「勉強会」カテゴリーアーカイブ

研究クラス 呪的逃走🏃

一週間後はもうクリスマスイブなんて、ほんとに時のたつのが速く感じます。
今日からすごく寒くなってきましたし、クリスマスらしくなってきているというのはありますね。
いいことでしょうけど、寒いのが苦手なのでうれしいような悲しいような…。
さて、研究クラスは6月で最後でしたが、その時のブログでも書いたとおり、呪的逃走の研究が残っていました。
それを、ZOOMで集まってみんなで担当の話の調べてきた内容を突き合わせました。

今回の話は、北方アジア(極北諸族)、アメリカインディアン、エスキモー、シベリア、インドネシア、インドシナ半島の海洋民族、パプア・ニューギニア、台湾、朝鮮、中国のタイ族・苗族、モンゴル、といろいろな地方の〝○○民族〟の話でした。
今まで読み合わせてきた話と違うところは、その土地の昔の信仰とか神話・伝説を感じさせ、とても原始的であるということです。
その意味ではとても面白いですが、わたしは「再話するのはとても難しくて自分には無理!」と思いました。
それと同時に、キリスト教圏の話は洗練されていて読みやすいし面白いけれども、はるか昔の土俗信仰や自然信仰の時代が持つ力はかなり薄まっている、軽くなっている点では惜しいなと。
どちらがいいということではないですし、どちらも捨てがたいですが共存はできないということかと思いました。
また、話の中には登場するのに主人公を助けるでもなく、呪物として役割がありそうでないような品物は、はるか昔の話が時間とともに洗練される過程で、元は意味があったから残っているのだけれども、今はもう名前しか出てこないと前に教わりましたが、まさにそれを自分で読んで体験した気がします。

最終回も最終回の今回、障害逃走の場合、後ろに投げるときに呪文(おまじない)を言うか言わないかの分類をしたらよかったよねということになって、みんなで「あっっっっっ…(;’∀’)」となってました。
今更もうできないという残念さ。
だって、いったい何話読んできたのかもうわからないくらいたくさんの話を今まで読んできましたから!

ヤンさんが、研究クラスでやった1話を深く掘り下げて調べることや呪的逃走話の読み合わせは、テキストを明らかにするということであり、昔話の背後の世界を知ることで、この二つのことにより語りの世界が深まるとおっしゃいました。
そういうことを導いてもらったんだなと思うと、改めてありがとうと感謝の気持ちです。
それと、こんなマニアックな勉強会に最後まで残ったわたしたちってすごくない?!と思ったのでした(笑)
新しいおはなしを覚えるときは、まず話を調べてみるということが自分でできるようになりました。
自分で調べると、話を読み込むことにもなるので、調べて、テキストを決めて必要なら直す作業をしてテキストを完成させる。
おぼえる前までの作業が勝負なんだなと教えていただきました。
みんなと楽しく実のある勉強がたくさんできてとてもよかったです(^O^)/

12月の初級クラス

師走とは思えないような暖かい曇り空の中、今年最後の初級クラスが行われました。

手遊び
123の2の4の5
312の4の2の4の5
*最初片手、次に両手、その後は年齢に合わせて、どんどん早くして遊ぶ。


語り

1.人に悪いことをしなければ自分にもされない/語りの森HP(世界の民話18・イスラエル/ぎょうせい)
2.金の子牛/語りの森昔話集2/語りの森
3.岩の戸、開け!/語りの森昔話集2/語りの森
4.蚕のはじめ/語りの森HP〈こちら→〉

