先日、ある小学校での子どもたちの語りの実践を見せていただきました。
3年生です。
子どもたちは、グループに別れ、覚えた話を保護者の前で発表しました。
各グループのメンバーが全員語り、聞いていた保護者の方たちが感想を述べ、昔話って何かを話しあい、考えを深めていました。
え? 子どもが語るの? って?
そうなのです。テキストをそのまま一字一句覚えて語るのです。
ひとりで語る子もあれば、ふたりで掛け合いで語る子もいます。
ときどき手を動かして、動作を入れて語る子もいます。
ほんとうに、みんな、完璧に覚えて語りました! とってもじょうずに!
テキストは、『語りの森昔話集1おんちょろちょろ』から。
「半分のにわとり」
「お百姓と地主」
「メケー・ドマ」
「だんごころころ」
「ありとこおろぎ」
「六匹のうさぎ」
「間(ま)を考えて工夫して語りました」という子どもたちのコメントでした。
「間を考える」ということは、言い換えれば、ストーリーの流れとテーマを的確につかむということです。
自分たちで話しあい、聞きあって完成させたそうです。もちろん先生がたのご指導や、保護者の方の理解(お家で練習しますもんね)に支えられてのことでしょうが。
最初はまず「て・に・を・は」に苦労したそうです。
って、どこかで聞いたような話ですね(笑)
語りを聞いていて感激しました。
ヤンは、文字資料(ほとんどが絶版です)として埋もれている昔話を、本来の語りのかたちに生き返らせたいと思って再話しています。『~おんちょろちょろ』はその一部を公表したものです。
子どもたちにせめて「読んでもらいたい」、大人に「語ってもらいたい」、それを通じて、長い年月かけて「語り」が復活するようにという願いを込めて。ほとんど夢物語です。
でも! 子どもたちが、語ってくれたのです。
大人も敬遠する(笑)あの「ありとこおろぎ」を、楽しそうに、すらすらと。
「メケー・ドマ」を掛け合いで。
「どうか、いつまでも忘れないで語り継いでくださいね」って言ったら、目を輝かせて大きくうなずいてくれましたよ。
ほんとうに、ほんとうに嬉しかったです。