「勉強会」カテゴリーアーカイブ

3月の中級クラス

暖かかったり、寒かったり、雨が降ったり…季節の変わり目を感じます。そんな気候に合わせるように、人の気持ちもあれやこれや、あーだこーだ、浮いたり沈んだりですかね。そして、今日は春分の日で祝日でしたので、会場はお休み。お家でzoomオンライン勉強会でした。

アントニウス・ホーレクニッペル 『新装世界の民話⑭』から再話

屋根がチーズでできた家 『子どもに語る北欧の昔話』こぐま社

赤ずきん『グリムの昔話2』福音館書店

ヤギとライオン 『子どもに聞かせる世界の民話』実業之日本社

それぞれのおはなしの表情から、その語り方について学びました。

●登場人物の語り手の人物像は、気に入っているセリフがあれば、そこから捉えて、それを全体に取り込む。

●語順は大事になる。聞こえてくる順番にしか聞き手はイメージできない。逆に、与えてしまったら、取り返しもできない。イメージの訂正はもったいない。

●テキストの言葉通りに語れず、変わってしまうのには理由がある。意識して考えてみて、変わった方がいいと思ったらそう決める。間違いではなく、正しいことにしたらよい。

●おはなしの怖さ(赤ずきん)は年齢によって抑え方を変える。「おまえをうまくくえるようにさ」1・2年は怖さを楽しんでやる。幼児は抑え気味でやる。そこにいくまでも、耳→目→手→口と危険度が大きくなっていく順番に並んでいる、おかしいぞ~という赤ずきんの疑惑も大きくなっていくので、語りもクレッシェンドする。

●おまけの笑い話として語る話は、聞き手は主人公になって聞かない。聞き手も外から笑うようにもっていく。幼児に語る場合、聞き手は主人公になって聞くので、語りの立ち位置を変えて、聞き手(主人公)から見ているおはなしを、そのように語る。相手と一つにならないとうまくいかない話は、訓練になる。

今日はオンライン語りでしたが、学びの多い楽しい時間でした!デジタル機器を通しても、語りはちゃんとその人を出してくれるなぁと思いました。語りの雰囲気にほっこりしました。みなさんのお顔も一挙に拝見できて嬉しかったです。最後に、一つ。ヤギとライオン、こちら2つの歌が出てくるのですが、語る人みなさんに歌ってもらいました。みんな違っていたり、ヤンさんの語りを聞き続けていた人は完全コピーだったり、色んなメロディーが流れました。歌の入ったおはなしは、子どもたちにばちっと印象が残りますね。あ、そういえば、ヤンさんの語りがなかった…また今度、対面でよろしくお願いします!

次回は4月18日㈫です。

3月の初級クラス

先日、京都・城南宮のしだれ梅と落ち椿を観てきました。異界に迷い込んだような美しさでしたよ~

椿の花の時期は早咲きは10月から春咲きは4月までと、とても長いのをご存じでしょうか。私は冬に咲く花だと思い込んでいました。
私の語りたいお話リストの中に「佐渡の白つばき」というお話があります。このお話の椿は春咲きです。

手遊びジャンケン
梅にうぐいす、たけのこ水仙
お日様かがやく、さんじょのじょ

語り
1.水晶の玉/語るためのグリム童話7/小峰書店 
2.しんぺいとうざ/語りの森昔話集3/語りの森
3.黄太郎青太郎/子どもに語るアジアの昔話1/こぐま社
4.小僧さんとねこの絵/語りの森昔話集5/語りの森
5.庄やん/子どもと家庭のための奈良の民話2/奈良の民話を語りつぐ会
6.十二のつきのおくりもの/おはなしのろうそく2/東京子ども図書館
7.小さな赤いセーター/愛蔵版おはなしのろうそく4/東京子ども図書館

ヤンさんの語り
いぬとにわとり/おはなしのろうそく31/東京子ども図書館

講評
・初級のうちはとにかくテキストのまま語る。ここはどうか?と思いながら、聞き手の反応を見ながら、色々考える時期。
・擬音語、擬態語はその言葉だけでなく、前後の文章から話の解釈を入れ込む。
・「覚えた話」を語るのではなく、「知っている話」を語るためには、テキストを完全に覚えた後の色々な語り方の積み重ねが効果的。
・色々な声の出し方、語り方を試してみると良い。
・セリフについて大きな声で言った、と書いてあっても、声を大きくして語るのではなく、「大きな声らしく」語る。
・似ているが違う「くり返し」箇所を覚えるのが大変な時、くり返しの部分だけ取り出して集中して練習する。
・実際に子どもの前で語ることで、学ぶ事が多い。

