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語法クラス3回目

ちょっと報告が遅くなりましたが、10月に第三回語法クラスがありました。4カ月ぶりですので、記憶の引き出しをひっくり返して、がさごそ。奥の奥にあるものを思い出します。前回取り扱った昔話の「平面性」については、みなさんが提出された課題プリントを頂きましたので、非常に勉強になります。自分では到底気が付かない、考え及ばない部分がありますし、色んなおはなしがあげられていますので、そうなのかー!と感心するばかりです。

さて、今回は『昔話の語法』p220

「 抽象的様式」です。冒頭を少し言い換えました。

「平面性が決定的に一貫しておこなわれると、昔話は現実から離れた性質をおびてくる。昔話はそもそも昔から、私たちの現実世界を、そのさまざまな観点のまま、感情移入的に行動や振る舞いを真似しようとめざしているものではない。昔話は、現実世界をつくりかえ、その色々な要素に魔法をかけて別な形を与え、独自な特徴をもった世界を作り出す」

絵画でいうと、昔話は抽象画と似た描き方をします。

抽象画とは、人物、風景、静物などの具体的な対象をそのまま描かず、色、線、形といった要素を用いて、作者の内面や感情、あるいは抽象的な概念を表現する芸術です。具象画(現実の形を描く絵画)とは対照的で、観る人によって様々な解釈や感動が生まれるのが特徴です。

●小説は具象的

文学の場合で言えば、小説のほとんどは具象的です。主人公の生活を細かく描写したり、町のようす、あるいは列車の中のようすを具体的に描写していきます。

●昔話は抽象的

それに対して昔話は、具体的に語ることをやめ、独特の語り方でもって、いわば魔法をかけて、世界を抽象的な世界へと作り変えてしまいます。

【抽象的用様式】

世界を作り変えてしまう魔法のしかけ①〜⑥(今回は)

①名指すだけ (描写しない)

昔話は話のすじの展開を楽しむものなので、図形的登場人物を、ある点から次の点へ導いていくばかりで、描写のためにどこかに立ち止まることはしない。どのような人物か、どんな場所か、どのように事件が起きたかという説明はしない。単純な統一された言葉で事柄のみを述べる。耳で聞かれる昔話としてはこの方が分かりやすい。

②するどい輪郭、個体、柔らかいものも固く

一寸法師の針の刀、御椀の舟、桃太郎の、にぎりめしころころではおにぎりは鋭い輪郭線で転がってもばらばらになりません。「弥三郎婆」→HP、「炎の馬」大木→日本の昔話⑤おざわとしお再話(以下五巻本)

③小さな空間にとじこめる

登場人物は、堅固な家やお城、あるいは地下の宮殿などに住む。「馬方やまんば」山姥のすまい、「さけのおおすけ」一件の家→HP

昔話は、主人公を塔の中や、あるいは宮殿の中、トランクの中、あるいは箱の中にとじこめる

「ラプンツェル」、「ひひ神退治」お棺、長持「三枚のお札」「お月お星」木の箱

④固いものを好む

「へっぴりよめご」石の臼→HP、「仙人のおしえ」石の玉→五巻本⑤、「おしらさま」→HP、「天の庭」酒樽→五巻本③、「海行こう、川行こう」目玉→HP、「きじない太郎」目玉→HP、「山姥とくし」くし→HP

⑤高貴なものを好む

黄金や銀、銅など、めったにないもの、高価なものは周囲よりもひときわ目立って見える。孤立性が強調されている。

⑥原色を好む(灰色はある)

金、銀、赤、白、黒、(紺青)

「白雪姫」、「きもだめし娘」「ぼっこ喰いあねさま」→HP、白雪姫の白、赤、黒の極端な美は、一歩あやまればその極端のゆえに人を震え上がらせるような性質ではないでしょうか。また、馬は黒か白、あるいは赤です。「師番の馬」→五巻本②

*白と黒は、非個体的対照(色というのは中間色で微妙な差を持つ、連続的な違いがある。白と黒はそれがなく、二つにはっきり分ける)

⑦鋭く明確なすじの線

昔話のすじは遠方へひろがっていき、登場人物を長い道のりをこえた遠い国へ連れて行く。また、援助者が主人公に与える贈り物のなかでは、とくに移動手段となるものが多い。ふしぎな馬や車・靴・マントなどが主人公を遠くへ運び、指輪は主人公が望むところへ連れて行く。「かくれみの」→HP、「夢見小僧」千里車・万里車→五巻本①、「灰坊」→五巻本⑤、「イワンの夢」魔法のじゅうたん、いだてん靴→HP

