月別アーカイブ: 2021年7月

昔話の解釈ー偽の花嫁と本当の花嫁、けもの息子とけもの婿10👸🤴

さてさて、きょうで第6章が終わります。
前回、ひとりぼっちで孤立しているからこそ、本質的なものに到達できる、それは、人生の真実であって、たんなる願望や希望ではない、ということでしたね。
それを信じていれば、たいていのことは乗り越えられる、その勇気を与えられると思います。
だから、わたしは、子どもたちに昔話を語りたいのです。子どもたちこそが昔話を必要としていると思うのです。
みなさん、お話を覚えるのって大変だけど、この暑さの中で練習するのも大変だけど、語りの場を見つけるのも大変だけど、かしこく、がんばろ~

はい、リュティさんです。
この章のまとめの部分。

偽の花嫁の話、けもの婿(息子)の話を見てきて、共通する大きなテーマは外見と実際です。
がちょう番の娘の外見の中に、お姫さまが隠れています。白クマの毛皮の中に王さまが隠れています。
象徴としてです。
この外見と実際っていうテーマは、ほかのあらゆる昔話を貫いていると、リュティさんは言います。

この大テーマに悪は善に至りうるという比較的小さなテーマが組み込まれてます。
苦しみは、幸せに至るための道の起伏にすぎません。

もうひとつの小テーマは、悪の自滅です。

もうひとつ小テーマがあります。人間は役の担い手であるということです。
王女が女中の役を演じる・女中は花嫁の役を横取りする・王子はけものの役を演じるなどなど。

この章で考察した話たちは、リュティさんの言葉によると、心を王者のように発展させ、高き存在に至らしめるよう呼びかけているのである。

わたしは、これを自分事としてとらえたいです。文字を持たない庶民が伝えてきたのは、ストーリーの背後にある自尊の心、人としての誇りなのです。
そして、それを、今を生きる子どもたちに伝えたいo(*°▽°*)o

ところで、マックス・リュティ『昔話の解釈』とは別に、異類との結婚の話、つまり異類婚姻譚(いるいこんいんたん)について、参考になる本を紹介します。
『昔話のコスモロジー~ひとと動物との婚姻譚』小澤俊夫著/講談社学術文庫

これは、小澤俊夫先生が、日本と世界の異類婚姻譚を比較研究された本です。考え方の基本はリュティさんと変わりません。ただ、ほんとにたくさんの昔話を比較して詳しく説明してあるので、とっても興味深いです。
ちょっと文明論のようでもあります。
ぜひ読んでみてくださいね。

え?ここで報告?
いやいや、自分で読んでおくれ(笑)

次回は第7章昔話に登場する人と物です。

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きのうのおはなしひろばはインドの昔話「村のおばあさん」
心があたたかくなるお話(o゜▽゜)o☆

 

 

7月のプライベートレッスン

今月のプライベートレッスンは3日間あり、合計で4話でした。
それぞれの話を詳しく学べたと思います。
さっそく報告しますね(^^♪

「さかべっとうの浄土」『語りの森昔話集2』語りの森
日常語のテキストになおしてこられましたので、なおすときに迷ったところやなおしにくかったところのチェックをしました。
文章の現在形と過去形について、現在形にする方が過去形よりも少し意味が強くなるということでした。
この微妙な違いは、教えてもらって初めて意識しました。
テキストを詰めていくという作業の中で細かいことに気付いて行きますね。
〝家〟と〝うち〟についてどう違うのか、どう使い分けたらいいのかという問題が出てきました。
家は家屋・建物のことで、うちは家屋だけでなく自分の家族もひっくるめての意味です。
基本的にはどちらでもいい言葉ですが、話の中で、この状況だったら聞き手にどちらがよく伝わるかなと考えたらいいそうです。
そういえば、ほかのおはなしのテキストに、家とうちが混在していたのを思い出しました。
わたしはそのまま覚えましたが、違いを考えたうえで再話されていたのかなと思いました。

「仙人のおしえ」『日本の昔話5』福音館書店
この話は語りの勉強でした。
プライベートレッスンでは、語られたかた個人に特化した講評になりますので、ここで書くことができませんのでご了承くださいね。
〝全体に力が入っているね〟ということだったのですが、その後具体的にどこをどういうふうに力が入りすぎていたのかを指摘してもらいました。
それは語り手さんとの一問一答みたいになりますから、語り手さんの疑問も含めてそうとう詳しく講評されました。
原話は『あめご八の話』細川頼重/自刊で、日本では類話はなくてこの1話だけだそうです。
同じ原話からこぐま社の『子どもに語る日本の昔話3』の中に「三つのねがい」として入っています。

