月別アーカイブ: 2023年5月

時間の贈り物🎁

昨日、勉強会の後で、ふと思ったんだけど。

ケーキ屋で買ってきたちょっと高価なケーキと、うちの炊飯器で作ったちょっとぶさいくなケーキと、どっちがいい?
うん、ケーキ好きだから、どっちもいい。
けどね、材料買うときからお皿にのせるまで、自分の時間を使ってるかどうかってところに違いがあるね。
それが誕生日の贈り物なら、時間もいっしょに贈ってることになると思う。

あ、ケーキっていうのは例えですよ。

例えば手紙。
書いては消し、なかなか封筒に入れられない。
書いている時間。
やっぱり時間もいっしょに贈ってると思う。

アンパンマンのワッペン。
本物とはちょっとずれてるけど、子どもの上着に張り付けるとき、自分の時間もいっしょに張り付けてる。

要領よくやるべきことは確かにあるけど、タイパでうまれた時間を何に使うかで、日々の豊かさが違ってくる。

さてさて。
勉強会で、次月のエントリーをするとき、「題名といっしょにね」とお願いしています。
その理由。
1か月前に「この話をやる!」って宣言したら、その次の日から覚え始めて、もし1週間で覚えたら、残りの3週間はくりかえし練習する。
つまり、少なくとも1か月かけて育てた話を持ってきてほしいから。

数日前に覚えたばかりの話を持ってこられても、わたしは、「はあ、そうですか。覚えたんですね」としか言えない(笑)

時間をかけてがんばって、これで今の私にはせいいっぱいっていう話を持ってきてほしい。そうすれば、語りにくいところや疑問点を、いっしょに考えることができる、解決方法が見つけられると思うのです。

とくに、目の前の子どもたちに語るために選んだ話は、それが時間の贈り物であることを心に刻んでおいてほしいのです。
こんな時代だからこそ時代に逆行する大人がいることが大事。
子どもたちの中を流れる時間は、たぶんどの時代も変わらないと思うのです。

舞台のドラマも、映画も、ものすごい時間をかけて作られますよね。
もちろん、わたしたちはプロではないから、そんなに上手なものはできない。
でも、だからこそ、時間をかけて、丁寧に作り出したものを手渡したいと思うのです。

チャチャっと覚えてチャチャっと語って、それでいいっていう考え方もありだと思います。
でも私はそのスタイルは取りません。

それから、おはなしを覚えるのは難しいですね。

自分の体調や、家族の体調、環境に大きく左右されます。
でも、覚えたいと思うなら、あきらめないで。
わたしもいつかは覚えられなくなる日が来ます。
それでも、さいごまであがいていたいです。

 

 

 

5月の初級クラス

手遊び歌
たけのこ めだした
花さきゃ ひらいた
はさみで ちょんぎるぞ
えっさえっさ じゃんけんほい

語り
1.スウォファムの行商人/MORE ENGLISH FAILY TALESより再話
2.ねこのしっぽ/語りの森昔話集4/語りの森
3.金噴き明神/語りの森昔話集5/語りの森
4.金のとさかのおんどりとひき臼/語りの森昔話集5/語りの森
5.いうこときかないうなぎ/おはなしのろうそく7/東京子ども図書館
6.金を生むねこ/奈良の民話1/奈良の民話を語り継ぐ会
7.幽霊和尚さま/語りの森HP 〈こちら→〉

