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3月 初級講座報告

2月は逃げていきました。やりたい事たくさんありますね。考えたい事たくさんありますね。去る3月は初級クラスでスタートしました。(もう一週間も前のことか…!)

手遊び う~めにうぐいす たけのこすいせん おひさまかがやくさんじょのじょ♪

1.さるの裁判 『ももたろう/語りの森昔話集5』語りの森

話のすじがおもしろくて、覚えようと思った。引っかかったところは、繋ぎ言葉。(ところが、けれども)自分の言葉に変わってしまって、覚えにくかった。

ヤンさん…この文章では、この言葉、こうきたら、こう、というものがある。ここは何で『けれども』なのか?と、考えてみると覚えられる。納得させるといい。語りが始まれば間違えても気にしない。間違えてリズムが変わって動揺してしまうと、伝えるべき大事な言葉を飛ばしてしまう。最後のさるの会話文「これで元どおりだ」が抜けていたが、これは大事な言葉。

2.老犬ズルタン 『語るためのグリム3』小峰書店

初めて読んだ時に、ズルタンを撃ち殺すというショッキングな事に身につまされた。定年退職を迎える人の境遇に重なる。また、主人のズルタンへの悲哀を思ったり、ズルタンの機微(表面上では分かりにくい心の微妙な動き)を感じ取った上での主人の言葉を思った。そして、ここでのオオカミはよき友、悪者ではないところが、オオカミ=悪者としてのキャラクターイメージが変わっていいいなと思った。

ヤンさん…自分がおはなしをどう受け止めるかは大事。自分の人生と重ね合わせて解釈することも大事。だけど、「役に立たなくなったから撃ち殺す」という事は、象徴的な話としてよくある事。ブレーメンの音楽隊もそう。農場などを営む主人と番犬。自然の脅威から生活を守る事の出来なくなった番犬はいらない、という大きな前提。動物と人間の関係を表している。オオカミのイメージについて、昔話雑学に詳しく書いてある。→ おおかみは悪者?

三匹の子ブタ、赤ずきん、七匹の子やぎでは、おおかみは悪者として出てくる。有名になって広く知られる話となっているが、その他で出てくるオオカミはマヌケな存在、ヨーロッパなどでは、ずる賢いきつねにオオカミがだまされる話が多い。

思い込みがあるかもしれないと思って、調べたり、考えなおしたりすると語りがまた変わってくる。語り方について、P68の真ん中、オオカミが「心配するな、…あすの朝早く、お前の主人は干し草狩りに出かける。そのとき、小さな子どももつれていくだろう。…おまえはそのそばに寝そべって子どもの番をしているふりをしろ。そしたら、おれがその子どもをさらってやろう。…おれがその子をはなしたら、その子を連れて帰るがいい…親たちはおまえに感謝するだろう。」この部分は、こうして、こうする、こうしたら、こうする、というふうに、教えるように語り、聞き手がその段取りを覚えていられるように語る。p70.3行目「ところでズルタン、わしが、おまえの主人の太ったひつじを一頭もらっても、目をつむっててくれるだろうな。…」何でオオカミがズルタンを助けたか、が分かる大事なところ。聞き手の納得感が変わってくる。そう考えていくと最後、オオカミのマヌケさが笑えてくる。

3.ありとこおろぎ 『おんちょろちょろ/語りの森昔話集1』語りの森

色んな話にチャレンジしようと思って選んだ累積譚。覚えて、通してみたら、意外なところでつまずく自分に驚いた。累積部分はリズムで覚えていけたが、こおろぎが今対している相手が誰なのかが分からなくなることが頻発した。(ブタ、ココヤシ、からす、めんどり、蔵、ねずみ、雌牛)なぜ?と考えたら、イメージが出来ていなかったことに気が付いた。以前ヤンさんに聞いた「イメージは背中に背負う」という言葉が腑に落ちたので、そこから練習しかない。また、言葉を間違えたが、言い直さずに語れた。

