子どもたちの語り👧

先日、ある小学校での子どもたちの語りの実践を見せていただきました。
3年生です。
子どもたちは、グループに別れ、覚えた話を保護者の前で発表しました。
各グループのメンバーが全員語り、聞いていた保護者の方たちが感想を述べ、昔話って何かを話しあい、考えを深めていました。

え? 子どもが語るの? って?
そうなのです。テキストをそのまま一字一句覚えて語るのです。
ひとりで語る子もあれば、ふたりで掛け合いで語る子もいます。
ときどき手を動かして、動作を入れて語る子もいます。
ほんとうに、みんな、完璧に覚えて語りました! とってもじょうずに!

テキストは、『語りの森昔話集1おんちょろちょろ』から。
「半分のにわとり」
「お百姓と地主」
「メケー・ドマ」
「だんごころころ」
「ありとこおろぎ」
「六匹のうさぎ」

「間(ま)を考えて工夫して語りました」という子どもたちのコメントでした。
「間を考える」ということは、言い換えれば、ストーリーの流れとテーマを的確につかむということです。
自分たちで話しあい、聞きあって完成させたそうです。もちろん先生がたのご指導や、保護者の方の理解(お家で練習しますもんね)に支えられてのことでしょうが。

最初はまず「て・に・を・は」に苦労したそうです。
って、どこかで聞いたような話ですね(笑)

語りを聞いていて感激しました。

ヤンは、文字資料(ほとんどが絶版です)として埋もれている昔話を、本来の語りのかたちに生き返らせたいと思って再話しています。『~おんちょろちょろ』はその一部を公表したものです。
子どもたちにせめて「読んでもらいたい」、大人に「語ってもらいたい」、それを通じて、長い年月かけて「語り」が復活するようにという願いを込めて。ほとんど夢物語です。

でも! 子どもたちが、語ってくれたのです。

大人も敬遠する(笑)あの「ありとこおろぎ」を、楽しそうに、すらすらと。
「メケー・ドマ」を掛け合いで。

「どうか、いつまでも忘れないで語り継いでくださいね」って言ったら、目を輝かせて大きくうなずいてくれましたよ。
ほんとうに、ほんとうに嬉しかったです。

2 thoughts on “子どもたちの語り👧

  1. ヤンさん、とてもすてきな子どもたちの語りの様子を書いてくださってありがとうございました。
    子どもたちが、ヤンさんの語りを聞いていてそれがもとになって、「て・に・お・は」や「間」を考えながら練習するなんて高度がことがいきなりできるんでしょうか?
    覚えるだけで精いっぱいだった自分とはずいぶん違います。
    子どもたちにもおはなしを覚えるという経験をさせようと決めた学校もすごいです。
    みんながおなじ事柄を勉強するのも大事ですが、いろいろな体験をする機会がある子どもたちは幸せだなあと思います。
    一度覚えてみると、そのお話がまた深く心にしみこみますものね。

  2. ジミーさん、コメントありがとうございます。
    教科書では昔話が必ず出てきますが、では語ってみようという扱いは珍しいのではないかと思います。
    昔話は、ほんとうは、語ってなんぼ。
    語らないと見えてこないよ~

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