最後の研究クラス

こんにちは。
梅雨なのに、昨日今日は中休みのようで洗濯を外に干せてうれしいのですが、とたんに30度越えの気温!
暑いです~~(;’∀’)

研究クラスの報告です。
「ヨリンデとヨリンゲル」KHM69
この話は初版から載せられています。
元は、ハインリヒ・ユング・シュティリングの自伝的小説『ヨーハン・ハインリヒ・シュティリングの生涯』(1777年)の中にある話で、昔話であるのか創作であるのかは解明されていないけれども、創作ではないかという考えが優勢なのだそうです。
グリム童話の中にはそういう出自の話もあるんですね。
話型はATU405「ヨリンデとヨリンゲル」で、類話がないそうです。
レポートでは、テキストの比較をしてくださいました。
『初版グリム童話集3』吉原高志・素子訳/白水社、『完訳グリム童話集2』高橋健二訳/小学館、『子どもに語るグリムの昔話6』こぐま社、『語るためのグリム童話4』小峰書店の4種類のテキストを比較し、実際に覚えられたのは『語るためのグリム童話』でした。
同じ話であるのに、4つを並べてみますと違う箇所があります。
文字にしたらほんの少しですが、「意味が違ってこない?」というのや、順番を変えてイメージしやすくしているところがあり、並べてみることの大切さを改めて感じました。
丁寧に比べていくとそれぞれの再話のいいところや苦心がわかります。
いい勉強になり、楽しかったです。

研究クラスは、2013年にヤンさんを講師にしてババ・ヤガーを作った時に、最初は中級クラスとして始まりました。
昔ばなし大学で知り合った仲間同士で、ヤンさんに語りについて教えてもらいたいと思ってお願いしたのが始まりです。
その時わたしは、語りの初心者とはいえず、そして若手とも言えない立ち位置で、もう少し深く突っ込んだところでダメ出ししてくれるような勉強会を望んでいました。
初級ではないという意味で、中級クラスという名前になり、レポート付きで語りをする勉強会が始まりました。
1回に語る人がはじめは5人くらいでしたが、だんだん時間が足りなくなり、レポート付きが2話とレポート無しが1話となり、最近はレポート付きが1話だけですがその代わり呪的逃走の話をみんなで読み進める企画を長いこと続けています。
『世界の民話 ひとと動物との婚姻譚』(小沢俊夫著/中央公論社)をテキストにして語法の勉強をしたのもこのクラスだったと思います。
ババ・ヤガーの勉強会の種類が増えていき、初級クラスを卒業する語り手さんが出てきたタイミングで、中級クラスという名前を譲って、研究クラスに改名しました。
この日、「10年やってきたんやな~」としみじみみんなで言ってたんですが、このクラスのおかげで〝調べる〟ということができるようになりました。
これがとっても大きい成果だと思います。
わたしは、AT番号とか、ATU番号とか、モチーフ番号とか、もう数字がたくさんあるとそれだけで拒否反応が出ていたんですが徐々に慣れ、今はもう怖くありません!
「どこからでもかかって来なさい~」(笑)
今後ですが、研究クラスのメンバーはレポートを出したいときは中級クラスで手を挙げることになりました。
中級クラスで時間を長めにもらって語りとレポート発表をすることになりました。
そして呪的逃走については、まだ読み合わせていない話はわずかだそうなので、どこかのタイミングで一度集まれば終了できる予定だそうです。
ついにあと一回でまとめができるところまで来たというので、みんなで手分けした呪的逃走話の研究も「すごいことやり遂げようとしてるん違う?!」と思います。
ほんと、楽しかったです。
研究クラスはこれで終わりますが、メンバーは、ほぼみんなが他の勉強会でこれからも一緒なので、淋しいとか悲しいとかいうことがないのがこれまたうれしいです。
ヤンさん、今までありがとうございました。
そして、これからもどうぞよろしくお願いします~~

2 thoughts on “最後の研究クラス

  1. ジミーさん
    報告をありがとうございます。

    みなさんの熱意のおかげで、研究クラスを続けてこられました。ジミーさん、みなさま、お疲れさまでした。
    楽しかったです。ありがとう!

    自分の語る話について、よく知ることはとても大事だと思います。
    特に昔話の場合は、いつ生まれたのか分からないけれども、変化をしながら今に至るまで受け継がれてきた。そのこと自体が貴重ですし、文献を調べることで、人びとがその話をどのように受けとめ、どのように語り継いできたかが、少しですがわかってきます。
    そんなこと知らなくても語れますけど、知って語るのと知らないで語るのとでは、語る姿勢が変わってきます。すると、聞き手への伝わり方も変わります。

    これは世界に広がるシンデレラ話の日本バージョンだと知って語ると、「お月お星」の語りかたは変わりますし、自分が伝承の最先端にいると自覚できます。
    そうすると、聞き手との心のやりとりの楽しさだけでなく、自分のやっていることの大きな意味を感じることができて、やりがいが生まれるのです。

    そういう本気の語りがやりたいと、ヤンは思っています。その姿を子どもたちに見せたいと思います。

    研究クラスでやってきたことは、その方法を学ぶことでした。メンバーはもうやり方を知っていますから、クラスで集まらなくても、あとは個人で深めていくことができる。と、期待しています。

    みなさんのレポートが、押し入れにいっぱいになっています。
    これって、宝物ですね~

  2. ヤンさん、コメントありがとうございます。
    調べ方を教えてもらったことはとてもいい経験でした。
    自分が一人で調べられるようになったことがうれしいです。
    文献はまだまだ知らない物もたくさんありましょうが、基本的にこれに当たるというのは会得できたと思います。
    ヤンさんもおっしゃるように、知らなくてもいくらでも語れるでしょうが、覚える前に話について調べて、先に理解を深めておくという作業をしないと覚える作業に進めないようになりました。
    覚える前に話に疑問箇所があると進めないというか…。
    先日覚えた「赤ずきん」がそうでした。
    気になる箇所があったので今まで覚えませんでしたが、調べてみて意味がつかめると大変好きになり、覚える作業もスムーズでした。
    研究クラスでみんなのレポートを読むのも楽しかった。
    話や調べる人によっていろいろな角度でいろいろなことを知ることができ、本当におもしろかったです。
    他ではできない勉強をさせてもらえたと思います。
    ヤンさんとみんなに感謝~~(^O^)/

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です