今回はp230まで読みました。これは孤立性、あれは極端性と決めすぎずに、いくつかの性質を兼ねている場合もあることも教えて頂きました。

口頭伝承であった時代、語り手一人一人の中にテキストがありました。昔話は本来そういうもので、自分の中に素養があると語れるもの。時代は移り変わり、私達はテキストを覚えて語りますから、よく考えれば、本当の語りではないですもんね。ちょっと痛く刺さります。長い年月をかけて、何度も語り、子どもたちの反応から教えてもらって、テキストに手を入れることで、良く聞けるようになれば、それが自分のテキストであり、それは一人一人がする作業です。(そうすることで本来の語りに近付けると理解しました)語りクラスでヤンさんが私達に伝えてくれている事が、さらに深く根を下ろした学びとなりました。時間をかけて細かい所まで丁寧に勉強会の準備をして頂き、本当にありがとうございます。そして、こうしてブログを書かせてもらうことで数日かけて復習をしたら、勉強会の時とはまた違う感覚です。ちゃんと合っているかは不安な部分もありますので、皆様コメントにてご意見、ご感想、補足などよろしくお願いします!

宿題は、上記①〜⑥(⑦は昔話のほとんどがそう)を自分のレパートリーのテキストから探してA4一枚にまとめて、11/30までに提出です。

次回の語法クラスは12/24(火)です。

久しぶりだね

蒸し暑い。日が差すとめちゃ暑い。その上雨も降る。今日は変な天気でしたが、運動会や秋のお祭りなどがあったでしょうか。10/18 図書館のおはなし会は子ども10人、大人7人でした。

手遊び くーるポン

おはなし「かきねの戸」『語りの森昔話集1』語りの森

絵本「あきはいろいろ」五味太郎/作絵 小学館

絵本「おおきなおおきなおいも」市村 久子/原案 赤羽 末吉/作絵 福音館書店

絵本「いちごをたそう 1から5まで いちばんはじめのかずのほん3」赤木かん子/著 田村康二朗/監修 埼玉福祉会

絵本「ヤンティとバナナ」片平直樹/作 はたこうしろう/絵 ひかりのくに

絵本「つん こん ぱっ」こぺんなな /作 福音館書店

久しぶりの小さな男の子がきました。「ぼくお姉ちゃんいたよね」「うん、お姉ちゃん何歳だと思う?」「3年生!」「うん、何歳だと思う?」「えー、(計算中)9歳!」とかなんやかんや色々会話をしてくれました。最後に来た時は、お姉ちゃんについてきただけという感じでふわふわしてましたが、こんなにおしゃべりできるようになってるんだと、感心しました。もう一人の子もご無沙汰で、お互い「どーもー」とでもいうように目と目で通じ合いました。行きつけの場に知ってる人がいるって嬉しいですね。それでも、今日は小さな子たちが多めでしたかね。おはなしを自分の中で心静かに楽しむ子たちが来てくれてましたね。常連の小学生女の子は、自由に本を読みつつ自分のスタイルをいっていましたし。この子はおはなしも好きなのですが、すでに知ってるおはなしだったんでしょうね、生粋の本好きで、周りの子に影響なさそうだったので、声は掛けませんでした。そして、私は「おおきなおおきなおいも」の力を再び感じました。絵に描いていたお芋が本物として話が進む、疑うことなく子どもたちがストーリーに入り込んでいる姿が見られて、本の力に加え子どもたちの想像力もすばらしいなと思いました。そして、子どもの成長は早いですね。その時を逃さないように、そう思うとおはなし会のプログラムも慎重に吟味しようと心新たにしました。また来週も楽しみです!

10月のあったかペーチカ

この日も暑かったのでクーラーを入れました。昼間は夏の気候、朝晩は秋の気候と、ここ最近毎日のように二つの季節を感じています。汗をかいたり、すーすーしたり、忙しいですね!さてさて、ペーチカは10人の参加がありました。

さる地蔵 『子どもに語る日本の昔話1』こぐま社

あなのはなし『おはなしのろうそく4』東京子ども図書館

老犬ズルタン『語るためのグリム童話3』小峰書店

まほうの鏡『語りの森昔話集1』語りの森

三つのオレンジ『語りの森昔話集5』語りの森

しんぺいとうざ『語りの森昔話集3』語りの森

かちかち山『語りの森昔話集4』語りの森

三本の金髪をもった悪魔『語るためのグリム2』小峰書店

いちじく畑の亡霊『アルゼンチンの昔話』世界民間文芸叢書 より再話

鳴いてはねるヒバリ『おはなしのろうそく16』東京子ども図書館

これだけたくさんの語りを毎月聞くという体験は、希少なことだと改めて思います。想像力や耳を、五感を使う時間が長く、内側の人間力のようなものを鍛え育むトレーニングになっているような気がします。聞いている時はゆるやかに、身を任せておはなしを聞いているのですが、自然とそんな事になっているのではないでしょうか。私のことで言えば、人との会話でもその人の話が良く聞こえてくるようなところがあり、言葉以上の事が分かるような?気がするのです。それを客観的に見ている自分もいます。みなさん、そんなことないですか?おはなしのことばかりの毎日で、ちょっとおかしくなったかな〜(笑)色んな事がわかりたいなという自分の思惑も強いですね、実際は違うことも多々ありますし。勝手に判断、比較せずに、そのまま受け止める姿勢でありたいです。そんなことで、この日のおはなし談義では、「自分の好きなおはなし」から「おはなし会に来る子どもが喜ぶおはなし」への気持ちの転換が起きているとの嬉しい話がありました。今後のご活躍が楽しみです。

来月のペーチカは総会でして11/30(日)10:30〜「みんなで楽しむおはなし会 貧乏神大会」です。ぜーぶんのおはなしが貧乏神!ふるってご参加申し込みして頂きたいですー!