ヤンさん…語りについては、つな、毛、を立てること。何かわかるように。また、イメージをばちっと作っておくと、累積セリフの後も戻ってこられる。そして、イメージは背負う。人の顔見て、目の前に描くのは難しいから背負う。語りながら見えている。どうしても言葉の暗記に偏りがちだが、自分の中で自然とイメージする、見えてくる。聞き手はイメージしか受け取っていない。イメージがはっきりしていない語りは聞き手の中でぼんやりする。

4.七羽のカラス 『おはなしのろうそく10』東京子ども図書館

前の人の語りに引きずられた。練習していて、気になる言葉が出てきた。同じ人を言うのに、違う言葉がテキストででてくる。女の子、娘、妹。思いついたまま言うような語りになった。舌が回らなくなってきたことも自分で分かる。舌の運動をして気を付けたい。

ヤンさん…覚える時にはテキスト通り覚える。語りだしたら言葉が変わってしまっても、聞き手にはわからない。(変わっても支障のない言葉)そして、最後までストーリーを語る。それが出来ていた。私はお風呂で早口言葉の練習をしている。良い滑舌を保つために、舌の筋肉、口の周りの筋肉を鍛える。

5.ならずのナツメ 『読みがたり大阪のむかし話』日本標準

聞いたことがあった話。子どもが小学生の時、学校から借りてきた本。大阪弁の男言葉が馴染めず、そのままは嫌だなと思いながら…。「なにをいうたりまんねん。このナツメは、やれまへんな。…実も拾うことなりまへんで。」河内の国石川村の話。(現在の南河内郡河南町・富田林市の東隣)ネイティブではないので、難しいが、覚えたいと思った。老人クラブで語る予定。ナツメは懐かしいものという感じ。

ヤンさん…土地言葉と男言葉のテキスト。この場合なら「このナツメはあげられへん。」と、自分で決めて語ると良い。結局は日常語の勉強が必要になる。

この話は弘法さん伝説で、全国にたくさんある。(真心には報酬を、意地悪には罰を)子どもと家庭のための奈良の民話1(奈良の民話を語りつぐ会/村上郁再話)にも、弘法大師のはなし載せている。弘法清水、二度実るくり、弘法さんがくれたお茶、弘法さんとちまき、戦火の弘法大師。

6.足折れつばめ 『子どもに語る日本の昔話3』こぐま社

緊張して、つまってしまったところもあり、うまく語れなかった。小さな大工が家を建てる所はおもしろいところで、たったったったーと語った。

ヤンさん…なめらかな語りで、おもしろかった。せっかくの勉強だから、この場を利用してほしい。子どもの前での語りは?語り手:子どもに語る時は図々しくできる。 それなら、子どもたちと楽しんでみて。みんなの意見:誰でも緊張はする、間違えてもいい、良く見せようと思わない、石と綿と木のイメージで語る、胸のリンパを流す!

ヤンさん 酋長カイレ『ねむりねっこ/語りの森昔話集2』語りの森

癒しのおはなしの時でした。対面で、語り手のおはなしを全身で感じて味わう時、みんなの心が触れ合い重なる時。さまざまな芸術表現がありますが、おはなし会はその一つの形。この非日常を色んな人と空間的に共有することの大切さを肌で感じますし、おはなし会は、子どもにも大人にも必要な精神の糧となるのだと思います。そういえば、人間の日常も誰かのおはなしで溢れてますね…。世間話、新聞記事、ニュース、ドラマ、CMでさえ物語仕立てです。「さあ、自分の物語(人生)はどんなおはなしにしよう?」本質を含む良いおはなしを、語り手の全部を通して聞くおはなし会、そこにはもう愛しかないじゃないですか!?(笑)

そして、こうしたらいいかも、こんな練習してるよ、子どもの反応はこうだったなど、みなさんで気軽に話し合える場があることが、とてもありがたいことだなと思います。毎回、みなさんのおはなしに対する熱意に尊敬の念を抱きつつ、ひたすら集中して五感をフル活用して、書きとめることをしてきましたが、私の初級講座報告は今回で最後でした。報告のおかげで、私自身勉強をさせてもらいました。色んな出典を手にして読む機会もたくさん頂きましたし、おはなしの世界が少し広がりました。ありがとうございました。新メンバーさんお二人も加わり、今後も楽しみな初級クラスですね。

