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11月の初級クラス

急に晩秋に突入したような冷え込みの中、今月の初級クラスはご本人やご家族の体調不良での欠席が相次ぎました。その枠を「語りたい方どうぞ~」とのお声がかかると、あっという間に埋まってしまうすばらしさ!(つまり2つお話を語った方が複数いらしたということです。)あっぱれ~!

手遊び
「ぐっとちょっとぱー」
*年齢や成長に合わせた導入の仕方をスモールステップで紹介していただきました。この手遊びそのものはYouTubeで探してみて下さい!

語り
1.「風の神と子ども」/子どもに語る日本の昔話①/こぐま社
2.「岩の戸、開け!」/語りの森昔話集②/語りの森
3.「こんこんさまにさしあげそうろう」/森 はな/PHP研究社
4.「クモとゆめ」/子どもと家庭のための奈良の民話①/奈良の民話を語りつぐ会

飛び入りの語り
5.「若返りの水」/子どもに語る日本の昔話③/こぐま社
6.「かきねの戸」/語りの森昔話集①/語りの森
7.「小僧さんとねこの絵」/語りの森昔話集⑤/語りの森

ヤンさんの語り
8.「おはなしかめさん」/朝鮮の民話/太平出版
9.「三枚のお札」/日本昔話百選/三省堂

講評
・「風の神と子ども」は同じ原話から福音館書店で小澤先生の再話がある。こういう場合は読み比べてみて選ぶと良い。
・山の中で栗がどのように落ちているか、柿がどのようになっているか、語り手自身が実体験として知っていることで理解が深まり、語り方にも影響する。
・「岩の戸、開け!」の最後の部分。聞き手が自分の事のように思えるような語り方を心がける事が大事。このお話に出て来る”男たち”は鉱脈を探し当てる事ができる特別な能力を持っている存在なので、そのセリフは語り方を変えると良い。
・文中のセリフ「こんこんさまにさしあげそうろう」は題にもなっているキーワードにもなる言葉なので、そのまま語るのではなく歌うように語るのが好ましい。
・「クモとゆめ」の登場人物は”男”が2人出て来るので、2人の違いが聞き手にはっきりとわかるように語ることが大事。虫のクモのアクセントは関西でも2通りある。
・「かきねの戸」の最後の箇所で、ヤンさんの経験で聞き手の子どもから『お父さんは?』という質問が出たことがあり、それからここは『お母さんとふたりの子ども』の代わりに『みんな』と語っておられるとのお話。

おととい慌てて整えたこたつに入ってパソコンをたたきながら、勉強会を振り返っています。またしばらく我が家のこたつに入って、語りの練習をしたり、本を読みながらうとうとする幸せを味わいます。寒い季節も悪くないはず~♪
今回欠席だった方々が早くお元気になりますように、お祈りしています。

次回は12月12日(火)です。

10月の初級クラス

日に日に秋めいてきていますね。
先日、友人に「さつまいも、栗、カボチャのどれが一番好き?」と聞かれました。どれも好きすぎて、結局答えられませんでした(笑)
お話も同じで「どのジャンルのお話が好き?」と聞かれても、きっと決められないのではと思います。だってそれぞれに味わいが違うんですから!

手遊び
やきいも やきいも おなかがグー
ホカホカ ホカホカ あちちのチー
食べたらなくなる なんにもパー
それ、やきいもまとめて グーチーパー
ジャンケンホイ

語り
1. 元気な仕立て屋/イギリスとアイルランドの昔話/福音館書店

2. ついでにペロリ/おはなしのろうそく6 /東京子ども図書館
3. かきねの戸/語りの森昔話集1/語りの森
4. みじめおばさん/語りの森HP
5. 名人四人きょうだい/おはなしのろうそく31/東京子ども図書館

