マックス・リュティ『昔話の解釈』を読む
第6章ー偽の花嫁と本当の花嫁、けもの息子とけもの婿
今度は男の子が主人公の話です。
まずは、けもの息子。
どんな話を知っていますか?
リュティさんが挙げているのは、グリム童話KHM108「ハンス針ねずみ」、KHM144「ろばの子」。
「ハンス針ねずみ」は、生まれた子が針ねずみなので、両親は肝をつぶしてやっかい払いしようとします。
「ろばの子」は、王子として大切に育てられます。
ハンス針ねずみもろばの子も、やがて、思春期になると、広い世界に旅に出ます。そして、しまいにお姫さまと結婚し、けものの皮を脱いで美しい若者になります。
これが、けもの息子の話です。
針ねずみとか、ろばとか、ぶたとかが、王さまの娘と結婚したがるところ、ぎょっとしますね。
でも、けもの息子の話は、偽の花嫁と同じく、写実の物語ではなく、象徴ととらえて読むことが重要です。
リュティさんは、奇形の者、印をつけられた者、追い出された者がまさに超自然的な力をうちに蔵しているといいます。
まさにこういう者こそ恵みを受けた者であることが判明するのである。
わたしたちは、歴史の中で、様々な差別を繰り返してきました。
アフリカから黒人を奴隷として大規模に拉致する、身体障碍者への差別、男女の差別、生まれによる差別。
でも、同時に、けもの息子のような昔話も語りついてきたのです。わたしは、けもの息子の昔話のがわに立っていたいと思います。
オランダの「いのししの王子」の話を、いま再話中です。
お楽しみに~
次回は、けもの婿。
どんな話があったっけ?
考えといてくださいね~
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「あなたは、投資やっていますか?」
という銀行の広告があった。
さびしく見つめていたが、ふと思った。
投資してるわよ。自分に。
某カルチャースクールとか某大学とか某子ども図書館とか、オンラインの講演会。たった2000円~3000円の自己投資。
どんだけ利益が出る(=心が豊かになる)かは自分次第。
何歳になっても自己投資o(*^@^*)o
昔話の語法オンライン勉強会「白雪姫」の締め切りは6月4日で~す。
ヤンさん、今回もありがとうございます。
わたしは、「ろばの子」を語りますが、改めて解釈を読ませてもらうとまた勉強が深まった気がいたします!
わたしが覚えている話は、主人公が女の子の話が多いので、最初は勝手が違うような気がしていました。
そのうちに「ろばの子」はほんとうの姿をまわりから見てもらえていない子どもだと考えて語るようにして、腑におちました。
奇形の者、印をつけられた者、追い出された者、ということなんですね。
目の前の現象に注目して、本質を見ていないということになりますかね。
自分のことを違った目で見られることは辛いですよね。
子どもたちにはそんな気持を味わってもらいたくないなと思うとともに、どこかにわかってくれる人がいるよという気持ちを強めました。
次に語る機会があれば、この気持ちで語ろうと思います。
けもの婿の話は、日本の話が浮かびました。
「へびのむこさん」「さる婿」
そうですよね。目の前の現象に注目して本質を見ていないことが、どんだけあるかと思います。
子どもは、周りから「あんたはろばやで」っていわれたら、「自分はろばや」と思うと思うんです。「ほんまは人間や」って思っていることはまれじゃないかなあ。思春期になって自我が目覚めて来て初めて「ろば?」と悩み始めるんやろね。そこからひとりで人生の旅に出る。うまくいけば本当の自分になれる、そやからがんばれ!っていうのがけもの息子のメッセージやろね。