次回は4/12㈫です。

12月 初級講座報告

12月が走っています。そして、あちこちでクリスマス会が行われていますね。子どもたちの笑顔が見られる一時です。大人が手作りした素朴な時間。大人も楽しい。一緒に楽しんでくれる大人がそばにいることが大事だな~と感じます。

ヤンさん手遊び メリークリスマス

前に立つヤンさんは、色んなツリーが出来上がる様子をとても楽しんでいました(笑)

1.かもときつねとからす『語りの森昔話集4/おもちホイコラショ』語りの森

楽しく語れた。長い時間テキストと付き合った。毎月新しいおはなしをしていたので、今回のように2カ月くらいかける方がよいなと思った。時間をかけると違ってくる(語りの変化・成長)と感じられた。このおはなしは、「あるとき」で始まる。また、前の自分は、小がもが食べられることに抵抗があり、どんな風に語ればいいかと思っていた。(迷いがあるうちは語らない方がよいことも聞いていた)ある時、絵本作家・手島圭三郎さんの思いを知った。それは自然の法則を伝えること。生き死にを伝えること。このことをきっかけに、おはなしに対しての引っ掛かりが取れ、大事な話と思うようになった。語りについては、出てくる擬態語をついつい強調したくなるので、すっといきたいと思っていたが、村上さんの語り(下記に記載)を聞いて、分かった気がした。

ヤンさん

このはなしのテーマは、弱肉強食・無駄にはしない自然の中で生きる生き物から人間は学んで生きている。その自然の法則が昔話に残っている。昔話の中のテーマを大きく3つに分けると…1人間の生き方 2自然とはどんなものか 3自然の中での人間の生き方 (小澤さん談)こちらは2番、かちかち山は3番。擬態語について、関西人は擬態語が好き。音のおもしろさを子供は喜ぶ。語りでは自然に入っていたと思う。言い直しについて、とっさに出てしまった違う言葉がストーリーに差し支えない言葉なら、言い直さずに語る。気にせず先に進む。リズムが変わることになるので、後が崩れる心配はある。本番のつもりで、言い直さないで語る練習もすると良い。言い直したり、つまったりすると、聞き手と距離ができてしまう。丸暗記ではなく、語りを自分のものにする。

2.こびとのおくりもの 『語りの森昔話集1/おんちょろちょろ』語りの森

娘が3年生の時におはなし会で聞いてきて、「げっつようび、かっようび~♪」と歌っていたので、いつか語りたいと思っていた。練習時間がもう少し必要だった、自信の無さが語りに出た。娘の宿題の音読の内容が…「私が座右の銘にしたい言葉は『日々の積み重ねが自信をつくる』だ。…私がこの言葉を選んだのは、自分の自信の無さをどうにかしたいからだ」というもので、聞いた時切実に受け取った。語りの途中、歌っているうちにちょっと自信が無くなってきた。

ヤンさん

言い直しがあったが、言い直さなくてOK。このはなしは、歌で進む話。『こぶとりじいさん』も歌だが、歌が上手いか下手かになっている。こびとのおくりものは、明るく、歌って楽しむ話になっている。竹原威滋先生は『こびとのおくりもの』の研究していた。(グリム童話と近代メルヘン 三弥井書店 『第四章・グリム童話と民間伝承の東西交流』)語りは楽しかった、大人は一緒に歌わないからね(笑)、子どもは一緒に歌ってくれる。

3.ちょっとでかけるよ『語りの森HP』語りの森

聞き手を巻き込む語りをすることを考えに考え、大変だった。繰り返す言葉のちょっとずつ変化するニュアンス、テンポの良さは、練習で身に着くものではないので、村上さんの録音、紙芝居(偶然出会ったツボがとことこ)、役者の演技、最終的に落語を、聞いたり、見たりして、自分に取り込む努力をして、もうわからん出たとこ勝負のものだと思った。そして、力を抜くことに努力して、最初ツボを手に入れるまでに一笑いしてもらったら、なんとかいくと思い切った。おはなしとしては、取り過ぎている人から貧しい人へ、富の分配をするツボの正しい行為がテンポよく描かれていて、深いテーマをおもしろく聞けると思った。第三世界の人たちに対して、自分も旦那さん側であることを気づかされるはなしだと思った。