ヤンさんの語り
6. 美しいワシリーサとババヤガー/おはなしのろうそく4/東京子ども図書館

講評
1. 演じないとおもしろくない話。お話の姿に合わせて、語り手も楽しげに聞き手を巻き込んで語る。

2. 累積譚は①子どもが主体的に入ってくるような語り方→ゆっくりめ②聞き手があっけに取られるような語り方→テンポ良く の二通りがある。

3. 笑い話は聞き手の呼吸に合わせて間を取る。それをする為にも、本番前にはサラサラと流れるように語れなければならない。

4. ぜひ語って欲しいおもしろい話。「死神」の怖さと間抜けな所を対比して笑わせる。

5. 語り手は、語りながら語っている自分を冷静かつ客観的な立ち位置で、聞き手がお話の世界から離れて行かないように言葉を選ぶ。

6. 長いお話について、大人は集中しながらも違う思考が働いてしまうが、子どもの集中力は鍛えることによってお話の世界観だけにのめり込める程高まる。

今回も充実した学びの時間でした。
みなさま、秋を満喫なさってまた11月に集いましょう。

次回は11月14日(火)です。

9月の初級クラス

とにかく今年の夏の猛暑には参りました~。
まだまだ残暑が続きますが、そろそろ秋~冬に向けてのお話を用意。
練習しているうちにお話に出て来る「おもち」が食べたくなって
「ええ具合に焼けて、ぷう~とふくらんできた」ので
砂糖じょうゆでいただきました。はい、練習そっちのけ(笑)

手遊び:「きつねがね」
コーンコーンコンコンコン ✖2回
きつねがね、化けたとさ
石ころかな、おにぎりかな
いや違う、いや違う
葉っぱかな、お皿かな
いや違う、いや違う
はさみかな、お箸かな
いや違う、いや違う
おばけ~~~

語り
1.『大歳の火』/日本の昔話5/福音館書店
2.『三匹の子ブタ』/イギリスとアイルランドの昔話/福音館書店
3.『ヘンゼルとグレーテル』/語るためのグリム童話集1/小峰書店
4.『タオの物語』/子どもに語るアジアの昔話2/こぐま社
5.『かたつむり』/語りの森昔話集3/語りの森
6.『みつばちの女王』/語るためのグリム童話4/小峰書店

ヤンさんの語り
7.『アリョーヌシカとイワーヌシカ』/まほうの馬/岩波書店

講評
1.お話の背景、テーマは語った後で話すのが良い。まずお話を聞いてもらって自由に感じてもらってから。
2.テキストの言葉を変える基準は耳で聞いてわかりやすいように。
例:ハリエニシダ→ハリエニシダの木の枝
3.すべて丁寧に同じテンポなく、時の流れを一瞬に感じたり遅く感じたりするように、語り方も間や早い遅いを組み合わせて語ると良い。
4.語り手に合わないお話などはない。外から見た評価は気にする必要はなく、語り方で克服できる。
5.一字一句間違えないように語ることは、聞き手にきちんと伝えるための言葉や感性の「訓練」だと考える。現場を経験することで、変えても問題ない言葉、変えては伝わらない言葉の違いを体感できるようになる。
6.スラスラとまるで読んでいるかのように語れるようになってから「間」を入れる。

お話を語るということは、「お話への愛」「聞き手への愛」に尽きますね。良いお話が伝承されていくこと、語り継がれていくことの尊さ。お話を待っている聞き手のためにも、精進致しましょう!

次回は10月10日(火)です。

7月の初級クラス

梅雨明けも間近?の暑い暑い日、初級クラスが行われました。

手遊び歌
とんがり山のてんぐさんが
うちわであおいで 見渡せば
すーいすい すーいすい
かっぱの親子が 顔出した
ばあ!

語り
1.七わのからす/子どもに語るグリムの昔話3/こぐま社
2.しおちゃんとこしょうちゃん/おはなしのろうそく27/東京子ども図書館
3.ありとこおろぎ/語りの森昔話集1・おんちょろちょろ/語りの森
4.鬼の面、お福の面/語りの森HP 〈こちら→〉
5.たなばたさん/子どもと家庭のための奈良の民話1/村上郁 再話
6.雌牛のブーコラ/語りの森昔話集4・おもちホイコラショ/語りの森
7.お月さまの話/おはなしのろうそく25/東京子ども図書館