ヤンさんの語り
5.神の顔/世界の民話18・イスラエル/ぎょうせい


講評  *
語り手の課題:黒字 ヤンさんのアドバイス:青字

1.課題:男性が複数登場するので聞き手に誰か区別がつくか。/一人一人の登場人物をどう語り分けるのかは、①テキスト選び②テキスト理解③聞き手の立場でテキストを整える、が必要。
登場人物がどこで誰と会話しているかがわかるように語る。
2.課題:①句点の多いテキストはどう語れば良いのか。②意地悪な姉のくり返しの部分の言葉が違うのが覚えにくい。/①句読点は読むためのもの。語る時には気にしなくて良い。②同じような場面のくり返しにも、その回数や前後の関係性でテキストの言葉は変わる。
テキスト中の自分が覚えにくい言葉や間違えてしまう箇所に印をつけない。
3.課題:①最初は文章と文章の間に接続詞を入れたくなった(練習しているうちに気にならなくなった)②岩の「戸」を「口」と表現しているのは?南からの男とは?/①読むためなら接続詞は必要だが、語る時はいらない。②「戸」と「口」が同じであることを聞き手は話の情景から理解する。南から来た男は特別な職業で、あがめられつつ、時には虐げられるような存在。
4.課題:一文の中の言葉の順番を変えることについて。②言葉そのものを同じ意味のものに変えることについて/①先に来る言葉の方が印象に残るので、聞き手の感情を考えることが大事。②その言葉が言いにくい場合、同じ意味なら変えても良いが、なるべく漢語でなく和語を使うように心得ると、響きが優しい。
初めて出てきた言葉は立てる(この場合、ひとつひとつの音を長めに言うと良い)

日常語に変えることについて
課題:日常語ゆえに語尾が定まらないがどうしたら良いか/まずはテキスト作りに時間をかけて、語尾についても自分で納得して決める。しっかり覚えた後、本番でも変わるようならそちらを採用する。

どんな課題も行き着くところは「聞き手の立場になって」がキーワードになっていたように思います。テキストそのものの解釈に対しては、それがヤンさんの再話なら、どんどん質問して疑問を晴らしていきましょう♪ それがヤンさんの再話でなくても、どんどん質問してお知恵をいただきましょう♬ 語り手の迷いはそのまま聞き手に伝わってしまいますし、子どもこそがそこを敏感に感じ取る賢い存在ですから!


次回の初級クラスは本年度最後、3月12日(火)です。エントリーは2月12日までです。定員になり次第締め切りになるようですから、お早めに~~。

おはなし入門講座 第4回

12月5日、今年度のおはなし入門講座もついに最終回、受講生の皆さんの発表会が開かれ、お二人が語り手としてデビューされました。

プログラムは以下のようになりました。

「ありこのおつかい」(『ストーリーテリングについて』子ども文庫の会)

「舌きり雀」(『おはなしのろうそく13』東京子ども図書館)

「ヘンゼルとグレーテル」(『語るためのグリム童話1』小澤昔ばなし研究所)

「小僧さんとねこの絵」(『語りの森昔話集5 ももたろう』語りの森)

「きつねの恩返し」(『日本の昔話3 ももたろう』福音館書店)

「ありこのおつかい」を語られた受講者さんは、小学校での読み聞かせの活動をされていて、このおはなしも子どもたちに聞かせたいとのことでした。実は語りが手につかないような日々だったそうで、出席も迷われたそうなのですが、勇気を出して語ってくださいました。テキストを見ないで語られたところは、イメージがよく伝わってきて、決していい加減になさったわけではないとわかりました。思い出せない部分を「自分で作ってしまいそう」とおっしゃってテキストに目をやられたのですが、いっそ作ってもいいですよ!と声を掛けそうになりました。もちろん基本的にはダメです。が、それでも時々、本番の語りでどうしても言葉が出てこないとき…やってしまいますよね。もちろん、あてずっぽうに似た言葉を持ってくるのでは失敗しますが、しっかりとイメージ出来ていれば、そう大きくそれてしまうようなことはないと思います。おはなしの世界を大事に語ろうとされていたので、いずれ落ち着いたときに、ぜひ子どもたちに聴かせてあげてほしいです。