「風にのったヤン・フェッテグラーフ」語りの森HP《外国の昔話》
ドイツ版浦島太郎とでもいう話です。
語りの勉強だったのでこれまた特化された内容になりまして詳しくは書けません。
〝全体に軽めに〟ということでした。
というのも、この話は異界の存在が次々に登場して主人公は相当な距離をあっという間に移動します。
すごい距離と時間を行き来しますし、最後には死神も出てきます。
壮大な、聞いた後に「はあ~、なるほどな」と余韻の残る話です。
ではあるけれども、主人公の若者はあまり深く考えるとか、がんばって挑戦するというふうではありません。
単純に「それなら行きたいな」「行ってみよう、オー!」みたいな軽やかな感じでして、そういう意味で軽やかに語る話だということでした。
主人公が〝単純だから強い〟とヤンさんが言った言葉が印象的でした。
ヤンさんは、この主人公の名前をもらったんですかね?

「ふしぎな子ねこ」『新装世界の民話14ロートリンゲン』ぎょうせい
こちらは再話の勉強です。
原話は、初めに長い前置きがあります。
主人公はおばあさんですが、おばあさんに娘がいて娘が結婚して孫が生まれて、でも娘とお婿さんが死んでしまっておばあさんはとても貧しくて苦労するという内容がえんえんとあります。
まずそこを大胆に短くするべしという指摘がありました。
そのほかは細かくことばの指摘や調整になりますのでこれまた書けませんが、わたしは最初、再話されてきたテキストを読んで、上手だなと思ったんですが、それでもヤンさんの指摘でかなり手を入れることになり、なるほどと納得するとともに、自分のことを深く顧みたのでございました。
原話選びがうまくできない状態だなあ~、いつ抜け出せるのかな~、と遠くを見つめました(笑)

つぎの募集は、8月の最後の週で申し込み開始はまもなくです。
家庭教師並みに指導してもらえるので勉強になると思いますよ。
では、また(^o^)/

7月のおはなし会3🎋🎋🎋

お隣の市へ大人のおはなし会に呼ばれて行ってきました。
コロナ下で、少人数感染対策は厳重に、でも勇敢に語りの会を開催された主催のかたがたに感謝します。

プログラム
レクチャー「語りの愉しみ」
「腰折れ雀」
「三匹の名付け親」
「美しいユーラリ」
「きつね女房」
「危機一髪」

ヤンは、レクチャーと後半の3話の語りです。
ヤンの3話は、#女の力でまとめました(笑)

「腰折れ雀」は瀬田貞二再話を語り手の普段使いの言葉で語られました。やわらかくって心地よかったです。
「三匹の名付け親」はジミーさんです。会話の掛け合いのおもしろさ、味がありますね。これは大人向きのおもしろさです。

「美しいユーラリ」「危機一髪」は、最近再話した大好きな話で、『語りの森昔話集5ももたろう』に入れますので、楽しみにしていてくださいね。
「美しいユーラリ」は、ヨーロッパ的なモティーフがつぎつぎとつながっていて、長くても飽きが来ない話です。語りやすい話でもあります。同系統の話でも、グリムは重厚ですが、フランスの話は明るく軽快です。
それに対して、インドの昔話「危機一髪」は微妙に演じると面白い話で、間(ま)で生きる話でしょう。けっこう難しくて、練習に時間がかかりました。
「きつね女房」は『日本の昔話2』小澤俊夫再話/福音館書店を、日常語で語りました。

レクチャー「語りの愉しみ」
依頼があったときはいい気候だったので、はいはいと軽く引き受けたんだけど。みんなが睡眠不足の今日この頃、とってもクーラーのきいた気持ちのいい会場で、さて何をどう話すと、お互い眠らずに済むか~~~と、なやみました(笑)
おはなし会のサブタイトルは「今ひとたびの空想の世界へ」
でね、「空想の世界」といっても、本だっていいわけですよね。絵本だって、アニメだって映画だって、とっても技術が向上してて、素晴らしい空想の世界を描いてくれる。そこでなぜ語りなのかという、ありふれた話をしました。
ひとりの語り手がひとつの話を選び、そらで言えるまで覚え、よく表現するために練習する。その努力と時間に値打ちがあって、ひとりの人間を通してじかに伝える物語であること、それが語りの魅力だってこと。
コロナで人と会えない日々が続き、じかに語れない日々が続き、人が人に語ることの重要性に気付いたというようなことを話しましたよ。

