日中はまだまだ暑い日が続きますが、朝晩は涼しくなってきましたね。
一雨降るごとに、台風が過ぎるごとに秋が深まるように感じます。
さて、先日9月のおはなし初級講座がありました。
語りは3話。
「メケー・ドマ」『語りの森昔話集1おんちょろちょろ』(村上郁 再話、語りの森)
「半分のにわとり」『語りの森昔話集1おんちょろちょろ』(村上郁 再話、語りの森)
「心臓がからだの中にない巨人」『おはなしのろうそく22』(東京子ども図書館)
「メケー・ドマ」
「メケー・ドマ」はブータンの昔話です。畑仕事ができなくなり山小屋にこもって暮らしている両親のもとへ、メケー・ドマという名の女の子が毎月食べ物などを運びます。ある日、ドマが重い荷物を担いで山道を登っていると、イノシシとサルとヒョウに出会います。イノシシとサルとヒョウはドマを食べようとしますが、機転を利かせ、荷物を無事母親に届けます。
ドマの親への愛情、機転を利かせる賢さ、援助者に助けられて怖いものから逃げる方法を学ぶこと。子どもたちはドマになって、共感したり、ドキドキしたり、ハッとしたりするのでしょう。高学年は客観的にドマがどうやって危機を乗り越えるのかな、といった聴き方をするのでしょうか。
後半はリズミカルに、とのアドバイスがありました。
「半分のにわとり」
おはなしは最初の設定をしっかり頭に入れさせるのが大事です。
このお話はフランスの昔話です。二人の女の人が、よく似たにわとりをそれぞれ一羽ずつ飼っていて、ある日一羽がいなくなります。
二人の女の人は残ったにわとりを自分のにわとりだと言い張って喧嘩します。どちらもにわとりを飼いたかったので半分に分けて飼うことにしたというこの最初の設定を理解するには、ちょっと読解力がいりますね。喧嘩して大岡裁きのように引っ張り合いの末、引き裂いて半分にしたわけではなく(越前さまのおかげで元ネタの子どもは引き裂かれは免れています)、半分こにすることで和解したというようなニュアンスです。
少しの間違いで意味が変わってきますので、意味を考えながらテキストを正確に覚えましょうというアドバイスがありました。
半分になったにわとりのお尻を鳥たちやオオカミや池が出入りするナンセンスを楽しむお話だと感じました。
「心臓がからだの中にない巨人」
このお話はノルウェーの昔話です。ぼんやり屋の末王子エスペンが、援助者たちの助言に従って6人のお兄さんたちと、お兄さんたちのお嫁さんと巨人のお城にいたお姫様を助けて幸せになるお話です。ぼんやりで役立たずの末王子をみんな、あからさまに疎むわけでもなく、エスペンにも花嫁を探してきてやるよ~と出ていくお兄さんたちに優しいなぁと思いました。結局はエスペンのことは忘れられて6人のお姫様を連れて帰る途中に石にされてしまうのですが。
主人公のエスペンの人間性、巨人のキャラクターをよくよくイメージして、ラスト、石にされた兄さんたちを元に戻させた後、今度こそ巨人の心臓を握りつぶすエスペンが悪者に聞こえないように語りたいですね。
最後にヤンさんが「アリョーヌシカとイワーヌシカ」を語ってくださいました。
姉弟ふたりになって、アリョーヌシカ自身も不安に駆られながら、イワーヌシカに対してしっかりとお姉さんの顔をしているアリョーヌシカがいじらしい。アリョーヌシカが魔女の罠にはまって水底に沈められ、ヤギになったイワーヌシカが姉を思って側を離れない姿が切なくも姉弟愛を感じました。イワーヌシカの不安そうな切羽詰まった声と、アリョーヌシカが水底から答える声に、ゆらりと着物を水の流れに揺らめかせながらうつろに水面を見上げて弟を見つめるアリョーヌシカとヤギの姿で水底に目をこらしながら涙をこぼすイワーヌシカのイメージが浮かびました。想像させる間がどこにとられていたか、予想させる間がどこにとられていたか、みなさん分かりましたか?
私はすっかり物語の世界に入り込んでしまって、そんな余裕はなかったような気がしますが…聴いている最中は確かにイメージしながら色々想像したり予想していたりさせられていたような気がします。
ヤンさんありがとうございました。
報告をありがとうございます。
こうやって次々と報告していただくと、ああ、夏休み終わったなあと感慨深い~笑
初級講座も本格的な長い話が出てくるようになりました。楽しいです。
年数を重ねるにしたがって、お話会での役割も重くなってきますからね~
しっかりした話、手ごたえがあって、語ってて面白いでしょ~?
「メケー・ドマ」「半分のにわとり」、レパートリーに入れてくださってうれしいです。
「メケー・ドマ」は、聞くの初めてでした。ええお話やね~
おはなし、3つとも、面白かったです。
「メケー・ドマ」は、何度も読んでいるのに、語ってもらってほんとにおもしろいと思い、自分の鈍さに唖然としました(笑)
「半分のにわとり」は、自分が今、日常語に挑戦中で、面白い話だと思っていましたし、「心臓が体の中にない巨人」は、以前類話を集めて読んだことがあり、そういえばお皿でも箱でも、入れ子に弱い(=大好きな)自分です。
(ただし、マトリョーシュカはなんとなく怖い。そんなことどうでもええって…)
ヤンさんの「アリョーヌシカとイワーヌシカ」はいつもお見事です。
姉弟の名前を舌をかまずにいえるのがお見事なんじゃないですよ!
わたしは、うちの子どもが小学校のころからヤンさんの図書館のお話会に通ってるんだけど、「ヤンさんが語り子どもが聞く」のをみていると、子どもがこの話では息をつめて聞くんですよね。
図書館だから、結構小さいお子さんもいるんだけどね。
ヤンさんが「わたしの弟、イワーヌシカぁー」というときの、子どもたちの顔をみなさんに見せてあげたいわ!!
で、子どもがいなくても、間の取り方とか、声の押さえ方とか伸ばし方とか、講座で大人の前でも再現できるヤンさんがお見事というほかなかったです!
ありがとうございました(^◇^)
ヤンさま、ジミーさま、コメントありがとうございます。
もひとつお話して~という子どもの気持ちがよく分かります。
半分のにわとりもメケー・ドマも面白いお話でした。自分で読むより耳で聞く方が面白いお話だなーと思いました。