最高のプレゼント

きょうはわたしの誕生日です。

午前はあったかペーチカに参加しました。
聞いていただいた「魔法使いのチョコレートケーキ」は、お話を始めて3年目に初めて語った話。
あのころは、まだ、うちの市では幼小中どこでもおはなし会がなかったので、風の子文庫の子どもたち以外には、だれをターゲットに語るかあまり考えずにお話を選んでいました。
つまり、好きな話を好きなように選んでたんですね。
サークルの仲間たちも同じでした。
絵本や読み物から選ぶ人もけっこういました。
「魔法使いのチョコレートケーキ」も、読み物です。

わたしは、マーガレット・マーフィーが大好きでした。
ほとんど長編だったんだけど、短編集が出て、あ、覚えられるやん!
わたしは地味な性格で、昔から大きなことをしたいと思ったこともなかったし、この魔法使いのように生きられたらいいなあと感動したのです。
それからは、子どもに語る機会はほとんどなく、何年かに一度大人の方に聞いてもらって、あとは、ときどきひっそり自分のために語っていました。

それはさておき、わずかの間にばばばっとおはなし会がひろがり、語り手が増え。
まるで雨後の筍のようでした。
わたしも、自分のためにお話を選ぶ余裕はなくなりました。
あの子にこの子に何の話をしようか、それを考えるのは心からの喜びでした。

さて。
今日は誕生日やなあということで、夫と待ち合わせて駅前のパスタ屋さんでランチをしました。

おいしくいただいていると、かわいい店員さんが、
「あのう、もしかして、おはなし会に来てくださってたかたですか・・・?」

!!
よくあるんですよ。
コンビニとか、スーパーのレジとかで声をかけてくれる若い人。

その店員さんは、T小学校の出身で、
「おはなし会、大好きだったんです!」
といってくれて、いつも楽しみにしていた、今日会えてとっても嬉しい、といってくれました。
お互いに今どうしているかなどよもやま話をして、店を後にしました。

40年近くやっていると、いろんなことがありました。
いいことばかりではありませんでした。
胃が痛くなるような経験もいっぱいしました。
学校との関係、先生との関係、図書館との関係、そして、おはなし仲間との関係。もちろん、子どもたちとのこと。
そのつど、自分にできる精いっぱいの選択をしてきたつもりです。
それでも、うまくいかなかったことがたくさんあります。

でも、かわいい店員さんの嬉しそうな笑顔で、報われた気がしました。
半生をかけてやってきたことが、まちがっていなかったんだと思えることは幸せです。
独りよがりでも自己満足でもなかった。
こんな笑顔を見せてくれる若い人がひとりでもいるのなら。
おはなしを続けてきてよかった。

最高の誕生日プレゼントでした!

この嬉しい気持ちをだれかに聞いてもらいたい、だれに聞いてもらいたいんだろうと、帰りのバスの中で考えました。
まっさきに浮かんできたのは、おはなしを教えてくださった大野由美先生。
そして大野先生の入門講座を設定してくださった図書館の大槻さん。
お二人とも鬼籍に入られています。
ほんとうにありがとうございました。
いつかあちらでお会いしたら、いっぱいいっぱい聞いてくださいね。

「ああ、なんとはやく時のたっていくことよ」

「これは、ただのわたしの木なんだよ」

この木は今のわたしを支えてくれてるんだなと思います。

 

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