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2月 大人のためのおはなし会

寒い日になりました。今回で4回目となったおはなし会、テーマは雪でした。常連さんや新規の方など、9名が参加してくれました。

写真絵本「きらきら」 谷川俊太郎作/吉田六郎写真/アリス館

絵本「ゆき!ゆき!ゆき!」 オリヴィエ・ダンレイ作/たなかまな訳/評論社

おはなし「ホレばあさん」 『語るためのグリム童話集2 灰かぶり』小澤昔話研究所再話/小峰書店

おはなし「雪女」『日本の昔話5』 おざわとしお再話/福音館書店

絵本 「ゆうかんなアイリーン」 ウィリアム・スタイグ作/おがわえつこ訳/らんか社

絵本 「チャーリー、おじいちゃんにあう」 エイミー・ヘスト文/ヘレン・オクセンバリー絵/さくまゆみこ訳/岩崎書店

おはなし 「こおった声」 『日本の昔話5』おざわとしお再話/福音館書店

ぜーんぶ雪景色でした!「きらきら」では、子どもの頃、服についた雪をじっと見つめて、その美しさにとっても感動した時の事を思い出しました。「雪女」では、緊張と恐怖で、皆さんとともに部屋の隅々まで凍り付きました。雪の物語を通して感じられるさまざまな温かさや、自然の厳しさがあります。そして、最後のおはなしでふふっと笑いがこぼれました。子どもの時は、雪が降るとなんだか嬉しくうきうきしましたね。スキー旅行なんかでは本格的な雪遊びも。皆さんそれぞれの中にある体験や景色を、雪で一つに繋ぐような時間になったかな~と思います。おはなしの世界に入って、頭のてっぺんから足のつま先まで体が喜びました。現実世界と非現実世界を行ったり来たりすることで、自分の心のバランスを自分で取る。このことは、一人一人の中で今とても大事ですね。ヤンさんの冒頭のあいさつからも、そのことを深く実感することになりました。とにもかくにも…おはなしは楽しい!

次回:3月8日㈮「雛の月」

1月のあったかペーチカ

がちょうはくちょう 『おはなしのろうそく27』東京子ども図書館

園生姫 『子どもと家庭のための奈良の民話一』村上郁 再話/京阪奈情報教育出版

夢を見た小僧さん(原題 夢見小僧)『日本の昔話1』おざわとしお 再話/福音館書店 より、日常語

びんぼう神と福の神 『子どもに贈る昔ばなし12 石のカヌー』小澤昔ばなし研究所

6人でこじんまりと、初級クラスからベテランさんまで、色んな語りの姿が見られました。おはなし会のおばちゃん達は、好きなおはなしを一生懸命覚えています。好きなことを一生懸命して、心同じくする仲間と語り合えて学び合えて、うまくいけば子どもたちにおはなしをすっと手渡せる。素敵なおはなし会の未来が予感されるような気がしました。みなさん活動場所は色々ですが、たくさんの子どもたちが今後もみなさんのおはなしを聞いていくことでしょうね。勉強を続けて、ほそくながくできる活動ですね。楽しすぎます。こんなボランティアがあるんです~。3学期もおはなし会に精を出します。

次回は2月4日㈰です。

1月の再話クラス

1月もちょうど半分が過ぎたころ、新学期がスタートし、おはなしモードに戻すためにちょうど良いころ合いの勉強会となりました。

再話再検討 「天狗のうちわ」

原話題名:「鳥うちわ」 原話出典:『丹波和知の昔話』稲田浩二 編/三弥井書店

まず、再検討してこられたテキストを読んでもらいます。みなさんどうですかと問われて、よくわかる、聞きやすい、おもしろい、などの感想がでます。私たちは、どんな話か知っていますし、前のテキストと比べてというその基準があります。

【検討した箇所】

心中文で二つの事(まだ起きていない)が一度に書かれていて、二つ目の展開を先に言ってしまっているので、心中文を短くするか、無しにして、ストーリーを順番におさえて行動で表す。

心中文は説明になる→人物の行動をつなぐだけで心の中が分かるようにする

てんぐの誤解(サイコロを振ったらお金が出る)を利用して、主人公がウソをつき、うちわとサイコロを取り換え、その後もうまいことだまして逃げる…その面白さを伝えるようにする。笑い話は先に落ちを言わない。その時点で聞き手に分かっていなくていい、話が進むうちに聞き手が自分で気づく。

