「勉強会」カテゴリーアーカイブ

1月のプライベートレッスン

一月は行く、二月は逃げる
これは、かつて上司に言われたことばで、「だから時間がないからしっかり働け」と言われているようでよくない印象を持っているんですが、ほんとに驚くほど速く時は過ぎて今日からもう二月です!
節分の季節とはいっても特に何かするわけではないのですが、豆を投げられて逃げる鬼の気持ちがなんとなくわかるような(笑)
1月のプライベートレッスンの報告をします(^^♪

1日目
①テキストを日常語になおす
「腹を立てた貧乏神」 語りの森HP日本の昔話 → こちら
このところ、いろいろな貧乏神の話を勉強されていて、シリーズで覚えていかれています。
そういう、研究するみたいな話の取り上げ方はとても内容が濃くなって、知識がつくだろうと思います。
でも、なかなかできないことだし、すごいと思います!
この話もそうですが、貧乏神の話はいつもどこかユーモラスな部分があるので、面白くて好きです。
家をきれいに掃除されて怒るという、感情をむき出しにするところは、ギリシャ神話の恋愛ばっかりしてる神さまを連想しましたが、日本の神様は色恋ではなくて環境を自分好みから変えられたから怒るという、なんか駄々をこねている感じが面白いです。
貧乏神からしたら汚いところでないと生きていけないのだから必死なのかもしれませんが
②日常語の語り
「こおった声」『日本の昔話5』福音館書店
この話はわたしです。
落語にもこの話があるそうで、落語の枕に使うそうです。
ほんの短い話なのでなるほどと思いました。
さぁ~っと語ってしまってはいけない所を教えてもらったので、本番ではがんばってそのとおりに語りたいと思います。
あっという間に終わる話なので、ミスしても巻き返す暇はないから短い話も難しいですね。

2日目
①語り
「がちょうはくちょう」『おはなしのろうそく27』東京子ども図書館
ロシアの昔話で、ババ・ヤガーが子どもをさらうのにこの〝がちょうはくちょう〟という鳥をつかうんですね。
最初にこの言葉を聞いたときは、「がちょうとはくちょうが合体した鳥か?」と思ったものですが、ロシア語ではどんな意味がある言葉なんでしょうね。
おはなしを語るまえに、がちょうはくちょうの説明をしたらいいそうです。
そうしたら、聞き手が「がちょうはくちょうって何?」と思わなくてよくて、話に集中できます。
主人公のマーシャは、弟を連れて帰るときに追われているので一直線にだ~~っと帰るわけですが、「急いでいるところは急いでいるように聞こえないといけないが、急いで語ると聞き取れない。聞き取れる速さで語らないといけない」とヤンさんがアドヴァイスされていました。
聞き手が集中していて次の展開を早く聞きたいときは、やっぱり早く言わなくてはなりませんし、その時その時の聞き手の反応をよく見ないといけないということ。
緊迫感が大事なんですね。
というようなことは、練習ではわかりませんから経験を積み上げないといけないですね。
語り手の道は長いです。
②日常語の語り
「雪女」(原題:「雪おなご」)『日本の昔話5』福音館書店
これもわたしです。
お話会が近いので、間に合うように続けて入れてもらいました。
「雪女」は、わたしが思っていた以上に怖い話だったようで、そのことが分かってよかったです。
怪談話は、怖がらせないといけないから演じる話で、その意味では笑話とおなじカテゴリーになるそうです。
なるほどなと思いました。
ヤンさんが「雪女のセリフを言うとき気持ちよく語れる」とおっしゃったんですが、言われてみればほんとにそうで、「おまえ、今見たことだれにも言うなよ」とか、「あれほどしゃべるなと言うたのに、とうとうしゃべってしもたな」とか、とっても気持ちいいです。
山姥のセリフを言うときは楽しい、雪女のセリフは気持ちいい!
テキストも手直ししてもらったし、まだまだ練習しないといけません。