ヤンさん

「値打の無いものと交換していく」話が冒頭に入っている。しあわせハンス、ヘレーじいさん、パティルの水牛、とりかえっこ(ロシアの民話下)、父さんのすることはいつもよし(アンデルセン)。類話によってオチが違う。→こちら(しあわせハンス) →こちら(類話)雇い主が利益の多くを独占している、聖職者でさえも。そして、自分も。語り手が気付くと聞き手に伝わる、深いところで気付く(後でも)。答えを早く教えなくていい、手渡しておいて、自分の中で育てていって分かる時が来る。普段も気付いて、そうやって自然に理解していく。テレビなどでは、搾取する人物像が映像で描かれ、それを受け身で見るので「私は違うわ」と思ってしまう。

4.仙人の教え 『日本の昔話5/ねずみのもちつき』福音館書店

プライベートレッスンを受けていて、力み過ぎなのが課題だった。人格の中にあるものが、人物の会話文に現れるように語ろうと思った。息子が母親の目を治してもらおうと、苦労して仙人世界へ向かう、その途中で三つの頼まれ事を引き受ける。仙人には三つまでと言われ、息子は困ってしまう。母親の目のことを一番にきいてほしい自分(語り手)がいたが、他の3人の切実な願いを受け止めて練習した。4年生に語る予定。

ヤンさん

今回が2回目の本番だったので、そうやってこなれていく。その間に自分の中での学びがあり、回数を重ねることで語りが変わる。違う子どもに何回も語ると良い。内面の成長段階では、5年生がぴったりの話。「頼まれたことを先に聞いて帰ろう」という事が納得できる精神年齢に合わせる。頼まれたことを先に聞いて帰ることが大事、だけど、そう覚悟していく本人は欠如している、困っている葛藤は聞き手の中にある。「あんたやったらどうする?」と問いかけるように語る。欠如が充足しないと終われない。それが最後に大きな喜びに繋がる。『母親は、「どれ、どれ」といって、手さぐりで石の玉をさわりました。』この、描写の無いところが難しい大事なところ。そして、目が見えるようになる。『みるまに天から黒雲がおりてきて、大蛇は火の玉となって天にのぼっていきました。』ここは、ダイナミックに、黒雲と赤い火の玉が見えるように、ゆっくり語る。可能なら4年・5年・6年と語る。どの学年に合うか、吸い込まれるように聞くかを探ると良い。

ヤンさん語り ヘンゼルとグレーテル 『語るためのグリム童話1』小峰書店

三枚のお札 (日常語) 『日本昔話百選』三省堂

魔女と鬼婆がとってもよく似ていました!そして、「こっちへおいで~」と誘われて美味しいものを食べさせてもらい、寝させてもらう、小僧さんとヘンゼルとグレーテルも。三枚のお札になるまでに、日本にやってくるまでに、何がどうなったのでしょう~?!後ろの呪的逃走は、どこの国でくっついたんでしょう~?各国のおはなしを読んで知っていくうちに真相に迫っていけるかもしれませんね。今回も楽しいおはなし勉強会でした。初級クラスは、しばらくお休みですが、その間はあったかペーチカへあったまりに行きたいです。そして、その長い冬休み期間中に読んでおきましょうと、おはなしの本リストを頂きました。読んだらチェックの欄もあります!語りたいおはなし探し。前に読んだ時はそうでもなかったのに、語りたいと思うおはなしに再び出会えるかもしれませんね。そういう事って、あると思うんですが、その時とは違う自分になっているってことですもんね。自分が変わったことをおはなしが教えてくれるんですね!リストはおはなし入門クラスの時に頂いたものと同じだそうですが、たくさんありますよ~読み進めるのが楽しみです♪