さて、次のおはなし会は、9月の幼稚園。
コロナが収まっていてほしい◑﹏◐

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けもの婿の「白くま王ワレモン」「へび婿入り」、続けて更新したので読んでくださいね~

それから、昔話の語法オンライン勉強会は「がちょう番の娘」です。8月24日ですよ~
「がちょう番の娘」は対面でやる予定はありません。オンラインだけね。
なんでかっていったら、5月に対面でできなかった「白雪姫」を10月26日にやることになったからね。いそがしい。
暑いけどがんばって勉強しましょうね。《お問い合わせ・リンク集》のページから申し込めます。お待ちしていますヾ(^▽^*)))

 

 

 

7月の中級クラス

アッツ~~い~~!!
自分はつい叫びたくなるけれども、人から聞くと暑さが増すようで聞きたくない。
だからここで叫んでおきます<(_ _)>
オリンピック、始まりましたね。
選手のみなさんや関係者の方がたが熱中症にならないように祈っております。

しばらくオンラインで行っていた中級クラスが、7月は元通りの対面でありました。
みなさん心なしかウキウキしているような…。

手遊び 一本と一本でどんな音 ほーらこんな音 (一本指で拍手する)
(一本から五本まで繰り返します。四本くらいから音が出てきます。小さい子でも楽しめます。)
語り
「若返りの水」『子どもに語る日本の昔話3』こぐま社
〝清水〟という言葉が聞き手に分かりにくそうだと思ったので、清水→湧き水or泉と置き換えたほうがいいかという質問がありました。
分かりやすいのは〝泉〟だけれども、言葉としては〝清水〟のほうが霊的なものを含むということで、なるほど言われてみればそうだと思いました。
事前に考えた言葉を当日の聞き手の様子で瞬時に判断して言葉と説明の有無を決めるというところでしょうか。
難しいですね。
また、語り手さんはテキストをちゃんと覚えているか録音してチェックされたそうですが、中級クラスになれば、録音して耳で聞いたときに、分かりにくいと思う個所をチェックし、言葉を変えていく作業をしてみてもいいということでした。
できるようにならないといけませんね。

「三枚のおふだ」『おはなしのろうそく1』東京子ども図書館

2学期に一年生に語ることが決まっているそうです。
話の中に栗拾いが出て来ますので、栗がなる前か後かどちらがタイミングがいいだろうかということについて、聞き手が幼いほど、体験した(直)後におはなしを聞いたほうが現実味を帯びるそうです。
幼稚園くらいだと特にそうですね。
行事(もちつきとか節分とか七夕とか)があったらそれを覚えているあいだに、関連するおはなしをするといいですね。
すでに年中行事を理解している年齢ならば、前でも理解できますね。
1年生にしては割と長い話なので、プログラムのメインにできますかという質問が出ました。
これはすぐには言えないことでした。
➀聞き手の聞く力がどれくらい育っているか。
➁話自体は本格昔話ではない。メインにするのは話の長さではなくて話の重さで決める。
➂最後に面白くてワーッとなっている聞き手にふたつ目の話をするのはやりにくい。この話で終わりにするのが収まりがよいのではないか。
➀~➂のことをいろいろ考え併せてみると、結論として「三枚のお札」は、メインにしようと思えばできないことはない、という言い方が一番無難ではないかという、なんか歯切れが悪くてすいませんが、誤解のないように言いたいのでほんとにこうなるのがわたしも妥当だと思いました。
語り手さんも、特にメインにしたいわけではないということでしたので、メインは話の重さで決めるということがわかってよかったです。
〝タンツク タンツク こんぞうよ〟の雨だれの音は、4行ありますが2行×2です。
この2回目を言うときには、小僧が食われることが分かっているので切迫感を出すといいそうです。
お札を後ろに投げる時の言い方も注意が必要です。
このとき小僧は切羽詰まってますし、聞き手は2枚目からはこんどは何が出て来るのかと待っています。
それを踏まえて、短い台詞ですが大事な言葉には力をこめないといけません。
唱えことばや呪文には力があるそうです。
だから、すう~っと流してしまってはいけません。
言い方は、それぞれ練習しましょう。

