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3月の研究クラス

今年度最後の研究クラスの報告です(^^♪

語り
「てんじくねずみ」 『子どもに語るグリムの昔話6』こぐま社
王女が、うまく隠れられた人をお婿さんにする、という話。
この話は、類話と比べると王女が気位が高くて誰とも結婚したくないという性格付けが強く、わたしはちょっとそれが驚きでした。
最後も、主人公を見つけられなかったので、仕方なくいやいや結婚したというのが、昔話の結末としての〝幸せな結婚〟のイメージがずれているような…
主人公は若者ですが、語り手が王女の特徴の描写を読んで王女に重きを置くと、王女が主人公のような感覚になるかもしれません。
実際、王女の説明は多いです。
語りを聞いたときに、うまく言えないけどなんか違和感がある、んじゃなかろうか、いや、ん~、なんだろう、みたいな(笑)感じになりました。
で、語りを聞いた後に詳しく語り手さんに話を聞いてみると、王女が主人公のような気持ちになっていたということが分かりました。
それって、聞き手には分かりませんよね。
勉強会だから、あとで詳しく話しあって分かることですから、やっぱり勉強し続けないといけないなと思いました。
いい発見だったと思います。

レポート付語り
「ハヴローシェチカ」 『語りの森昔話集2ねむりねっこ』語りの森
原話は、『ロシアの民話集上アファナーシェフ』岩波書店のなかの「おちびのハヴローシェチカ」です。
同じ話型のグリム童話「一つ目、二つ目、三つ目」や、他の類話との比較、アファナーシェフについて調べたことをレポートにまとめて説明してくださり、資料としてうれしいレポートをいただきました。
新しくおはなしを覚えるとき、1話ずつこうしていけば一番いいのだけれど、全くできていないので研究クラスのメンバーさんのレポートはいつもありがたいです(⋈◍>◡<◍)。✧♡
それにしても、リンゴをとるだけで結婚してもらえるなんてすごいことやと思っていましたが、そうではなくて、「とってきてくれたら結婚してもいいほど素晴らしいリンゴ」なんだということを読み取るんだと教えてもらい、ハッとしました。
スーパーに売ってる、特選のシールが貼ってあって一つずつラップされてるような、そんなもんじゃないんです!
人生をかけてもいいくらい欲しいリンゴなんだという気持ち、これが大事なんですね。
「てんじくねずみ」のところでも出ましたが、語り手がどういうつもりで語っているのかは聞き手には分かりませんが、語りには何かしら表れてしまうようです。
だから、テキストを心して読み込まないといけませんね。

呪的逃走の物語の読み合わせは、今回2話進みました。
「魔女の妹と太陽のお姉さん」「バーバ・ヤガーと月たらずの子」
どちらもロシアの昔話です。
ロシアの昔話は特に華やかなアイテムが続々と出てくるので豪華だそうです。
金・銀・銅・太陽・ダイアモンド、etc
思わず「再話した~い」と、みんながいうので、これは競争ですね~(笑)

ヤンさんの語りは、「酋長カイレ」でした。
カイレについては、3月6日のブログに詳しくあるのでご覧くださいね。
ほんとに、ほんとに、いい話です。
何度でも聞きたいわ~~

児童文学を読む会🎎

もう3月ですね。
そして今日はひな祭り!
我が家のお雛さまは今年も押し入れの箱の中ですが…
旧暦で出せたら出そうかな…(すでに、挫折感がただよいます)

児童文学を読む会の報告です(^^♪
今回読んだのは「第9章ストーリー」です。
9章に出てくる冒険物語を読んでくるのが宿題でした。
まず、自分が読んできた本の紹介を各自がしました。
子どもの時に読んだ感想、今回初めて読んだ感想、子どもの時に読んで今回改めて読んだ感想、みなさんいろんな本をたくさん読んでこられていました。

それから、本章をみんなで読みあいました。
本章で、ロバート・ルイス・スティーヴンソンの『宝島』を取り上げて、この作品がいかに優れているかを説明しています。
〝独創的な想像力と、見事な散文のスタイル〟
〝一人称の語り口は、ストーリーに終始一貫した、統一あるものの見方をあたえ、事件はいっそうくっきりとうきだしてくる〟