次回は3月1日(火)です。

11月 初級講座

冷たい風が吹き、寒くなってきましたね。きたかぜ~こぞ~のかんたろう~♪が流れてきそうなお天気でした。

1.ものをいうたまご 『語りの森昔話集4/おもちホイコラショ』語りの森

普段は学童で「おはなし聞いてくれる?」と声をかけて、子どもに聞いてもらっている。その学童の子どもたちに聞かせるのによいと思った。また、おはなしのテーマの解釈が自分にも、すっと入ってきたので選んだ。よく似た文、少し違う文を覚えるのが難しいと感じる。

ヤンさん

文字面で覚えるのではなく、イメージで分かっていくと覚えられるしばらく行くと…、また少し行くと…、また少し行くと…、さらに行くと…、ようやくおばあさんの家につくと… 森の中を歩いて歩いて、ようやく着く。それをイメージして解釈していく。また、文が切れているので、点は無視して一息で言う。『ブランシが井戸まで行くと、一人のおばあさんに会いました。』切れると、その間で聞き手に考える隙を与えてしまう。その度に、「何かな?」と思ってしまう。切らずに言うと、聞き手がイメージできる。それを自分の課題にしたら語りが変わると思う。

2.三つの五月のもも 『語りの森昔話集2/ねむりねっこ』語りの森

言葉が自分のものになってない状態だった。自信がなかったので、慎重に、固めになり、だらだらしてしまった。終盤の『ところが、王様はまだあきらめようとせず…』で、聞き手がまだ続きがあるということ(最後の大事な部分)をうまく受け入れてくれるような語り方をしたいなと思う。

ヤンさん

語り手が大事と思って語ったらよい。まだあるぞ、ここからやで!という気持ちでいればよい。『三つの袋を真実でいっぱいにしなくては…』真実は見たり触ったりできない物、王様が不思議な事をいったぞ!?と子どもはまた引き付けられる。そこで、『キス、とんぼ返り、ろばのおしりにキス』の言葉を立てると『三つの真実』とが、ばちっと合って分かる。また、全体を通して言葉の重さが同じになっていた。テキストの文には、大事な文、そうでない文がある。聞かせたい文、繋ぎ文、気持ちの重いところ・軽いところがある。子どもは全部をばっと語られるとしんどい。力を抜くところでは抜くと、深みが出て語れる。そして、細かい部分では、『100匹のうさぎ、4日の間、』言葉を立てる。『地面に〈とびおりました、若者の前に〈ならびました』こちらを強調する。うさぎの行動の意外性を面白いと思って語る。

3.しんぺいとうざ『語りの森昔話集3/しんぺいとうざ』語りの森

娘のいる家の屋根に白い矢がささる、うちの家に白い矢が立ったのです、‘‘ささる、立つ‘‘に迷いがあるまま語っている。

ヤンさん

‘‘ささる‘‘はリアリティがありイメージしやすい。‘‘立つ‘‘は順番が当たる意味。使い分けて再話している。また、会話文をもう少し、話し言葉として語ると言葉が生きてくる。男の子の話し言葉はそのようにしているので、それに負けないように、お侍の話し言葉も工夫するとその方がおもしろくなる。そして、冒頭の説明文の後、間を入れて次の段落にいく。p72『真夜中、…』の前にも間を入れる。しーんという静かな間で、何が起こるのか?と思わせて、次の山場に入っていくとよい。

4.えんまさまの失敗『日本の昔話1/はなさかじい』おざわとしお再話

おはなし会で子供に語る予定。前の人の語り(しんぺいとうざ)を引きずっていたことに途中で気が付いた。集中できていなかったかなと思う。一字一句大事にしたいと思っていたが、とばしてしまった箇所もある。医者がえんまさまの腹の中でこう薬を貼って、神主、かるわざ師、医者が順に口から飛び出すシーンで、一人目、二人目は同じ言葉表現になっていて、三人目は違う表現になっている。一人目、二人目の語り方に違いを出した方がいいか、同じ調子で語った方がよいかと思っていた。