七羽のからすを

ヤンさんは、予定していたおはなしができるかどうか、直前まで迷っていたようです。9/20(土)の図書館のおはなし会は子ども11人、大人4人でした。

手遊び くーるポン

おはなし 「七羽のからす」『おはなしのろうそく10』東京子ども図書館

絵本 『うんこしりとり』tupera tupera/作 白泉社

絵本『さんびきのおさる』あべけんじ/作 福音館書店

絵本『さるさるおさる』乾栄里子/作 高畠那生/絵 金の星社

絵本『おさるとぼうしうり』エズフィール・スロボドキーナ/作・絵 福音館書店

「七羽のからす」上手に聞いてくれましたね〜。特に、一時空いてましたがまた来てくれている、常連の女の子、小さな男の子も。よかったです〜、小学生の常連さんができてきたらいいですね。継続は力なり、をとても感じます。そして「おさるとぼうしうり」は絵本を読まれているのに、語りのように聞こえました。絵が無くても聞ける、耳に心地よい文になってるんですね!ヤンさんも、語りのように読んだと言われてましたし。子ども達もこのお話どーなるの?と興味津々だったと思います😊

さあ、来週はどんな楽しい事になるでしょう〜

9月のあったかペーチカ

ほっとする朝晩の涼しさと、突き刺すような昼間の陽射し。調子が狂わないように、短い秋を満喫したいですね。

ハヴローシェチカ『語りの森昔話集2』村上郁/再話語りの森

宝下駄『語りの森昔話集5』村上郁/再話 語りの森

サルの宮殿『カナリア王子 イタリアの昔話』イタロ・カルヴィーノ/再話 福音館書店

おおかみの恩返し『家庭と子どものための奈良の民話二』村上郁/再話  京阪奈情報教育出版

スワファムの行商人『イギリスとアイルランドの昔話』石井桃子/訳 福音館書店

貧乏神 『日本の昔話5』おざわとしお/再話 福音館書店

バグダードの妖怪屋敷『子どもに語るアラビアンナイト』こぐま社

みつばつちの女王『語るためのグリム童話4』小峰書店

おおかみ神社『家庭と子どものための奈良の民話二』村上郁/再話 京阪奈情報教育出版

靴をはきつぶすお姫さまたち  語りの森HP

トロットリーナとおおかみ 『語りの森昔話集3』村上郁/再話 語りの森

Мさん絵本紹介

「かきごおりべー」海野あした/作 ニコモ

「そらまめくんのこしょこしょ」なかやみわ/作 小学館

「やくそく ぼくらはぜったい戦争しない」那須正幹/作 武田美穂/絵 ポプラ社

「だれのうんちがせかいいち?」マリー・パブレンコ/文 カミーユ・ガロッシュ/絵 評論社

「ちいさなかくれんぼ」松永悠一郎/作 福音館書店

いつもの事ですが!盛りだくさんの満腹満足なおはなし会となりました。「三本の金髪の悪魔」から急きょ変更されたヤンさん、なんとも残念でもあり、神対応でもあり、そんな在り方でさえ私たちには学びです。さてさて、今回印象に残ったおはなし談義は、「語る」です!私もストーリーテリングを始めて6年くらいは、その本当の意味が分かりませんでしたし、できていませんでした。まず、子どもや大人を前にしての緊張、おはなしが飛んだらどうしようという不安、ごまかす練習、ここ聞かれたらこう答えようの準備のドキドキ、色んな心配があって、覚えた言葉を出していく状態。聞き手とのギブ・アンド・テイクなんて、まだまだできないです!という時期がありました。けれども、毎年同じ話をして何年目かに、ちょっと語り出した自分を発見し、どうなっても大丈夫なはなし(どんな状況でもペラペラ)は、語りになってきた感覚がありました。その時の聞き手との関わりを体験したおかげで、覚えたてのはなしも少しだけ語るように、口から出せるようになったのかなと、振り返っています。課題も多いですが、それもこれも聞き手に感謝ですし、ペーチカでのみなさんのエネルギーが本当に素敵です。いつも元気を頂いています。

次回は10/5(日)10:00頃からです。どなたでもご参加下さい〜(^o^)