1月と2月は通常の勉強会はお休みなので、プライベートレッスンに参加させてもらってよかったです。
インフルエンザもコロナも両方流行っているそうでまだまだ気を抜けない日々ですが、みんな体に気を付けてがんばりましょうね。

1月の再話クラス

1月もちょうど半分が過ぎたころ、新学期がスタートし、おはなしモードに戻すためにちょうど良いころ合いの勉強会となりました。

再話再検討 「天狗のうちわ」

原話題名:「鳥うちわ」 原話出典:『丹波和知の昔話』稲田浩二 編/三弥井書店

まず、再検討してこられたテキストを読んでもらいます。みなさんどうですかと問われて、よくわかる、聞きやすい、おもしろい、などの感想がでます。私たちは、どんな話か知っていますし、前のテキストと比べてというその基準があります。

【検討した箇所】

心中文で二つの事(まだ起きていない)が一度に書かれていて、二つ目の展開を先に言ってしまっているので、心中文を短くするか、無しにして、ストーリーを順番におさえて行動で表す。

心中文は説明になる→人物の行動をつなぐだけで心の中が分かるようにする

てんぐの誤解(サイコロを振ったらお金が出る)を利用して、主人公がウソをつき、うちわとサイコロを取り換え、その後もうまいことだまして逃げる…その面白さを伝えるようにする。笑い話は先に落ちを言わない。その時点で聞き手に分かっていなくていい、話が進むうちに聞き手が自分で気づく。

初めて聞く聞き手の感情はどう動いていくか、何を思うか、ここで笑う、ここで理解する、再話の視点を確認しました。原話を違う形に変える事が再話です、とヤンさんが言われました。この短い言葉の中に再話の重みと深みを感じます。

再話検討 「聖アントニウスがこの世に火を持ってきた話」

原話題名:同じ 原話出典:『新装 世界の民話13 地中海』小沢俊夫 訳/ぎょうせい

主人公は先を見通すことができる聖者だが、ストーリーはすべて偶然として進む。地獄から火をどうやって取ってきたかが、きちっとわかるようにする。一緒についてきた豚が、ブーブーいいながら地獄を走り回り大活躍するが、豚は特別な豚ではない。そだを切って作った杖を持っていくが、杖も魔法の杖ではない。それなのに、その二つだけで悪魔から火を取る。その二つを活かして再話をする。状況、場所、時間を一致させていく事で奇跡めいてくる。

原題では「この世」、原話では「この地上」を使っている。この世は時間的な奥行きもある言葉。題は訳者が決めている。今までなかった火を聖アントニウスがもたらすのは、この地上か、この世か?使う言葉を決めて、題名と話と同じ言葉に合わせる。

リズムの良い再話…リズムにも個性があって、語り手自身のリズムがある。それを再話にも活かすとよい。それに合わせて、わかるように大きく変えてもよい。

「くまで」が出てくるのですが…聞き手は一瞬だけくまでを想像する。ここでは「ぶたがひっくり返した肥料用のくまでを元に戻し、」となっています。解説を聞き逃してはっきりしないのですが。くまでは、背景に溶け込んでいるので、引っかからずに先に行けるということで良かったでしょうか?例えば「男はくまでを持ってっきました。」だと、くまでって何?と引っかかりやすいと。間違っていたら、どなたか訂正してください~。

「こうやって集まって勉強ができる時間を大切にしたいですね」というヤンさんの言葉から始まった勉強会でした。本当にそうですね。最終的には自分一人でも再話ができるようになることです。語法を勉強していく事で再話の方法も分かるようになるとのこと。(2/6オンライン語法「ろばの子」です)語法を活かした再話が、聞き手に届くものになる。まだまだ、難しいですが、他の方の再話を検討するのは、自分のものより楽しく面白いです!客観的に検討するので、気が付くことも多く、自分が選ばないかもしれない話からの色んな学びを頂けます。そして、皆さんで感じたことを発言するグループ再話は、学びの凝縮時間になります。生まれたばかりの赤ちゃんテキストなので、立って歩くまでを、皆さんであれやこれやと手を出す、わーわーやる、(おはなし自身はどんなことを思うでしょうね…)数ヶ月で歩き出すことができます。その後も完成はなくて、手を加え続けて変わり続ける。ほんと、子育てなんですね。私は、再話したおはなしをまだ覚えていない、語っていないので、そこを実感するために、そちらに向かえたらと思います。