ヤンさん

ここは、図形的に語る場面で、切り紙細工のように口から飛び出す様子がイメージされる。昔話の平面性。1、2、3!の調子で、1,2は同じで良い。また、『か神主、かるわざ師、つるぎの山』の言葉を立てる。そして、つるぎの山を登る時の表現で、『すいすい』は滑っているのではなく、困難なく登る様子で語る。

 

Kさん手遊び 花さかんひらいた ジャンケン(遠野のわらべうた)

ヤンさん語り ひなどりとねこ 『子どもに聞かせる世界の民話』実業之日本社

 

ノート式おはなし講座p38~(詳しくはノート式をお読みください)

4.恐い話の語り方

子どもの心の中には得体のしれない物への恐怖心や、先が見えないことへの不安感があります。それをはっきり目に見えるものにして克服したいという無意識の欲求があるのでしょう。怖い話は子供にとって大事なんですね。「恐いはなしして!」という裏にそんな欲求があるとは。積極的に怖い話もレパートリーに入れたいです。

a.ジャックと豆の木、めし食わないよめさん、三枚のお札など、の本格昔話

子ども達は、はらはらドキドキしながら、怖さに耐えて聞きます。昔話では必ず主人公が幸せになり最後には勝つことが分かっているので、怖さに耐えて聞きます。次々おそいかかる危地から脱出するたびに、子どもたちは笑って喜びます。これは、緊張が緩和したときに起こる笑いです。

b.やまんばと桶屋、死人の手、九尾のきつねなど、子どもたちの好きな学校の怪談のような話

語り手は思いっきり楽しみながら、子どもたちの「こわがらせて」という欲求に、喜んで応えるといいです。この類の話はハッピーエンドとは限らないので、子どもを傷つけないように注意が必要です。

c.ちいちゃいちいちゃい、金の腕、くらいくらいなど、最後の一言で突然大きな声を発し驚かせる話。

間をとって恐さを感じさせる。…ヤンさんは、何の前触れもなく、『くらいくらい』を語り出しました。はぁこわかった~おもしろかった。強い感情をみんなと楽しむ、みんなと笑う、という事がとても大事で、特に固い雰囲気・場所でやることに意味があると思う、とのことでした。

 

同じ話を同じ人から、時間をおいて聞くという事を味わったことが、今回は印象的でした。おはなしに奥行きが出る、その意味を、体験を通して感じることができました。時間をかけて、ゆっくり育てていくんですね。ただ、自分の語りに限っては分かりづらいですけどね。楽しむ余裕がある語りで子供たちに手渡したいものです。ということは、語る予定がなくても過去のものを時々一人で語っておくことも後々大事ですかね。期間があきすぎると、完全忘却の恐れあり!新しいお話も覚えたいし、覚えた話を育てたいし…しかし、何事も早く得ようとすると空っぽになるといいますし、ゆっくり遊びながらおはなしの小道を歩いていきたいです♪

次回は12月14日(火)です。

10月 初級講座報告

4月を最後に対面では出来ていなかった初級クラス、にんまり再開しました。

1.とらとほしがき 『語りの森昔話集2/ねむりねっこ』語りの森

1番で語るのは気が楽ですね!その後、私はみなさんの語りをまったり聞くことができました。そして、語りについて…とらのユーモアなところを楽しむ語りになったらいいなという事が一つ。後半に入るところで、どろぼうが牛をねらって忍び込んでいる、とらが牛小屋に入っていくと、どろぼうは牛と間違えてとらのせなかにとびのる、この場面を聞き手がイメージできるように意識して語った。

ヤンさん…とらが子どもをさらっていくのは諦めて、牛をおそうことにしたところを、そのように語りの雰囲気を変える。その上で、しっかりイメージして語れば聞き手に伝わる。とのことでした。

2.仁王さまと夜遊び 語りの森HP

個人レッスンで一度ヤンさんに聞いてもらったはなし。その時は、おばあさんがおならをした後「におうか?」と聞いて仁王さまが「仁王か」というが、洒落だとすぐに分からないかもしれないと思い、この度テキストをいじってみた。「におうか、仁王か」…とイントネーションを変えて2回言う事をこの場で試してみたとのことでした。

ヤンさん…聞き手の子どもがその時分っても良い、後で分かっても良い。わかったか?今のしゃれやで!と言ってもいい。聞き手への理解の程度(全体のどのくらい)は語り手が決めて良い。ちょっと全体的に語りが上品だったかな、最初ないしょ話のようにしていたのはなんで?

