「勉強会」カテゴリーアーカイブ

再話クラス 11/28 🍂

今日から12月です。
信じられないくらいに一年が速く過ぎます。
特に、今年は秋が一瞬だったというか、夏の気温が長かったというか、寒いと思ったらもう年末?!みたいな気がします。
今年最後の再話クラスの報告です。

再話再検討
「黄金の騎士」『新装世界の民話19パンジャブ』関楠生/訳 ぎょうせい
この話は、自分の担当でした。
たぶん短時間で完成になるんじゃなかとたかをくくっておりましたが、すごい時間を取ってしまいました。
〝時間をずいぶん取っているな〟と途中から思っていましたがいろいろ知りたいし、聞きたいので、時計が自分の背後にあることを理由にして、全く気付いていないふりをしてたっぷり時間を使ってしまいました。
申し訳ございませんでした<m(__)m><m(__)m><m(__)m>
最初の再話で、ずいぶんと原話を解体したように思っていたので、これいじょうやるとダメだろうと思っていた箇所をヤンさんに指摘してもらい、元の意味を変えずに齟齬をうまく解体・整理できました。
ラストの終わり方の個所は、自分では全く気付いていなかったので、指摘してもらってなるほどと納得しました。
まだまだ、読み込む力が足りてませんな。
みなさんにも他の個所でいろいろ意見を言ってもらって、考えながら変更したりするのが楽しかったです。
そしてまたまた時間を取ってもらって申し訳ないですが、再々検討してもらうことになりました。

再話検討
「鳥うちわ」『丹波和知の昔話』稲田浩二/編 三弥井書店
丹波和知というのは、同じ京都府内の土地ですが、わたしの使ったり知っていたりする京都の言葉とはかなり違います。
おおかたの文章はわかるとしても、ちょっとした単語や擬態語など、調べてもどうしてもわからないところがでてくるとき、それが大事な箇所だったら再話できなくなってしまうかも。
この話はそこまで言葉が分からないわけではないので再話できますが、原話を選ぶときは自分が理解できる土地の言葉、自分が使っているとか、住んでいるとか、身近に生き字引がいるとかの土地の話を選ぶようにしたらいいということです。
ほんとにそうだと思います。
話の題ですが、「鳥うちわ」となっていますが、本文中に〝鳥うちわ〟は一回も出てこず、そのかわりに〝天狗のうちわ〟が2回使われています。
話型名が「鳥団扇」「何が一番怖い」となっていますので、原話の語り手さんが話の題を言わない時もあり、その場合は本にするときに話型名を題にすることになる、ということで、再話では題を「天狗のうちわ」にすることになりました。
他にもいろいろ意見が出ました。

原話から何を読み取るか、まだまだ修業は続くよどこまでも。
みんなそれぞれに意見を出し合って、活発な勉強会でした(^O^)/
楽しかったです!

11月のプライベートレッスン

朝晩が寒くなってきて、ついにストーブを出しました。
うちは石油ストーブなので、また寒い中を灯油を買いに行き、タンクに灯油を入れる日々が始まるのかと思うとゆううつです。

今月のプライベートレッスンは2話。
1日目
テキストを日常語になおす
「夢見小僧」『日本の昔話1はなさかじい』おざわとしお再話/福音館書店
過去に一度は読んでいるはずなのに覚えていなくて、今回いっしょに勉強させてもらい、面白い話だと思いました。
夢の話で、不思議な話です。
この話は、最後で小僧さんが二人のお嫁さんの間を1か月ごとに行き来するという終わりかたをします。
それが小僧さんの見た夢で、その通りになったということなんです。
大人のかたに語るということです

勉強会の最後に、わたしが語りのピンチヒッターになることに決まり、頭に残っている話の雰囲気を維持しているうちに自分の日常語にテキストをなおしました。
そしたら、話の中のまじめな部分が、なんかコント寄りになってしまって、「これ、どうなの、こんなのでいいの?」と今思っています。
でも、仕方ないですよね、自分の言葉は変えられないしね。
語ってみるまでどんな風になるかわかりません(笑)