今月は2名のニューフェイスを迎えての初級クラスでした。来月の語りのエントリーに手が上がる、手が上がる!とっても活気に満ちた新年度を迎えられそうです♪

次回の初級クラスは4月11日(火)です。
『ノート式おはなし講座・語りこの愉しき瞬間』を持ってきてください。

3月の日常語クラス

外を歩けば、色んな花のいい香りがしてきますね。待ち遠しかった春がやってきて、あれもしたい、これもしたい、とわくわくしますね。ホタルイカが食べたいです。

語り

島をすくった三人兄弟 『日本の昔話3』福音館書店

だんだん飲み 『日本の昔話5』福音館書店

聞き耳 『語りの森昔話集1/おんちょろちょろ』語りの森

テキストを日常語になおす

危機一髪 『語りの森昔話集5/ももたろう』語りの森

手なし娘 『日本の昔話2』福音館書店

鳥のみじさ 『日本の昔話3』福音館書店

ヤンさん語り かっぱのむこさん 『沖永良部島昔話集』岩倉一郎編/民間伝承の会

日常語の語りは、耳に心地よくて引き込まれますし、音楽を聴くようにふわっとします。語り手の日常語とリズムでイメージを渡してもらうので、聞いて知ってる話に聞こえてくるから(覚えたんじゃなくて)「ふん、ふん、そうなんか~」と、おはなしを、より身近に感じ、楽しみ、怖がり、笑い、語り手と聞き手が一つになるような雰囲気になるのかなと、改めて思いました。

今日もいいことを教えてもらいました!

つらつらと文が長くて言いにくいとき 「この家の屋根の茅に…」→いいところでを入れる。「この家の、屋根の茅に」もしくは、『』を入れる。~のな~にな。そうすることで言いやすくなる。

言葉が見つからないとき 「それじゃあ、わしの…」→ほんなら?、わしの…→それじゃあを取る。「わしの…」 取ってしまっても大丈夫なら、取る

語尾の連続性が気になる、うるさい?と迷うとき  それを逆手にとって楽しむ

自分の土地言葉に悩むとき  思いっきりくだいて語ってみて、聞いて確かめる

今日もとても楽しく、学びの多い時間となりました。前にも言ったかもしれませんが、私の日常語は遠州弁(浜松)と関西弁なのですが、関西に引っ越してきた時、新しくできた友達に自分の言葉をおもしろがられて、びっくりしたことを覚えています。「そうだに~、~しただよ」標準語だと思い込んでいたんです(笑)色々思い出して考えてみると、おじいちゃんおばあちゃん子だったことも今の日常語に影響してます、世代で流行って使ってきた言葉もあります、父母・兄とも少し違う言葉を使ってます。みなさん一人ひとり違うってことですもんね。人を通して言葉が変わっていくことを思うと、言葉が人を語ってるってことか~。深い。人が言葉を使っているのか、言葉が人を使っているのか?瞑想です(笑)報告を書かせてもらうことで、日常語の入門で学んだ事に立ち返ることができました。そのまんまの自分の言葉の語りで、子どもたちに届けられたときに、何が起こるのか?!そこを体感できるように、楽しみにしつつ、日常語直しと語りをしていきます。

次回は5月12日㈮です。

2月のプライベートレッスン

こんにちは(*’▽’)
2月のプライベートレッスンの報告ですが、ブログを書いている今日がちょうどお雛祭りの日なので、イラストはお内裏様とお雛様にしてみました。
10年以上出されない我が家のお雛様…。申し訳ございません<m(__)m>

2月のプライベートレッスンはお二人でした。
お一人目は語りをされました。
「鬼の面、お福の面」語りの森HP日本の昔話 → こちら
そしてもうひとりは、テキストを日常語に直す勉強をされました。
「わらしべ長者」『語りの森昔話集5桃太郎』

「わらしべ長者」の話には観音様が出てきますが、観音様のしゃべり方というか、観音様らしいしゃべり方でかつ自分の日常語にテキストを直すというのは難しいということを話していた時、ヤンさんが「知らずして語るのはおこがましい。」と言われたのが胸に刺さりました。
昔話のなかには超自然の登場人物が出てきます。
観音様、神様、小人、妖精などなど。
白雪姫の7人の小人は有名ですが、有名すぎて自分の中ですでに映像が出来上がっていて「小人とはかわいいもの」と思っているのではないでしょうか?
でも、調べてみると、事典に出てくる小人は決してかわいいものではありません。
どんどん調べるとどんどん奥にはまっていくような、そんな奥の深~い登場人物が多いですね。
だから、「なんとなく植え付けられているイメージだけで、それらしく語る」というのではなくて、「知らないならば色を付けずに普通に語ったほうがよくないですか? そのほうが、聞き手にゆだねられて聞き手のイメージ形成を邪魔しなくてよくないですか?」ということでした。
わたしは、「白雪姫」を語りますのでドキッとしました。
ディ〇ニーのイメージがわたしにもありましたから、かわいいものと思っていましたΣ(・□・;)
いつまでたっても、学ぶことって多いですね~~

