「勉強会」カテゴリーアーカイブ

たった一つの出逢い📖

10月半ばからの1か月は、ヤンにとっては絵本の季節です。
高校生の読み聞かせ実習、図書館主催の読み聞かせ入門。どちらも、数回の講義の中で、受講者自身が絵本を読む体験をします。
みなさんがどんな本を持ってこられるのか分からないので、不安だけれどエキサイティングです。

高校生も大人も個性豊かに選び、読んでくださるので、楽しいです。っていってもご本人さんは初体験、大変でしょうけれど(笑)

きょうは、高校生15名の発表を聞きました。おそらく人生で最初の読み聞かせ?
今回は学校の図書室の本から選んでもらいましたが、次回は地元の公共図書館に行って選んでくることになっています。
だから選ぶ幅が広がります。
生徒「どうやって選ぼうかなあ」
わたし「図書館の人にも相談したら?」
生徒「あ、そうか!」
ひとりでも多くの若者が図書館を利用してくれるようにと密かにもくろんでます(笑)
司書さんたち、よろしく~

それはさておき、図書館講座のほうでは、先週、受講の皆さんに「私の大切な本、思い出の本」を読んでいただきました。
これがめっちゃよかったの~~~!
若いお母さんたちは、子どもが見つけた本やリサイクル市で家族と一緒に見つけた本が、自分にとって深い意味を持つようになった、とか。
先輩母さんは、子どもがボロボロになるまで読んだ本にしようか、自分が若いころに救われた本にしようか迷ったんだけどといいつつ、ご自分にとっての懐かしい本を読んでくださいました。
また、子育ての中で、勉強会で先生から教えられた本がとっても大事な本になった、とか。
子どものころ、先生から進められて、先生と一緒に読んだ、家では母親と一緒に読んだ、母親は泣きながら読んだ、という経験も聞かせていただきました。それ、『三びきのやぎのがらがらどん』です。
などなど。
本との出会いは、人との出会いと同じで、ちょっとしたきっかけ、ほんの偶然です。
でもそれは、奇跡になりうるんだなと思いました。
そして、今回は全員のかたが、大切な本との出逢いが、人を介しての出逢いだったことに感激しました。
あなたも、わたしも、何かできるかもしれません。

来週の高校生も楽しみ!
でもその前に「林明子を読む会」の準備を詰めなくては。今週木曜日です~~~

語りはたのしい。でも、絵本もたのしいです。
あ、物語をとおして人と心を通わせるのが楽しいんです。
この平和が続きますように。

 

 

 

いばら姫の語法 感想5

秋も深まってきて、すがすがしいお天気が続きます。
秋は、大好きな季節です。
そこはかとなく、どこへ行くともなく、旅に出たくなります。

いばら姫の語法勉強会に感想をお寄せくださったみなさま、ありがとうございました。楽しみに読んでくださっているみなさま、ありがとうございます。今回が最後になります(❁´◡`❁)

Fさん

語法は難しいですが、学び続けることで より子どもたちの心に届く語りになったらうれしいなと思います。

そうですね、語るための語法。わたしもそう思って学んでいるし、それを皆さんと共有できたら嬉しいと思っています。

今回、『原作にはない繰り返しの文章を 小澤先生が加えられた』というお話を初めて伺い、興味深く思いました。
確かに それによって絵がよく見えますし、グッと集中してくるようでした!語法に則った再話を実感しました。
小峰書店の「いばら姫」で語ってみたいと思いました。

百年の後に王子が城のらせん階段を上がっていく場面ですね。
同じ場面を同じ言葉で繰り返すだけなのに、聞き手がいかに主体的に物語に入り込んでいくかを実感するところです。
ここ、ちょっと震えますよ。
語法おそるべしです。

それから、「いばら姫は寝ているだけの主人公」という言葉が、心に残りました。そう言われれば、確かに、多くの主人公とタイプが異なります。

姫は、目に見えている部分では[寝ているだけ]で何もしていません。でも、王子は噂を聞いて、「その姫」に会いたくてたまらなくなります。
〈姫の存在そのもの〉が、王子の心を強く動かし、内なる勇気を引き出して行動させ、王子を成長へ導いているように思えました。
この主人公(いばら姫)は、目に見えない精神的な部分で 他者に大きな影響を与えているのだと感じられました。

そうか、そうか、そういうことか!!!
Fさん、ありがとう(^///^)

すると、日常においても、そういう存在は決して特別なものではなく、まわりにたくさん認められるなと思い至りました。(自分自身、反省したり感謝したりするきっかけを頂きました。)

