月別アーカイブ: 2020年4月

昔話と児童文学💍

『瀬田貞二 子どもの本評論集 児童文学論 上』報告

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第4章昔話《昔話ノート》
「児童文学と昔話ーイギリスの場合」
〈昔話の発見者たち〉1971年発表

この項では、昔話がどのようにして児童文学になっていったかについて、簡単に説明がされています。

はじめに、瀬田先生は、昔話は、年齢に関係なく子どもを引き付けるということを書いています。子どもに語るとき、創作は、1年生は喜んでも6年生には簡単すぎるとか、その逆もある。けれども、昔話は、1年生から6年生まで、皆が楽しむ、と。
そうですね、私たちもそれは実感します。

つぎに、その昔話はもともと大人のものだった。大人が「利口になり、複雑になると、かつて興じあった物語を、子どもだましの類としてみすてる」ようになった、代わりに子どもたちが昔話を楽しむようになった、と。
なるほど。でもヤンは大人が「利口になった」というのは皮肉のような気がする。むしろ昔話の中の哲学を理解できなくなった、馬鹿になったんじゃないかな。

瀬田先生は、世界で最初に昔話を発見したのはペローだと書いています。

シャルル・ペロー(1628-1703)フランスの詩人
『ペロー童話集』1697年
昔話をもとに詩を作り、教訓をつけています。岩波文庫に翻訳あり。
サロン風に雅びにみがきたてられ、訓育の衣装をきせられた

その後。

グリム兄弟
ヤーコプ(1785-1863)・ヴィルヘルム(1786-1859)
『子どもと家庭のメルヒェン』(初版1812-7版1857)
これがいわゆるグリム童話集。(グリム童話集の成立と意義に関しては『グリム童話考』小澤俊夫著/講談社刊が詳しくてわかりやすいです)
伝承的な形のままで、訓育的な擬態なしに高い価値を認めた」と瀬田先生は書いておられます。間違いとは言い切れませんが、ちょっと短絡的です。ドイツ口承文芸の研究者である小澤先生の上記の本を読むことをお勧めします。
グリム童話が「世界に学問的なフォークロアの火を点じた」のは、その通りです。
ヨーロッパに近代国家が成立しようとしている時代、国民を精神的にまとめるものとしての伝承が必要だったのです。

グリムに啓発されて、諸国に昔話を収集する運動がまきおこります。

ロシア、ノルウェーなど。
ごめんなさい、瀬田先生の説明がないので、国名だけ挙げておきます。詳しいことは図書館が開館してから報告します。

イギリス
ジェイムズ・O・ハリエル
『童謡と童話』1849年
ここまでは学問的な採録記録。
イギリスで、子どもに手渡すためのリライト(再話)の最初は、アンドルー・ラングです。

アンドルー・ラング(1844-1912)
詩人、小説家、評論家、民俗学者
子どものための世界の昔話を再話して、色分けの童話集を次々に出版します。
第1冊目が『あおいろの童話集』1889年

ジョーゼフ・ジェイコブズ
彼については一昨日の井戸端会議を見てください。
ラングが昔話を広め、ジェイコブズは深めたと、瀬田先生は言います。

ウィリアム・バトラー・イェイツ(1865-1939)
アイルランドの詩人、劇作家
『隊を組んで歩く妖精たち』

ロバート・グレイヴズ(1895-1985)
詩人、小説家、評論家

上記二人を挙げて、かれらは文学運動として昔話を編纂したといいます。その運動の中から、パードリック・コラムが出てきます。

パードリック・コラム(1881-1972)
アイルランドの詩人、劇作家
子どものためにホメロスの叙事詩や北欧神話を再話し、それは、児童文学の古典といわれているそうです。

ところで、こうやって海外で昔話が収集されて子ども向けに編纂され、その成果が、日本にも紹介されます。
『世界童話大系』です。全23巻、1924-28、松村武雄監修、近代社刊
その第7巻が「蘇格蘭(スコットランド)、英蘭(イングランド)篇」、第8巻が「愛蘭(アイルランド)編。
以前に読んだときは、とにかく古いなあという印象でした(笑)
図書館が開いたらもう一度読んでみよう。