「なまくらトック」『おはなしのろうそく3』東京子ども図書館

テキストについて
おはなしによって、整理したほうがいい話、整理してもいい話、整理しないほうがいい話があり、これは〝整理してもいい話〟にあたるそうです。
同じ場面で表現が違うところをどれか一つに決めて統一すると聞きやすく覚えやすくなるでしょう。
語り方としては、トックのなまけものの怠惰な感じに対して、相手の働き者で天真爛漫なところの対称性を分かるように語るといいです。
この話は思いきり演じても怖くならない話ですし、松岡享子先生が「演じないと面白くない」とおっしゃっていたと思います。
話によっては、演じると怖すぎて聞き手に恐怖を植え付ける恐れがありますのでわたしたちは普段から慎重ですね。
しかしこの話はその心配はご無用です(^^♪
ただし、気を付けたほうがいいのは、太っている子どもさんがいる場合はこの話は出せないこと。
聞き手のメンバー構成を熟知していて太っている子どもさんがいないと確認できている場合以外、代わりの話も用意していった方がいいでしょう。

「三匹の名付け親」『語りの森昔話集3』語りの森

これはわたしなんですが、今月末に語ることになりましたが、コロナのことがありましたので1年5ヶ月くらい人前で語っていません。
それで、この日は時間に余裕があったので練習をさせていただきました。
すでに以前このクラスで出していますので、ほんとに人前で語るリハビリで、講評はなしです。
語ってみて、家で練習しているときはテキスト通り完璧に覚えていたつもりでしたが、何カ所か迷いが出ました(笑)
練習させていただいてありがたかったです。

「危機一髪」『インドの民話』青土社

ヤンさんです。
このおはなしは、ただいま準備中の『語りの森昔話集5』に掲載予定です。
へっへっへ、聞けてラッキーでした。
すでに目では読んでいたのですが、語ってもらうと面白さが何倍も違いました!
やっぱりおはなしは耳で聞くもんなんですね、ヤンさん!!

長い報告ですいません。
これでも大事だと思うところだけですが、それでも疲れるくらい長いですよね。
読んでいただいてありがとうございます。
次回もきっと長いと思います(笑)
次回は9月です。
今回エントリーされていたけれどもやむなくお休みとなり涙をのんだかたがおられて優先したこともあり、エントリーはすでにいっぱいになっております。
暑くてもエントリーはしておく!、なんとあっぱれなんでしょうか!
次回も楽しみです(*^▽^*)

猛暑お見舞い申し上げます🎐

梅雨が明けたと思ったら、あつい、あつすぎる╚(•⌂•)╝
こんななか、テレビで観戦できる人はええよ。
けど、高温多湿の中で、走ったり、跳んだり、つかまえたり、投げ飛ばしたりするのって、健康的なんかな?
スポーツって、なんのためにするんかな?
選手って、超人なんかな?

スポーツとは無縁の日々を送るヤン。

目の前に大きな白い幼虫がいた。
頭は、人間の頭ほどの大きさだった。
それが2匹、近づいてきた。
思わず右足で、ぼんと踏んづけた。
びっくりして目が覚めた。
「気色悪い夢やなあ」と思って、また寝た。
朝起きると、右ひざがいたくて歩けなかった。

幼虫の逆襲
いもむしの怨念
虫の報復

なんでや~
虫も殺せない気の弱いわたしが、なんでや~

と叫んでも詮無いこと。
しっぷにサポーター、鎮痛剤の御世話になることとあいなった。
人生で何度目の膝疾患だろうか
せっかくおはなし会も勉強会も再会したのに、自力では行けない。
みなさまのご親切にすがって、ウエ~ン/(ㄒoㄒ)/~~

さてさて。
早朝、新聞を取りに出るとき。
買い物やウォーキングのとき。
夜、窓を閉めるとき。
この1年ほど、風のにおい、土や木々や草のにおいが、とてもとても心地よい。
懐かしくて、穏やかで、永遠とか平和とかを感じる。
暑いけれど、夏には夏のにおいがある。

みなさま、ストレスフルな日々ですが、思いきり深呼吸して、暑気を乗り切りましょうね~