誰もが様々な役割を担っており、互いに影響し合いながら暮らしている…。
そして、自分が自分になる道を(模索しながら)進んでいるんだと、いまの自分には感じられました。

そうですよね。
自分が自分になる道。
なんかちょっと、涙が出そうです。

昔話は深くて楽しいです◎
学びの場を作ってくださり、いろいろなよいものを分かち合ってくださってありがとうございます。
心から感謝しております。

こちらこそ、感謝しています。
おはなしは、語ることで聞き手から教えられます。
勉強会も、ヤンにとっては参加してくださる皆さんから学ばせていただいてます。
参加者の皆さん同士でも共感しあうこと、学びあうことがあればうれしいです。

オンラインだからこそお会いできる人たちがいます。
コロナ禍を逆手にとって、つながりを拡げていきたいです。

 

 

 

 

おはなし入門講座第3回

ブログでははじめまして。チーコです。

今日は、おはなし入門講座第3回でした!

あいにくの雨で、小さなお子様連れの方は朝からいらっしゃるのも大変だったと思いすが。
そんな中、予定通り8名の受講生に出席していただきました。
小さなお子さんも3人! 可愛い~💖

それではスタートです!


1.語り
まずは椅子をおはなし会の形に並べ、ヤンさんの語りを聴きます。

手あそび
ろうそくパッ もひとつパッ
おそらにキラキラ おほしさま

おはなし
三匹のこぶた
(出典『イギリスとアイルランドの昔話』石井桃子編訳/福音館書店)

手あそび
ろうそくパッ もひとつパッ
さよなら さよなら おはなし会
ろうそくフッ もひとつフッ
おそらにキラキラ おほしさま

ほほう…。という空気になったところで、机を講義形式に並べ替えて、
第3回のテーマ「おはなしの覚え方・語り方」に入っていきました。


2.おはなしの覚え方

大きく分けると、おはなしの覚え方は二段階に分かれており、
加えて心がけることがひとつあります。
A.ストーリーを覚える
B.言葉を覚える
C.大切なこと
分解して見ていきます。

A.ストーリーを覚える

①声に出して全体を読む
大きな声で!
動きをイメージしながら読むと覚えやすい。

②テキストを見ないであらすじを書いてみる
この時点でおはなしの骨組みは記憶できているはず。
その上で抜けている部分をチェックする。

③意味段落に分ける
おはなしを意味段落ごとに分けていく。
目安としては 場面が変わるところ、時間経過をあらわす言葉があるところ(例:ある朝~)、人物の出入りがあるところ(例:オオカミがやってきて~)。

ここまでできたらB.の段階に進みます。

B.言葉を覚える

①細かくイメージしながら、声に出して読んでいく

*お母さんブタの大きさは?どんな様子?子ブタの様子は?親子はどんなふうに接している?住んでいる場所は?飼い主はいる?季節は?子ブタの質感は?五感を働かせて!
*リアルブタでもアニメ調のブタでもOK。とにかく細かくイメージ。
*実際の語りでは、それらディテールを子どもたちに説明することはもちろんない。けれど、語り手が詳細にイメージすればするほど、聞き手の子どもたちはそれを受け止めて個々のイメージをつくり上げてくれる。
*語り手がしっかりイメージできていれば自信を持って語ることができる。

②2~3行ずつ、文章を目でパッと見て声にしてみる

③②を繰り返した後、一段落全体を声に出して読む

④全段落が済んだら初めて全体を通してみる
*不安になっても、この段階までは前の段落を読み返さないこと!
回数を重ねるほど記憶に定着するのが道理なので、何度も前に戻って読み返していると、おはなしの前半ばかりよく覚えていて自信たっぷり、後半につれて強さがなくなってクライマックスが尻すぼみ、という残念な現象が起こってしまう。

⑤暇さえあれば声に出して語る。
*おはなし全体が均等に熟していくように。

C.大切なこと

①覚えるのに時間をかけること
*覚えるスピードには個人差があるけれど、とにかくじっくり取り組むこと。
*ただ読むのとは違って、覚えることは、その作品の世界に深く入り込むことでもある。世界をイメージしながら登場人物を動かしていくこと。
*人と人とのつながりが薄れている現代だけれど、せめて子どもと大人の関係は薄めずにいたい。いつの時代でも子どもは濃厚なものを求めている。そんな子どもたちに、じっくり時間をかけて温め手づくりした世界を、自信を持って届けたい。これぞ料理やお裁縫を超えた究極の手づくりでは。