今回わたしが、積年の疑問が解けた(大げさ…)のは、子どもはたいして中身のない物語にでも、子ども自身の創造力を使って面白く読んでしまうということが書いてあったことです。
そして、大人という時間は長いが、子どもの時間は限られた一瞬だから、子どもがよい本を読めるように一瞬を逃がさないように配慮するのは大人の役目だということ。
全くその通りだと思いました。
いつの時代でも、なぜそんなに流行が続くのかが分からない本があります。
人気が出たら今度はテレビアニメになり、ますます知名度が高くなったりして。
初めは面白くてもそのうち飽きそうなものなのになんでかなと思っていました。
子どもの創造力が内容をカバーしていたんですね。
『宝島』のあとにも、同様の作品が出版されたけれども、『宝島』におよばないのは、上記のような条件を備えていなかったからでした。
〝人生の真実性を描き出している〟作品を読んで、上質の感銘を受けることは、自分の子どものころを振り返っても、軽く読める子ども用の本ではありえませんでした。
わたしの読書といえば、小学生の頃は小〇館の学年雑誌でしたから、ほぼ中身は覚えてません。(学年雑誌が悪いというわけではありません<(_ _)>)
「いなかっぺ大将」が、あったような、無かったような…
(あと、歌手の記事なんかは覚えています…)
いい本も、そうでない本も、きっと出版はされてたんだと思うんですが、身近だったのは学年雑誌でしたから、ほんとに楽しみに読んでました(笑)
この講座をきっかけに、よい児童文学を読もうと思いますが、子ども時代の一瞬を逃がしたことに残念さを感じます。

本章では、『宝島』のほかに、アーサー・ランサムの『ツバメ号とアマゾン号』にもページを割いて説明してあり、それを読むだけでその本を読みたくなりました。
今回進んだのは、282ページの12行目までです。
次回までに読んでくる本は、9章と10章に書いてあるファンタジーと歴史小説です。
まず、どんな本があるか9章と10章を読んでみて、最低1冊はどれか読んできてくださいね。

第9回 昔話の語法勉強会📚

今週、昔話の語法勉強会がありました。
今回ののおはなしは「おおかみと七ひきの子やぎ」です。

グリム童話は二〇〇年以上前にグリム兄弟が昔話を集めて初版を出版しました。
その後、少しずつ話が増えていきながら、七版まで出版されました。
出版する以前の、昔話を集めたときに書き付けた稿があり、これをエーレンベルク稿と言います。
現在日本語で読めるのは、エーレンベルク稿・初版・二版・七版の四種類です。
三版~七版までは、話数は増えていますが各話の変化はほぼありません。
が、四種類の中には、グリムさんが変更している箇所があります。
また、翻訳した人が違うと表現が少々違っています。
ちょっと足したり、減らしたりしてるわけですね。
今回サンプルとして取り上げられたのは小峰書店の『語るためのグリム童話1』です。
この本の「おおかみと七ひきの子やぎ」が、他の版のものとどこがちがうのかが資料のテキストに指摘してありました。
そして、その変更は、語法に則ってされていたということが講義の進行とともに分かったんです。

出てない人には何のことか分からないと思うんですよね。
説明がよろしくなくて、すいません<(_ _)>
でも、語法に則っているんだと分かった時、「スッキリ!」するんですよね。
「スッキリ!」するのは、講義全体でもいえることなんですが、すべては耳で聞いて分かりやすいためのものであるということに改めて納得しました。
かなり前から語法を勉強しているので、単語だけは増えているんですが、今回も「そうだったのか、理解したぞ」(つまり今までは私は何を理解していたんだろう…遠い目)というのを何度も感じました。

例えば、冒頭の、「むかし、あるところに、お母さんやぎがすんでいました。」
これは、〝昔話は、時間と場所と人物を不特定に語る。昔話の固定性〟と、寝言でも答えられるんです。
(寝言は無理やろ! すいません<(_ _)>)
でも、ヤンさんは冒頭の語法の説明に、「不特定に語る事によって普遍性が生まれる。」と言われたんです。
普遍性! 固定! 架空の話!
ヤンさんのやさしい言葉と丁寧な説明で、私の頭の中でファンファーレが鳴りました。
同様に、2時間の間に何回もファンファーレが鳴ったわけです。
たぶん、今回は初めて語法を勉強されるかたがおられたので、初歩的なことを丁寧に説明されたと思うんですよね。
それでやっと自分が理解できたというショックはスルーして、分かったということに焦点を当てたいと思います(笑)
講義で説明があった固定性・完全性・一致など、ホームページの該当箇所もさっそく読んで復習!
ああ、この勤勉さが子どものころにあったらもっと成績が…(もう、言うまい、考えまい)