2日目
語り
「スヌークスさん一家」『おはなしのろうそく2』東京子ども図書館
中級クラスでエントリーされていたんですが、急に欠席しなければならなくなられて、それでプライベートレッスンに申し込まれました。
その熱意、うれしいです!
おおぜいの中で講評してもらうのももちろん勉強になりますが、プライベートレッスンはまさに〝あなた一人のためのピンポイントなアドヴァイス〟をしてもらえるので、勉強になるというか、お得だと思いますよ。
まったく気が付いていなかったんですが、この話は12月にちょうどいい話だったんですね。
ろうそくの雰囲気が、クリスマスを連想させるからですかね?
顔芸はもちろん難しいですが、聞き手に何ともとぼけた雰囲気を感じてもらうのが難しいだろうなと思います。
それとも、そんなことは考えないで、顔芸に集中していたら、スヌークスさん一家の間抜けな感じと、とぼけた話の雰囲気が、自動的に出てくるんでしょうかね?
分からないから、わたしは聞き手に回って楽しませていただくことに専念いたします。

今回も、2話とも楽しいお勉強でした。
明日からもう12月だなんて、せわしなくて気持ちが落ち着きませんね。
急ぐ必要がないのに急いでしまうみたいな、そんな風になってしまう自分が成長していなくていやというか。
とか、内面を振り返っている暇はないような年齢になってまいりましたので、とにかく健康に気を付けていくのみ!
みなさんも、どうぞ風邪などひかれませんように、ご自愛くださいね。

11月の中級クラス

アナンシと五 『子どもに聞かせる世界の民話』矢崎源九郎/実業之日本社

課題やタブーをおさえてきっちり聞き手に伝える。「5と言ってはいけない」小さい子は、数を数える事が嬉しいので5まで数えてしまう。話の仕組みはわからない。2年・3年は「ハトはうまくやったな?おバカだった?」と議論がおこる。年長さんには、「数えてはいけないよ」という目で語ることもある。一番弱い者・数を数えられない者が勝った。というおはなし。

鉄のハンス 『語るためのグリム童話5』こぐま社

男の子の成長のはなし。鉄のハンスは、その成長を見守り導く父性をあらわしている。男の子は、母の枕の下の鍵を取ってきて(母への裏切り、母の庇護の下を出る)、ハンスを檻から出す(禁忌をやぶる)。泉では、檻で挟んだ指が痛み、そのせいで言いつけを守れず失敗する。その後は、ハンスから与えられた試練を通して、母の呪縛から逃れ母離れし、内側を成長させていく。エピソードには大事なことが隠れている。そして、後半スピードアップしないで語ることになる。また、お姫さまとの出会いは、男の子にとって女性の発見。人物が最初に言う言葉には心をおく。この場合、お姫様の言葉は主人公にとって女性の言葉。最後は、結婚の式で本来の姿となった「鉄のハンス」の登場。男の子が一番に祝ってほしいのは鉄のハンス、そのハンスが現れた喜びにあふれた場面。

あずきとぎの化けもん 『日本の昔話3』小澤俊夫再話/福音館書店

語り手がテキストに対して疑問があったので、原話を読んだとのこと。原話に近い言葉を選びたい。ヤンさん→原話と比較して言葉を選ぶのは真っ当なやり方。小澤さんが出典を載せているのは原話と比較してねということ。勉強をしてきている人は、正しいやり方で変えていいと思う。3年生くらいから話が分かると思うから、語ってみて。

白雪姫 『語るためのグリム童話3』小峰書店

長い話だから聞き手がだれないように語るにはどうしたらよいか?