ヤンさんの語り
8.幸運の種まき/世界の民話18・イスラエル/ぎょうせい

講評
・短い笑い話程、難しい。冒頭のお話の設定部分は大事な言葉を立てながら、聞き手にしっかりとイメージさせる語り方を心がける。
・笑い話は思ったように受けないと、次に語るのを躊躇してしまいがちだが、何度でもチャレンジしてみると良い。
・「寝ていても語れる」まで練習を積むと、少々言葉を忘れても先に進める。
・お話を時間をじっくりかけて覚える事そのものは、ちゃんと聞き手に伝わる。
・時には録音してみて、自分の語り方の癖を客観的につかんでみると良い。
・息継ぎを入れる場所は意味を考えて。テキストをスラスラ言えるようになったらどこでも息継ぎできる。
・聞き手の反応を予想するのは良いが、語り手がイメージを作り過ぎず、語りながら聞き手の反応を見て一緒に「間」を作っていく。
・聞き手からは描写ではなくストーリーを求められている。
・描写のあるテキストは覚えるのも、語るのも、聞くのも難しい。
・自分自身の発端句、結末句を地域に関係なく持って良い。

今回は題名が「金」「ねこ」にまつわるお話が重なりました。他にもお話の中に、同じ夢を3回見る、樫の木が出て来る、などの共通点もありました。「うなぎ」はかなりレアで印象に残りますね(笑)先月に続いて「ゆうれい」のお話をしてくださった方もいらっしゃって、今後はどんなお話が飛び出るか、ますます楽しみです。

次回の初級クラスは6月13日(火)です。

しんとした想い

連休後半に、恩師が亡くなられました。
今日が告別式でした。(わたしはその時間、子どもたちにお話を語っていました)
享年97歳。

大学に入って、友人から文楽に誘われ、魅了されて、大阪公演のときは、ほぼ毎日道頓堀の朝日座に通い詰めていました。
1年生の春、「来年度、愛媛大から転勤して来はる先生、近世の近松の研究者やって!」という衝撃の情報を得たときは、きゃああ~!天にも昇る思いでした。
こんな奇跡があるんやろうか!!!
最初の授業の日の前夜には、まだ見ぬ先生を夢に見たくらいでした(笑)

先生は太宰似のすてきなかたで、演劇で鍛えたよく通る声で授業をされました。
べたべたの大阪弁で(笑)
「間(ま)の天才は藤山寛美とさだまさし」とおっしゃっていましたが、先生のお話も、めっちゃうまくて、授業は90分があっというまに過ぎました。次の週の授業が待ちきれないくらいでした。

先生は、近松歌舞伎の研究をされていました。
「一生かけても終わらへん」とおっしゃって、亡くなられる直前まで研究を続けておられました。
「大学は、調べ方を学ぶところ」だと、資料のさがし方や、原典に当たる重要性をたたきこまれました。この方法は、将来役に立つとおっしゃっていましたが、そのとおりでした。いまでも、自分の眼で見たもの、原典に当たって確かめたものこそ信用できると思っています。

わたしたちは、先生に顧問をお願いして、人形浄瑠璃愛好会を立ち上げました。愛好会は、わたしたちが卒業後も、先生が退官されるまで13年続きました。
そのあと、後輩たちがOGによる此花会(このはなかい)を立ち上げ、たびたび先生を囲んでの同窓会が行われました。

「人生は、はったりと物見高いことが大事」なんて笑いをとっておられましたが、たしかにスケールの大きさが魅力でした。でも、とてもやさしくて誠実で、厳しいかたでもあったと思います。

先生が語られた”くどき”「兄妹心中」をまた聴きたいです。
友人が、弔電を打ってくれました。
「・・・来世でもまた教えていただけると信じています。・・・」
先生の学生であったことを、心から幸せに思います。
みんな、順番にそちらへ行きますから、どうか待っていてください。

 

 

昔話の残酷性についての勉強会①

今日は、子どもの日ですね。
最近はこいのぼりをあげるおうちが少ないような…。
いや、十何年お雛様を出していないわたしが言う資格はありませんが(笑)

