10月 初級講座報告

4月を最後に対面では出来ていなかった初級クラス、にんまり再開しました。

1.とらとほしがき 『語りの森昔話集2/ねむりねっこ』語りの森

1番で語るのは気が楽ですね!その後、私はみなさんの語りをまったり聞くことができました。そして、語りについて…とらのユーモアなところを楽しむ語りになったらいいなという事が一つ。後半に入るところで、どろぼうが牛をねらって忍び込んでいる、とらが牛小屋に入っていくと、どろぼうは牛と間違えてとらのせなかにとびのる、この場面を聞き手がイメージできるように意識して語った。

ヤンさん…とらが子どもをさらっていくのは諦めて、牛をおそうことにしたところを、そのように語りの雰囲気を変える。その上で、しっかりイメージして語れば聞き手に伝わる。とのことでした。

2.仁王さまと夜遊び 語りの森HP

個人レッスンで一度ヤンさんに聞いてもらったはなし。その時は、おばあさんがおならをした後「におうか?」と聞いて仁王さまが「仁王か」というが、洒落だとすぐに分からないかもしれないと思い、この度テキストをいじってみた。「におうか、仁王か」…とイントネーションを変えて2回言う事をこの場で試してみたとのことでした。

ヤンさん…聞き手の子どもがその時分っても良い、後で分かっても良い。わかったか?今のしゃれやで!と言ってもいい。聞き手への理解の程度(全体のどのくらい)は語り手が決めて良い。ちょっと全体的に語りが上品だったかな、最初ないしょ話のようにしていたのはなんで?

語り手さん…『おもしろいはなしやで』という雰囲気の自分の語りを抑えて、聞き手に任せるようにした。

ヤンさん…そういう事なら、おばあさんのおならから雰囲気を変えて語って、はじける意外性で笑わせるような、ねらった語り方でも良い。それでも語りは、色を付けずに語る練習をして、子どもの前に出して、子どもの反応で語りが決まるもの。子どもへの問いかけで定着する間がある。

3.なぞの歌 『日本の昔話2/したきりすずめ』おざわとしお再話

歌が語りづらい。心情に訴えかけるような、若い二人が恋に落ちるストーリー構成になっている。そんな中で度々出てくる歌『恋しくば、たずねきてみよ十七の国。くさらぬ橋のたもとにて、夏鳴く虫のぼたもち』この大事なポイントとなる歌を、言い方を変化させて語ろうと思った。

ヤンさん…歌が大事になるので、考えたりせずに、さらっと語る。特に一番最初は、ゆっくり和歌らしくなめらかに語る。聞き手に、なんやろか?と思わせるようにする。また、若者が座頭さんに尋ねた時の、座頭さんのセリフとしての歌は聞き手に説明するように、はっきり相手に伝わるように語る。

4.犬とねことうろこ玉『子どもに語る昔話1』こぐま社

語りを聞いた時におもしろいなと思って覚えた。長らく初級クラスを休んでいたが、また参加できるようになり勉強したい。

ヤンさん…以前の語りとは違って、言葉の切れ目はなくなっていたと思う。自分の癖は自分で聞くと分かるので録音して聞いてみるのも良い。一方で、なめらかになりすぎていて、起伏がない気がした。聞き手に聞かせるのに、おもしろいところ、山場をつかんで語る。この場合は前半・後半と二つの山場があり、後半の山の方が高い。なので、この山の頂上に向かって語っていく。また、テキストの一文一文のおもしろさに違いがあるので、自分の心も動かしながら聞き手が興味を持つように語る。ここが大事!というところを意識して語る。小さなおもしろいところは聞き手が見つけてくれる

しっかりした長い話は、『テキストが求める間』で語る。また、長い話は、自分の解釈に自信を持ちがちになるので、どう~?という聞き手への問いかけのように語る。

5.白雪姫『語るためのグリム童話3』小峰書店

時間があったので、ジミーさんがリクエストに応えて語ってくれました。

ヤンさんの語り カメの笛『ブラジルのむかしばなし1』カメの笛の会編 東京子ども図書館 手遊び どんぐりころちゃん

ノート式おはなし講座 語りこの愉しい瞬間p36

語り手が仕掛ける間…聞き手が求める間をつかむことが大事であって、子どもとの関係性も出来ていないといけません。子どもの目を見て、分かっているな、分かっていないな、ということが、語りながら分かるようになるので、どの程度の理解で済ますかは自分で決めて、その自然にできるポーズが間となります。敢えて間をおいて仕掛ける事もできます。

笑い話の語り方…笑い話も怖い話も間がすべてです。ヤンさんの『ホットケーキ』失敗談では、笑わせようと意識しすぎて、イメージを伝えきれなかったそうです。笑わせたい気持ちを優先したために、聞き手が返してくる間を待って返せなかったとの事です。イメージを伝えることを基本に置いたうえで、聞き手の返してくる息づかいを落ち着いて読み取り、聞き手の求めているものに誠実に返せば、間が生まれます。

『間』については、初級クラスには早いかな~とヤンさんは言われていましたが、知っておいた上で、実践に臨めるのはありがたいですね。失敗したり、なんかうまくいったりした理由が、その場で理解できる訳ですから、納得して次に向けて練習できます。うーん、聞き手とのやりとりができるようになったら、本当の「語り」ですね。おはなしを覚えてイメージを伝えて、最後まで行くことがなんとかできる段階では、おはなしの醍醐味に到達してないわけですね。難しい!ノート式タイトルにもあるように 語りこの愉しい瞬間 に向かって進んでいきたいです。

この度も盛り沢山な内容で、おなかいっぱいになりました。そして、初級講座が行われていなかった間に、自主トレ会の開催や、zoom活用などのおかげで、気持ちが途切れることなく、この10月再開に繋げる事が出来たように思います。心を寄せて行動してくれるヤンさんやみなさんに感謝です。その自主トレ会が新たな形となり「中級・初級クラス合同の語りの場」となって定期的に行われる運びとなりました。クラスの垣根を越えてのおはなし会・交流の場となります。楽しみです。

次回、初級講座11/9(火)

3 thoughts on “10月 初級講座報告

  1. ウーカーさん、いつも詳しい報告をありがとうございます。
    ほんとに久しぶりでしたね。
    この調子でコロナが収まってくれたらいいのになあ。
    でも、このコロナ禍のおかげ(?)で、自主的なつながりが生まれたのは、とっても心強いことです。ありがとうね。
    みんなで手をつないでいこうね(❤´艸`❤)

  2. ヤンさんコメントありがとうございます。今後のおはなし活動がとっても楽しみです。がしかし、10月に入って色々と再開されて、嬉しい悲鳴があちこちで上がっているのではないかと察してしまいます。筋力が落ちている、疲れやすい、休みすぎて体がなまっている(笑)!みなさんのおはなしを心の栄養にして、(筋トレやウォーキングもして)元に戻します♪

  3. ウーカーさん、報告をありがとうございました。
    ほんとにみなさんと対面で勉強するのが久しぶりでした。
    会えてうれしかった。
    みなさんの語りを聞いていると、長いあいだ勉強会がなかったことを忘れて、ずっとやっていたような気持ちになりました。
    おはなしの世界に入りこむ心地よさを感じられました(^_^)

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