今年は、暑くても図書館やスーパーに逃げ込めないから、たいへん(⊙x⊙;)
家のクーラーって、なんかしんどくなりません?
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マックス・リュティ『昔話の本質』報告
第7章ラプンツェル-昔話は成熟の過程を描いたものである つづき
ラプンツェルのどの類話も晴れやかな気分で語られているのに、グリムは違う。
特に、結末。
荒野に追放されたラプンツェルは双子を生む。
王子は絶望して塔の窓から飛び降りて失明する。
数年後、二人は再会して、ラプンツェルの涙によって王子の目は開く。
これはグリム独特で、どの類話とも異なっています。
なぜか。
グリム兄弟は、18世紀の小説家フリードリヒ・シュルツの作品の中にこの話を見つけました。小説です。
グリムさんは、この小説は、もともと民衆の間で語られていたのをシュルツが飾り立てて小説にしたのだと思い込んだのです。
そして、これを縮めて純化すれば、もとの昔話を取りもどすことができると信じたのです。
グリムさんは、いろんなところに、ドイツ本来の昔話を求めていたんですね。
ところが。
シュルツの小説は、フランスの仙女物語の翻訳だった。
え!ドイツでない!
グリムさん、知らなかったんです。
しかも、その仙女物語は、ルイ14世に仕える女官ド・ラ・フォルスが、1698年にフランスの昔話をもとにして空想でこしらえたものでした。とくに結末は、完全にフォルスさんが考えたものだったのです。創作。
グリムさん、知らなかったんですよ・・・
リュティさんはいいます。
真の昔話は聞き手の形式感覚、視覚的空想、リズム感に訴え、滑稽を容れる余地もある。ところが、グリムのラプンツェルの話には滑稽が少しも感じられない。
でもね、それでも、グリムのラプンツェルは世界中の多くの人々の心をとらえてきた。それは、グリム兄弟の手腕。
17世紀の仙女物語を昔話の文体へ移し替えたのです。
ラプンツェルはグリム童話集の中でも最も人気のある話のひとつです。
「ラプンツェル、ラプンツェル。おまえの髪をたらしておくれ」
この韻文には、たいそう古風な魔法めいた響きがあります。だから、みんなは、大昔の語りの名残だと思い込み、この昔話がいかに古いかという証拠にしていました。
でも、この韻文は、グリム兄弟が作ったものだったのです。
グリム兄弟のラプンツェルは新しいです。
でも、ここまでリュティさんが紹介してくれた数々の類話は、世紀から世紀へ口頭で伝えられた古い昔話にさかのぼるものであり、その起源は太古の闇に消え、その作者については何も知られていない。
はい、ラプンツェルはこれでおしまい。
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8月も後半。
暑さのがまんも後しばらく。
月末には幼稚園のおはなし会が待ってるし、がんばらなくちゃo((>ω< ))o
みなさまもくれぐれもご自愛のほどをφ(* ̄0 ̄)