②正しくきっちり覚えること
*あらすじを覚えているだけでは、いざというときにちゃんと言葉が出てこない。「えっと…」などと言い淀むのは語り手の勝手な間であって、そのおはなしの持つ間ではない。これでは子どもがおはなしの世界から離れてしまう。
*語り手が不安にならないように。不安な気持ちは声に表われ、子どもは敏感にそれを察知する。頭と声(=体)、両方を使って語るべし。
*子供はとても耳がいいので、気に入った話は何度も繰り返し話してほしいと願う。そのとき、前回と違う言い回しで語ると子どもは怒るor笑ってしまっておはなしが止まってしまう。
*語りは音楽と同じ性質のものであるので、同じフレーズは同じメロディで繰り返してほしいもの。さらに子供は常に新しいものばかりの未知の世界に生きているので、同じものに何度も触れて安心したい心理がある。
*耳に心地よい言葉で子どもに語りたい。行き当たりばったりでよい言葉を発せる人は滅多にいない。
*ということで、テキストのまま覚えることは大変な力仕事だけれど、まずはすべてそのまま覚えること。
*不自然なテキストを直すセンスは経験を積んで初めて得られる。覚えやすくするためではなく、聞き手にとって聴きやすくするために直すのである。

……以上を胸に留めながら、必死こいて覚えましょう!
そうしていくうちに、誰かの真似ではない、自分の語りができるようになりますよ。

とのことでした。


3.おはなしの語り方

さて、おはなしを無事に覚えられたとして、次に考えなきゃいけないのが語り方です。
これにはポイントが2つありました。

1.上手に語ろうと思わない
*おはなしを届けているのであって、語り手を届けているのではない。自分の発表会だなんて思わないこと。
*聞き手とおはなしへの敬意をもって取り組む。

2.最後まで語る
*途中でおはなしを忘れてしまっても、なんとしても最後まで語りきる。途中で終わるということは、聞き手を突き放すことになってしまう。
*頭が真っ白になってしまったときは、テキスト通りに読まなきゃとか細かいことはもう気にしなくてよし!とにもかくにも結末まで突っ走りましょう。


講義内容としては以上でした。
が、この後活発な質疑応答があったので、その中身も記しておきます。

Q.読んでいると、同じフレーズばかり出てきて飽きてくるけど…?
A.目で読む場合、同じフレーズは飽きてくるもの。それは大人も子どもも同じ。
ところが耳で聞くときには、同じフレーズが出てくるのを待つようにすらなってくる。音楽と同じ。

Q.テープで自分の声を録音して覚えるのはあり?
A.そうする人もいるけれど……。自分で自分の語りを批判しながら聞いてしまうので、あまりしない方が……。

Q.キャラクターの声を特徴づけて語るべき?
A.しない方がいい。自然と声色が変わってしまう程度なら構わないが、意識して変えようとしなくてよい。

Q.繰り返し出てくるフレーズは、都度読み方を変える?
A.変えなくていい。ただし子どもの反応次第で変わっていくことはある。

Q.語り途中、子どもから質問が出たらどうする?
A.無視してはいけない。無視された子は、もうそのおはなしの世界について来れず離れてしまう。なので分かる範囲で簡潔に答える。
ただ、答えた後に語り手自身がおはなしに戻ってこれるか…? 戻れるようになるまでしっかり覚えよう!

Q.身振り手振りはつける?
A.練習時はつけてもよいが、子どもの前で語るときはなし。なくても十分に通じる。

Q.語り手の目線はどこ?
A.子どもの目を見る。おはなしに興味がなさそうな子のことも、じーっと見つめていると、自分に語られていると気付いて世界に入ってきてくれる。

 

ここでお時間となり、それではまた次回!ということでお開きとなりました。


帰るころには雨もあがっていて、ホッ。
受講生のお一人が柿をたくさん持ってきてくださったので、みんなでわけわけして帰りました。ありがとうございます😋

次回は12月6日(火)です。
全員、ご自分で選んだおはなしを語っていただきます。
とっても楽しみです✨

長くなりましたが以上です。

朝晩一気に寒くなってきましたね。
今年はおうちにこっぽり籠って、たくさんおはなしを覚える冬にしたいなぁ。
そんな予定…いや、願望……もとい、儚い夢まぼろしを抱きつつ。

お疲れ様でした!

