ジル・ルイス文/ジョー・ウィーヴァ―絵/さくまゆみこ訳/あすなろ書房
世界じゅうにたくさんの難民たちがいる。
平和の祭典であるオリンピックでもそれを思い知らされました。
この絵本に描かれているのは、故障してしまったボートで海を漂う人たち。
幼い子ども二人を抱きかかえている夫婦。
小さな白い犬を抱いた老人。
おとなになりかけの暗い影を顔にやどした二人の若者。
そして、胸に長いケースをかかえた、主人公の少年。
たまたま同じボートにのりあわせただけの、おたがいに見知らぬ人たちです。
戦争や紛争のために、日常を追われて逃げて来た人たちです。
ひとりひとりがその日常をぽつりぽつり語ります。
主人公の少年は、ケースを開けてヴァイオリンを取り出します。
そして、弾きながら、スーホの白馬の物語を語ります。
それは、自由の物語。
11月に赤羽末吉の勉強会をするんだけど、これは、その準備をしていて見つけた絵本なんです。
モンゴルの昔話「スーホの白い馬」の、がっつり深い解釈とでもいうのかしら。
8月15日、敗戦の日に、戦争はぜったい嫌!とのメッセージとして紹介しました。