よもやま🎈🎈

一度で済まないヤン

リニューアルしたホームページ、各ぺージごとにコメントを書くことができます。
で、すでに、書いてくださってる方がおられます。
でも、コメントのあるなしは、そのページに行かなければわかりません。
だから、みなさん、語りの森に来たら、かならず、全ページ訪れてくださいね。
ほんで、みなさんも、コメント書いてください~

よろしく~

よもやま🎈

おはなしひろばはね、毎晩、あたりが静まりかえってから録音するのですよ。
声帯が一番疲れているときだから、声は飛ぶし活舌も悪いし嫌なんだけど、うちの近所は、23時すぎないと世間が静かにならないの。
ゆうべも頑張ったんだけどね・・・
ふと気が付くと、寝てた(ToT)/~zZ
で、きょうのおはなしひろばはお休み。

なつかしいなあ。
子どもにお話しながら寝てた頃(❤´艸`❤)

あ、東京の娘から、アベノマスクが届いたって、いってきた。
ハハマスクの半分の面積だって。
義妹から、手作りマスクの写真が送られてきた。
幅が耳元まであって、ハハマスクより大きかった(⓿_⓿)

府立学校は5月末まで休校だって。
幼・小・中も右へならえだろうなあ。

あ、と~っても嬉しいお知らせ。
某小学校から、遠隔授業に『おんちょろちょろ』を使いたいって、問い合わせがあった。
司書の先生が録音して表紙の画像に音声をのせるそうです。
児童と保護者しか閲覧できないんだって。
うれしいなあ。
おはなしひろばみたいにヤンの声じゃなくて、親しい先生の声で聴けたら、子どもたち、癒されるだろうなあ。
そんなふうに活用してくださったら、ほんとにうれしい。

あちこちで、先生方は色んな工夫や努力をされてるんだろうね。
おはなしおばちゃんも力になれたらいいね。

ジェイコブズの 『English Fairy Tales』 📚

『瀬田貞二子どもの本評論集児童文学論上』報告

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第4章昔話《昔話ノート》
「ジェイコブズの 『English Fairy Tales』」1967年発表

ジョゼフ・ジェイコブズ (1854-1916)
シドニー生まれ。ニューヨークにて没。
ケンブリッジ大学で学位。
数学、歴史、哲学、人類学、文学を研究。
ユダヤ人問題、民俗学に関する活動。

再話集
1、『English Fairy Tales』1890年
2、『More English Fairy Tales』1894年
この2冊を刊行したのち、ここから60話を選んで一冊にまとめました。それが、
3、『English Fairy Tales』
最初のと同名ですね。これが、英語圏の子どもたちの昔話の底本となりました。
ヤンが持ってるのは1と2。それと、次の4と5、ケルトの昔話ね。
4、『Celtic Fairy Tales』1892年
5、『More Celtic Fairy Tales』1894年

瀬田先生によると、ジェイコブズは、グリム兄弟のように民俗学的な研究のために出版したのではなく、昔話を子どもたちに聞かせ読ませるためでした。それは、3人の我が子のためでもあったといいます。
(ただし、グリムも、子どもと家庭のために再話し出版したんだけどね。そのへんの事情は、この評論文の頃はまだ研究が進んでなかったのかもしれない。ジェイコブズは、グリムにならって、1の巻末に出典等の注もつけています。はじめは民俗学的な意味合いがあったのですね)

ジェイコブズの再話方法
@原話:チャップブック、民俗学誌、伝承の語り歌から探す。
@地方の言葉や古い言語を、わかりやすい言葉に書き改める。
@大人の野卑で粗雑な表現を、格調高く書き直す。
@筋道をすっきりさせる。
@要所要所に、昔ながらの表現や素朴な語り口を残す。
@語り物の音楽的な流れを失わないようにする。