初めて聞く聞き手の感情はどう動いていくか、何を思うか、ここで笑う、ここで理解する、再話の視点を確認しました。原話を違う形に変える事が再話です、とヤンさんが言われました。この短い言葉の中に再話の重みと深みを感じます。

再話検討 「聖アントニウスがこの世に火を持ってきた話」

原話題名:同じ 原話出典:『新装 世界の民話13 地中海』小沢俊夫 訳/ぎょうせい

主人公は先を見通すことができる聖者だが、ストーリーはすべて偶然として進む。地獄から火をどうやって取ってきたかが、きちっとわかるようにする。一緒についてきた豚が、ブーブーいいながら地獄を走り回り大活躍するが、豚は特別な豚ではない。そだを切って作った杖を持っていくが、杖も魔法の杖ではない。それなのに、その二つだけで悪魔から火を取る。その二つを活かして再話をする。状況、場所、時間を一致させていく事で奇跡めいてくる。

原題では「この世」、原話では「この地上」を使っている。この世は時間的な奥行きもある言葉。題は訳者が決めている。今までなかった火を聖アントニウスがもたらすのは、この地上か、この世か?使う言葉を決めて、題名と話と同じ言葉に合わせる。

リズムの良い再話…リズムにも個性があって、語り手自身のリズムがある。それを再話にも活かすとよい。それに合わせて、わかるように大きく変えてもよい。

「くまで」が出てくるのですが…聞き手は一瞬だけくまでを想像する。ここでは「ぶたがひっくり返した肥料用のくまでを元に戻し、」となっています。解説を聞き逃してはっきりしないのですが。くまでは、背景に溶け込んでいるので、引っかからずに先に行けるということで良かったでしょうか?例えば「男はくまでを持ってっきました。」だと、くまでって何?と引っかかりやすいと。間違っていたら、どなたか訂正してください~。

「こうやって集まって勉強ができる時間を大切にしたいですね」というヤンさんの言葉から始まった勉強会でした。本当にそうですね。最終的には自分一人でも再話ができるようになることです。語法を勉強していく事で再話の方法も分かるようになるとのこと。(2/6オンライン語法「ろばの子」です)語法を活かした再話が、聞き手に届くものになる。まだまだ、難しいですが、他の方の再話を検討するのは、自分のものより楽しく面白いです!客観的に検討するので、気が付くことも多く、自分が選ばないかもしれない話からの色んな学びを頂けます。そして、皆さんで感じたことを発言するグループ再話は、学びの凝縮時間になります。生まれたばかりの赤ちゃんテキストなので、立って歩くまでを、皆さんであれやこれやと手を出す、わーわーやる、(おはなし自身はどんなことを思うでしょうね…)数ヶ月で歩き出すことができます。その後も完成はなくて、手を加え続けて変わり続ける。ほんと、子育てなんですね。私は、再話したおはなしをまだ覚えていない、語っていないので、そこを実感するために、そちらに向かえたらと思います。

次回は、来年度の原話提出もあります。クラスのみなさん、おはなし探しは進んでますでしょうか。どんなおはなしに出会えるか楽しみです。

次回:3月26日㈫

 

12月の中級クラス

1.つるの恩返し 『語りの森昔話集3』語りの森

ある日…何か物事が起こる時は、日を特定する。それを意識することで、聞き手が集中する。機織りとは何かということは、テキストで「布を織る」と表現を変えて言われているので、聞き手は理解しながら聞ける。イメージできる範囲でストーリーが分かれば大丈夫。「キイトン バタバタ キイトントン」という機織りの音の原話…変えずに、こちらを尊重するのがいいのでは。→小澤先生氏曰く、「語り手は語りを思い出すときに、体で覚えている音楽的な部分から思い出す」らしいとのこと。リアルな状況ではなく、大事なこととイメージだけ伝えられればいい。機織りを覗いてしまう場面に焦点を合わせて語る。みんなで一緒に覗くといい。こちらを語られるOさんからもたくさんアドヴァイスありました。

2.かも取権兵衛 『日本の昔話2』おざわとしお再話 福音館書店

ふんどしってわかる?聞き手が分かる必要があるワードはたずねる。「お相撲さんがしてるようなの!」と子どもたちが答えてくれることが多いそうです。権兵衛が大屋根にいて、下の村の人らと会話する場面、聞き手は権兵衛になっているので、村の人らの声との違いを出すと距離感が出る。