語り手さん…『おもしろいはなしやで』という雰囲気の自分の語りを抑えて、聞き手に任せるようにした。

ヤンさん…そういう事なら、おばあさんのおならから雰囲気を変えて語って、はじける意外性で笑わせるような、ねらった語り方でも良い。それでも語りは、色を付けずに語る練習をして、子どもの前に出して、子どもの反応で語りが決まるもの。子どもへの問いかけで定着する間がある。

3.なぞの歌 『日本の昔話2/したきりすずめ』おざわとしお再話

歌が語りづらい。心情に訴えかけるような、若い二人が恋に落ちるストーリー構成になっている。そんな中で度々出てくる歌『恋しくば、たずねきてみよ十七の国。くさらぬ橋のたもとにて、夏鳴く虫のぼたもち』この大事なポイントとなる歌を、言い方を変化させて語ろうと思った。

ヤンさん…歌が大事になるので、考えたりせずに、さらっと語る。特に一番最初は、ゆっくり和歌らしくなめらかに語る。聞き手に、なんやろか?と思わせるようにする。また、若者が座頭さんに尋ねた時の、座頭さんのセリフとしての歌は聞き手に説明するように、はっきり相手に伝わるように語る。

4.犬とねことうろこ玉『子どもに語る昔話1』こぐま社

語りを聞いた時におもしろいなと思って覚えた。長らく初級クラスを休んでいたが、また参加できるようになり勉強したい。

ヤンさん…以前の語りとは違って、言葉の切れ目はなくなっていたと思う。自分の癖は自分で聞くと分かるので録音して聞いてみるのも良い。一方で、なめらかになりすぎていて、起伏がない気がした。聞き手に聞かせるのに、おもしろいところ、山場をつかんで語る。この場合は前半・後半と二つの山場があり、後半の山の方が高い。なので、この山の頂上に向かって語っていく。また、テキストの一文一文のおもしろさに違いがあるので、自分の心も動かしながら聞き手が興味を持つように語る。ここが大事!というところを意識して語る。小さなおもしろいところは聞き手が見つけてくれる

しっかりした長い話は、『テキストが求める間』で語る。また、長い話は、自分の解釈に自信を持ちがちになるので、どう~?という聞き手への問いかけのように語る。

5.白雪姫『語るためのグリム童話3』小峰書店

時間があったので、ジミーさんがリクエストに応えて語ってくれました。

ヤンさんの語り カメの笛『ブラジルのむかしばなし1』カメの笛の会編 東京子ども図書館 手遊び どんぐりころちゃん

ノート式おはなし講座 語りこの愉しい瞬間p36

語り手が仕掛ける間…聞き手が求める間をつかむことが大事であって、子どもとの関係性も出来ていないといけません。子どもの目を見て、分かっているな、分かっていないな、ということが、語りながら分かるようになるので、どの程度の理解で済ますかは自分で決めて、その自然にできるポーズが間となります。敢えて間をおいて仕掛ける事もできます。

笑い話の語り方…笑い話も怖い話も間がすべてです。ヤンさんの『ホットケーキ』失敗談では、笑わせようと意識しすぎて、イメージを伝えきれなかったそうです。笑わせたい気持ちを優先したために、聞き手が返してくる間を待って返せなかったとの事です。イメージを伝えることを基本に置いたうえで、聞き手の返してくる息づかいを落ち着いて読み取り、聞き手の求めているものに誠実に返せば、間が生まれます。