我が子や公共の場所で昔話を語るとき、語るほう・聞くほうの大人が、昔話の残酷な場面を子どもたちに触れさせたくないという気持ちがあることを耳にします。
残酷な場面のある昔話を聞いた子どもたちが怖がったり、残酷な性格になるのではないかということを大人が心配しているようです。
はたして、その懸念は当たっているのでしょうか?
世界中で延々と語り継がれてきた昔話は、人間の残酷性を育ててきたのでしょうか?
そんなはずはありませんよね。
だって、聞き手は楽しいから昔話を聞いて、語り継いできたんだと思います。
わざわざ怖い気持ちに立ち向かうとか、それはもう修行でしょう(笑)
怖い話を楽しむというのとは全く違います。
でも、語り手としてはそこのところをきちんと理論づけておかないと、自信をもって昔話を語るのは難しいと思いますし、何より語るときに説得力がなくなると思います。
それで、『昔話は残酷か』(野村泫著/東京子ども図書館)をテキストにして勉強会をすることになり、今回はその1回目です。
結論から言いますと、語りの表現方法と聞き手の精神年齢、この二つをクリアすれば昔話の残酷な場面についての問題というか懸念はクリアできます。
そのことを三回に分けて勉強します。
語りの表現方法については、昔話の語法が重要になってきますね。
やっぱり語法は理解していないといけないなあと(いや、他人事みたいだけどそうじゃなくて…)思います。
語るとき、再話するとき、そして今回も語法が大事なんですね。
それと、次回もっと詳しく説明がありますが、世に出ている昔話本や絵本を、大人が残酷だからということでかなり改ざんされている事実!
でも、昔話はストーリーを楽しむ話で、聞き手の〝次はどうなるの?〟という期待に応えながら次々に展開するストーリを楽しみ、最後に主人公が幸せになって〝ああ、面白かった〟と聞き手が満足するものです。
話の最初から最後までのその一連の流れが全部楽しい!
でも、悪者が最後罰せられなかったり、まだ生きている終わり方だと聞き手は不安が残るので〝ああ、面白かった〟とは言えないですよね。
語り手であるわたしたちはしっかり勉強して、理論を背景にして自信を持った語りをしたいと思いました。
そうでないと、殺すとか切るとか殴るというような言葉を使わない昔話しか語れなことになってしまい、となると本格昔話はほぼ全滅でしょう(笑)
わたしは、やっぱり本格昔話が好きですし、語りたい、子どもたちに聞いてほしいと思います。
次回は一か月後、それまでに宿題として次回の講義に出てくる昔話を読んでくることになりました。
ヤンさんがちゃんとリストにしてくれて、しかも手に入りにくい話はコピーしてくれていて、ああ、なんて至れり尽くせりなんでしょか~
次回も楽しみです!(^^)!

憲法おめでと~🎉

さわやかな五月晴れです。
今日は憲法記念日。
76年前の今日、憲法が施行されたんですね。
おかげで、戦争の惨禍を経験せずに生きてこられました。
いろいろな事があっても、いろいろな考えがあっても、それでも、76年ものあいだ、日本の人びとは憲法を変えずに守ってきたんですね。
ありがたいことです。

憲法の理念が必ずしも実現されているとはいえないけれど、だれもが幸せに生きるために、もっと憲法を大切にしたいです。

憲法は、わたしたちが幸せに生きるために、政治をする人たちに守ってもらわないといけないルールです。
よろしくお願いしますね。

先日、フリーのおはなし会に参加させてもらいました。
ふたを開けてみないと誰が来るか分からないおはなし会です。
そうそう、図書館のおはなし会みたいなもんね。
おばあさんが2人と、小学生1~5年生5人と、そのおかあさん。
コロナ前のような接近した(笑)おはなし会でした。
久しぶりだったのでちょっとドキドキだったんだけど、即座にコロナ前の感覚にもどっていました。

楽しかった。
これが、平和というものです。

当たり前と思っていたささやかな笑いがどんなに貴重だったか。

コロナは、ある意味自然のもたらすものだから、しかたがない。
でも、戦争は、人間が起こすものです。
いつか後悔することのないようにしなければ。

その思いで第9条を書き写しておきます。

日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
②前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

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今週は久しぶりに《日本の昔話》を更新しました~
「かっぱの婿さん」語ってくださいねo(*^@^*)o