「日記」カテゴリーアーカイブ

お話はいつ完成するのか?

長いことやっていると、おはなしを始めたころに覚えたおはなしたちも、まだ現役でプログラムに登場します。
たとえば、さっき子どもたちに語ってきた「うりこひめ」。先週図書館で語った「三枚のお札」。
そのおはなしたちは、語るたびに新鮮です。

それは、聞き手が違うから。そして、私が人として成長し続けているから。
おはなしは、人間の魂と関わるもの、人の心の深いところと関わるものです。

30年前と今とで、わたしは人として、ちっとも変っていないものを持っているし、ずいぶん変化進化したと感じる部分もあります。そのどちらにも、おはなしは深くかかわってきます。
おはなしは、まるでチャイナマーブルのように、バウムクーヘンのように、層をなして成長していきます。
あ、木の年輪ですね。

もう語らなくなったおはなしもたくさんあります。それらは地面に堆積して肥料となり、他のおはなしの栄養になります。
現役のおはなしは、いま250話ほどあります。
250本ではまだ森とは言えませんね。林です。
この林はまだまだ大きくなるはずです。植えたい木がいっぱいありますから。

そして、一本一本が成長します。太く、高く。

みなさん、これでこのおはなしは完成したって思うこと、ありませんか?
そう思ったとたん、テクニックに堕してしまって、その木はそれ以上大きくなれません。

おはなしを上手に語ろうと思わないこと。
上手なわたしを見て!といっても、だれもそんなもの見たくもありません。
子どもたちはおはなしの世界を見たいのです。

なんのためにおはなしを語るのか。
その根本をつかんでいないなら、いくら「上手」でも、語り手失格です。
子どもの前に立ってはいけません。

精進している限り、おはなしは完成しません。

なんでいまさらこんなこと書いてるんや~?
はい、もの想う晩秋です。

昔話絵本 📗

昔話は、たいていの大人が知っている(と思っている)し、売れば創作物よりよく売れて当たりはずれがないし、ものすご~くたくさんの昔話絵本が出ていますよね。
350円で買えるくるくる回る棚に並んでいるのとか、いかにものアニメ調のとか、いかにものかっわい~、スリスリしたくなるようなこぶたちゃんのとか。
大人は、子どもが喜ぶから買うんだけれど、みなさんは、いったいどんなものを選んでいますか?

たとえば「三匹のこぶた」。
テレビの人形劇になってたり、ディズニーのアニメになってたりする影響かなあ、ストーリーの異なる「三匹のこぶた」絵本がどれだけたくさん出版されていることか!
いぜん、がらがらどんで調べたのね。で、「三匹のこぶた大会」って銘打っておはなし会もしたのよ。
それからもう6年もたったので、きっとみんな忘れちゃってるだろうな。

ところで、去年、市立図書館の絵本の読み聞かせ入門講座のあとに「絵本の会」っていう絵本サークルが生まれたの。
で、来年2月に、そこの主催で「昔話絵本を考える」という勉強会をすることになった。
ヤンが講師です。
これって、難しいテーマなんだけど、現状を放っておくわけにはいかんよねって、司書さんとも言ってたの。で、やろうと思った。

「三匹のこぶた」だけじゃなくて、いろいろな昔話絵本を実際に見ながら、どこがダメなのか、なぜダメなのかを考えてみたいと思います。
みなさま、お誘いあわせの上、ぜひお越しください。いっしょに考えましょう~

日時は、2017年2月1日(木)10じ~11:30
募集要項ができたら、ホームページにもUPします! 🐷

30周年 

いやぁ、人気歌手でもないのに、はずかしいのですがね。
まあ自分のホームページやし、自分のオメデトウやしね。
あのね、さっき息子から電話があってね。気付いたのですよ。おはなし始めて30年目だと。
あ、電話はいつものように野暮用、お金の話やったけど(笑)

30年前のちょうど今頃、息子におっぱい飲ませながらおはなし入門講座を受けていたの。
こんなに長く続けるとは思わなかった。
そのころ、市内では語る場が皆無だったのね。
それで、受講生たちでサークル作って、まず語りの場を作るところから始めたの。
そう、わたしたち、パイオニアだった(笑)

最初は地域文庫、次に図書館分館。
ほんと、その頃は子どもたち、聞いてくれなくてねえ(笑)
分館なんか、子どもがだれも聞きに来てくれなくて、わが子だけっていう日々が続いたなあ(笑)
その頃の仲間でまだおはなしを続けている人はひとりだけだけど、わたしにとっては特別の存在ですね。

え?
子どもが来ないって、諦めたかって?
いえいえ、月1回を月2回に増やし、それでもだめだから毎週に増やしたの。
そうすると、土曜日の午後に図書館に行けば必ずお話をしてくれるって浸透してね、少しずつ来る子が増えていった。
語り手も、回数が増えるとその分経験を積むわけで、だんだん慣れていったんだと思う。どんな話をどう語れば聞いてくれるかわかってくるの。
教えてもらうにも先生はいないし、先輩さえもいなかった。
そう、わたしたちはパイオニアだった!
若かったなあ~
まだ30代前半だった、信じられる?

