児童文学じゃないんだけど、若い人の心もつかむかなと思って紹介します。
『八月の御所グラウンド』万城目学/文藝春秋 2023年
「十二月の都大路上下(カケ)ル」は、京都で行われる高校女子駅伝のひとコマ。短編です。
主人公はどうしようもない方向音痴で、しかもいきなりピンチヒッターで走ることになる。
なぜか途中から新選組の一団がいっしょに走る。時間の重層は、万城目学の真骨頂ですね。
それは、「八月の御所グラウンド」で顕著で、こちらではそれがストーリーと関わって、ミステリアスに読者を引っ張っていきます。
どちらの作品も京都市内が舞台なので、よく知っている土地ばかり出てきます。8月の京都の地獄のような暑さの描写もめっちゃリアリティがあります。
「八月の御所グラウンド」は、謎解きを、笑いながら楽しんでいるうちに、ラスト、もう泣けてきてどうしようもなかった。
どうでもいい話をたくさんしよう。
ネタバレになるから書けないけど、ほんと、読みやすいし、感動的だし、読んでみて!
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きょうは、《奈良の民話》はおやすみで、《おはなしひろば》の更新。
「福の神はくさったさくらんぼの中に」
夢の話です。