3.夢見小僧 『日本の昔話1』おざわとしお再話 福音館書店

和尚さんとのやり取り、鬼たちとのやり取り、二人の長者とのやり取り、三段階になっているので、この構造を活かす。長い笑い話。長者の娘が生き返る場面の面白さは、語り手の考えた間でいって、聞き手はのせられたら笑う。こちら私の語りでしたが、練習中もおかしくて楽しくて、こんな弾んだ調子で娘を生き返らせていいのかと思いましたが、いいそうです!そして、いい夢は人に喋らない、そのテーマをしっかり押さえつつ、笑える語りを目指します。

飛び入り だんまりくらべ 『子どもに語るトルコの昔話』こぐま社 面白すぎました。

ヤンさん スウォハムの行商人 『More English Fairy Tales』Joseph Jacobs より再話 みなさんでヤンさんの課題を検討しました。

風邪を引いて報告が遅くなりましたが、年末に間に合いました。風邪のおかげで、色んな事をせずに、最低限のことをして過ごしています。みなさま、よいお年をお迎えください。

次回は3月19日㈫

11月の中級クラス

アナンシと五 『子どもに聞かせる世界の民話』矢崎源九郎/実業之日本社

課題やタブーをおさえてきっちり聞き手に伝える。「5と言ってはいけない」小さい子は、数を数える事が嬉しいので5まで数えてしまう。話の仕組みはわからない。2年・3年は「ハトはうまくやったな?おバカだった?」と議論がおこる。年長さんには、「数えてはいけないよ」という目で語ることもある。一番弱い者・数を数えられない者が勝った。というおはなし。

鉄のハンス 『語るためのグリム童話5』こぐま社

男の子の成長のはなし。鉄のハンスは、その成長を見守り導く父性をあらわしている。男の子は、母の枕の下の鍵を取ってきて(母への裏切り、母の庇護の下を出る)、ハンスを檻から出す(禁忌をやぶる)。泉では、檻で挟んだ指が痛み、そのせいで言いつけを守れず失敗する。その後は、ハンスから与えられた試練を通して、母の呪縛から逃れ母離れし、内側を成長させていく。エピソードには大事なことが隠れている。そして、後半スピードアップしないで語ることになる。また、お姫さまとの出会いは、男の子にとって女性の発見。人物が最初に言う言葉には心をおく。この場合、お姫様の言葉は主人公にとって女性の言葉。最後は、結婚の式で本来の姿となった「鉄のハンス」の登場。男の子が一番に祝ってほしいのは鉄のハンス、そのハンスが現れた喜びにあふれた場面。

あずきとぎの化けもん 『日本の昔話3』小澤俊夫再話/福音館書店

語り手がテキストに対して疑問があったので、原話を読んだとのこと。原話に近い言葉を選びたい。ヤンさん→原話と比較して言葉を選ぶのは真っ当なやり方。小澤さんが出典を載せているのは原話と比較してねということ。勉強をしてきている人は、正しいやり方で変えていいと思う。3年生くらいから話が分かると思うから、語ってみて。

白雪姫 『語るためのグリム童話3』小峰書店

長い話だから聞き手がだれないように語るにはどうしたらよいか?

ヤンさん→聞き手は5・6分は聞ける。その辺りで新たなエピソードがあるとまた聞くだろう。この場合は小人の登場。そして、小人が「だれもうちの中にはいれてはいけないよ」という。きをつけや~と聞き手に語る。その後も、子どもたちの知っている白雪姫とは違う、3回のくりかえしの品物の意外性(ひも、くし、りんご)で聞けると思う。長いけど、長さを感じないようなことになるのではと思う。

ヤンさん語り  神の顔 『世界の民話18 イスラエル』ぎょうせい より再話

この度もたくさんの学びをいただきました。語り手みなさんの疑問や課題を共有させてもらって、なんて楽しい時間でしょうか。楽しみで心待ちにできる場所・勉強会があることに感謝です!自分に言い聞かせるために書きますが(いつも同じこと書いてないかと心配になるくらい、書いたこともどんどん忘れていく…)、おはなしの姿やテーマをわかることは大事です。最初から最後まで覚えて、そこからが始まり。段落覚えの時に深く考えられることもあると思いますが、「このおはなしが伝えたいことは何か?」という大事なことは、全体を通してつかむので、そこからどこまで深められるか。早く答えを欲するのではなく、ひたすら考える。関連付ける。時間をかける。ヒントが欲しい時に関連書籍や類話を読んでみる。最近長いおはなしを覚えていなかったこともあってか、大事なことを忘れかけていました。おはなし一つ一つに丁寧に向き合うことをおろそかにしていたなと、姿勢を正されることとなりました。

次回は12月19日㈫です。