくだがね…」このデジャヴは現実でのおばあさんを思い出させる。でも、さすが悪魔の母親「何とかならないものか少し考えてみよう」ここで違いを意識する。そして、王さまが黄金をほしがる最後の場面、「ある川のほとりで拾ってきたんです。まだいくらでもありました。」仕返しのために嘘をついていると、聞き手に認識させる。今まで予言された運命の流れに乗ってきた主人公が、初めて自分の意志で行動する場面。自分の命を脅かしてきた王さまへ仕返しをすることを、聞き手にやった!と思わせる。

魔法のかさ  『おはなしのろうそく30』東京子ども図書館

外国のはなしの翻訳だから、語りの言葉ではなく、訳者の言葉になっている。今の子どもに語るには難しいから変える。最初、魔法のかさについての不思議なルール、説明のところをしっかりおさえる。数を数えると、3回飛び上がる場面、「ヒュー!」の直前の間は…①一瞬の驚き 初めて本当に魔法が効く②とたんに③期待(子どもに「はやっ!」て言わせたい)そんな風に間を取るのが良いのではないか。ヤンさんは語りのレパートリーにはないとのことですが、語るならどんな風にするか、思考の仕方を公開してくれました。

ヤンさん手遊び:メロンパン 語り:ミアッカどん 『イギリスとアイルランドの昔話』福音館書店

多くの学びを頂きました~。これを昇華するには10年くらいはかかると思われます。もっとかもしれません!ゆっくり、じっくり育てていきます。まだまだ、わかっていない事がわかっていない。わかりたいけどわからない。勉強会で学んだ事を、実践で体験してつかみたいです。覚えたこの話は、自分にとってどういう話なのか?が実践を通して体で感じてわかってくるとのことでした。だから、一人ひとり違う語りなんだと。楽しんで続けて、その時が来たら気づきがやってくるかな~!と、子どもたちに付き合ってもらいながら、その時を待ちたいです(^^)/

次回は9月19日㈫ zoomです