手前で曲がればよかったのだ。
後悔したときにはすでに目の前に電信柱が迫っていた。
なぜいつものようにリンリンと鳴らしてゆっくり右に曲がらなかったのか。
記憶がない。
ぶつかる、と思った瞬間からの記憶はスローモーションで残っている。
ブレーキをかけた。
首ががくんとゆれた。
お、頭って重たいんや。
これは、このまま倒れたほうが賢明だ。
スキーの要領で、左にこけた。
しかし、下は雪ではない。
舗装道路は、硬い。
痛くはない。
が、なぜか起きあがれない。
横たわっていると、むこうから、工事のお兄ちゃんがふたり、走ってきてくれた。
「だいじょうぶですか」
「あ、ありがとうございます。だ、だいじょうぶ・・・」
「送りましょか。家どこですか」
「すぐそこです。だいじょぶです」
むりやり起きた。
ありがたいことだ。
そして、ほんとにだいじょうぶだと思ったのだ。
このまま図書館のおはなし会に行こうと思ったのだ。
が、からだががくがくふるえはじめた。
なんでや~!
けっきょく病院で時間外治療した。
先生「軽傷ですね」
わたし「あ、軽傷ですか」
むち打ちは軽くすみ、左半身の擦り傷と打撲ですんだ。
けど、三日たった今日、あっちもこっちも痛い痛い。
とつぜん、おはなし会を代わってくださった、おらふさんジミーさん、ありがとうございました。
われらがらがらどんは不滅です。
あ~あ、気をつけよう。
ヤン