1のジェイコブズによる前書き
全体を通して、年老いた乳母たちが昔語りをするときのような口調で再話することが、私の強い願いでした。・・・この本は黙読するだけでなく、声にだして語るためのものです。
2の前書き
私が再話した昔話は、ヨーロッパじゅうの母親が自分の小さなペギー(ジェイコブズの孫娘)のために語りつづけてきたものです。それはもう長い長い間ね。

さてみなさん、ジェイコブズの再話、何があるかあげてみてくださいo(*^@^*)o

「ちいちゃい、ちいちゃい」「おばあさんとぶた」「ノロウェイの黒牛」「だんなもだんなもおおだんなさま」「ねことねずみ」「ふしぎなお客」「ジャックと豆の木」「さんびきのこぶた」「さんびきのクマ」・・・
多種多様なテーマとスタイル。バラエティ豊かですね。

引用
まず時と処と人物が簡潔に紹介されたかと思うと、ただちに事件が事件を生み、行動が行動をさそって、しだいに緊張をつのらせ、ついに嵐のようなクライマックスにいたり、急転直下和やかな結末におよんで、大団円を結びます。

つまり、昔話の語法にのっとって再話されているのですね。リュティ理論を知らないのに昔話の表現方法は知っていたというのは、グリムと同じですね。

以前に、がらがらどんで「さんびきのこぶた」大会をしたとき、英語の音声を聞きましたね。そのリズムの楽しかったこと(*^▽^*)
英文で書いておきますから、声にだして読んでみてください。

(おおかみ)”Little pig,little pig,let me come in.”
(こぶた)”No,no,by the hair of my chinny chin chin.”
(おおかみ)”Then i’ll huff,and i’ll blow your house in.”

ウォルター・デラメアの引用(ちょっと長いけど読んでみてね)
哀れな昔話や悲しい昔話、そしてぞっとするような昔話にさえも、・・・想像力を育み、さまざまなことを教え、心をじょうぶにし、私たちに「自分自身」の姿を見せてくれます。そういう話は、私たちを悲しませたり、おびえさせたり、時として衝撃を与えることさえありますが、それれも強烈に面白いお話として心に残ります。独特の美しさと真実味と価値をそなえる昔話は、私たちを慰めたり励ましたりもします。-人生そのものの記憶にうったえかけることで。心の中にイメージを作り上げることで。さまざまな出来事や場面、登場人物を語ることで。そして、そこにこめられたメッセージや深い意味を伝える語り口で。その美しさや音楽のような言葉で。

瀬田先生は、「トム・ティット・トット」をグリムの「ルンペルシュティルツヒェン」と比較して、イギリスらしさをこう説明します。
引用
良識あり、簡潔で抑制的、そこにこもるユーモア、自由、またフェアプレイを愛する心、ひなびた愛らしさが、(全部の話に)満ち満ちています。

最後に瀬田先生は、昔話は耳で聞くのが何より一番だと書いています。それが昔話の本質だと。
さて、そろそろ4月も終わります。5月になったら練習を始めましょうか(✿◡‿◡)

昔話の語法🎏🎏🎏

毎日、毎日、おんなじ日が続くと、あれ?今日って何日って、わからなくなりません?
うちは今月、町内の掃除当番なので、曜日だけは、わかる。
ぷらごみやから月曜日、生ごみやから火曜日、農産来るから水曜日、個配が来るから木曜日、生ごみやから金曜日。

朝、夫の顔見て、今日初めて会うんやったっけ?
おはようって言ったの、きのう?きょう?

それで。

HPのリニューアル、昔話の語法だよん。

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とちゅうで孫からテレビ電話。
絵本5冊読まされて、くまさんのおさんぽして、孫が興奮して自分のおもちゃ壊しちゃって、ママに叱られて。パパがよしよししてくれた。

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はい、みなさんは、語法のお勉強だよ。
がんばってね~

児童文学はお休み~