『間』については、初級クラスには早いかな~とヤンさんは言われていましたが、知っておいた上で、実践に臨めるのはありがたいですね。失敗したり、なんかうまくいったりした理由が、その場で理解できる訳ですから、納得して次に向けて練習できます。うーん、聞き手とのやりとりができるようになったら、本当の「語り」ですね。おはなしを覚えてイメージを伝えて、最後まで行くことがなんとかできる段階では、おはなしの醍醐味に到達してないわけですね。難しい!ノート式タイトルにもあるように 語りこの愉しい瞬間 に向かって進んでいきたいです。

この度も盛り沢山な内容で、おなかいっぱいになりました。そして、初級講座が行われていなかった間に、自主トレ会の開催や、zoom活用などのおかげで、気持ちが途切れることなく、この10月再開に繋げる事が出来たように思います。心を寄せて行動してくれるヤンさんやみなさんに感謝です。その自主トレ会が新たな形となり「中級・初級クラス合同の語りの場」となって定期的に行われる運びとなりました。クラスの垣根を越えてのおはなし会・交流の場となります。楽しみです。

次回、初級講座11/9(火)

9月 初級講座報告

会場が使用できない状況でしたので、初級クラスとしては初めてのオンライン勉強会となりました。4月の初級講座以来、ヤンさん自身がみなさんと会えていなかったこともあり、思い切ってオンライン勉強会をして頂きました!パソコンを前にして語るのは難しい、どこを見ればよいかわからない、変に雑念がわく、対面より緊張しない、いや緊張する!などなど、人によって色々感じる事があるかと思います。画面越しではありますが、マスク無しでみなさんにお会いできる点では、ありがたいツールですね。

 

1.うりひめの話『ねむりねっこ/語りの森昔話集2』語りの森

2.かめのピクニック『ねむりねっこ/語りの森昔話集2』語りの森

3.三枚のお札『ねむりねっこ/語りの森昔話集2』語りの森

4.ねこのしっぽ『おもちホイコラショ/語りの森昔話集4』語りの森

5.しんぺいとうざ『しんぺいとうざ/語りの森昔話集3』語りの森

6.油取り『しんぺいとうざ/語りの森昔話集3』語りの森

 

ヤンさんの語り アリョーヌシカとイワーヌシカ 『まほうの馬 A・トルストイ文』岩波書店

 

ヤンさんからのアドバイス

ちょっとした時にそばにいる子どもたちに語る場合

子どもが反応して声をだしてくるので、それにしっかり応えてあげて、最後まで語ること。語り手には語る責任がある。そうやって語っていくことで、こなれてくる。

練習について

昔話は耳で聞かれてきたもので、言葉と言葉の繋がりがある、言葉による文学。テキストを覚える時、なんでこの言葉なのかを考えると良い。全部覚えてしまったら、そこからが出発。練習練習、また練習。ウォーキングしてても、掃除してても、料理してても、声に出してぶつぶつ練習。テキストを身体に入れる。そうすると、おはなしが自分のものになり、モティーフなどが理解できるようになる。そのおはなしの風景に自然と入れるようになる。また、自分の実際の経験も重なる。これから先も、この覚えた話から得られるものがあると感じられる。

→おはなしの練習

笑い話 ねこのしっぽ

連鎖譚で、みんなで最後に笑う話。ねこは善悪の両方を持ち合わせたトリックスターの存在。笑って許されるのが昔話で、「えー!おかしい~!」と思われるような語り方をする。

→トリックスター    →笑い話

怖い話 油取り

怖い話を求めている子、本当に怖がってしまう子、子どもに合わせてどんな風にでも語れるようにするのは良い。最後には、夢だった!となるから。本気で語ると怖いから、怖がらせて楽しめる話として語る。

→怖い話

オンラインで聞く楽しいおはなし会でした。みなさんの姿に私も元気づけられて、モチベーションも上がりました。増えた自分の時間をどのように使うか。なんのために、なにを、どれくらいするか、自分で決めて取り組むことの再確認ができましたように感じます。今のうちに、おはなしのレパートリーを増やしつつ、お話を育てるための勉強会を続けたいですね。

次回は10/12(火)の予定です