日別アーカイブ: 2021年4月15日

4月 初級講座報告

日差しは暖かく、風は強く冷たいこの頃ですね。色んな花々も嬉しそうに咲いています。この風でぶんぶん揺れてます!そうやって、風が夏をつれてくるのかな。「まだまだ~」と寝ぼける夏を風が引っ張る様子がイメージされます。こちらはこちらで、季節問わず年中シュッシュッと、みなさん慣れた手つきで会場準備です。

ヤンさん 手遊びとおはなし 

ぎおんの夜桜♪ ひとり、ふたり、さんにんのこども (おはなしのろうそく26)

1.ついでにペロリ『おはなしのろうそく6』東京子ども図書館

入門クラスで初めて覚えたおはなし。今回、テキストの細かい部分を見直すことができ、新たな発見があった。いけると思って臨んだが、緊張した。リラックスして語るにはどうしたらよいかが、課題だと感じた。第一歩目のおはなしとして、自分にとって大事なもの、我が子が飽き飽きしながらも(笑)練習に付き合ってくれた、とのことでした。

ヤンさん…入門クラスの時からまたよくなっていた。ある程度の緊張はあっていい。大人対象だと緊張するね。子供の前だとそこまで緊張しない。(みなさんの声)場数を踏んでいくことでほぐれてくる

2.ラ・レアールの修道院長『語りの森HP』語りの森

こちら私です。頭痛持ちの王様がのんきな太った修道院長に3つ問題をだしますが、その間を取り持つ修道院の料理人の姿があります。私のイメージ…料理人はヤジロベーの真ん中の存在です。死と再生もテーマの一つで(私の予想)、問題に答えていく料理人が、だぶだぶの修道院長の服をするりと脱ぐ時、このシーンは痛快です。練習期間中に語りのヒントはないかと、ふと落語のことを思い出し、YouTubeで聞いてみました。米朝さんの「持参金」、おもしろかったです。落語の雰囲気!を取り入れたような形で、楽しく語れました。

ヤンさん…テキスト冒頭、修道院長の性格を表している会話文「王様、それはあなたがいつも…」を気軽に答える。そうすることで、話の課題がはっきりする(王様が院長をこらしめたい)。会話文の後の地の文、区別が分かりにくいところがあり、分かるようにする(間、言い方)。最初に出てくる「銀貨」「金貨」、ん ん わかるように言葉を立てる。落語は’間‘がなにより大事なもの。

3.首の短い男の話『語りの森HP』語りの森

好きなおはなしで、エントリー前から時々テキストを読んでいた。アイヌの村長の語りで難しかった。練習を録音して聞くとのっぺりしている。初級クラスでこの難しいおはなしを選んでしまったが、とても好きな話。首の短い男となって人間界に現れた「首のもげたとっくり」は自分の素性がわからなかったがために悪さをしていた。素性・育ちのベースのような部分。語り手自身の子供の頃、身近におはなしを語る人はいなかったが、父がお酒を飲んだ時には「あの話して!」と、実体験話なんかをよく聞いていた。子どもは大人のおはなしを聞いて、安心して大きくなっていく、自分の能力に気付くような所があるように思う、とのことでした。

ヤンさん…アイヌの語りは「わたし」一人称で語るので、慣れていないから難しい。それと同時に、難しものに挑戦することによって、手に入るものは大きい。覚える、語る、人前で語る、その段階ごとに自分のものになる。テキストの語りについて、「小便飛ばしをしよう」と男がいうところが、子どもが言っているように聞こえたので、神的な存在であることを性格付けする。また、「御幣(ごへい)」アイヌではイナウといって、日本のものとは違って、木から削り出したもの。神への供物。岩波書店で、日本語もアイヌ語も堪能だった知里幸恵さんの本がある(アイヌ神揺集)。本を読むことで、アイヌについて自分の中に持っている世界が変わる