ヤンさん→聞き手は5・6分は聞ける。その辺りで新たなエピソードがあるとまた聞くだろう。この場合は小人の登場。そして、小人が「だれもうちの中にはいれてはいけないよ」という。きをつけや~と聞き手に語る。その後も、子どもたちの知っている白雪姫とは違う、3回のくりかえしの品物の意外性(ひも、くし、りんご)で聞けると思う。長いけど、長さを感じないようなことになるのではと思う。

ヤンさん語り  神の顔 『世界の民話18 イスラエル』ぎょうせい より再話

この度もたくさんの学びをいただきました。語り手みなさんの疑問や課題を共有させてもらって、なんて楽しい時間でしょうか。楽しみで心待ちにできる場所・勉強会があることに感謝です!自分に言い聞かせるために書きますが(いつも同じこと書いてないかと心配になるくらい、書いたこともどんどん忘れていく…)、おはなしの姿やテーマをわかることは大事です。最初から最後まで覚えて、そこからが始まり。段落覚えの時に深く考えられることもあると思いますが、「このおはなしが伝えたいことは何か?」という大事なことは、全体を通してつかむので、そこからどこまで深められるか。早く答えを欲するのではなく、ひたすら考える。関連付ける。時間をかける。ヒントが欲しい時に関連書籍や類話を読んでみる。最近長いおはなしを覚えていなかったこともあってか、大事なことを忘れかけていました。おはなし一つ一つに丁寧に向き合うことをおろそかにしていたなと、姿勢を正されることとなりました。

次回は12月19日㈫です。

 

11月の初級クラス

急に晩秋に突入したような冷え込みの中、今月の初級クラスはご本人やご家族の体調不良での欠席が相次ぎました。その枠を「語りたい方どうぞ~」とのお声がかかると、あっという間に埋まってしまうすばらしさ!(つまり2つお話を語った方が複数いらしたということです。)あっぱれ~!

手遊び
「ぐっとちょっとぱー」
*年齢や成長に合わせた導入の仕方をスモールステップで紹介していただきました。この手遊びそのものはYouTubeで探してみて下さい!

語り
1.「風の神と子ども」/子どもに語る日本の昔話①/こぐま社
2.「岩の戸、開け!」/語りの森昔話集②/語りの森
3.「こんこんさまにさしあげそうろう」/森 はな/PHP研究社
4.「クモとゆめ」/子どもと家庭のための奈良の民話①/奈良の民話を語りつぐ会

飛び入りの語り
5.「若返りの水」/子どもに語る日本の昔話③/こぐま社
6.「かきねの戸」/語りの森昔話集①/語りの森
7.「小僧さんとねこの絵」/語りの森昔話集⑤/語りの森

ヤンさんの語り
8.「おはなしかめさん」/朝鮮の民話/太平出版
9.「三枚のお札」/日本昔話百選/三省堂

講評
・「風の神と子ども」は同じ原話から福音館書店で小澤先生の再話がある。こういう場合は読み比べてみて選ぶと良い。
・山の中で栗がどのように落ちているか、柿がどのようになっているか、語り手自身が実体験として知っていることで理解が深まり、語り方にも影響する。
・「岩の戸、開け!」の最後の部分。聞き手が自分の事のように思えるような語り方を心がける事が大事。このお話に出て来る”男たち”は鉱脈を探し当てる事ができる特別な能力を持っている存在なので、そのセリフは語り方を変えると良い。
・文中のセリフ「こんこんさまにさしあげそうろう」は題にもなっているキーワードにもなる言葉なので、そのまま語るのではなく歌うように語るのが好ましい。
・「クモとゆめ」の登場人物は”男”が2人出て来るので、2人の違いが聞き手にはっきりとわかるように語ることが大事。虫のクモのアクセントは関西でも2通りある。
・「かきねの戸」の最後の箇所で、ヤンさんの経験で聞き手の子どもから『お父さんは?』という質問が出たことがあり、それからここは『お母さんとふたりの子ども』の代わりに『みんな』と語っておられるとのお話。

おととい慌てて整えたこたつに入ってパソコンをたたきながら、勉強会を振り返っています。またしばらく我が家のこたつに入って、語りの練習をしたり、本を読みながらうとうとする幸せを味わいます。寒い季節も悪くないはず~♪
今回欠席だった方々が早くお元気になりますように、お祈りしています。