「舌きり雀」も受講者さんの語りです。有名な昔話で、たくさんの類話もあるおはなしですが、語り手さんそれぞれで違った味わいのある、良いおはなしだと改めて感じました。覚え始めてから、すっかりおはなしの世界に没入していたという語り手さんは、幼い頃に見ていた情景をイメージして語られたそうです。怖かった馬、かわいい牛、村はずれの尼寺…初めての語りとは思えないほどしっかりした語りの土台には、実際の体験からくる確かなイメージがあったのですね。

「ヘンゼルとグレーテル」、「小僧さんとねこの絵」、「きつねの恩返し」は、ききみみずきんメンバーの語り。「ヘンゼルとグレーテル」、お菓子の家ばかりクローズアップされがちですが、絵本などでは省かれている場面もとても魅力的に語ってくださいました。「小僧さんとねこの絵」の語り手さんは、新聞でこのおはなしの主人公とよく似た、絵の大好きな小僧さんの逸話を知り、東寺で開かれていた展覧会を鑑賞してイメージを広げられたそう。好きなことに打ち込む大切さを伝えられたら、とおっしゃっていました。そして日常語での語り「きつねの恩返し」は、当初予定になかったのですが、時間に余裕があったため、急遽語ってくださることに。「語れるかしら」と心配されていましたが、ご自身で日常語に直したテキストは、語り手さんの優しい佇まいにもぴったりで、聴き手全員が温かい気持ちになりました。

語りの発表の後、それぞれ感想を述べ、自分にとっておはなしを語ることとはどんなことかという話をしました。現実の世界…日常生活では誰でも仕事が忙しかったり、育児に悩んだり、大切な人との別れがあったり、気持ちに余裕が持てなくなることが幾度となく訪れます。そんなとき、問題が解決するまで休むことも非常に大切ですが、おはなしが安らぎや癒しを与えてくれることもあります。おはなしを読んだり、語りの練習をしているときは、おはなしの世界にぐっと集中できる自分ひとりの大切な時間。子どもたちにより良い語りを届けるための努力はしなければなりませんが、ときには自分のためにおはなしと向き合う時間があっても良いのです。

お休みされた方もあり、予定していたプログラムどおりにはいかない発表会でしたが、どの語りも誠実で心がこもっていて、良いおはなし会になりました。それに考えてみると、それぞれがおはなしについて思うことを、膝を突き合わせて語り合える機会は滅多にないことです。入門講座の運営に携わり、初心に返って謙虚に語りに向き合いたいと思わせてくださって、本当にありがたいと、ききみみずきん一同感謝しています。

受講者の皆さん、お疲れ様でした。またどこかで語りを聴けるのを楽しみにしています。

再話クラス 11/28 🍂

今日から12月です。
信じられないくらいに一年が速く過ぎます。
特に、今年は秋が一瞬だったというか、夏の気温が長かったというか、寒いと思ったらもう年末?!みたいな気がします。
今年最後の再話クラスの報告です。

再話再検討
「黄金の騎士」『新装世界の民話19パンジャブ』関楠生/訳 ぎょうせい
この話は、自分の担当でした。
たぶん短時間で完成になるんじゃなかとたかをくくっておりましたが、すごい時間を取ってしまいました。
〝時間をずいぶん取っているな〟と途中から思っていましたがいろいろ知りたいし、聞きたいので、時計が自分の背後にあることを理由にして、全く気付いていないふりをしてたっぷり時間を使ってしまいました。
申し訳ございませんでした<m(__)m><m(__)m><m(__)m>
最初の再話で、ずいぶんと原話を解体したように思っていたので、これいじょうやるとダメだろうと思っていた箇所をヤンさんに指摘してもらい、元の意味を変えずに齟齬をうまく解体・整理できました。
ラストの終わり方の個所は、自分では全く気付いていなかったので、指摘してもらってなるほどと納得しました。
まだまだ、読み込む力が足りてませんな。
みなさんにも他の個所でいろいろ意見を言ってもらって、考えながら変更したりするのが楽しかったです。
そしてまたまた時間を取ってもらって申し訳ないですが、再々検討してもらうことになりました。