なぜ、アイヌの語り手は一人称で語るのか?…質問されたご本人Uさんの宿題となりました♪

4.ひなどりとねこ『子どもに聞かせる世界の民話』実業之日本社

小学校で朝学習に語る予定、ねこの気ままさ、平和なおはなしが気に入った。語っている時に、テキストと違うなと自覚しながら語っている部分もあった、とのことでした。

ヤンさん…ちょっと猫が恐かった。知らないおばちゃんの語りとなると、こちらが思ってる以上に怖さなどを聞き手は感じるもの。全体的に薄めて。ひなどりのくしゃみとお母さん鳥のやりとり面白かった。「だめよ」猫に見つからないように隠れているお母さん鳥の言葉、禁止のだめ?焦りのだめ?語り手によって解釈違うが、めんどうくさくなった最後の「いいわ」の言い方も考えてみて。ここで、子どもが「わー!あかん!」となるし、はっくしょん!で喜ぶ。世界に入り込んでいると子供が一緒にくしゃみをしてくれる。聞き手と楽しむおはなしであり、終盤が大事。

Tさん…皆さん初々しく、最初が硬いですが、いつかふわっと緩む時が来る。うまくなったやん私、と思う時が危ない、これは体験談。ヤンさん…過去を思い出し、自分を励ます!(笑)

5.クルミわりのケイト『おはなしのろうそく10』東京子ども図書館

ずっと練習していたがあいだが空いた。前に語ったものなので、大丈夫と思っていた。3回の繰り返しで言葉が変わるところが分からなくなった、練習不足。中学生に語る予定、とのことでした。

ヤンさん…年齢が上がるほど反応がおとなしくなるので、語りにくくはなる。また、本番と同じように練習する。座って語るのと、立って語るのと、お中に入る力が違う。立った方が声出る。また、3回の繰り返しの違い、言葉を完璧に覚える。ストーリーの展開があるので、場面転換で間をとると分かりやすくなる。

6.ほれ薬『語りつぎたい日本の昔話 吉四六さん』小澤昔ばなし大学再話研究会 小峰書店

おもしろい、楽しいおはなしを選んだ。テキストの言葉を自分のものにする難しさ、とんでもないことだと思いながら取り組んだ。覚えている期間の約一カ月に波がある。言葉がすっと覚えられて楽しい時もあれば、すじの運びが分からなくなる時もある。そして、それを超えるとまた楽しくなっていくような、色んな段階がある。語りつつおはなしの世界に入る難しさがあると実感がある。心の耕し方のような部分。いざ人前で語るとなると、あがってまっしろになる。決まった言葉をきっちり覚えて語りたい、とのことでした。

ヤンさん…私も真っ白になったことがある。語り10年目くらいの勉強会での創作話。練習した分すべてを、先生の前で聞いてもらいたいという自意識がでたから。子供の前では真っ白になったことはないなあ。聞き手と楽しむ、気持ちを持っていく。それと、真っ白にならないようにたくさん練習する。つまった時、子どもの情け深い目(笑)があるので、言葉を変えるなり、思い出すなりする。そんな状況も含め、楽しめたら良い。

Tさん…おばちゃんは媒体、イタコ。子ども達は‘おはなし‘を聞いているのだから、私が見えたらよくないと思うようになったら、落ち着くようになった。

ヤンさん…テキスト、ちりりん、ころろん…何の音かなと思ったら下駄の音だった。下駄の音と後で分かればよいが、聞き手を選ぶ。大人や中学生が楽しむおはなし。

みなさんの語りとそれを通しての対話、本当に楽しく充実した、おいしい食べ物を食べるような、栄養ドリンクを飲むような、あったかい言葉のシャワーを浴びるような、奥深い時でした!それぞれの表現でそれぞれ素敵なみなさんの語りが、子供たちに届けられるようにと心から思います。物語は人によって語られ、解放される必要があると、ある人が言っていました。私もおはなし会が終わった後の帰り道、おはなしが喜んでいるなと感じる時があります。聞き手も私も喜んでいるおはなし会ができた時です。自己満足の思い込みかもしれません。一瞬より少し長い時間で、語り手も聞き手もおはなしも、一つに重なる時を感じられると、なんかそんなことを感じます。充足感が体に刻まれるように残ります。そして、その喜びが次に繋がるので、何を覚えようかな、何のおはなしにしようかな、どんな顔するかな!とわくわくします。そうやって、5年、10年とみなさんおはなしの魅力にはまり込んでしまうんですね。ヤンさんが先日ブログで書いていたことを思います。そうやって、おはなしが人間の体を使って生きながらえている、言葉が私たちを使っている!やはり私たちは媒体ですね(笑)

来月はお休み、次回は6月8日(火)です。