次回は12月12日(火)です。

おはなし入門講座 第3回

入門講座第3回目の報告です。今回のテーマは「おはなしの覚え方」です。

まずは、語りから。

「三びきの子ブタ」 『イギリスとアイルランドの昔話』 福音館書店

◎おはなしの覚え方

1⃣ストーリーを覚える

・(今から覚えるぞ!という気持ちで)声に出して全体を読む。

・テキストを見ないで、あらすじを書く。                    細かく書く必要はありません。書いてから、もう一度読んでみて抜けていた場面を確認します。この時、書き直す必要はありません。

・「意味段落」に分ける。                         筆者が考えた「形式段落」ではなく、大まかな意味で段落を考えます。具体的には・・・A 場面が変わる、B 時間の経過(ex. しばらくすると)、C 人物の出入り(ex. そこへオオカミがやってきた)

実際に「三びきの子ブタ」で考えてみると、

形式段落→①~㉔

意味段落→①~⑨                             ①状況説明 ②一番目の子ブタ ③二番目の子ブタ ④三番目の子ブタ ⑤三番目の子ブタとオオカミとのやりとり ⑥リンゴ ⑦バターおけ ⑧煙突 ⑨終わり

2⃣言葉を覚える

・意味段落ごとに一つずつ完璧に覚える。細かくイメージしながら、声に出して読みましょう。例えば、お母さんブタと子ブタの大きさは?子ブタが住んでいる場所は?温度、手触り、匂い、味など五感をフルに使ってイメージします。すると平面であった映像が立体化されます。

また、ハリエニシダってどんな木?バターおけは何色でどんな大きさ?知らない場合は図鑑などで確認するといいですね。

何度も間違えずに語れるようになるまで、口に出すという作業を繰り返します。特に曖昧で覚えきれていない場面は抜き出して何度も練習しましょう。

最後まで覚えることができれば、最初から最後まで通して語り、一つの段落を完成させます。

・翌日、次の段落も同じようにして完成させます。この時の注意点として、前日に覚えた段落がきちんと覚えられているか不安であっても戻ってはいけません。戻るとそこの段落の練習量が増え、力が入ってしまいます。ストーリーは最後が盛り上がるのに、最初に力が入り、最後が尻すぼみではダメです。

・最後の段落まで覚えたら、最初から最後まで通して語ります。忘れていても一度は覚えたので、思い出すのも早いはずです。

あとは練習あるのみ!家事をしながら、お風呂に入りながら、電車に乗りながら、etc…よくヤンさんが言われていますが、「寝ても言えるぐらいに」繰り返し口に出して練習しましょう。皆さん忙しいかと思いますが、1日のうち自分で時間を決めて練習に取り組むのがいいかと思います。

◎おはなしの語り方

1⃣上手に語ろうと思わない。

・語り手は俳優ではありませんので、演じる必要はありません。ただ覚えたストーリーを声に出すだけで大丈夫です。ストーリーに力があれば、棒読みでも聞き手を引き付けられます。

間を取ったり、抑揚をつけてたりしない。子どもに語っていくうちに、語り方は自然と変わってきます。初めから意図して変えないようにしましょう。

2⃣最後まで語りきる。

・途中で忘れてしまっても、最後まで聞き手を連れていってください。

おはなし選びから語るまで、時間をかければかけるほど、そのおはなしがよく理解できます。即席で覚えたおはなしを語るのではなく、自分のものにしたおはなしを子どもに提供してあげましょう。必ず、聞き手は答えてくれます。

*****************************************************************************************

毎年入門講座の度に「初心忘れるべからず」と勉強になります。ききみみずきんは主催者ですが、ヤンさんの講座を聞けるのは、大変お得です☺

次回は12月5日、最終回「発表会」です。新しい語り手が4人誕生されます。今年の受講生はどのおはなしを選ばれたのか・・・お楽しみに♪