あと、これが動物昔話だというのが意外でした。
本格昔話かなと勝手に思っていたんです。
幼稚園でこの話を語った時に、おおかみが子やぎをだましに来る3回目なんか、子どもたちが息をのんで真剣に聞くものだから、動物昔話のイメージは持っていませんでした。
それにこの話は、語りの勉強会で取り上げられることが何度もあったので、それを聞いてもう分かったようになっていたんですね。
おはなしを覚えるごとに話型まで調べる、なんてことはやっていませんでした。
堂々と言うことではありませんが、逃げも隠れもしないという姿勢を貫きたいもんで(笑)  (…そんなの興味ないって)

今回も実りある勉強会でした。
最後に、今後取り上げてほしい話があればリクエストしてもいいということでしたので、みなさんふるって、ヤンさんかホームページのお問合せからどうぞ。

2月のがらがらどん💊💊💊

早くも、今年2回目のがらがらどんです。
「寒くなったね」とか、「インフルエンザが流行っているよ」とか言っているまに2月も半分以上過ぎました⛄

ジャックと豆の木  『語りの森昔話集1おんちょろちょろ』語りの森
初代のシュレミール 『ヤギと少年』岩波書店
つるかめ  『かたれやまんば藤田浩子の語り第1集』藤田浩子の語りを聞く会
仙人のおしえ  『日本の昔話5』福音館書店
りこうなまほうの鳥  『語りの森昔話集1おんちょろちょろ』語りの森
びんぼうこびと  『おはなしのろうそく26』東京子ども図書館
新刊絵本の紹介 『はりねずみのおいしゃさん』『金の鳥』/他いっぱい

どのおはなしも楽しく聞かせていただき、おかしい話、まじめな話、ハラハラする話、今月もバラエティーに富んだおはなしの数々でした。
その中で、一つどうしても書いておきたいのが「つるかめ」ですね。
ひとつだけ取り上げるというのはよろしくないとは思いますが、お願い、どうか聞いてください、プリーズ<(_ _)>
老人ホームで語りをされている語り手さんなので、普段わたしが勉強したり、聞いたり、語ったりしている話とは違う話をいつも聞かせてくださいます。
子どもたちには語れないけど、覚えるのは自由ですね。
でも、この面白さを出そうとしたら、「はたしてわたしはどうかな、できる?!」と思うんです。
前にも別の語り手さんが語られるのを聞きましたが、面白かった!!
語り手さんの味とか、間の取り方とか、色気?の出し方とか、ああ、まだまだひよっこの自分を思い知ったのでした。

そして、うれしいことがもう一つ。
昨年末に〝おはなし入門講座〟を受講されて初級クラスに進まれたかたと、語りの森HPからたどり着いてきてくださった初めてさんがお二人も来てくださいました。
今回は、様子をうかがうだけとのことで語りはされませんでしたが、気楽な集まりと分かったと思いますので、きっとまたいらしていただいて語っていただきたいと思います。
次回は3月24日です。
また、楽しい語りとおしゃべりのひと時を過ごしましょう。
少々下火になったそうですが、みなさまどうか、インフルエンザにご注意くださいね。
では(^o^)/

2月の日常語による語りクラス

ブログ担当のかぶさんが体調不良で無念の欠席をされました。
かわりに、ジミーが臨時担当を務めさせていただきます<(_ _)>

語り
「雪娘」 『日本の昔話5』福音館書店
「地獄に行った吉兵衛さん」 『語りの森昔話集2ねむりねっこ』語りの森
「大工と鬼六」 『日本の昔話2』福音館書店(ヤンさん)
テキスト
「蛇からもらった宝物」 『日本の昔話3』福音館書店
「つるの恩返し」 語りの森HP → こちら

この日の語りもテキストも、それぞれ楽しい思いとお勉強と、程よくマッチした内容でした。
が、個人的に大変ラッキーだったのは、じぶんがおぼえたてほやほやの「大工と鬼六」をヤンさんが日常語で語るのを聞けたこと✌(‘ω’✌ )三✌(‘ω’)✌三( ✌’ω’)✌
わたしは、本のままをおぼえました。
わたしの脳内で、ヤンさんの日常語の語りと、『日本の昔話2』のテキストが同時進行し、まるで〝この放送は同時通訳でお送りしております〟状態になります。
そしたら、どこがどうヤンさんの日常語に変わっているのか一目瞭然で、これをラッキーと言わずしてなんとする!!
おぼえている話がもっと多ければ、こうなる確率は当然高いわけですから、喜んでいる自分が同時に悲しくもありますが…
そして、「大工と鬼六」を語るときは、「お前の名前はー」で、ちょっと伸ばして、子どもたちの「言うぞ」「来るぞ」という気持ちを考えて繰り返すといい、というヤンさんのアドヴァイスも聞けました。
ラッキー、グッドタイミング、今月の年中さんに語ります!(^^)!
さあ、練習だ(^o^)/