語りとテキスト、一度に二つの勉強ができるのは楽しいですね。
それぞれに楽しくて勉強になりました。
また、次回を楽しみにしています(^O^)/

「ホレばあさん」昔話の語法感想集3⛄⛄⛄

三寒四温とはよく言ったもので、先日まで暖かかったのに、昨日今日の寒いこと!
明日くらい、あたたかくなるかなあ。

遅くなりました<(_ _)>
先日のオンラインでの昔話の語法勉強会。そのご感想が集まりましたので、ご紹介~~~

Hさん

このお話を初めて聞かせてもらった時に、『世界民話童話翻訳シリーズ④イギリス民話集Ⅱ・ヤラリーブラウン/J・ジェイコブズ著、木村俊夫・中島直子訳』にある「婆さん魔女」の類話だという事に気づきました。
そして語法の勉強をしながら、この2つのお話の違いについて考えさせられました。
まずは、ホレばあさんは自然を司る”女神様”で、婆さん魔女は”魔女”という事です。そこが真逆なゆえに「ホレばあさん」ではパン窯やりんごの木は”テスト”として出てきて、ふたりの娘の性質の違いをくっきりと見せてくれている存在ですが、「婆さん魔女」では、魔女に追いかけられて逃げる時に助けてくれる”援助者”の役割もしています。
基本的な登場人物は同じでも、役割が違っているのがおもしろいし、どちらもちゃんと「昔話」らしい。そして同じ話型でも、そこに込められているメッセージには違いが出ていると思いました。
お話を選ぶ時に、類話を比べてみることも面白いし、大事だなと感じています。

ホレさん

本日は語法の学習会を受講できうれしく思っています。
ペースもよく、何とかついていくことができました。
特に、ままむすめなのかむすめなのか、気になっていたことでしたので、
村上さんのご意見をうかがうことができて、とてもありがたかったです。
〜性を説明されるとき、たくさんの昔話(グリムも日本の昔話も)を例にひいていただきましたことも、
よくわかり、納得できました。
質問の時間もたっぷりあり、参加の方からのお話がうかがえたのも有意義でした。

Iさん

昔ばなしの世界をまた広げてもらったように思います。聞き手のために貫かれている語法は語り手の愛なんですね。この贈り物、人類の記憶(記録)をそっと手渡し続けることで、子どもたちは正しい行いを自然と選び、行動するようになるんだなと思います。いくつか、印象的だったことがあります。「母親は…みにくいなまけものの自分のむすめにも、同じ幸せをつかませてやりたいと思いました。」ここに平等性を感じました。自分の中にあるみにくいなまけものな部分があっても、姿形が違っても、人種が違っても、命の重さや幸せは平等である。そんなメッセージを感じました。
そして、私のイメージの話ですが、異界の道は、一本道で聞いていました。パン焼き窯、リンゴの木、ホレばあさんの家が一本道でした。「草原」となっているので、平面的な広がりがあるのでしょうけど。昔話を聞きだしてから、イメージの仕方が変わったのかもしれないんですが、分かりやすいように自分でしているのかなとも思います。聞き手に任せてもらえるから、自由ですね。子どもたちや、みなさんの想像するものはどんな世界なんでしょうね。何でもできちゃう世界。自分の将来も、自由に想像して(創造して)、そうやって行きたい方へ行ってほしいなと思わずにはいられないこの頃です。今後はもっと、語法を活かして語りをしたいです。ありがとうございました。

Kさん

ありがとうございました!今回もやっぱり受講して良かったです!ハッとさせられました!(何度も教えていただいているのに😅)
昔話の語法ってほんとうに素晴らしいですね!耳で聞いてわかりやすい!聞き手に対する愛に溢れています!あ〜自分はそんなふうにできてるかなぁって!そして今回何よりハッとさせられたのは、昔話は行動に対する報酬は、その行動に正確に対応する!です!親切な少女と不親切な少女!行動を見れば報酬はそのとうりですね!となりました!昔話の語法の勉強をするたびに語り続けてくださった方々の愛の大きさにおののくばかりです!

みなさん、いま直面している課題と関わらせて考えてくださっていますね。
ともに学ぶことができて、わたしもうれしいです(*^▽^*)

つぎは4月4日、オンラインで「三匹の子ブタ」をとりあげます。
ぜひ参加してくださいね~
それまでに『昔話の語法』小澤俊夫著/福音館書店 をよんでおくと、もっとよくわかると思いますよ~

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夫「ふたりの男がな、旅しててな、ひとりがう〇こ我慢していくのと、もうひとりは二人分の荷物背負っていくのと、どっちが勝つかって話知ってる?」
わたし「しらん」
夫「古典やったと思う」
調べた結果、『播磨国風土記』に出てた( •̀ ω •́ )✧
大国主命と少彦名命のエピソード。
風土記って、地名由来ばかりで、なじみのある土地のことはへ~って思うけど、そうでないとあまり面白くない。
けど、こんな話もあるんやね。再話してみようと思う。
ちょっとしばらくは、風土記を読むことになりそう(*^▽^*)
あ、そうそう、枚方って渡来人が移り住んだ村だったそうです。播磨の国風土記に河内の枚方のことが書いてあるのもちょっと驚き~

ところで、上記の話、どちらが勝ったと思いますか?