日別アーカイブ: 2021年1月22日

第13回昔話の語法オンライン勉強会

1月19日に行われました「昔話の語法オンライン勉強会」の報告をさせていただきます。
これは12月に図書館で行われた「第13回昔話の語法勉強会」と同じものです。
12月に、都合で行けなかった、遠方で来れない、家を空けられない、復習のため、などなど諸事情もろもろのご要望にお応えする形で、同じ講座をオンラインで、行って下さいました。(ですので、先日のジミーさんのレポートと被りまくりですが、ご容赦いただけますようお願い申し上げます)

ヤンさん、今回も楽しい講座をありがとうございます!

まず、予習としてHPの語りを聞いておく。
あらかじめ頂いていたテキストを印刷し、
そこそこのトップスに着替え、
まあまあの背景を探し、
パソコンの前に座り、時間になったら講座が始ます。
(なんだかとっても余裕な感じです)

 

今回はまほうの鏡で語法の勉強をします。
(出典『語りの森昔話集1おんちょろちょろ』)

まず、昔話の「語法」とは何か?なぜ、「語法」を勉強するのか?
昔話には、耳で聞いて分かりやすい、言葉の並びや使い方があります。
この、言葉の法則や文法が「昔話の語法」です。
読む物語(本)では、遡ってみることができます。
でも昔話は音楽と同じでどんどん流れて行ってしまいます。
耳で聞いてすぐにイメージできなければ、あっという間におはなしに置いて行かれてしまいます。
そうならないように、
子どもや孫や愛する人におはなしがちゃんと伝わるように、
工夫されて、そぎ落とされ、整っていったものが「語法」です。
そう、「語法」は「」なんだ~!
(以前にこの言葉をヤンさんから聞いた時、感動しました!)
そしてこの「語法」は、世界中の昔話に見つけることができます。
(そう、世界は愛で溢れています!昔話を語ろう!)

「語法」をちゃんと勉強して、子どもたちに伝えたい!と思い、
私は毎回、意欲満々でヤンさんの「語法の講座」を受講しております。

そして、語法を勉強し、理論的に分かっていれば、テキストに手を入れられます。
どうして聞き手の子どもたちに伝わらないのか、どこが分かりにくいのか、がピンとくるようになってきます。
たいへん面白いです!

本題の「まほうの鏡」にいくまでにずいぶん長くなってしまいました。申し訳ありません。
早速参りましょう。

テキストの中にある、たくさんの語法指摘・解説を、全部は無理なので抜粋してレポートします。

おはなしの冒頭
「昔むかし、あるところに、ひとりの狩人がいました。」
昔話では冒頭で、時・場所・人物を不特定に語る
➡これはウソ話だよ、ファンタジーだよ、と宣言して始める。

毎日森へ狩りに」
「えものはいっぴきもとれませんでした」
なんでも見えるまほうの鏡」
みな失敗して」
世界じゅうさがしましたが」
完全性
➡曖昧さは無い。ハッキリしている。ゆえに聞き手がイメージしやすい。

「ある日のこと」
昔話では事件が起こる時には「時」を特定する
(「ある日のこと」と言うと聞き手の子ども達はフッと集中する。そのように語りましょう)

「森」「海辺」「野原」「お城」
➡どんな森か?どんな木が生えている?広さは?どんな生き物がいる?など詳しく描写しない。名指すだけ。聞き手は自分の知っている「森」を想像できるので、だれもがみな自分なりのおはなしの世界を楽しむことができる。
抽象性

「ひとりの狩人」
「大きな魚がいっぴき」
孤立性

「すなはまに大きな魚がいっぴき、うちあげられてもがいていました。狩人は、魚を海の中に投げもどしてやりました。」
内面描写をしない
➡狩人が何を思ったか?どう感じたか?を言わない。人物の行動で表す。
(人物の感情や性格、考え・人柄などは聞き手が感じることである。物語は聞き手の中にある~)

「魚が、『お礼に、何をさしあげたらいいでしょう』といいました。」
➡魚がしゃべるが、驚かない。彼岸(魚)と此岸(狩人)の断絶がない。
一次元性

「そのうろこを燃やせば、すぐにあなたのもとにかけつけますから」
彼岸者との約束(贈り物)

昔話では三回の繰り返しが多い(好まれる) この時、同じ場面は同じ言葉で語られる
➡耳で聞いて流れていくので、ページを戻ることはできない。聞いたらすぐイメージできるように、同じ言葉で。

魚(うろこ)→わし(羽)→きつね(毛)
昔話は、出てきた通りにできごとがおこる。芸術的(文学的)節約

魚→深い海のそこへもぐっていく
わし→天のはてまでとんでいく
きつね→あなをほる
それぞれの属性にぴったりの行動(助け方)をする

昔話は主人公の幸せ(結婚・身の安全・富の獲得)に向かって一直線に進んでいく
そのための言葉の使い方・筋立てが語法である。
ほら!昔話は『』ですね~!!

 

そして、語法ではありませんが、、、
このおはなしを再話されたヤンさんからこぼれ話、、、
子どもの成長を物語っているおはなしはたくさんあるが、ぜひこれを子どもに語りたいと思った理由。
主人公が最後にきつねに
「お姫様の座る椅子の下まで穴を掘ってくれないか」と頼むシーン
他力本願だった主人公が最後は自分で考えて行動して(頼んで)いる!
成長している!
ものすごく分かりやすく表現されている!!
実際に子どもに語ったら、やっぱりみんなここの部分で
うれしそ~~ぅ(^^)な顔をしたそうです。
私も語りた~い!!!(^^)!

 

語法の勉強会ですが、ヤンさんは超ベテランの語り手でもいらっしゃるので、
ちょいちょい、折々に、語る時の注意点や、子どもたちの様子を教えて下さいます。
自分一人で本を読んでいては分からない秘蔵エピソードが満載です!
今回も、おもしろかった~~!

 

久しぶりのレポート、どんどん長くなっていく・・・
「時間の一致」とか「昔話は硬くて鋭いものが好き」とか「主人公が前に進むためには外的刺激が必要」とか「物語は速いテンポで進む」とか「完全の中の不完全」とか「昔話は物理学を無視する」とかまだまだまだまだ書ききれないのですが、この辺りでおしまいにしたいと思います。

 

語りの森HPの昔話の語法のページに、検索機能がついています。
そこに、気になる言葉や分からない言葉を入れるとすぐに調べることができます。
どうぞご活用ください~!

 

語法の勉強は楽し~い!
ヤンさん、ありがとうございました!

 

かぶ