『瀬田貞二 子どもの本評論集 児童文学論 上・下』(福音館書店)を読んで。きのうの続き。
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第1章 子どもに本を手わたすこと
その3 キャパシティの発見 1959年発表
ーリリアン・H・スミスの児童文学論『たゆまぬ年々』にふれてー
子どもの本が出版されてからの2世紀あまりの間、子どもたちに良い本を選び、選ぶことでよい本を作り出してきたのは、誰だと思いますか?
それは図書館員だったのです!
いまから61年前に、瀬田先生は、日本の児童書の出版について、質が低くより早い生産を競っていると、批判しています。これは、日本だけでなくヨーロッパでも似たようなものだったみたいです。
そんななかで、リリアン・H・スミスが『たゆまぬ年々』1953年を発表しました。
あの『児童文学論』(岩波書店)です。数年前に文庫化されましたね。
この本について評論するにあたり、瀬田先生は、カナダの児童図書館員だったスミスについて、また、彼女が登場するまでの児童図書館の歴史を書いています。
興味深いです。
図書館員が、どれほど子どもの本に情熱を抱き、出版界を牽引したかがよくわかります。
また、この本について、こんなふうに書いています。
引用します。
・・・子どもという読者の内面世界を徹底的に理解し、その子どもたちが「専ら好んで読む文学」として文学の一分野を成り立たせてきた児童文学の文学的質をみごとに分析して、子どもと文学とに楽しくも実りゆたかな橋をかけ渡した、まれにみる好著の一つである。
次回は、この項の続きを読みますね~
わたしたちババ・ヤガーでは、2年かけて「『児童文学』を読む会」を行いました。
結局、自分たちが、あまりにも子どもの本を読んでこなかったことを実感させられました。
ねえ、今度は各自で、よみましょ!