次回は、来年度の原話提出もあります。クラスのみなさん、おはなし探しは進んでますでしょうか。どんなおはなしに出会えるか楽しみです。

次回:3月26日㈫

 

12月の中級クラス

1.つるの恩返し 『語りの森昔話集3』語りの森

ある日…何か物事が起こる時は、日を特定する。それを意識することで、聞き手が集中する。機織りとは何かということは、テキストで「布を織る」と表現を変えて言われているので、聞き手は理解しながら聞ける。イメージできる範囲でストーリーが分かれば大丈夫。「キイトン バタバタ キイトントン」という機織りの音の原話…変えずに、こちらを尊重するのがいいのでは。→小澤先生氏曰く、「語り手は語りを思い出すときに、体で覚えている音楽的な部分から思い出す」らしいとのこと。リアルな状況ではなく、大事なこととイメージだけ伝えられればいい。機織りを覗いてしまう場面に焦点を合わせて語る。みんなで一緒に覗くといい。こちらを語られるOさんからもたくさんアドヴァイスありました。

2.かも取権兵衛 『日本の昔話2』おざわとしお再話 福音館書店

ふんどしってわかる?聞き手が分かる必要があるワードはたずねる。「お相撲さんがしてるようなの!」と子どもたちが答えてくれることが多いそうです。権兵衛が大屋根にいて、下の村の人らと会話する場面、聞き手は権兵衛になっているので、村の人らの声との違いを出すと距離感が出る。

3.夢見小僧 『日本の昔話1』おざわとしお再話 福音館書店

和尚さんとのやり取り、鬼たちとのやり取り、二人の長者とのやり取り、三段階になっているので、この構造を活かす。長い笑い話。長者の娘が生き返る場面の面白さは、語り手の考えた間でいって、聞き手はのせられたら笑う。こちら私の語りでしたが、練習中もおかしくて楽しくて、こんな弾んだ調子で娘を生き返らせていいのかと思いましたが、いいそうです!そして、いい夢は人に喋らない、そのテーマをしっかり押さえつつ、笑える語りを目指します。

飛び入り だんまりくらべ 『子どもに語るトルコの昔話』こぐま社 面白すぎました。

ヤンさん スウォハムの行商人 『More English Fairy Tales』Joseph Jacobs より再話 みなさんでヤンさんの課題を検討しました。

風邪を引いて報告が遅くなりましたが、年末に間に合いました。風邪のおかげで、色んな事をせずに、最低限のことをして過ごしています。みなさま、よいお年をお迎えください。

次回は3月19日㈫

12月のプライベートレッスン

ほんとに寒くなりましたね。
そして年末、その前にクリスマス🎄
毎年毎年、無駄になにかに追いかけられるような気分になる時期ですが、それとは関係なく今年最後のプライベートレッスンの報告をします。
今回は一日で2話でした。
2話とも、日常語にテキストをなおす作業をしました。

1話目
「夢見小僧」『日本の昔話1』福音館書店
2話目
「貧乏神」語りの森HP → こちら

「夢見小僧」はわたしなんですが、同じ週の中級クラスで他のメンバーさんが同じ話で講評を受けておられるので、それがとても参考になりました。
それでも、会話だけで話が進むようにしていいかどうか迷う箇所があり、それについてアドヴァイスしていただきました。
もちろん、気づいていないところもありましたし、アドヴァイスいただいたあとは、この話が笑い話寄りというか、「そんなあほな~!」という終わり方に持っていけるように語ればいいと分かってすっきりしました。
重婚の話ですし、不思議な話というエッセンスが入っているんだろうかと思っていたんです。
中級クラスでこの話を出した方がその時教えてくれたんですが、類話がコーカサス地方(黒海とカスピ海に挟まれた地方)とアルバニア(東南ヨーロッパ、ギリシャの上)にあるそうで、どちらも重婚で、朝日長者と夕日長者に当たる登場人物が月と太陽だそうです。
おんなじじゃん!
全然違う場所に同じような話があるんで面白いですよね~。