いまでは、中央図書館ができ分館もふたつになり、3館ともおはなし会をしている。
幼稚園、小学校、学童保育。子どものいるところでは、たいていおはなし会がある。
「市内のすべての子どもにおはなしを!」ってひそかにささやかな決意を秘めてがんばったんだけど、もくろみ通りにいったぞ(笑)
たくさんの子どもたちと幸せな時間が過ごせた。
たくさんの良い出会いがあった。
だれに、何に、感謝していいかわからないほど感謝の思いでいっぱい 
いままでありがとう。これからもよろしく。

30年後、たぶん私はこの世にいないだろうけど、今年入門した人が、30周年を迎えてくれていたら、うれしいな。
それが何よりのご褒美かも。
いや、「おれは三段目を上っている、ピエトリン・ピエトルッチョ!」って叫びながら、入れ歯を飛ばしているかもしれない 

お~い、Kさ~ん。
わたしたち、30周年だよ~ 

ICOCA買った 💳

マイカー代わりの路線バスがね、バスカードを廃止することになったの。
小銭がないときも楽だし、1000円で1100円ぶん乗れるし、昼間は3000円で3600円ぶん乗れるし、有難かったのにな~
あ、30年前は回数券やってん。紙製の。10回分の値段で11枚つづりのやつ。ビッてやぶって運賃箱に入れてね。
ああ、なんてアナログな世界やったんやろ。
でも、バスカードになったとき、何駅分でも一枚のカードでOKで、なんて便利なんやろって思った。

バスカードはなくなるけど、ICOCAかPiTaPaならポイント還元がありますってチラシにあったから、さあ、いよいよICOCAを買わんならん。

バス会社に行った。
わたし「あのう。ICOCAください」
おねえさん「ICOCAはお隣のJR窓口で買ってください」
わたし「バスに乗りたいんですけど」
おねえさん「はい、JRで買って、こちらに持ってきてくだい」
わたし「・・・・?」
すなおなわたしは???のままとなりのJR駅券売機でICOCAを買った。
わたし(バスに乗りたいのに)
わけわからんままに、とりあえず手続き完了。
ドキドキしながらバスに乗る。
ああ、これやな、この四角。
ピッ
やった! かっこいい!

そうだ、思い出した。
40年ほど前、JR駅改札で友人と待ち合わせていたときだ。
まだ自動改札が珍しかったころだ。
ひとりの紳士がおもむろに定期券を自動改札機に見せた。
がちゃん。無情にもひっかかった。
目撃者はわたしひとり。
うら若き乙女のわたしは笑いが止まらなかった。

ごめん、しょーもない話で。

雌牛のブーコラ 🐄

先先週更新した「外国の昔話」の「雌牛のブーコラ」。
アイスランドの昔話です。
中級講座で呪的逃走のモティーフのある話を集めてるんだけど、その中で見つけました。
じつは『おはなしのろうそく』にも『新編世界の昔話 北欧』にもあるんだけどね。いちから再話したかったの。
好きな話は自分の満足いく形で語りたくって。

で、何度か語ってるんだけど、きょうの録音がいちばん聞き良い状態だったので、いま更新しなおしました。
聞いてみてください。
子どもたちがおもしろいのよ~💗
ブーコラがさらわれたっていうだけで、「え~っ」ってびっくりしてくれるし、おべんとうの三回のくりかえしはちゃんとクレッシェンドで笑ってくれるし。三段弁当だって(笑)
昔話の語法を知ってるの?って思うような反応も返してくれる。
しかも、想像が楽しい。

しかも賢い(笑)
「三枚のお札」といっしょだって、わかりましたよ。
アイスランドと日本で同じ話があることを考えると、人間ってどこでもいっしょなんだなって思う。そうは子どもたちに言わないけれど、記憶のどこかに残っていて、何かの拍子に気がついてくれたらいいなと思う。
アイスランドの子と日本の子が、おたがいに全然知らないのに同じ話で笑うんだって。それが人間。それが平和だって。

好きな話を見つけて再話して語り、子どもたちがよろこんでくれる。
もっともっとたくさん面白い話を見つけたいし再話したいし語りたい。
心が温かいものでいっぱいになる秋のおはなし会シーズンです。