日別アーカイブ: 2022年11月17日

11月の中級クラス

おさらに♪ おはしに♪ ぼたもち♪ だんご♪

Hさんの「和菓子の手遊び」で始まりました~

1.ロバの耳をした王子さま  語りの森昔話集4/おもちホイコラショ 語りの森

2.ウサギとオオカミ  おはなしのろうそく29 東京子ども図書館

3.夢の橋  日本の昔話1/はなさかじい 福音館書店

4.金噴き明神  語りの森昔話集5/ももたろう 語りの森

5.ぶんぶくちゃがま  語りの森HP

ヤンさん  わたしがテピンギー  同名絵本

おはなしを解釈するって、語る上でとっても大事だと思うのですが、思い込みや好み、環境や条件に気をとられて取り組むのは惜しい。ここの部分が好き、この言葉が好き、それが原動力になることは、私もそうです、よくあります。でも、おはなしのテーマをちゃんと自分の言葉で言えるかな?ということを考えるといいのかなと思いました。このおはなしを語りたいな直観!を掘り下げると、テーマが浮き上がってくるのですが、それをさらに理解するために言葉にする。ATUもあれば頼りになります。そして、おはなしのクライマックスここ!で間を生かしてばちっと語る。または、噛んで含めるように語るんですね。ヤンさん(笑)

聞き手の子供たちにおはなしを聞いてもらうこと、喜んでもらうこと、そっと手渡すことを誰もが目指しているかと、私もいつもそうしたいです。おはなしをそのように語る。…書いている最中、なんだか霧が晴れてきました。この内容は、繰り返しの練習ではない部分のところだと思うので、時間がかかるんですね…。体験したり類話をあたったり、語法を考えたり、内側を膨らませるイメージです。また、ヤンさんが「ぜひとも、子どもに語ってくださいね~」と言われているのが印象的でした。時間をおいて身に沁みてきました。勉強会の振り返りは大事です。やりっぱなしは忘れてしまいますよー!そして、私は忘れっぽいので、さまざまなクラスに顔を出し、語りを聞くためにおはなし会に行きます、神出鬼没。知っての通り、理論と体験の両方がびちっと繋がると感銘を受けて忘れなくなるんですよね。少しずつですが、これが語りを変える…はず。と思っています。

今日は感想になってしまいました。今後もテキストに向き合って、かじりついて考えていって、時にはおしえてー!と、ぶんぶんゆすぶってみたりしながら、面白がっていこうと思います。今回もみなさんのさまざまな語りを聞けて、語り手さんの思いや悩みを共有できて、深くて楽しい学びとなりました。

来月は12/20㈫です~

『チャンス』ユリ・シュルヴィッツ📕

絵本『よあけ』の作者ユリ・シュルヴィッツの自伝がでました。
幼いころから14歳までの暮らしがつづられています。

『チャンス はてしない戦争をのがれて』ユリ・シュルヴィッツ著/原田勝訳/小学館/2022.10.03
児童文学です。

ユリ(本書では元の発音に近いウリ)はユダヤ人で、ポーランドのワルシャワに生まれました。
4歳の時に第二次世界大戦が勃発しました。
副題が「はてしない戦争をのがれて」と訳されていますが、「war」ではなくて「holocaust」です。
ホロコーストとは、ナチスドイツによるユダヤ人大虐殺のことです。
両親は、幼いユリを連れてソビエト連邦へ脱出します。その危険な逃避行の苦しみは尋常ではありませんでした。

書名の「チャンス」という語には、「好機」「可能性」という意味のほかに「偶然」という意味があります。
ユリと両親が戦争を生き延び、ユリが画家になったことは、「偶然」の重なりによるものという意味です。
どのような「偶然」なのか、ぜひ読んでみてください。
人生って「偶然」の連続でできているのかもしれないと感じます。

本書の随所に、のちのシュルヴィッツを彷彿とさせるエピソードがあります。
ちょっとだけ紹介しますね。

何日も食べるものがなくて飢えに苦しんでいた幼いユリを支えてくれたもの。
ひとつは、お母さんが物語を語ってくれたことでした。
ギリシア神話、おとぎ話、お母さんが見聞きした話、映画のストーリー・・・

(引用)
こうした物語には、ぼくをどこか遠いところへはこび、知らない人たちの人生を味わわせてくれる力があった。おかげで、ぼくの想像力はかきたてられ、今も変わらない物語への愛情と、物語がもつ力への信頼をはぐくむきっかけとなった。(p140)

もうひとつ、ユリに空腹をわすれさせてくれるものが、絵を描くことでした。
食べるものがないくらいだから、まともな絵筆や紙はありません。それで、焦げた木片を使って、木の皮や枯葉に描き、花びらや葉をつぶして絵の具の代わりにしました。地面に棒で絵を描くこともありましたが、空腹で、体力がついていきませんでした。

(引用)
そのうちに、指で空中に絵を描けばつかれずにすむとわかった。通りかかった人には、頭がおかしくなってしまったように見えただろう。でも、ぼくは気にせず、せっせと指を動かした。・・・
それにもつかれると、ぼくは部屋に引っ込んで休んだ。土間に横になっているときは、今度は目をとじ、頭の中で絵を想像した。
それが木の葉の上でも、想像の中だとしても、絵を描くことはただの気晴らしじゃなかった。
ぼくにとっては、いつでも帰れる家のようなものだった。(p146)

引用が長くなりました。
シュルヴィッツのあの美しい輪郭と色が、こんな幼児体験を経て生まれてきたのだと考えると、涙がでます。

戦争が終わって、一家はふるさとのポーランドに帰ってきますが、ユダヤ人であるということで、差別を受けます。ふるさとも安住の地ではなく、親族を頼ってフランスに行きますが、そこでも長くは暮らしませんでした。
そのころ、ユリは14歳。難しい年頃です。
親友が欲しかったのに、得ることができなかったので、それならばと、友を作らず孤立します。そして、彼の真の友となったのは、『三銃士』の作者アレクサンドル・デュマであり、ポール・ファベルでした。どんどん冒険物語にのめりこみます。
そして、決して彼を裏切ることのない忠実な友、それは、絵でした。絵のおかげで、寂しがる暇などありませんでした。

春になったら、シュルヴィッツを読む会をしたいな。
お気に入りの絵本を持ち寄って、語り合いたいと思いました。