「貧乏神」は類話がたくさんありますが、この「貧乏神」は自分から進んで家を出て行ってくれるのが面白くていいですね。
貧乏神というのはどこかユーモラスなものですが、この話の貧乏神もわらじを編んだりするんで、神様というよりその辺のおっちゃんみたいで親近感をかんじる神様です。
お正月らしくて、楽しくて、ほんわかしている話を日常語で聞いているとほんとに幸せ~~な気分になりました。
語りを聞かせてもらえたらうれしいな~

今年ももうあと少し、とはいえ、特に大掃除をするでもなく普段とほぼ変わらない年末を過ごすのですが、なぜか急がなければいけないような気がしてそわそわしてしまう(笑)
落ち着いて、忘れ物や失敗をしないように、急がば回れで生きていきたいと思います。
では、みなさま、どうぞよいお年をお迎えくださいね。

研究クラス 呪的逃走🏃

一週間後はもうクリスマスイブなんて、ほんとに時のたつのが速く感じます。
今日からすごく寒くなってきましたし、クリスマスらしくなってきているというのはありますね。
いいことでしょうけど、寒いのが苦手なのでうれしいような悲しいような…。
さて、研究クラスは6月で最後でしたが、その時のブログでも書いたとおり、呪的逃走の研究が残っていました。
それを、ZOOMで集まってみんなで担当の話の調べてきた内容を突き合わせました。

今回の話は、北方アジア(極北諸族)、アメリカインディアン、エスキモー、シベリア、インドネシア、インドシナ半島の海洋民族、パプア・ニューギニア、台湾、朝鮮、中国のタイ族・苗族、モンゴル、といろいろな地方の〝○○民族〟の話でした。
今まで読み合わせてきた話と違うところは、その土地の昔の信仰とか神話・伝説を感じさせ、とても原始的であるということです。
その意味ではとても面白いですが、わたしは「再話するのはとても難しくて自分には無理!」と思いました。
それと同時に、キリスト教圏の話は洗練されていて読みやすいし面白いけれども、はるか昔の土俗信仰や自然信仰の時代が持つ力はかなり薄まっている、軽くなっている点では惜しいなと。
どちらがいいということではないですし、どちらも捨てがたいですが共存はできないということかと思いました。
また、話の中には登場するのに主人公を助けるでもなく、呪物として役割がありそうでないような品物は、はるか昔の話が時間とともに洗練される過程で、元は意味があったから残っているのだけれども、今はもう名前しか出てこないと前に教わりましたが、まさにそれを自分で読んで体験した気がします。

最終回も最終回の今回、障害逃走の場合、後ろに投げるときに呪文(おまじない)を言うか言わないかの分類をしたらよかったよねということになって、みんなで「あっっっっっ…(;’∀’)」となってました。
今更もうできないという残念さ。
だって、いったい何話読んできたのかもうわからないくらいたくさんの話を今まで読んできましたから!

ヤンさんが、研究クラスでやった1話を深く掘り下げて調べることや呪的逃走話の読み合わせは、テキストを明らかにするということであり、昔話の背後の世界を知ることで、この二つのことにより語りの世界が深まるとおっしゃいました。
そういうことを導いてもらったんだなと思うと、改めてありがとうと感謝の気持ちです。
それと、こんなマニアックな勉強会に最後まで残ったわたしたちってすごくない?!と思ったのでした(笑)
新しいおはなしを覚えるときは、まず話を調べてみるということが自分でできるようになりました。
自分で調べると、話を読み込むことにもなるので、調べて、テキストを決めて必要なら直す作業をしてテキストを完成させる。
おぼえる前までの作業が勝負なんだなと教えていただきました。
みんなと楽しく実のある勉強がたくさんできてとてもよかったです(^O^)/