『瀬田貞二 子どもの本評論集 児童文学論上』の報告
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第2章ファンタジー
《夢みるひとびと》トールキン『ホビットの冒険』1975年発表
いよいよトールキンですよ~
ヤンは個人的に、トールキンこそがファンタジーの最高傑作と思っておるのですよ。
瀬田先生は、「たとえば、新村出のような人が、中年を過ぎて、子どものために「根の国への使者」のような物語を書き、還暦を過ぎて後に「豊葦原の剣・三部作」のような長編を発表したと思えばよい」と書いています。言い得て妙ですね~
新村出は広辞苑を編んだ言語学者ね。
J・R・R・トールキン
1892-1973
少年時代:天体・植物・歴史・言語に興味を持つ。
学生時代:詩にめざめる。
オックスフォード大学卒業後第一次世界大戦(1914-1918)に従軍。
西部戦線で負傷。療養中に言語学にうちこむ。
言語学から妖精物語に魅了され、そののち、平和を願い、戦争の根を断つ望みを一生持ちつづけます。
戦後:オックスフォード大学言語学の教授になる。
授業では、ガウンをひらめかしながら教室を行きつ戻りつ、吟遊詩人がどのように歌ったかを実演し、堂々と朗誦したそうです。かっこい~!
1937年:『ホビットの冒険ー行きて帰りし物語』刊行
わが子4人に聞かせたものを発表しました。
トールキンも、ルイス・キャロルやA・A・ミルンたちを同じように、わが子が出発点なんですね。
1938年:講演「妖精物語について」
このころすでに『指輪物語』を書き始めていたそうです。
第二次世界大戦(1939年ー1945年)
また戦争です。執筆が途切れました。
1955年『指輪物語』刊行
戦争は、トールキンにとって、ファンタジーを作り上げる動機となりました。
反戦平和の理念と、戦場の悲惨さのリアルな描写。トールキンは、戦争体験から、ファンタジーの世界の「おどろくべき澄明さ、素朴さを」つかんだというのです。
その具体的な説明は、次回へ~
とうとう、読んだことのある本が出てきました(笑)
児童文学を読む会の宿題で読んだのですが、ファンタジー音痴のわたしが夢中になりました。
ホビットが冒険に行く最初のところが、ホビット自身がなんでこうなるのか納得しきれていない感じが、読んでいて放っておけないというか心配というか、あっという間に心をつかまれました。
うまいなあ~、と今なら思いますが、読んでいる最中は次にどうなるかが気になって気になって、とぎれとぎれの時間で読むのが何とももどかしかったです。
読んでいる間、ずっとワクワクハラハラしてました!
私も『ホビットの冒険」はとても面白くてどんどん読み進めることができました。が瀬田貞二氏の 新村出が、、、、 という比喩がよくわからなかったので「根の国の使者」 「豊葦原の剣・三部作」について調べてみようとしましたが「根の国」が日本神話で異界を表し「葦原中国」が高天原と黄泉の国の間にあるとされる世界であるということくらいしかわかりませんでした。まあ言語学者がファンタジーを書いたということでしょうか。
コロキチさん、コメントをありがとうございます。
ええ、すごい権威のある言語学者が、ファンタジーを書いたんだということの比喩だと、解釈しています。
瀬田先生がこの文章を書いたころは、日本の文学界ではファンタジーに市民権がなかった。それに対して瀬田先生は反骨の意思があった。
それと、「(根の国の)使者」はビルボかな、「(豊葦原の)剣」は指輪かしら?『指輪物語』は三部作ですね~
ジミーさん、コメントありがとうございます。
そうですよね、主人公の性格、放っておけないと感じさせるの、うまいですよね。
『指輪物語』のフロドもそうです。
長いけど、ちょうどお話会もないし、よかったら読んでみてください。
こっちもやめられないですよ~笑