いばら姫の語法 感想4

受講されたかたの感想、続きです~

Eさん

短く言うと、昔話と語法に感謝。昔話の研究者、リュティさん、小澤さん、ヤンさんに感謝です。それに尽きます。
もう少し長く言うと…世界中に散らばっていった、もしくは発生した昔話が語法によって貫かれている、そのことによる人間の性質の普遍性を強く感じました。
そして、昔の人の聞いて覚える能力も今とは比べ物にならない程、高かったんだろうなと思います。

昔の人の聞いて覚える能力かあ。
情報がほとんど耳からの言葉だけの時代を、人類は長く生きてきたんだものねえ。
聞く力だけでなくて、五感が鋭かったでしょうね。生き抜くために。
今は文字あり、映像あり。紙も捨てるほどある。もったいない。
簡単に伝えられるから、伝えることの重さも実感しにくいし、あんまりたくさんの情報が入ってくるから、覚えようにも覚えられない。何が覚えるべき大事なことなのかもわからない。
でも、聞いて覚える能力は手放してはいけないと、本能的に思います。
子どもはいい耳してるもの。楽しみながら鍛えていきたいと思う。
あぁ、わたしはもうおばあちゃんやけど、あきらめたらあかん、な。

語法から外れてしまった話は、聞き手の記憶に残りにくく、伝えたい気持ちが弱まったり、短い話になったり、消えてしまったりする。そんな残っている昔話を全部集めて、ギュッとしたら人間ができあがるわけですね(含世界性)。
人類への秘かなる応援話なんだなと、ヤンさんのお話を聞いて嬉しくなりました。昔話の口伝えは、ほとんど途絶えかけているのかもしれません。ありがたいことに今は、原話や再話テキストを手に取ることができるので、口伝えをこれから新たに始めるくらいの気持ちで、語法を駆使して語りや再話をしていけたらなんて楽しい人生だろうと思いました。

好きなことをして、それが人類の歴史とかかわっているを思うと、ほんのささやかなことでも、うれしいね。がんばろね。

最初はハテナ?な語法ですが、勉強し続けることで、テキストに対する引っ掛かりがなくなりました。例えば、平面性の表れね、と納得して語れるようになり、自分の好みやこだわりを手放すことができるようになってきたと感じます。
ヤンさんや先輩方は大変な努力されてテキストとにらめっこをしてきたことと思います。私は、ほとんどヤンさんの再話テキストを選んで語ってきたので、そういう部分の努力を全くしてきていません。まだまだ、自覚していない事がたくさんたくさんあると思うので、語法を分かって再話をすることで、語りを磨いていきたいなと思いました。ありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございます。
あと、おひとり、お楽しみに~

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いま、来年度の語りの森の予定を立てているところ。
なんかもう1年が過ぎ去った感じ。
まだ総会は無理やろなあU_U

 

10月の中級クラス

この度から中級クラスの報告させてもらうことになりました。よろしくです~(^^♪

1.マカトのたから貝 『子どもに語るアジアの昔話2/こぐま社』

2.豆のつる 『語りの森HP』

3.サヴィトリ姫と死神 『新編世界むかし話集7 インド・中近東編/インタープレイ』

4.豆まきの由来 『子どもと家庭のための奈良の民話』

5.金の鳥 『語るためのグリム童話3/小峰書店』

ヤンさん 手遊び:小さな畑

♪小さな種をまきました~ ぐんぐんぐんぐん芽が伸びて~ お花が咲きました~ ぽっ ♪中くらいの畑を…ぱっ ♪大きな畑を…がばっ ♪バカでかい畑を…ドカン

おはなし:おはなしかめさん 『朝鮮の民話/偕成社』

長い話と短い話がいい具合いにプログラムされた、楽しい大人のおはなし会!でした。お一人お一人、それぞれの感性でもって、おはなしを大切にされている様子がいつも伺えて、学びを深めることができます。ヤンさんのアドバイスでは、覚えたら語る、が印象的でした。いつも言われていることですが、今回は特に耳に残りました。同じ話をいくつかのグループに語る、ピタッとくる学年を探す、三者三様ここらへんとわかってくる、今の私と今のこの子ら。そして、次の年もその学年に語る、そうして自分の十八番のおはなしになっていく、とのことでした。

それと、名言が出たので記録…立てたい言葉は噛んでふくめるように丁寧に言う。以前から言われていたのかもしれませんが、初めて耳に残りました。忘れているのか、自分が変わってキャッチするものが変わったのか…噛んでふくめる!理解を進めるイメージを与える言葉だなと思いました。よく使う言い回しなんですかね。国語より数学が好きなのでお許しを。本を読みます~。余談ですが、最近「アルプスの少女ハイジ(ハイジの修行時代と遍歴時代)」と「シートン動物記」を読みました。子どもの頃に大人に紹介してほしかったな!と思う反面、今読むからいいのかなとも思える。次は「ツバメ号とアマゾン号」を読みます~長いので、読み終えるために、この場で宣言させてもらいました(^^)

次回は11/15㈫です。