再話検討
「鳥うちわ」『丹波和知の昔話』稲田浩二/編 三弥井書店
丹波和知というのは、同じ京都府内の土地ですが、わたしの使ったり知っていたりする京都の言葉とはかなり違います。
おおかたの文章はわかるとしても、ちょっとした単語や擬態語など、調べてもどうしてもわからないところがでてくるとき、それが大事な箇所だったら再話できなくなってしまうかも。
この話はそこまで言葉が分からないわけではないので再話できますが、原話を選ぶときは自分が理解できる土地の言葉、自分が使っているとか、住んでいるとか、身近に生き字引がいるとかの土地の話を選ぶようにしたらいいということです。
ほんとにそうだと思います。
話の題ですが、「鳥うちわ」となっていますが、本文中に〝鳥うちわ〟は一回も出てこず、そのかわりに〝天狗のうちわ〟が2回使われています。
話型名が「鳥団扇」「何が一番怖い」となっていますので、原話の語り手さんが話の題を言わない時もあり、その場合は本にするときに話型名を題にすることになる、ということで、再話では題を「天狗のうちわ」にすることになりました。
他にもいろいろ意見が出ました。

原話から何を読み取るか、まだまだ修業は続くよどこまでも。
みんなそれぞれに意見を出し合って、活発な勉強会でした(^O^)/
楽しかったです!

11月のプライベートレッスン

朝晩が寒くなってきて、ついにストーブを出しました。
うちは石油ストーブなので、また寒い中を灯油を買いに行き、タンクに灯油を入れる日々が始まるのかと思うとゆううつです。

今月のプライベートレッスンは2話。
1日目
テキストを日常語になおす
「夢見小僧」『日本の昔話1はなさかじい』おざわとしお再話/福音館書店
過去に一度は読んでいるはずなのに覚えていなくて、今回いっしょに勉強させてもらい、面白い話だと思いました。
夢の話で、不思議な話です。
この話は、最後で小僧さんが二人のお嫁さんの間を1か月ごとに行き来するという終わりかたをします。
それが小僧さんの見た夢で、その通りになったということなんです。
大人のかたに語るということです

勉強会の最後に、わたしが語りのピンチヒッターになることに決まり、頭に残っている話の雰囲気を維持しているうちに自分の日常語にテキストをなおしました。
そしたら、話の中のまじめな部分が、なんかコント寄りになってしまって、「これ、どうなの、こんなのでいいの?」と今思っています。
でも、仕方ないですよね、自分の言葉は変えられないしね。
語ってみるまでどんな風になるかわかりません(笑)

2日目
語り
「スヌークスさん一家」『おはなしのろうそく2』東京子ども図書館
中級クラスでエントリーされていたんですが、急に欠席しなければならなくなられて、それでプライベートレッスンに申し込まれました。
その熱意、うれしいです!
おおぜいの中で講評してもらうのももちろん勉強になりますが、プライベートレッスンはまさに〝あなた一人のためのピンポイントなアドヴァイス〟をしてもらえるので、勉強になるというか、お得だと思いますよ。
まったく気が付いていなかったんですが、この話は12月にちょうどいい話だったんですね。
ろうそくの雰囲気が、クリスマスを連想させるからですかね?
顔芸はもちろん難しいですが、聞き手に何ともとぼけた雰囲気を感じてもらうのが難しいだろうなと思います。
それとも、そんなことは考えないで、顔芸に集中していたら、スヌークスさん一家の間抜けな感じと、とぼけた話の雰囲気が、自動的に出てくるんでしょうかね?
分からないから、わたしは聞き手に回って楽しませていただくことに専念いたします。

今回も、2話とも楽しいお勉強でした。
明日からもう12月だなんて、せわしなくて気持ちが落ち着きませんね。
急ぐ必要がないのに急いでしまうみたいな、そんな風になってしまう自分が成長していなくていやというか。
とか、内面を振り返っている暇はないような年齢になってまいりましたので、とにかく健康に気を付けていくのみ!
みなさんも、どうぞ風邪などひかれませんように、ご自愛くださいね。