ヤンさんの語り
8.ヤギとライオン/子どもに聞かせる世界の民話/実業之日本社

講評
・七(しち、なな、関西弁だとひち)の言い方はどれでも良い。意味がわかる言い方で。
・昔話はいきなり終わるような印象があるが、その後は聞き手の余韻にまかせる。
・時間的には決して長くないお話でも、お話の内容の中で聞き手が長い旅をしている場合などに余韻が残る。
・深い意味を含んだお話は、その決め手になる部分の語り方でそのお話のイメージが決まる。
・創作にはその事柄を説明する言葉(形容詞)が多く使われていることがあり覚えにくいことがあるが、そこはとにかく力づくで覚えてしまう。
・早口言葉の代わりに累積譚を覚えるのも良い。累積の部分は一気に一息で語る。
・テキストの読点は取って語る。読点で切って語ると不必要な言葉が立ってしまう。
・口伝えで伝えられたお話の中に、語法がしっかりと受け継がれていることの感慨深さ。
・新しい話は覚えたと思っても、語りの現場で練習不足を感じることがある。「寝ていても語れるように」(松岡享子さんの言葉)
・遠近、大小を表したい時は、言葉の長さと声の高さで。声を大きくしない。
・聞き手が3回のくり返しを飽きないで聞いてくれるためには ①年齢に合わせたお話の選択 ②くり返しの中のモチーフの違いをうまく伝える事 ③語り手の「おもしろいやろ?」を伝える事。
・語りの言葉を自分のものにする為にテキスト通り覚えるが、語りの現場で自然に変わってしまう(決して変えるのではなく)のは仕方がない。
・自分が使わない言い回しを学んでおく事で、いずれテキストの中で変えた方が良い表現に気づけるようになる。


今回で1年間の初級クラスの前半戦が終了というところでしょうか。
みなさんそれぞれに色々なお話に挑戦しているのがわかりますし、毎回エントリーも多くて本当に聞きごたえがありました。語るチカラだけでなく、聞くチカラもついたというご感想もありました。また、秋以降、みなさんがどのようなお話を選んで来られて語っていただけるのか、とても楽しみです。


次回の初級クラスは9月12日(火)です。

 

6月の初級クラス

梅雨の曇り空の日、初級クラスが行われました。
たまたま今月、子ども達の集まりで簡単に作れるクラフトを頼まれて、かたつむりを作る予定をしていたら、この日の手遊びが「でんでんむし」で嬉しくなりました♪ちなみに「でんでんむし」はもともと方言で「出出虫」(ででむし)で、殻から出よ出よとはやし立てた事が語源と言われているそうです。


手遊び歌・でんでんむし

でんでんでんでん でんでんむし どーこだ
るんるるんの るんるるん るんるるんの るんるるん
葉っぱの上に ニョキ!

葉っぱ葉っぱ葉っぱ 葉っぱは どーこだ
るんるるんの るんるるん るんるるんの るんるるん
木の枝に パッ!

語り
1. 牛飼いと織姫/語りの森昔話集5/語りの森
2. こすずめのぼうけん/おはなしのろうそく13/東京子ども図書館
3. ふるやのもり/おはなしのろうそく4/東京子ども図書館
4. ホレばあさん/語るためのグリム童話集2/小峰書店
5. 弓の名人/奈良の民話1/奈良の民話を語り継ぐ会
6. かにかに、こそこそ/日本の昔話/福音館書店

ヤンさんの語り
7. ミアッカどん/イギリスとアイルランドの昔話/福音館書店

講評
・最初に出て来る大事な言葉は特に気を付けて「立てる」。
・「くり返し」は聞き手である子どもにとって安心、期待、推測。同じようなくり返しを聞き手が飽きないように語ることは大事。
・お話を自分なりにしっかりイメージすること、実体験と重ねることはお話を覚えること、語る上で必要。
・再話者のテキストの言葉の使い方を好きで馴染みがなければ、覚えにくいこともある。

今回はイメージについてみなさんのご意見が色々と聞けておもしろかったです。私なりにまとめてみると、イメージをするということは、まずはひとつひとつの場面に自分の五感をフル活用させることがいかにできるか。お話の丸覚えになっていないかという事が大事。もちろん、そのお話への解釈や語る事に迷いがあれば、それも聞き手に影響してしまうので、自分の中で納得し解決する事は必要です。それとは別に、例えば水の音が聞こえたり、森の匂いがしたり、涼しさを感じたり、水の深さや冷たさなどをひとつひとつの場面にいかに重ねられるかということなのかなと。
ちなみに私は、暑い夏場に冬の話を覚えるのが好きです。お話の中にしばしの「涼」を求めるわけです。

次回の初級クラスは7月11日(火)です。